第一章・第二十五話【報告、そして……禁断】が始まるよぉ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
025【報告、そして……禁断】
『表情には出さないが、精神状態が不安定なまま、奈緒さん家で生活をし続けている』
不安が消えない……
なにをしていても不安が拭えない。
……あの日。
いや、正確には、あの日、風呂に入りながら物思いに耽ってからと言うもの、俺の心の中から1度たりとも不安が消えた事がない。
常に、あの風呂場で考えていた、男女の間で彷徨う様な奇妙な思考が付き纏い。
どこで、なにをして様と……容赦なく、あの思考がベッタリと俺の脳裏に張り付いてくる。
そして、そのビジョンが浮かぶ度。
俺の脳裏には『自分の頭がおかしくなってしまったのでは?』っと言う不安だけが付き纏う。
それが例え。
奈緒さんと、男の気分まま、普段通りの楽しい筈の会話をしていても……
奈緒さん以外の他の誰かと、女になった気分で楽しい遊びをしていても……
ここ数日間、その嫌な思考がこびり付いて、心の底から思いっ切り笑える様な心境には全く成れないでいた。
それ処か、なに1つとして、楽しみの欠片さえも感じられなくなっていた。
『大体にして、今の俺の存在っと言うのは、一体、なんなんだろうか?』
体がどうあれ、心が男で在り続けてる以上……俺は男だと言う認識で生きて行く事が正しいのか?
それとも、外見が完璧に女性なのだから……これ以降は変に悩まず、見たままの女として認識し生きていくべきなのか?
はたまた、この奇妙奇天烈な状態を脱して、男と言う性別に戻れるのか?
矢張り、崇秀をもってしても、なにも解決策が得られず、男の気持ちを引き摺ったまま一生女として生きなきゃいけないのか?
そして状態はどうあれ、俺の精神は、その結果が出るまで、そんな男女の狭間で生きている事に耐えきれるものなのか?
もぉ……そんな風に考える事が多過ぎて、自分でも何がなんだかよく解らない。
こんな風にズッと不安定な精神状態続くだけで、精神面が悪化の一途を辿りるだけだ。
そして、そんな風に、なにも答えが見つからないままだから、精神的な回復の兆しを一切見えて来ない状態が続く。
あぁ……なんだろう?
なんだか、そんな事ばかり考えてるからかして、いつも以上に気分が優れなく成って来たなぁ……
もぉ、こんな姿じゃなにもしたくない……
今は、誰とも逢いたくないし……
それは、俺にとっての最愛の存在である奈緒さんとですら……
……あの日以来。
俺は耐え切れない程の不安と、そんな自分を許せない罪悪感に苛まれ続けている。
***
素直や千尋や美樹さん達が遊びに来たクリスマス翌日のあの日。
遊び疲れた俺は、風呂場で湯船に浸かりながら、奈緒さんの幸せをド返しにしてでも、自分の幸せを手にしようとしていた。
『眞子と言う存在で、在り続けても良い』
心の中でハッキリそう思ってしまっていた。
だがそれは……奈緒さんの幸せを一番に考えるなら、決して、持っちゃいけない危険な思考だったんだ。
でも俺は卑怯にも『倉津真琴を捨てる事』によって自由を得ようとし『女で有り続ける』だけで自由を得れると、自分勝手な勘違いしていた。
……だが、それはお門違いな考えも良い所だった。
男に戻らず、性別が女のままと言う事は、それを=関係に置き替えた時。
俺にとって一番大切な筈の奈緒さんが『女としての幸せを掴めない』まま、一生、俺と言う『足枷』に縛り付けられるのと同意義だったからだ。
俺が自由と言う名の身分を得る代わりに、彼女が謂れのない束縛を受ける羽目になる。
だから最低限、これは俺が持っちゃいけなかった考えだとは理解出来た。
だが、そうなる事が全て解っていても、俺はその考えを捨てきれずにいる。
何故なら、その当の本人である奈緒さんは、例え俺が、どんな姿や精神状態であっても、俺のした選択を丸々受け入れてしまう事が解っているからだ。
あの人は、前からも、これからも、なにも変わらず。
俺の事をズッとを好きで居てくれている存在だからこそ確信出来る、こう言った彼女に甘えた根性が残っているのだろう。
