最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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387 サボろうとしたら大谷さんに捕まった(笑)

公開日時: 2022年2月28日(月) 00:21
更新日時: 2022年12月28日(水) 14:00
文字数:3,830

●前回のおさらい●


 職人と、女学生達により、戦国キャバクラ状態と化した文化祭準備中の学校。


さぁ、ここからどうなる!!

 ……っで、そんな状況下にあって、俺は何をしてるのかと言えば……


実は、伊藤と、大谷に噂話しを囁いた以外は、なにもしていない。


『文化委員なのに何故、暇なのか?』って言うとだな。

大谷・伊藤を初めとする女子達が、職人及び、仕事を全部仕切ってくれているから、マジで俺がする事なんてねぇんだよな。


まぁ敢えて、何かしている事が有るとすればだな。

そんな女子達の様子を見て、ちょっと脳内で、ロクデモナイ・シュミレートをしてるだけだ。


しかも、そのシュミレートって言うのもだな。

『これ、全部丸ごと買い上げて、繁華街でやったら、1日で、一体、幾らぐらい儲かるんだろうな?』なんて、どうしようもない下衆で、女衒的思考を展開している程度だ。


ホント、誰が聞いても救いのない屑の思考だ。


……この中じゃ、俺が一番ダメ人間過ぎるかもしれないな。


***


 んな訳でだ。

退屈を持て余してる俺は『他の教室の出し物の進行状況でも見に行こう』と考え始めていた。


『なにを目的にしてるのか?』と聞かれればだな。

ただ単に暇だから、この場からコソッと逃げ出そうとしているだけの話だ。


だが……そうは上手くいかないのが、俺の運命。

教室の扉に手を掛けた瞬間、不意に背後から、大谷に声を掛けられる。


チッ……逃げれんかった。



「あっ、倉津君。今、手空き?」

「あぁ、まっ、まぁな」

「マジで!!ラッキー、ラッキー!!ちょっと手伝って欲しい事があるんだけど。……お願い出来る?」


なんか異常なまでに、やな予感……


女子の『ちょっと』って言葉は、絶対『ちょっとじゃない』と相場が決まっている。

しかも決まって、重労働の話を持ってきやがる。

なのでこう言う場合、言葉以上に警戒する必要が有るのは、確実だ。


だからせめて、大谷の話を聞く前に先手を打たして貰おう。



「『お願い』ってなんだよ?オマエ、先に言って置くけどなぁ。俺、極度の虚弱体質だから、重労働とかは医者に止められてるから無理だぞ。此処重要な。テストに出るから忘れんなよ」

