036【最強の助っ人】
「……っと言う事で、明日から夏休みですが、みなさん、あまり羽を伸ばし過ぎないでね」
「「「「「は~~い」」」」」
俺には無意味な『1』と『2』しか表記されていない成績表を渡し終えた雛鳥が、そんな事を囀って、一学期終了のお知らせをした。
そして、俺を除いた生徒共は、アホみたいにハシャギながら我先に廊下に飛び出す。
アホ共が、少しでも多く夏休みの時間を謳歌しようとしているんだろう。
だが俺は、そんな程度の事で、はしゃいで喜んだりはしない。
どちらかと言えば、まだ呑気に椅子に腰掛けたまま、微動だに動こうともしていない。
何故なら、雛鳥の囀っていた夏休みの注意事項が、あまりにもツマラナさ過ぎて心身共に疲れたからだ。
大体にしてだなぁ……なぁ~にが『夏休みの心得』だよ。
ソンナモンを守る奴なんぞ100%近く誰も居ねぇつぅの。
もし居るとしたら、学級委員の牛乳瓶眼鏡でもしてる奴か、アホの崇秀ぐらいもんだ。
それになぁ、なぁ~~にが『夏休みの宿題』だよ。
折角の休み中だってのに、無意味に宿題とか出してんじゃねぇよ。
休みぐらい、少しはゆっくりさせろ。
なんの嫌がらせだよ。
最後によぉ、なぁ~~~にが『羽目を外すな』だよ。
一生の内、一度しかない中学二年の夏休みに、精一杯羽目を外さなきゃ、俺達学生は、いつ羽目を外すって言うんだ?
こんなもん、与太話にも程がある。
兎に角、雛鳥の奴も、その他の学校の先公もよぉ。
もう少し気の利いた、現実的な話ってもんが出来ねぇのか?
例えばだな……
①未成年の喫煙は極力避けましょう(健康に害を及ぼします)
②未成年の飲酒は極力避けましょう(酒は呑んでも飲まれるな)
③一日一善(なんか良い事をする)
……とかで、良くねぇか?
この方が、まだ救いが有るし、守る生徒も大半だ。
どうせ守って貰えないんだったら、長々と意味のない説明なんかせず、端的な方が、お互いの為に良くないか?
まぁ勿論、例え、そんな注意事項でも、俺は全く守る気なんてねぇけどな。
テメェ等、頭の悪い大人の戯言事なんぞ、早々まともに聞けるかつぅの。
全くよぉ、そうやって、なんの生産性も無い無駄な時間を、アホみたいに使う所がムカつくんだよな。
まぁそれでも、最低限、嬉しいなと思う事もなくはない。
この長期休暇のお陰で、糞クダラネェ、淡々とした生活を送らされる学校生活も。
ピィピィ鳴く事しか出来無い鬱陶しいアホ雛鳥の顔も、これで少しの間は見ずに済む訳だ。
これだけは、まぁ重畳な事だな。
特に、あのアホ雛鳥にだけは、夏休み中、絶対に関わりたくない。
毎度毎度アイツに関わるとロクな事がねぇからな。
せめて、この夏休み期間中の約1ヶ月半は、安寧な生活が送りたいってもんだ。
さてと……学校批判は、これ位にして。
今日の俺の予定って、どうなってたっけかな?
ドッチのバンドと、練習をメインにするんだったっけかな……
そんな風に俺は、今だ椅子に座ったまま立ち上がろうともせず。
奈緒さんに渡された『バンドの月間予定表』をペラペラと捲りながら、今日の行動を決める。
実は、此処数日、毎日、こんな感じの生活をしているんだよなぁ。
……まぁ理由は、言わずと知れた、そう言う事だ。
あの日以来、例のスケジュールって奴を、奈緒さん、素直、ステラによってマジで製作され。
俺の生活は、余す事無く、あの3人によって、完全にスケジュール管理をされている。
しかも、そのスケジュールって奴が、かなり厄介で、一切の容赦も無い。
内容も、かなりハードな出来栄えで、今日にしたって、学校終了後、即座にスタジオ移動が決まっている。
当然、そうなると、今日以外の日も、基本的に容赦は無く。
毎日そんな感じの生活を、ズッと義務付けられている。
これには、流石の俺も、溜息の1つも付きたくなる管理状況だ。
でもな、この管理システム。
ルーズな俺にとっては、決して悪いものじゃないんだが、どうしても1つだけ気になって仕方が無い事があるんだよな。
それが、なにかって言うとだな。
どちらのバンドに行くにせよ。
奈緒さん・素直・ステラの中の、誰か2人が必ず居るんだよな。
別に『誰が嫌』とか、そう言う訳じゃないんだが、なんか知らんが、この3人からは妙な感じしかしない。
まぁ少し、その違和感について説明するとだな。
●Aバンド●
奈緒さん・素直・嶋田さん・山中で構成された基本メンバー。
このメンバーでは、週3回いつもの横浜のスタジオで練習している。
●Bバンド●
ステラ・ジミー・奈緒さんで、奈緒さんがヴォーカルのメンバー。
このBバンドでは、週2回奈緒さん家で練習している。
●Cバンド●
ステラ・ジミー・素直で、素直をヴォーカルとしたメンバー。
んで、このCバンドは、週2回ステラと、ジミーの本拠地である横須賀のスタジオで練習している。
今現在、こんな感じのバンド構成な訳だ。
んでまぁ、見ての通り。
Aでは奈緒さん・素直。
Bでは奈緒さん・ステラ。
Cでは素直・ステラ。
……と言った具合に、誰か二人が必ず存在する。
先に言った通り、別に嫌な訳じゃないんだが……
なんかなぁ……これってよぉ、お互いが、お互いを監視しあってる状況な様な気がするんだよな。
無論、俺だって気のせいだとは思うんだぞ。
バンドの構成上、そうなってるだけとも思うんだが……まぁ敢えて、苦言を垂れるとしたらだな。
『BとCって、別に一緒で良くねぇか?』って話なんだよな。
例えばだな。
Aバンド=奈緒さん・素直・嶋田さん・山中で構成してだな。
Bバンド=ステラ・ジミー・奈緒さん・素直で構成すりゃ良くねぇか?
何故わざわざ『BとCを分ける』必要性を感じないんだよな。
此処が、俺が妙に引っ掛ってる所って訳だ。
あぁそれと、もぅ2点程、序に苦言を垂れたいんだが……
①『俺……休み無くね?』
②『AとBだけなら週3同士で、俺にも週一回の休みが出来るってもんじゃね?』
まぁ良いけどよぉ……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
そして冒頭から、相も変わらず文句の多い倉津君でした(笑)
まぁこの辺は、この物語の定番と言う事で許してやってください。
さて、そんな中。
倉津君は、誰とバンドの練習をするのでしょうね?
それは次回の講釈。
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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