最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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411 奈緒さんは怒らない

公開日時: 2022年3月24日(木) 00:21
更新日時: 2022年12月29日(木) 20:51
文字数:2,027

●前回のおさらい●


 素直ちゃんとのキスの件で、完全にビビりながら奈緒さんに電話をした倉津君。


だが、その予想に反して、奈緒さんは『なんとも思っていない』様子。


何故、こんな事が起こるのか?

「・・・・・・」

『ほらほら。もぉ。またそうやって、自分に都合が悪くなったら沈黙するでしょ。怒られてる子供か君は?……ほれほれ、なんか言ってみ』

「……なっ、奈緒さん!!」

『なぁに?急に大きな声なんか出して?なんか言う気にでもなったの?』

「すっ、すみません」

『だから、気にしなくて良いよ。話、続けて』

「あっ……はっ、はいッス」


どこまでも取り乱す事無く。

奈緒さんは、果てしなく冷静沈着な態度で、俺に接し続けてくれている。


この人は、一体、どうなってるんだ?

どうやって、此処まで感情を抑えて、正確にコントロールしてるんだ?


もし全てを理解した上で、この態度を取り続けているなら、人間業じゃない……



『っで、結局どうしたのよ?』

「あっ、あの、その前に1つだけ質問……」

『うん、良いよ。なに?』

「あっ、あの、かっ、仮にッスね。奈緒さんが思ってる事が全て正解だったとしても、なんで、そんな簡単に許せちゃうんッスか?」

『あぁ、なぁんだ。そんな簡単な事が聞きたいんだ』

「うっ、うっす」

『あっそ。じゃあ、答えてあげるね。答えは『反省して、君がちゃんと謝った』から……それだけ』


ばっ……馬鹿な!!

たっ、たった、たったそれだけの事で『全てを許す』って言うのか、この人は?


そんなの、男女の恋愛事情の範疇から、完全に外れてる思考だぞ!!


いや、それとも、俺なんかが、この人を、常識の範疇で測ろうとする事自体が間違ってるのか?


解らない……本当に解らない人だ。



「あっ、謝っただけで、そっ、そんなに簡単に済んじゃうんッスか?」

『済むよぉ。なんで?』

「だって、俺、その……」

『浮気したんでしょ。そうじゃないの?』

「えぇ~~~!!」

『あれ?違った?……もしそうなら、ごめん』


なんなんだ、このあまりにも拍子抜けな展開は……

それに奈緒さん、本当に事の重大さをわかってた上で、俺を許してたんだ。


けど……なんで……



「いや、その、奈緒さんの言ってる話自体は合ってはいるんですけど……」

『そっか。……やっぱ、それで合っちゃったか』


あっ……違う、違うぞ!!

この人は許せてるんじゃなくて、俺なんかの為に我慢してくれてるんだ。


本音を中々見せない人だから、解りにくかったが……そう言う事だったんだな。



「奈緒さん!!ごめん!!ごめん!!嫌な思いをさせて、ごめん!!」

『えっ?あっ、あぁ、うん。だから別に、そんな程度の事なら良いんだけどね』

「へっ?」

『『へっ?』って言われても……ねぇ』

「えっ?だって、俺、浮気したんッスよ。浮気しちゃったんッスよ」

『だから?』


『だから』?


いや、あの、どう言う事?



「えっ?あの、やっぱ、浮気する様な男は嫌いになっちゃいましたか?」

『うぅん、全然。私、今でもクラの事が大好きだよ』

「えっ?でも、だって……」

『ふふっ……心配しなくても。たかが浮気ぐらいで、私は、君の事を嫌いになったりしないよ。……ってか、もっと、やっちぇば良いのに』

「えっ?……えぇえぇぇえっぇえぇぇ~~~!!」


なっ、なに言ってんの、この子?


浮気が公認だとは以前からズッと言ってたけど、あれって、本気だったのか?


いやいやいやいや、幾ら、男性思考が強い奈緒さんと言っても、どこまで行っても女の子なのには変りない。

多少の独占欲は所有してる筈だ。


だから、そんな訳無いよな。


そんな筈……



『今更なに驚いてるのよ?浮気って言っても、本気にならなかったんでしょ?なら、別にそんなの、どうでも良いじゃない』

「いや、けどッスよ。俺が、他の女の子と肌が触れ合っていても、奈緒さんは、これっぽっちも、なんとも思わないッスか?」

『うん。思わないね』

「ちょ……なんッスか?その早い断言は!!いや、ちゅうか、それ以前に、なっ、なんで?なんでなんッスか?」

『『なんで?』って、そんな連続で聞かれてもねぇ。なんとも思わないものは、なんとも思わないから、なんとも思わないんじゃないの』

「いや、そう言う話をしてるんじゃなくてッスね。なんで?……えっ?えっ?えぇっと」

『ぷぷっ……こらこら。君は、自分の言いたい事も纏まらないのかね?』

「いや、だって……」

『はぁ~あぁ~……君は、どうやら、まだ私と言う人間が、どういう人間か、本当の意味で理解しきれてないみたいだね』


うわっ!!これは、規格外の予感しかしねぇ!!


『どういう事ッスか?』って言葉を出すのさえ、躊躇してしまう。


けど……



「どっ、どういう事ッスか?」

『聞きたい?』

「あっ……はい。非常に怖い感じは受けますけど、絶対に聞きたいッス」

『ふふ~ん。じゃあ、教えてあ・げ・な・い』

「『な・い』?……ちょ!!奈緒さん、そっ、そりゃないッスよ。教えて下さいよぉ」

『くすっ。嘘、嘘、ちゃんと教えてあげるよ』

「奈緒さ~~ん」

『ふふっ、やっぱり、クラって可愛いね♪』


この人だけは……


けど、いつの間にか、俺の中で、あれ程は『ピンッ』っと、張り詰めていた緊迫感もほぐれ、普段通りの会話が出来ている……


この人、まさか……( ゚д゚)ハッ!


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


奈緒さん……恐ろしいですね。

こんなに冷静な態度を取り続けられるなんて、普通の女子では考えられない行動だと思います。


完全に、倉津君の性格、行動パターンを読み切った大人の思考ですね(笑)


でも、これこそが、奈緒さんが倉津君との付き合いを経て得た成長パターン。

実際、出会った当時の彼女だったら、こんな思考には成れていなかったでしょう。


彼女も、倉津君に嬢に早いペースで成長を遂げているのです♪



さてさて、そんな中。

今だに奈緒さんの思考パターンが読めていない倉津君は、まだ誤解気味。


次回、そんな倉津君に追い打ちが掛けられていく。


それは、一体、どんな思考なのか?


そこが少しでも気に成りましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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