「あぁ全然、全然。ただの荷物運びだから」


テストのネタは、華麗にスルーされた。


ってか、それ以前に、オマエ……



「オイ、大谷。それな。世間じゃ、モロ重労働って言うんだぞ。知ってるか?」

「……ちょっとだけ」

「そっか。解ってて言ってるんだな。じゃあパス」


なにが『ちょっと』だ。

どうせオマエ等は、大量の荷物でも『ちょっと』とかぬかすんだろ。


や~だ~ね。


俺は『ジェラルミンケース満タンに入った札束』と同じ価値のあるものしか、重たいものは持たない主義なの。

若しくは、ベース以上の重い物は、絶対に持てない虚弱体質なの。


なので、悪ぃが他に当たれ。



「ちょ……お願い。お願いだから手伝って」


そう言って大谷は、俺の裾を引っ張る。


これは、地味に俺が好きなシュチュエーションだ。

故に、体が勝手に止まる。



「おいおい、大谷。なんでワザワザ俺を指名すんだよ?別に俺じゃなくても、暇してる奴なんぞ五万と居るだろうに。そいつ等に頼みゃあ良いじゃねぇかよ」

「無理」

「だから、なんで無理なんだよ?ちゃんと理由を言えよな」

「……だって、このクラスじゃ、倉津君が一番信用出来るし、頼り甲斐があるんだもん」


おや?おやおや、大谷さん。

中々俺の心を上手く擽る様な言葉を使うじゃありませんか。


『一番信用出来て』『頼り甲斐がある』って響きは、男に頼み事をする時には最も有効な言葉だぞ。


なので、寧ろ悪くねぇな。


まぁ……他が役に立たないって言うんなら、しゃあねぇなぁ。

そこまで頼られて、断るのもなんか悪いしよ。

なにを運ぶかまでは知らねぇが、少しなら手伝ってやっても良いぞ。

(↑単純なハニートラップに嵌る馬鹿)



「ハァ~~~、ったく、面倒臭ぇなぁ。っで、なに運ぶんだよ?」

「手伝ってくれんの?」

「しゃあねぇだろ。オマエが他の奴じゃ『嫌だ』つぅんだからよ」

「アハッ、そう言う所、ホント優しいよね。こう言う人だって解ってたら、もっと早くから、倉津君と友達になれば良かったよ」

「なんだよそりゃあ?んなもん、自分に都合が良いだけじゃねぇかよ」

「違う違う。そう言うんじゃないのよ」

「じゃあ、どういうこったよ?」

「うん、あのさぁ。倉津君ってさぁ。初めはスッゴイ怖い印象があったんだけどね。接してみたら、誰にでも公平に優しいじゃない。そう言うの凄くカッコイイって言うか、良いと思うんだよね」


うん?

大谷は、脳味噌が腐って、耳から滝の如く垂れ流れてるのか?

それとも過度のド近眼か?


オマエさぁ、自分で何を言ってるのか、もっと良く考えろよ。

大体にして、それを対象にしてる相手って、俺だぞ俺。


マジで、脳味噌が死滅し切ってるんじゃねぇか?



「アホか?偶々そう見えるだけで、俺の基本なんざヤーさんと一緒だ。ロクなもんじゃねぇぞ。簡単に騙されてんじゃねぇよ」

「別に騙されてないよ。倉津君は、そんなに器用じゃないもん」


確かに……『器用ではない』って言う部分は、かなり的を得てる意見だな。


俗に言う『ピタリ賞』だ!!


けどな、ゲス度合いで言わせて貰えば、崇秀にも引けを取らない程のゲスさ加減だぞ。

その証拠にだな、俺は崇秀同様、さっきもオマエ等女子を商売道具としてみてたからな。


こんな奴、なにがあっても信用しちゃイケネェよ。


火傷するぜBABY!!



「あのなぁ大谷」

「由佳で良いよ。ってか、友達だから由佳って呼んでね」


まただよ、また始ったよ。

ホントどの女子も寸分違わず、自分の名前で呼ばれるの好きだよな。


なんなんだろうな、この謎の習性は?


あぁそう言えば、全然関係ない話なんだけどよ。

他の女の子に『名前で呼んで』って言われたら、最初は、結構抵抗有ったんだけどよぉ。

『真上さん』だけは、何故か1度たりとも『王家さん』って口に出して呼んだ事が無いんだよな。


これも、なんでだろうな?


まぁ、どうでも良いけどよ。



「じゃあ、由佳よぉ」

「うんうん、なに?」

「幾ら器用じゃない人間だとしてもよぉ。なんかの拍子に、オマエだって騙される事があるんじゃねぇのか?」

「有るかなぁ?……まぁ、有るかなぁ」

「ほれ、みろ。だったらよぉ。俺に騙されてるって可能性もあるんじゃねぇの?」

「あぁ、倉津君の場合は、全然、騙しても良いんだよ」

「なんでぇ?騙されんだぞ。普通は嫌だろ?」

「別にぃ。それに、そう言う事を自分で言う人は、絶対に人を騙せないと思うよ」

「オイオイ、まさか、それって『馬鹿ッ』て言ってんじゃねぇだろうな?」

「うん。馬鹿ッて言ってる」


どうせ馬鹿じゃあ人は騙せないから、もし俺が人類だと言うのなら、私を騙してみろってか?


