最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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482 罪悪感無き恋心

公開日時: 2022年6月3日(金) 00:21
更新日時: 2023年1月5日(木) 15:01
文字数:3,233

●前回のおさらい●


 倉津君の話を理解しながらも、納得はしきれない青山さん。

事実、彼女は【真実を理解している】


そんな彼女の今後の為にも倉津君は、苛めの真犯人であろう岡田君に、自分が直接話を聞いてみる、っと言う事を青山さんに提案し。

その提案に納得した青山さんと共に、一路、川崎に向かうのであった。

 ……ってな訳でだな。

流れに身を任せたまま、川崎駅から、少し離れた場所にある岡田が通う塾の前まで来てみた。


っでまぁ、その塾ってのがな。

本当に勉強を教える所かって位、成金趣味って言うか、ド派手に仰々しくってよ。

なんとも言えねぇ様な風貌のビルなんだよな。


趣味悪ぃ。


んでまぁ取り敢えずの所、岡田が出て来るのを待ってると、数分後に奴が出て来た。

俺はそれを確認すると、自分の携帯電話から車内電話に電話を掛けて、青山さんに話の内容が筒抜けになる様にしてから奴に接近する。


どうなる事やら?

(↑此処に来て、また無責任な俺)



「あれ?オマエって、真上さんの友達の岡田じゃねぇの?」

「あっと、アンタは確か、文化祭で逢った倉津だっけ?こんな時間に、こんな所で、なにしてるんだ?」

「いや、俺は、ちょっとした親父の野暮用でコッチに来てたんだがな。オマエこそ、こんな時間になにやってんだ?」

「あぁ、俺か。俺は、親父の見栄で行かされてる塾の帰りだ」

「塾ねぇ。そりゃあまた難儀なこったな」

「まぁな」


親の見栄で塾に通わされるなんざ大変なんだな、普通の金持ちって……



「あぁ、そうだ。此処で逢ったのも何かの縁だ。序に、オマエに聞きたい事が有るんだが。ちょっと時間有るか?」

「なんの話だ?」

「いや、真上さんの話なんだが……」

「真上の話?真上に、なんかあったのか!!」

「いや、此処で話す様な柔な内容じゃねぇんだよ。だから、ちょっと時間貰えねぇか?」

「あぁ、真上の事なら、幾らでも時間を空ける。その話を、是非聞かせてくれ」


あぁっと、今の話は、ちょっと青山さんにはキツイな。


普通、付き合う事を前提にしてるんなら、此処まで喰い付いてこないもんな。


まいったな。



「時間大丈夫か?」

「あぁ、全然構わない。真上絡みの事なら、寧ろ、何時になっても構わないぞ」

「そっ、そうか」


これ以上、余計な事は言わせないで置こう。


コイツ、俺が思ってたより、遥かに酷い真上さん依存症だ。


***


 ……って事でだ。

川崎では恒例に成りつつある胡散臭い喫茶店に移動して、話を再開させる。

&此処でボイスレコーダーにスィッチを入れる。


あぁっと因みになんだがな。

こう言ったボイスレコーダーってのは、常に2個常備するもんなんだぞ。


此処、重要なので憶えて置く様に。



「っで、真上に、なにがあったんだ?詳しく聞かせてくれ」

「まぁ、その、なんだ。こんな場所で、こんな事を言うのもなんなんだけどな。どうやらウチの校内で、真上さん、誰かに酷い目に遭わされたみたいなんだよ」

「はぁ?ちょっと待て!!なんで真上が、アンタの学校で……」

「いや、これは憶測の域を超えてねぇんだがな。オマエと別れた後、真上さんの女友達ってのに逢ったんだよ。そんで、あまりにも親しく喋ってるもんだからよぉ。その後、俺も用事が有ったから、その場で真上さんと別れたんだ。……っでだ。夜になって真上さんに電話を掛けてみたら、一向に電話に出る気配がないもんだからよぉ。一応、校内を探し回ってみたら、旧館の女子便所で水浸しにされてたんだ。んで、病院に担ぎ込まれて、今さっき一命を取り留めた処。で、真上さんに犯人を聞いたら、はぐらかすだけで、なにも答えないんだよ」

「ふむふむ」

「……なぁ、岡田よぉ。誰か犯人に心当たりはねぇか?こんな酷い真似をする奴は、俺、どうしても許せないんだよな」

「話は解った。なら、その話の犯人は、多分アイツだ。……いや、間違いない。アイツしか居ない」

「うん?なんだよ?本当に心当たりでも有るのか?つぅか、それって誰だよ?」


ワザとらしい言い回しだな。


コイツ、初っ端から明らかに嘘を言っているぞ。


―――何故かって言うとだな。


普通は、こんな虐めの話を持って来たら。

まず普通の精神の持ち主なら、最初に俺の不甲斐無さを責めるのが定石だ。

それなのにも関わらず、コイツは俺を責めず様ともせずに、最初から用意していた様に犯人を言おうとしている。


此処から推測される事は、矢張り、あの虐め自体、コイツが考案したものだと考えられる。



「いや、前から真上を虐めてる青山って女なんだがな。多分、ソイツって、アンタが逢った真上の女友達って言ってた奴だと思うんだよ」

「そうなのか?けど、その青山って女は、そんなに酷い奴なのか?真上さんとは親しそうに見えたけどなぁ」

「とんでもない。アイツは最低な性悪女だ。学校でも、真上が来る度に必要以上に真上を虐めて楽しんでる様な奴でな。何度も止めろって俺も注意したんだが。俺の警告を一向に話を聴こうともしない性質の悪い女なんだよ」