俺は、そんな卑怯者だ……
本来なら、こんなに大切に想ってくれてる人が居ると解っているのなら。
その人を不幸にしてまで『得る自由』なんてものは、一切考えないはずだしな。
だから俺は再度自分に問う『それは俺にとって、本当に必要な事なんだろうか?』と。
だが、その答えが見付けられない。
何故なら……仮に男に戻ったとしても、奈緒さんを幸福にしてあげられる可能性は極めて低いからだ。
男に戻った瞬間、ヤクザと言う、この世の中で一番嫌な看板が俺に一生付き纏い。
彼女の生きている真っ白で全うな世界から、人としては屑で真っ黒なヤクザと言う闇の世界に、彼女を引き摺り込んでしまうかも知れないからだ。
これも結局は、なにを、どうやっても許されざる行為でしかない。
『なら、いっその事、このまま女で居た方が幾分はマッシな結果になるんじゃないか……』
『奈緒さんをヤクザの世界に引き摺り込んでしまう位なら、いっそこのままの状態の方がお互いの為に成るんじゃないか』
……俺は、またそうやって、自分に都合の良い方向に思考を向ける。
あの日以来……奈緒さんが出掛けて1人になると、必ずと言って良い程、こんな、終わらない思考のループを、毎日の様に繰り返している。
いい加減、ハッキリしない自分の浅ましい心には、うんざりしている……
矢張り、こんな自分勝手で馬鹿な事を考える俺なんかには。
元より、真っすぐに俺の事だけを見てくれてる奈緒さんと付き合う権利なんてないのかもしれない。
なら、此処でお互いの為にも、キッパリ『奈緒さんと別れてしまうべき』なんだろうか?
今の困惑した思考では、それが、お互いの為に一番のベストな答えの様にすら思える……
そして、そんな自分勝手な俺は、その場で体育座りをしながら丸まっている自分の眼から、涙が数滴零れ落ちているのに気付いた。
なんだ?
また俺は、こんな自然な感じで女みたいに泣いてるのか……
そして、その情けなくも男にあるまじき女々しい姿に対して、より一層、俺の心を蝕ばまれていく。
本当に俺は、一体、どうすれば良いのだろうか?
***
そんな事ばかりを考えていたのだが。
いつまでも、そんな事ばかり考えていてもしょうがないので、その体勢から少し体を起こし。
今度は壁に凭れながら天井を見上げ、頭を壁にコツコツ当ててみた。
勿論、こんな事を慕って、なんの意味もない事なんてわかっている。
こう言った生産性が無い行為は、余計に人を落ち込ませるだけでしかないのだから、まさに世界一無駄な行為だと言えよう。
だが……それが解っていても、自分に対する踏ん切りさえ着けられずにいた。
そこに……
『ポワワワワワワ……ポワワワワワワ……ポワワワワワワ……』
電子音丸出しの奈緒さん家の電話が鳴り響いた。
誰だ、こんな時間に?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
今回のお話から、第二十五話【報告、そして……禁断】が始まった訳なのですが。
倉津君、今後の事を考えて、めっちゃ心が揺れてますね。
奈緒さんと幸せを掴もうとして必死に足掻く『真琴』と言う立場。
ただそれには、ヤクザと言うレッテルが付き纏い、沢山2人で乗り越えなければならない事実。
対して、その倉津と言うヤクザの看板を外し、自由に生きれる可能性のある『眞子』と言う立場。
だが、それには『奈緒さんが女性としての幸せ』と言う、倉津君には耐え難い問題が顕著に表れてしまう。
なので、これは倉津君が心が揺れ動き捲っても、おかしくはない状況だと思いますです。
それ程『女体化』っと言うものは、本来考える事の多い話なんですよね。
そしてそんな彼の元に、一本の電話の音が……これは一体、何を予兆する物なのでしょうか?
彼にとっての救済の電話なのか?
それとも、地獄に突き落とす悪夢の様な電話なのか?
はたまた、ただの間違い電話か!!(笑)
それは次回の講釈になりますので。
電話の主の正体を、少しでも気にして頂けましたら、また是非、遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
読み終わったら、ポイントを付けましょう!