第一章・第十一話『思考回路の違い』が始まるよぉ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
011【思考回路の違い】
『浮かれてる場合じゃない……自らが犯した罪ならば、懺悔は早いに越した事が無い』
素直を、彼女の家の近くまで送り届けた後、実家に向い。
少し重く感じる自転車を押しながらトボトボと歩いていると……
止めどなくマイナス因子と、プラス因子が交じり合う思考が脳内に流れ続けていた。
その理由は至ってシンプル、先程の素直との例の一件だ。
しかし、この件に関しては、明らかなまでに『俺が悪い』と言う結果が出ているって言うのに、一体、俺は……なにを悩んでいると言うのだろうか?
いや……違うな。
実際は悩んでなんていない。
俺は、ただ単に悩んでるフリをして、現実から逃避したいだけなのかも知れない。
だが、そんな事をしても、結局、犯した罪からは逃れられないのも事実。
だから今回に限っては、そうやって逃避したい思考があるのにも拘らず、それと同時に珍しくも別の思考も働いている。
それは……先程の素直との出来事を、振り返っている自分が居る。
そして、それと同時に、自分の犯した罪に対しての質量のみを、自問自答を繰り返している。
これを、自分がどう受け止めるかによって、今後の奈緒さんとの関係に変化が起こる。
恋愛とは、心の持ち方1つで、微妙なバランスを保っているからだ。
その自問自答の中に、挙げられている議題と言うのは3つ。
●まず第一が……『素直とのキスは罪であるか?』
これは、誰が、どう聞いても明らかな罪だ。
欧米的な考えを持つステラなら、まだ『挨拶』だと言い切れば、言い逃れるは出来るかも知れないが、素直は、欧米人ではなく生粋の日本人。
日本国内では、キスが『挨拶』と言う認識は薄く。
明確に『キス』=『恋愛感情』っと言う、カテゴリーに分類される。
以前ステラが言った様に『キスを有り難がる』と言うのはアジア圏特有の考え方なんだが……日本がアジアにある以上『キスは有り難がる』モノに成ってしまう。
しかも俺は、素直に対する感情移入がなかったとも言えない。
いや……寧ろ、その気持ちが有ったからこそキスをしたのだろう。
だから、此処で言い逃れなんてモノは出来無いし、しちゃイケナイ。
結局は、自分の彼女の気持ちを傷付けかねない、ただの愚かな行為だったと言えよう。
故に、これは罪だ。
●そして2つ目は……『キス後の素直と過ごした時間』
これも俺の中では、大きな罪だと思える。
俺にとって、キスをした後に、ゆったりとした時間を設ける事は『彼氏・彼女の関係にのみ許された行為』だと認識しているからだ。
だから、この時間は本来、奈緒さんとのみに許された特別な時間であって、他の女の子と共有すべき時間ではない。
これを素直と共有してしまった時点で、俺は、素直をハッキリと意識してしまっている証拠になる。
なのでキス同様、これも『浮気』に等しい行為で、矢張り、これも罪だとしか言い様がない。
●そして最後に……『素直に対する気持ち』
これが、今回のケースの中では一番の重大な罪だ。
第二の議題の回答同様。
全てが浮気に通じる心理状態を露骨に表してしまっている。
もし、あのSEXを求めた時、誤って素直が『良いですよ』っと口走っていたら、恐らく俺には理性なんてものが上手く働かず、少し躊躇しながらも、彼女を受け入れてしまっていただろう。
それに行為が始ってしまったら、俺自身の歯止めが全く利かなくなり、今以上に大変な事になっていたのも確実だろう。
このいい加減さこそが、最も『浮気』に発展しやすい心理だ。
彼女を裏切る恥ずべき行為。
まぁ今回、最後まで行き着かなかったが、その一歩手前まで行っていたのは事実。
そして、こう思える事自体が、そこまで行き着いたも同然の罪。
俗に言う『精神的な罪』だ。
言い逃れのしようがない。
……以上。
俺の挙げた3つの議題に対する答えは、結局、全てが罪に通じるものでしかなかったと言う事実だ。
自己判断のみでの判断した結果だが、実に無様な結果だと言え様。
昔……『据え膳食わねば男の恥』なんて、馬鹿な事を平然と言ってのけた奴がいた。
この言葉を最初に友人から聞いた時は『あぁ確かに、そうだな。やるよな』と、妙に納得したもんだが、本当に、それはそうなのだろうか?
そんなものは、全てを自分に都合の良い様にしか解釈出来てないだけなのではないか?
本来、そんな言葉は、最も愚かしく。
知性の欠片もなく、欲望のみに忠実な、そんな馬鹿な人間が作り出した言葉だとしか、今となっては思えない。
大体にして、相手の気持ちがどうあれ、そんな安っぽいSEXになんの価値があるんだろうか?
山中が言った様に、男女間での肉欲については否定はしないが、所詮そんなものは『オナニー』でも十分補完出来る筈。
それに、責任が取れない奴に限って、自分を上手く正当化して、そう言う行為を喜んで受け入れる。
正に『俺同様の馬鹿』としか言い様がない。
俺は、今……先程の『素直とのキス』をした自分を、これ等の行為に至る馬鹿な奴等と同類の人種だったと思っている。
いや、この場合、思わざるを得ない。
結局、綺麗事を並べた所で『やった』っと言う行為は、どこまで行っても一緒だからだ。
それが例え……『SEX』であっても……『キス』であっても……罪の量は同じ。
浮気した気持ちには、なにも変りはしない。
肉欲に負けて『奈緒さんを裏切った』っと言う、このなんとも愚かしい行為は、奈緒さんに精神的苦痛を与え兼ねない行為だった事には、なんら変りは無い。
素直には調子の良い事を言った割に、今更になって、激しい後悔の念に苛まれている。
俺は、そんな事すら終わってからしか気付けない、正真正銘の馬鹿としか言い様の無い男だ。
正に『後の祭り』を体現する羽目になってしまった。
どう正直に話して、どう謝れば、奈緒さんは許してくれるだろうか?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
第一章・第十一話『思考回路の違い』が始まった訳なのですが……
最初から、かなり倉津君は凹んでますね。
まぁ、大人に成ってしまえば、この程度の些細な事なんて、特に問題視する程の問題でもないのですが。
幾ら大人ぶっていても、彼はまだ中学生に過ぎません。
だから、どうしても、真剣に悩んでしまうんでしょうね。
さてさて、そんな中。
この件を奈緒さんに打ち明ける決心だけは付いている倉津君なのですが。
彼女は、どんな反応を示すのでしょうか?
それは次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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