「そうなのか?……あぁけど、そうなると1つだけ疑問が残るんだが、聞いて良いか?」

「なんだ?」

「その青山って女。なんで、そんなに真上さんを虐めるんだ?」

「真上が、あまりにもモテるから僻んでるんだろ。アイツ、ホント性格悪からな」


ヒデェ言い方だな。


確かに、コイツの言う通り、青山さんは、真上さんを虐めてた。

これは変わり様のない事実だから、性格が悪いと言われてもしょうがない。


けどだ。

さっき話した感じから言って、彼女は、極普通の感性を持った女の子。

本来の彼女は、そんな意地の悪い事をする様な人間じゃない。


それなのにコイツは、自分の罪を彼女になすり付けて、自分は蚊帳の外みたいな言い方をしやがる。


青山さんに変わって、今直ぐにでも、ブン殴ってやりたい心境だ。



「って事はだ。その女を探し出して、学校に行けない様にすれば、真上さんにも平穏な日々が訪れるって事か?」

「まぁ、言うなれば、そう言う事だけどな。けど、アンタに、そんな真似が出来るのか?」

「心配すんな。俺ん家は、でかいヤクザの組だ。人を1人消すぐらい、なんて事はねぇよ」

「ちょっと待て。消すって、どう言う事だよ?まさかオマエ……」

「あぁ、そう言う事だな。その青山って女には、真上さん以上に酷い目に遭って貰う。まぁ一般人のオマエには、内容までは言えないがな」


さて……此処で俺を止めない様なら、コイツは、本格的に人として終わってる。


勿論、そんなオマエの人生も、そこで終了だがな。


此処で自己判断を誤るなよ。



「そっ、そうか、それは良いな。アイツが居なくなれば、真上も学校に来れるし、それにクラス全体も平穏になる。悪くない提案だな」

「オイ……オマエ、それ、マジで言ってんの?俺、基本的に容赦とか出来ねぇ人間だぞ」

「えっ?いや、そりゃあ、青山が改心するなら、それに越した事はないが。アイツは、反省出来る様な人間じゃないからな。アイツの為にも、少し懲らしめて貰った方が良いかも知れないんだよな」


コイツ……何所まで人間が腐ってやがんだ?

此処まで他人任せにして、まだ自分は良いポジションを確保しようって魂胆が丸見えじゃねぇか。


ダメだ。


もぉ我慢の限界だ。



「おっし。そこまで言うなら、オマエも真上さんの復讐に付き合えよな。真上さんの為なんだから、今更逃げんなよ」

「へっ?いや、あの、ちょっと待ってくれ!!俺は関係ないだろ」

「なに甘えた事を言ってんだよ。オマエ、俺だけが罪を被るとでも思ってるのかよ?馬鹿言うなよ。オマエの証言は、全て録音させて貰ったぞ。これで俺とオマエは、運命共同体。話を聞いた以上、逃げれるなんて思うなよ」

「ちょ!!ちょっと待ってくれ!!辞めよう、辞めよう。暴力は良くない」

「はぁ?なに言ってんのオマエ?俺、絶対、その青山って女許さないぞ。100%地獄を見せてやるよ」

「いやいや、勘弁してくれよ。俺さぁ、家が会社を経営してるから、そんな事が表沙汰になったら大変な事になっちまうんだよ。マジで勘弁してくれよ」


あぁ、それを言っちまいやがったぁ。

普通に考えても、ヤクザモドキに脅されてる時に、自分の家が会社経営してるとか言っちゃダメだって解んねぇもんかな?


ホント馬鹿じゃねぇの?


けど、少し懲らしめるって意味では、暴力なんかを使うより、こっちの方がよっぽど効果的みたいだな。


そしてオマエの悪行も、これまでだな。


(ΦωΦ)フフフ…


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


岡田君……ほんと困った子ですね(笑)

まさに中学生にあるまじき行為を、平然とやってのけてしまってますね。


まぁ言うて、この辺は『真上さんの魔力に嵌り、依存しきった人間の末路』っと言った所でしょうか。

事実、この岡田君も、真上さんに嵌るまでは、クラスメイトや先生方に慕われるぐらいの、かなりの好青年でしたからね(裏話)


『恋は盲目』とは、よく言ったものです。


さてさて、そんな真上さん依存症の岡田君を、見事な口車に乗せて嵌めた倉津君。

この後、どう言う展開が待っているのかは……次回の講釈。

なので、良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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