●前回のおさらい●
奈緒さんが楽屋で上手い事言い。
山中君が、眞子を携えて、自動販売機に飲み物を買いに行く事になった。
さてさて、男時代は仲が良かったが。
女性の眞子としての、山中君との相性は如何なるものか?
山中君とアリーナ内にある自販機に、飲み物を買いに行く事になったんだけど……
まぁ、それはいいんだけどさぁ。
この男、ホント無駄なぐらいに、よく喋るよね。
楽屋から出た瞬間から話し始めて、この自動販売機に着くまで、一切話が留まる事を知らない。
ドンだけ話し掛けて来るのよって感じ。
まぁ真琴ちゃんは、そんな彼の事を……
『女の子との会話が途切れないのは、羨ましい奴』
『話題の豊富さがスゲェな』なんて思ってたみたいだけど。
正直、此処まで連続して話をされると、女の立場としては……ちょっとウザイ。
うぅん……これはもぉ、かなりウザイ部類。
しかもね。
その話し方にしても、必ず『ボケ・ツッコミ』を要求する様な話しの持って行き方をするもんだから。
仕方なく、愛想笑いと、それなりの『緩いボケ・ツッコミ』をするんだけど……なんか、これも違わない?
男同士なら、こういうのも『スッゴク楽く』感じるかも知れないけど、女目線だと……ドン引き。
一気に、全部が全部、面倒臭く感じてしまう。
そんな感じの時間が続くもんだから。
思ったより山中君と私って相性が悪いのかなぁ?なんて思ってしまう始末。
はぁ~~~、どうしよう?
そんな折、自動販売機の前に到着したんだけど……
「うわっ!!高ッ!!なんで缶ジュースが200円もしよんねんなぁ!!アホちゃうか?ボリ過ぎじゃ!!」
ってな感じで、自動販売機に文句を言うんだけど。
そんな風に、自販機に文句言っても……ねぇ、どうしよもないと思うんだけどなぁ。
文句言ったからって、値引きされる訳じゃないし。
いや、若しくはこれも、さっきのボケとツッコミの類なのかなぁ?
……って言うかぁ。
元々その金額を設定したのは、このアリーナを作った企業の人だし、此処の地代を考えたら、そんなに高くないと思うよ。
寧ろ、正当な金額だと思うんだけどなぁ。
だって『施設』として、この横浜アリーナを建設した時。
まずにして、一体、どれだけの巨額の資金が動いてると思ってるんだろ?
それぐらいは妥協してあげないと、企業も採算が取れないんだから、これはもぉしょうがない事だと思うんだけどなぁ。
「まぁ、えぇか。……ところで眞子ちゃん、なに飲む?奢ったんで」
「あぁ、いえ、自分の分ぐらいは、自分で出しますから、お気遣いなく」
「あのやぁ。ひょっとして、さっきの奈緒ちゃんの件があったから、俺の事を毛嫌いしてるんか?」
別にぃ……
好きも嫌いも無いし……
ただ『ウザイなぁ』って、思ってるだけだけど。
「あぁっと、そう言うんじゃなくてですね。両親にですね。『自分の物は、絶対に自分で買え』ってキツク言われてるもんで……ですから、私の事はお気遣い無く」
真琴ちゃんが言われていたのと同様。
私も、ズッと父に、そう厳しく言われてました。
だから、そう言う事です。
「ふ~~~ん。眞子ちゃんの家は、マコんとこ同様、良家のお嬢さんなんかいな?」
「いえ、いえ、とんでもない。ウチなんて、両親共に共働きしてるサラリーマンですよ。ですから、どこにでもある様な、普通の一般家庭だと思って頂いて結構ですよ」
「ホンマかぁ?なんや堅苦しい喋り方やし。俺には、なんや変に気構えてる様に見えんねんけどなぁ」
変に鋭いなぁ。
詮索されるのって、ウザいんだけどなぁ。
「そんな事はないですよ。本当にごく一般的な家庭ですよ」
