最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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227 不良さん、4人追加で(笑)

公開日時: 2021年9月21日(火) 00:21
更新日時: 2022年12月8日(木) 14:13
文字数:4,026

●前回のおさらい●


 椿さんの美意識改革は、ステラさんの無茶な理屈によって解決。

その後、奈緒さん、素直ちゃん、ステラさん、椿さんで海に遊びに行ったので、浜辺でのんびりと荷物番をする倉津君。


そこにまた、倉津君の欲望を叶える新たなる影が……

『ねぇ、真美……あそこに居るのってさぁ、ひょっとして、兄貴君じゃない?』

『あっ、ホントだ。間違いなく兄貴君だ。でも、海に来てるって言うのに、あんな所で、なにやってんだろ?』

『ねぇねぇ、そんな事よりどうする?声掛ける?』

『当然でしょ!!また、良い写真が撮れるチャンスかも知れないし、声を掛ける方向でしょ』

『じゃあ、せ~~~の!!』

「「「「兄貴君♪」」」」


寝転がって、目を瞑りながら少し考え事をしていた俺に、突然、複数の女の子の大きな声がテント内に木霊する。



「ブッ!!だっ、誰だ!!」


状況がわからないまま、女の子の声で声を掛けられたもんだから、ビックリしてワタワタ・キョロキョロしながら飛び起きる。



「フフッ、兄貴君!!あたし、あたし」

「はっ?はぁ?あっ……なっ、なんだ、美樹さんじゃないッスか」

「ちょっとぉ兄貴君、なんだは、ないんじゃない、なんだは」

「あぁすんません……所で、なんッスか?今日は、みんなで海水浴ッスか?」

「そうなのよ。ほらほら、4日前で、兄貴君達の10日間ライブが終わちゃったから、みんな退屈して暇を持て余してるのよ。……っで、海に来たって訳」

「あぁそっか、そっか。そう言う事ッスか。……あぁそうだ、そうだ。そんな事より、その節は、本当にありがとうございました。なんか、毎日来てくれてたじゃないッスか。ホント、ありがとうございます」

「そう言う他人行儀な事は言わないでよ。あたし達は、兄貴君の為なら、みんなで頑張っちゃうんだからさぁ。……兄貴君には、幾ら頑張っても、返せない大きな借りがあるんだからさ」


んなもん、なにも無いッスよ。

もし、あるとすれば、どちらかと言えば俺の方ッスよ。

毎回ライブに来て、いつも一杯応援してくれたり。

なんのメリットも無いのに、他のオーディエンスに宣伝してくれたり。

俺の為だけに、労力を使ってホームページを作ってくれたり。


そんな誠心誠意して貰ってるのは俺の方ッスよ。



「また新しい女性と女遊びですか?アナタも飽きない人ですね」

「げっ!!スッ、ステラ!!」


最悪のタイミングで、椿さんを奈緒さん達に預けて、ステラが帰って来やがった。


なんで、こうタイミングが悪いかなぁ?

もっと海で遊んでりゃ良いのによぉ。


ステラと、美樹さん達って、絶対、相性悪そうだもんな。


なのでコイツ……気が変わって、奈緒さん達の所へ、もう1回遊びに行かねぇかな?



「あっ、ステラだ」

「アナタに呼び捨てにされる覚えはありませんね」

「えっ?なにこの子、可愛くない」

「そうですか?アナタも大した事ありませんよ」


早くも元香さんに対して、ステラの悪い発作が起こった。


余計な事を言わずに、素直に受け入れりゃ良いのによぉ。

なんでコイツは、こう、いつも喧嘩腰なんだろうな?