なんて酷い言い様をするんだよ、オマエは。

既に馬鹿は、人じゃないみたいな扱いだな……オイ!!


しかしまぁ、この『馬鹿』て認識は、いつになったら消えてくれるんだろうな?

俺、此処最近のテストじゃ、奈緒さん達に勉強方法教えて貰ったから、全教科60点以上取ってるんだけどな。


それでも馬鹿扱いなんだから、ホントどうしょうにもないな。

(↑馬鹿は、俺の背負った重い宿命だから、絶対に消えないと気付かない俺←要するに馬鹿)



「あのなぁ由佳。馬鹿に騙されたら、もっと馬鹿ッて事だぞ」

「小学生か!!まさか今時、そんな返しを使う人が居るなんて……久しぶりに見たよ」

「るせぇよ!!だって、ソイツって、馬鹿に騙されんだから、正真正銘の馬鹿じゃねぇかよ」

「アハッ。じゃあ、馬鹿で良いんじゃないかな。女ってさぁ、騙されてても、自分がそれに幸せを感じちゃったら、騙されてるって思わないしさ」

「へぇ?」

「ふふん。その様子だと、解り難いかったみたいね」

「あぁ、サッパリだ。……つぅか、大体にしてオマエ、何の話してんだ?寧ろ、そっちの方もサッパリだぞ」


全く気付かなかったんだがなぁ。

ひょっとして、どこかで会話の内容が転換したか?


もしそうだとしても、どこで話題が変ったのか全然気付かなかったぞ。



「じゃあ、もっと単純に言っちゃえばね。騙されてても、その人の為だと思えば、女って納得しちゃうのよ。それが例え、自分が不幸でも『悲劇のヒロイン』だって演出さえ出来ちゃう訳。結局ね。そう言うの全部飲み込めちゃうのよ。女って生き物はね」


サッパリ解らんのは継続中だが。

由佳の話を鵜呑みにするなら、女ってのは凄い仕様で出来てんだな。


けど、それだけに、由佳の発言は、色々な疑問も残るな。


そこがどうにも納得出来ん。



「けどよぉ。オマエのその意見って、好きな奴限定の話なんじゃねぇのか?」

「勿論そうなるね。普通、それ以外の男なんて論外でしょ」

「まぁなぁ。……じゃあなんで、俺に騙されても良いんだよ?おかしくねぇか?」

「あぁもぉ、普通、そこ聞く?話の内容から空気読んだら」

「へっ?」


いや……あの……


この流れって……


……いやいやいやいや、流石に、今回ばかりは無いだろ。


うん、無い、確実に無い方向で間違いない筈だ。


大体、由佳が、少し変な雰囲気に持って行ったから忘れかけてたけどよ。

コイツと話始めた切欠ってのは此処最近の話で、この文化祭の1件が有ったからこそ話をする様に成ったに過ぎない。

第一、それまでの約2年間も同じクラスだったのにも拘らず、言葉を交わす処か、目すら合わせた事が無かったんだぞ。


それが急に、由佳の頭が、俺に対する恋愛思考に発展するなんて考えられねぇだろ。


特に俺は、崇秀みたいに、誰彼構わず分け隔てなく良い人ぶってる訳じゃないからな。


なので、この由佳が恋愛思考に成ってるなんて考えは……ダメ過ぎんだろ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


この文化祭編に入ってからと言うもの。

何故か音楽の話より、人間関係や、恋愛の話が多く成っていますが。

あくまで!!このお話は『倉津君の更生の話』であり『音楽物』である事だけは間違いないんですよ!!(笑)


恋愛小説やないんよ……自信はないけど(;´д`)トホホ


さて、そんな奇妙な状態に成りつつも。

由佳ちゃんの本心は、一体、どの様な物なのか?


それは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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