最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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130 不良さん 心の在り方

公開日時: 2021年6月16日(水) 00:21
更新日時: 2022年11月23日(水) 23:12
文字数:3,604

●前回までのあらすじ●


 アメリカに行ってからの崇秀の異常なまでのレベルアップが気に成って、そこの話を始める倉津君。


けど、その答えは……

MITに通う、1つ上の見た事もない女の子に感化されて、このレベルアップが行われた事を知り、驚愕する倉津君。


でも、そんな天が二物も産物も与えた様な女の子が存在して欲しくない倉津君は、せめて『ブス』であって欲しいと望み続けるのであった(笑)


だが崇秀は、そうは考えず、ブスであっても価値が高い女性だと言い始める……それ一体何故?

「見た目以前に、ソイツは、凄ぇ良い遺伝子を持ってる訳だろ。だったら、そこに俺の遺伝子を組み込んでみろよ……トンデモナイ化物が産まれて来る筈だ。それだけでも彼女を幸せにする価値は十分にある。しかも、俺の予想通り美人だったら、より完璧なものが出来る。だから、俺の人生を賭けるには、十分に値する女だって思わねぇか?……思うだろ?」


まさか、此処に来て遺伝子レベルの話だと?


まぁ言わんとする事は解るが。

遺伝子以前に、相手の性格が破綻してた場合は、どうすんだよ?

ただでさえオマエのイカレタ遺伝子が、その女のイカレタ遺伝子が組み合わさったら。

そんなもん、どう考えたって『世界征服』を企む、ロクデモナイ奴が生まれて来るに決まってんだろ。


地球に……いや、人類に迷惑だから辞めてくれ。


これに関しては嘆願するわ。



「いや、全然わかんねぇから。だから辞めとけ」

「わかんねぇかなぁ?まぁ良いけど……ところでよぉ、オマエさぁ、さっきから、なんで、そこまで否定的なんだよ?」

「わかんねぇけど。無性に嫌な予感がするんだよ」

「ほぉ、そいつは、おもしれぇな……じゃあ俺は、テメェの嫌な予感とやらを実現してやる。これは確定事項だ」


ムキになってやがるのか?

それとも、ただ単にマジなのか?


奴の心理は読めないが、冗談じゃない事と、楽しんでいる事だけは確かだな。



「あぁもぅ好きにしろ。どうなっても知らねぇぞ」

「あぁ、勿論そのつもりだ」

「じゃあよぉ、今後は、その女一本に絞るって事なんだから、これからは一切浮気はしねぇって事だよな」

「あぁ浮気はしねぇ。但し、その女と付き合い始めたらな」

「はぁ?……いやいや、おかしいだろ。今、オマエ、自分の人生賭けるって言ったじゃねぇか」

「あぁ言ったな。けど、それはよぉ。やっぱり付き合い始めたらの話だ。それまでは、その女に対しての浮気は成立しねぇんだから、当然、俺は、今まで通り好き勝手にする……そんなもん、常識だろ」

「いやいや、いやいや、だったらオマエ、それ、全然自分の人生賭けてねぇし」

「バカタレが……良いか倉津?男の精子って奴は、女の為だけに有るもんなんだ。それを無粋なティッシュに捨てろとでも言うのか?冗談じゃねぇ。オナニーなんざ小学生のやる事だ。そんな幼稚臭い事は、勘弁願いたいもんだ」


バカタレはオマエだ、この性欲魔神。

なんでオマエは、いつもそうやって、自分に都合の良い解釈をするんだ?


常識で考えても、オマエの言ってる事は罷り通らねぇ戯言だ。


それとなぁ、今現在、童貞の人全員に謝れ。

世の中にはオナニーしかした事が無い人が沢山居るんだぞ。


それ自体が、オマエのせいで、世界のバランスが狂ってる証拠だ。



「オマエねぇ。オナニーの何が悪いって言うんだ?」

「いや。俺は何も悪いとは言ってねぇぞ。ただ単に、そんなもんを必死こいてやる様な無様な生き方は、お断りだって言っただけだ」

「あのなぁ……」

「だってよぉ。考えてもみろよ」

「なにをだよ?」

「小学生がオナニーして喜ぶんならまだしも。中学や高校、果ては大学生にもなって、喜んでオナニーばっかりしてるって、どうよ?それによ、それ以上の年齢でオナニーしか知らないなんざ、ハッキリ言えば、人として色々欠損しすぎだろ。ソイツ、何の為に生まれてきたんだ?」

「オマエなぁ……じゃあ、逆に聞くがな。俺達の年齢で、何%が童貞だと思ってるんだ?」

「オマエを含めて2%ぐらいか?じゃねぇと30歳童貞=魔法使いの価値がねぇ」

「んな訳ねぇだろ!!95%以上の奴は童貞だよ」

「オマエも含めてか!?」

「やかましいわ!!大きなお世話だ!!」


あぁイラつく。

コイツと話をすると、必ずイラつく。


神様って奴は、なんでこんなド外道に『才能』を与えたんだ?


与える相手を間違ってないか?