でも、コリャ早く止めないと、浜辺で大喧嘩になりかねないぞ。



「辞めろ、辞めろ、辞めろ……喧嘩は良くない。それに元香さん。ステラは、一見、口が悪そうに見えるッスけど。その実、スゲェ良い奴なんッスよ。だから喧嘩は良くない」

「余計な事は言わなくて結構ですよ、ポンコツ。そんなフォローは望んでません」

「ちょ、ちょっとアンタ、兄貴君になんて事を言うのよ。ちょっと生意気なんじゃない?」

「そうですか?では、アナタは無作法ですね」

「最悪」

「最悪なのは、アナタの方なんじゃないんですか?コソコソと陰口を言うなんて卑怯な方なんですね」


ステラが最悪にダメなパターンに突入した。

この分じゃ、此処に居る4人の罵詈雑言を言わないと止まらない。

しかも、全員を敵に廻しても、コイツは怯む事すらしない。


ヤバイな、事態の悪化を防ぐ為にも、早く止めよ!!



「だから辞めろっての!!ったく、なんでオマエは、いつも、そんなに喧嘩腰なんだよ?もっとよぉ、普通に楽しく喋れねぇもんなのか?」

「特に変った話し方をしているつもりは有りませんが……ひょっとして、それすらもアナタには伝わってないんですか?今、私が話した言葉は日本語ですよ。理解出来てますか?」

「わかってるつぅの!!って言うかよぉステラ」

「なんですか?」


俺の次の言葉を、確実に待ち受けている。

なぜならコイツの基本攻撃パターンは『カウンター』だからだ。


賢明な奴なら、コイツが出て来た最初の時点から気が付いてると思うんだが……ステラは、比較的、まずは、相手に話をさせる事が多い。

そこから相手の心理状況を探り、言われて一番イヤな事を検索。

それを言葉にして、的確に言い返す。


そんな彼女の言葉に頭に血が上ったら最後、後はネチネチした嫌味をタップリ混ぜられて、キレるしかない。


これに対応する策は3つ。


①先程言った、馬鹿か、天才の感性で、彼女の上を行く。

②全員で一斉に話を集中して、ステラの処理速度を上回る。

③飽きて、話を終わらせるフリをして、正論をブチ当てる。


こんな感じの3つだ。

前回は、自然に①を選択してしまったみたいなので、今回は③を実践して見せよう。


②は、あまりにも好ましく無いので出来れば使いたくないしな。



んじゃま……



「……あぁ、もぉ良い。面倒臭ぇ」

「少しも良くないですよ。勝手に自己完結しないで下さい。私は、何も納得してませんけど」

「じゃあよぉ、面倒臭ぇ所を、敢えて聞くけどよぉ。なんでオマエ、車の中で俺と話してた時と、話し方が違うんだよ?」

「それは、アナタがバンド仲間だからです……おかしいですか?」

「あぁ、おかしいな」

「何故ですか?」

「だってオマエ。バンドを応援してくれてる人は、明らかに俺達の仲間だろ。その人達と喧嘩して、どうするんだよ?なんのメリットが有るんだよ?それによぉ、オマエは、美樹さん達の事を、よく知らないだろ。だったら、喧嘩腰にならず、まずは相手の話をちゃんと聞くのが筋ってもんじゃないか?」

「あぁ……そうですね。確かに、言われてみると、そうかもしれませんね。まぁ幾つか腑に落ちない点は有りますが。真琴の言ってる事は、ほぼ間違ってはいませんね」


ほらな。

ステラって文句が多いが、その実、結構、素直な所も有るんだよな。

そこを軽く押してやれば、比較的、直ぐに納得しちまうんだよな。


……と、簡単に言ってもだ。

勿論、そこには、ステラとの『信用関係』が少し必要だし、コイツの性格を十分に理解してやらなきゃいけないのも否めない話だ。


コイツとの人間関係は、それ程難しい。



まぁそれにしても……ステラの奴も、少しづつ変わって来たよな。


良い傾向だな。



「じゃあ、どうすんだよ?」

「ポンコツに言われるまでもありません。……皆様、先程のご無礼ご容赦下さい。心よりお詫び申し上げます」


ステラは、頭を下げて謝った。


これは、椿さんを見習っての事だろうか?

彼女の早い反省が、ステラに良い影響を与えたらしい。


頭の良い奴は、本当に吸収が早いな。


因みにだが、俺は、馬鹿だから吸収が早い。

どっちが良いんだろうな?



