●前回のおさらい●
素直ちゃんとのキスの件で、完全にビビりながら奈緒さんに電話をした倉津君。
だが、その予想に反して、奈緒さんは『なんとも思っていない』様子。
何故、こんな事が起こるのか?
「・・・・・・」
『ほらほら。もぉ。またそうやって、自分に都合が悪くなったら沈黙するでしょ。怒られてる子供か君は?……ほれほれ、なんか言ってみ』
「……なっ、奈緒さん!!」
『なぁに?急に大きな声なんか出して?なんか言う気にでもなったの?』
「すっ、すみません」
『だから、気にしなくて良いよ。話、続けて』
「あっ……はっ、はいッス」
どこまでも取り乱す事無く。
奈緒さんは、果てしなく冷静沈着な態度で、俺に接し続けてくれている。
この人は、一体、どうなってるんだ?
どうやって、此処まで感情を抑えて、正確にコントロールしてるんだ?
もし全てを理解した上で、この態度を取り続けているなら、人間業じゃない……
『っで、結局どうしたのよ?』
「あっ、あの、その前に1つだけ質問……」
『うん、良いよ。なに?』
「あっ、あの、かっ、仮にッスね。奈緒さんが思ってる事が全て正解だったとしても、なんで、そんな簡単に許せちゃうんッスか?」
『あぁ、なぁんだ。そんな簡単な事が聞きたいんだ』
「うっ、うっす」
『あっそ。じゃあ、答えてあげるね。答えは『反省して、君がちゃんと謝った』から……それだけ』
ばっ……馬鹿な!!
たっ、たった、たったそれだけの事で『全てを許す』って言うのか、この人は?
そんなの、男女の恋愛事情の範疇から、完全に外れてる思考だぞ!!
いや、それとも、俺なんかが、この人を、常識の範疇で測ろうとする事自体が間違ってるのか?
解らない……本当に解らない人だ。
「あっ、謝っただけで、そっ、そんなに簡単に済んじゃうんッスか?」
『済むよぉ。なんで?』
「だって、俺、その……」
『浮気したんでしょ。そうじゃないの?』
「えぇ~~~!!」
『あれ?違った?……もしそうなら、ごめん』
なんなんだ、このあまりにも拍子抜けな展開は……
それに奈緒さん、本当に事の重大さをわかってた上で、俺を許してたんだ。
けど……なんで……
「いや、その、奈緒さんの言ってる話自体は合ってはいるんですけど……」
『そっか。……やっぱ、それで合っちゃったか』
あっ……違う、違うぞ!!
この人は許せてるんじゃなくて、俺なんかの為に我慢してくれてるんだ。
本音を中々見せない人だから、解りにくかったが……そう言う事だったんだな。
「奈緒さん!!ごめん!!ごめん!!嫌な思いをさせて、ごめん!!」
『えっ?あっ、あぁ、うん。だから別に、そんな程度の事なら良いんだけどね』
「へっ?」
『『へっ?』って言われても……ねぇ』
「えっ?だって、俺、浮気したんッスよ。浮気しちゃったんッスよ」
『だから?』
『だから』?
いや、あの、どう言う事?
「えっ?あの、やっぱ、浮気する様な男は嫌いになっちゃいましたか?」
『うぅん、全然。私、今でもクラの事が大好きだよ』
「えっ?でも、だって……」
『ふふっ……心配しなくても。たかが浮気ぐらいで、私は、君の事を嫌いになったりしないよ。……ってか、もっと、やっちぇば良いのに』
「えっ?……えぇえぇぇえっぇえぇぇ~~~!!」
なっ、なに言ってんの、この子?
浮気が公認だとは以前からズッと言ってたけど、あれって、本気だったのか?
いやいやいやいや、幾ら、男性思考が強い奈緒さんと言っても、どこまで行っても女の子なのには変りない。
多少の独占欲は所有してる筈だ。
だから、そんな訳無いよな。
そんな筈……
『今更なに驚いてるのよ?浮気って言っても、本気にならなかったんでしょ?なら、別にそんなの、どうでも良いじゃない』
「いや、けどッスよ。俺が、他の女の子と肌が触れ合っていても、奈緒さんは、これっぽっちも、なんとも思わないッスか?」
『うん。思わないね』
「ちょ……なんッスか?その早い断言は!!いや、ちゅうか、それ以前に、なっ、なんで?なんでなんッスか?」
『『なんで?』って、そんな連続で聞かれてもねぇ。なんとも思わないものは、なんとも思わないから、なんとも思わないんじゃないの』
「いや、そう言う話をしてるんじゃなくてッスね。なんで?……えっ?えっ?えぇっと」
『ぷぷっ……こらこら。君は、自分の言いたい事も纏まらないのかね?』
「いや、だって……」
『はぁ~あぁ~……君は、どうやら、まだ私と言う人間が、どういう人間か、本当の意味で理解しきれてないみたいだね』
うわっ!!これは、規格外の予感しかしねぇ!!
『どういう事ッスか?』って言葉を出すのさえ、躊躇してしまう。
けど……
「どっ、どういう事ッスか?」
『聞きたい?』
「あっ……はい。非常に怖い感じは受けますけど、絶対に聞きたいッス」
『ふふ~ん。じゃあ、教えてあ・げ・な・い』
「『な・い』?……ちょ!!奈緒さん、そっ、そりゃないッスよ。教えて下さいよぉ」
『くすっ。嘘、嘘、ちゃんと教えてあげるよ』
「奈緒さ~~ん」
『ふふっ、やっぱり、クラって可愛いね♪』
この人だけは……
けど、いつの間にか、俺の中で、あれ程は『ピンッ』っと、張り詰めていた緊迫感もほぐれ、普段通りの会話が出来ている……
この人、まさか……( ゚д゚)ハッ!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
奈緒さん……恐ろしいですね。
こんなに冷静な態度を取り続けられるなんて、普通の女子では考えられない行動だと思います。
完全に、倉津君の性格、行動パターンを読み切った大人の思考ですね(笑)
でも、これこそが、奈緒さんが倉津君との付き合いを経て得た成長パターン。
実際、出会った当時の彼女だったら、こんな思考には成れていなかったでしょう。
彼女も、倉津君に嬢に早いペースで成長を遂げているのです♪
さてさて、そんな中。
今だに奈緒さんの思考パターンが読めていない倉津君は、まだ誤解気味。
次回、そんな倉津君に追い打ちが掛けられていく。
それは、一体、どんな思考なのか?
そこが少しでも気に成りましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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