「なるほどなぁ。じゃあ、オマエの話だと。俺達の年代の大半が、童貞って事になるんだな」

「当たり前だ。責任も取れないのに、ガキが、そんなホイホイSEXなんぞ出来るかよ」

「いや……なら、責任取れば良いじゃねぇか」

「だからよぉ、普通のガキには、責任なんて取れねぇの」

「ふ~ん、ドン臭ぇのな」


あぁもぅ良い。


あぁもぉ面倒臭い。



「もぉ好きにしろ」

「好きにする」

「あのよぉ……因みにだが、そのMITに居る女と付き合う前に、他の女が妊娠したら、どうするつもりなんだ?」

「ん?責任とって結婚するに決まってんだろ。常識だろ」

「じゃあ、ソイツは諦めるって事か?」

「あぁ、諦めるな」

「なんだよ?人生賭けるって言った割には、豪くアッサリ引き下がるんだな。そんなんで後悔しねぇのか?」

「まぁ、そりゃあオマエ、多少の後悔は有るだろうが。これバッカリはしょうがねぇじゃん。だがな、そんなに大きな後悔はないぞ」

「なんでだ?」

「俺はな、基本的に『自分が結婚しても良いと思う女』しか抱かねぇの。だから1つのマ○コに当たらなかった位は大した問題じゃない。……ん?ちょっと待て、まさかとは思うが、オマエ、俺の事を『無節操な女好き』だとか思ってんじゃねぇだろうな」

「・・・・・・」


思ってた……


……って言うか。

普段のオマエの言動を見てたら誰だって、そう思うだろ。



「かぁ~~~、長い付き合いだってのに、この認知力の低さ……最悪だなオマエ」

「いや、付き合いの長さ以前に、オマエの場合、普通に、そう思われても仕方がねぇだろ」

「なんでそうなる?あのなぁ。それ以前の問題として、そんな風に見た目や、簡単な性格判断だけでHするなら、そんなもん小学生にも出来るだろうに。中学生なんだからよ。もぅちょっと視点を変えて、女を深く観察した上でSEXするのが常識なんじゃねぇの?……馬鹿じゃねぇのか、オマエ?」


えぇ……今時の中学生は、そんな事も出来ねぇとイケネェのか?



「えっとよぉ。一応聞くが、オマエはHをする度に、それを毎回していると」

「あぁしてるな。こう見えても、人を見る目には自信が有るからな」

「呆れた奴だな」


あぁそうだったな。

確かに、オマエは、果てしなく妥協しない男だったな。



「そっかよ。……まぁさてさて、そこはそれで良いとして。オマエさぁ。今までの俺の話で、なにを感じ取った?」

「はっ……はぁ?」


突然……ホント、なんの脈絡もなく、崇秀は、そんな話を言い放った。


けど、そりゃあ。

いっ、一体、なっ、なんの話だ?


俺は全く対応出来ず『?』っと言う疑問符だけが飛び交う。



「ハァ……ホント、順応性のねぇ葉緑体だな。俺が意味も無く、こんな話を長々とするとでも思ってるのか?俺は、そんな時間の無駄をするつもりはないんだが」

「オイオイ、なんか、今の話に意味が有ったってのか?」

「単純に言やぁ『心の有り方』だよ」

「心の在り方だと?」

「そう……俺は、自分の起した全ての事象を、自分の責任に変えて生きている。バンドも、カットも、人間関係も、Hにしても然りだ。っで、オマエはどうなんだ?」

「おっ、俺は……」


『適当に生きている』と言ってしまえば、まさにその通りだ。

俺は事実、全てが行き当たりバッタリで、ほぼ何も考えずに生きている。


だから、こんな無様な結果になっている。

勿論、そんな事は、崇秀に言われなくても重々に承知している。


でも結局は、ソレが解っていても、この悪い癖は中々治らない。

他人がどうにかしてくれるなら、直ぐに他人に頼ってしまう。


俺は……



「そんなな。自分を嘆いて、凹む様なミットモネェ真似してんじゃねぇよ。この話は、オマエが、向井さんや、アリスの事を好きなのを重々承知の上での話だ。……オマエ、流石に、それぐらいは解ってるよな?」

「幾らなんでも、それぐらいは解ってるよ」

「じゃあ、オマエには、何が足りない?俺に有って、オマエに無いものはなんだ?」

「覚悟か」

「その通りだ。だがな、今オマエは、口では、それを簡単に言ってるが。オマエには、2人に対する覚悟らしきものが何も見当たらない。そこが、この問題に於ける最重要ポイントだ……此処も、わかるよな?」

「あぁ、わかってる。どっちつかずな態度じゃダメって事だろ」

「あのなぁ、勘違いするなよ。俺は、別に、どちらか一本に絞れなんて、今更、口が裂けても言わねぇよ。……がだ。どちらがオマエにとって、最も必要な人間なのかぐらいは理解して貰わないと困る。……俺が言える事はな。2人と同時に付き合っても構わねぇが。自分が大切だと思った方を重点的に大事にしろって事だ。もぅ一方は、精々セフレ止まりにしとけ。それが出来りゃあ、このバンドは順風満帆に行き、簡単に化ける筈だ。……どうだ、これなら出来そうか?」

「崇秀よぉ……助言は有り難いんだが、俺には、そんなに器用な立ち振る舞いは出来ねぇよ。それに、素直に、どう対処して良いかもわからねぇんだよ」


本音を出してしまった。


特に隠していた訳ではないんだが、幼馴染のコイツに相談するのは、気恥ずかしい。


そんなツマラナイプライドが、漸く解けたらしい。


最後までお付き合い、ありがとうございましたぁ<(_ _)>


話が完全に逸れていると見せかけて。

崇秀は、倉津君に心の在り方を説いていたんですね。


なんだかんだ言ってても、本当に仲が良いです(笑)


さて、倉津君は、これを、どう受け止めるのか?

そしてバンドは上手く行く方向に向くのか?


それは次回の講釈。

また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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