「さよか。ほな、本人がそう言うんやったら、そこは納得するわ。……そやけどなぁ、眞子ちゃん。幾ら『親の教え』やから言うて、意固地になんのは良ぅないで。時と場合を選ばな、人の好意を無にする事もある。貸し借り作る以前に、下手したら失礼に値するんやで」
う~~~ん、まぁ、そうなんだけどねぇ。
でも、なんか、山中君にジュースを奢って貰うだけの事なんだけど、それでも、下手に『借り』を作るのは嫌なのよね。
なんか、後々ややこしい事を言って来そうだし。
下心が有りそうで、ヤナのよね。
噂の『淫獣』だし……
噂の『R・J』だし……
「あぁ、はぁ、まぁ確かに、言われてる事は、私にでも良く解るんですが。……知り合ったばかりの方に、奢って頂く道理もありませんので」
「ホンマ堅いなぁ。……まぁ、えぇわ。イラン言うもんを無理矢理奢るのも、おかしな話やからな。無理強いはせぇへん。そやかて、此処で奢らな。俺が、奈緒ちゃんに対する面子が立たへんのも解ってくれ」
「あの、それって……」
「まぁ、ホンマに『絶対に飲みたない』言うんやったら、無理にとは言わんけど。ちょっとでも喉が渇いてんねんやったら、買わせてくれたら有り難いわな」
もぉ、面倒臭いなぁ。
はいはい、じゃあ、奢られてあげますよ。
「甘えても……良いんですかね?」
「良ぇも、悪いもあらへんがな。俺が勝手に奢りたい言うとんねんから。眞子ちゃんが、なんも遠慮せんで良ぇがな。……ほんで、なに飲む?」
「あぁっと、えぇっと、じゃあ『お茶』」
「『お茶』かいな。……ホンマ、可愛い子やな」
「そんな、そんな」
あぅ。
不本意ながら、結局、奢って貰っちゃったよぉ。
……情けなし。
それにしても山中君って、噂に違わず『面倒臭い人』だね。
あれ程、ずっと『イラナイ』って言ってる相手から、無理矢理、奢る方向にまぁ持って行くんだから……こっちは逆に、ある意味、凄いね。
そうやって、最終的には『お茶』を買って貰ったんだけど。
その後、楽屋までの帰り道でも、山中君は、またしてもズッと喋り続けている。
もぉいい加減……ウンザリ。
そんな中にあって山中君は、私が、やっと興味を引くある質問をぶつけてくる。
それが、こんな質問……
「なぁなぁ、ところで眞子ちゃんは、此処にベース持って来とったみたいやけど。バリバリに行く方なん?」
そぉ……楽器の話。
まぁこれしか共通話題が無いとは、最初から思って居たんだけどね。
『生年月日』だとか……
『出身地』だとか……
『親の職業』だとか……
『崇秀との関係』だとか……
『奈緒さんとの関係』だとか……
もぉ本当に、こんな、どうでも良い様な大きなお世話な話は聞くクセに、こう言う本質的な事だけは完全に見逃してたのよね。
これで漸く、初見の奈緒さんが、山中を嫌がった理由が解った様な気がする。
本当に……ウンザリ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
例え同じ人間であっても、男性と女性の視点では、かなり違う物がありまして。
今回のお話では、眞子に、それが顕著に現れた感じですね。
まぁ、山中君的な気遣いが好きな女性も居られるので、一概にこれが間違いと言う訳ではないのですが。
どうやら、眞子に成った倉津君にとっては、あまり、山中君は良い印象ではない様です(笑)
さてさて、そんな中。
漸く、眞子としても興味のある話である『楽器の演奏』についての話題が、山中君から振られたみたいなのですが。
此処で、眞子は、山中君の以前の様な好印象に変える事が出来るのか?
それは次回の講釈。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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