「ふふっ……気に入った。あたし、ステラも応援してあげる」


そう言う事なんだよな。

結局、人って言うのは、そんなに悪い奴ばっかりじゃないんだよな。

分かり合えていないから相手を拒絶するだけで、自分から一歩前に踏み込めば、結構、受け入れて貰えたりするもんなんだよな。


そこが出来るか出来ないかで、人生の楽しさはかなり違ってくる。


そう言う話だ。



「正気なの美樹?コイツ、私に噛み付いてきたんだよ」

「至って正気よ。だって、この子、凄く可愛いじゃない。理屈捏ねてるくせに、自分が間違ってるとわかったら、素直に謝罪してくるなんて、中々出来無いよ……ほら、現に元香は、まだステラに謝ってないじゃない。基本、喧嘩は両成敗。片一方が良くて、片一方が悪いなんて事は有り得ない。あたし達って、そうやって仲良くやって来たんじゃなかったっけ?」

「確かに……そうだけど」

「だったら、受け入れてあげなよ。それとも謝罪した相手に、元香は、まだ蟠りが有るの?そんな事バッカリ言ってると、ステラに『器小さい女』とか言われるよ」

「それは……ちょっと嫌かなぁ」

「だったら、もぅ許してあげなよ。それに兄貴君の顔もあるしさ」

「しょうがないなぁ。じゃあ許してあげるよ」

「だってさステラ」

「そうですか。それは大変喜ばしい事ですね。では改めて、バンドの応援をお願いさせて頂いて宜しいですか?」

「良いんじゃない、そう言うの。喜んで受けさせて貰うよ」


うむうむ、俺の狙い通りの展開だな。

(↑話をしてくれたのは美樹さんだが……)


なら、あれだな。

此処でステラには、この4人との親交を深めさせるのも手だよな。



「あぁじゃあ、折角なんで、ちょっと俺、みんなの飲みもんでも買って来ますよ。折角、仲良くなったんだから、なんか、このままじゃ勿体無いッスからね。なんかリクエスト有りますか?無かったら、自動的に『コーラを思い切り振った奴』になりますが」


ボケたぞ。

なので、この後、一斉に俺にツッコミを入れてくれ。

美人・可愛いを織り交ぜた美少女5人の盛大なツッコミを希望する。


たのんまっせ。



「じゃあ、あたしそれで」

「あっ、私も」

「私も、それで良いよ」

「私は……まぁそれで良いか」

「では、私も、それでお願いしますよ、ポンコツ」

「「「「いってらっしゃい、兄貴君」」」」

「まだ行かないんですか、ポンコツ?早く行かれては、どうですか?」


うそ~~ん。

みんなで仲良く手を振りながら、俺を見送ってくれるのは良いんッスけど……ツッコミ無しの、ボケ放棄ッスか?


そりゃねぇッス!!

こんな風に、なんの面白い反応もして貰えなかったら、ただのパシリじゃねぇッスか……


……まぁ良いや。

此処は期待していた女子達のツッコミは諦めて、虚しくコーラを買いに行って来るッスよ。


但し、俺が戻って来るまで、喧嘩はしてくれてるなよ。

5人で歓談しながら待っててくれ。


5人で仲良くな仲良く。


俺は、5人に促されるまま、1人寂しく飲み物を買いに海の家に向って行った。



だが、まだ俺の災難は、こんな事では終わらない。


キッチリ、もぅ一丁待ち構えていた。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


( ´,_ゝ`)プッ

倉津君、良かったですねぇ。

貴方の希望通り、美人や、可愛い子ばかりが集まって来たハーレム状態に成ってきましたよ。


男女比1:8(笑)


さぁ望みを叶えてあげたのですから、なんか面白い事になって下さい。

ってか、こんなに女の子ばかり集まって、1人で対応できるのかなぁ(・∀・)ニヤニヤ


さてさて、そんな中。

まだ、この事態は、この程度では終わったりしない。


次回は更なる試練が……( ´,_ゝ`)プッ←糞性格の悪い作者。


なのでまた良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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