●前回のおさらい●
今回のライブの運営資金の出所を知っってしまった倉津君。
だが、どうしてもまだ、崇秀の行動には腑に落ちない点がある様で、その辺の質問を始めようとしていた。
どんな回答が返ってくるのやら(笑)
「あぁ良い。もぉ良い」
「んだよ、それ?なら、最初から聞くなよな」
「んじゃよぉ、1つだけ質問があるから、その1つだけは絶対に教えろ」
「あぁ良いぞ」
「オマエさっきさぁ、前田朔哉って言ったよな」
「あぁ言ったな」
「それってよぉ……」
「あぁ、オマエの思ってる通り『ZaP』の前田朔哉だ……んで?」
んで、じゃねぇよ!!
ZaPの前田朔哉って言やぁ、人気ロックグループの奴の事だろ。
なんでオマエみたいな中学生が、そんな大物有名人を知ってるんだよ。
「いや……オマエさぁ、一体何者なんだよ?」
「はぁ?なに言ってんだオマエ?俺は、オマエのよく知ってる仲居間崇秀だけど?それ以外、なんに見えるよ」
「いや、そう言う事を言ってるんじゃなくてよぉ。なんでただの中学生に過ぎないオマエに、こんな真似が出来るんだって聞いてんだよ」
「あぁ、なんだ、そう言う事な」
「なにが『あぁ』だよ」
「その答えを聞きたいか?」
「聞きたくないもんを、イチイチ質問するかよ」
「ハハッ、だよな。そりゃあそうだ」
アッケラカンとしてやがるなぁ。
高々中学生の分際で、こんな大それた事をしてるくせに、なんでコイツだけは、いつもこうなんだろうな?
こう言うのを無自覚野郎って言うんだろうな。
笑えねぇ。
「んで?」
「んなもん決まってるだろ。俺が天才だから」
「なっ!!……オイ!!馬鹿秀……真・面・目に答えろな」
毎度毎度ふざけんなぁ~~~っ!!
なんか馬鹿にされたみたいで腹が立ったので。
俺は満面の笑みで、馬鹿の肩をポンポンと叩いた後、力一杯肩を握ってやった。
「チッ、面倒臭ぇなぁ。もぉ、それで良いじゃねぇかよ」
「良かねぇ、答えろ」
「じゃあ後で、俺も今日の事で、1つだけ重要な質問をオマエにするから。オマエは必ず、それに答えろ。それが条件だ」
「あぁ良いぞ」
「あっそ。んじゃあ教えてやんよ」
「ったく、無駄に勿体ぶってんじゃねぇよ」
ホントにコイツだけは、訳がわかんねぇ。
なにを隠し事してんだよ?
オマエじゃねぇけど、そう言うの面倒臭ぇんだよ。
「良いか、河豚味噌。コイツにはな。まずにして、大人の裏事情ってもんが絡んでくるんだよ」
「んだよそれ?……って、誰が河豚味噌だ!!」
「ここ数年な。世の中の景気が冷え込んでるだろ。だから、そこを上手い事漬け込みゃあ、誰だって、こんな事ぐらい朝飯前に出来るんだよ。……因みに、オマエが河豚味噌だ」
「だから、それが何かって聞いてんだよ?……って、オマエ、ブッ殺すぞ!!」
「うわ~~~っ、熱いね、オマエ。……誰が死ぬかボケ」
「ってか、いい加減ツマンネェ事ばっか言ってねぇで、さっさと答えやがれ」
「はいよ。……んじゃまぁ、単純に言うとだな。最初は元気になる様な曲を唄ってる奴を、プロダクションに売り込んだだけの事だ」
「ちょっと待て。売り込むのは良いが、大の大人が餓鬼の言う事なんざ聞く筈ねぇだろうが」
「甘いな。その認識は、実に甘い認識だ」
奴は不敵にニヤッと笑う。
そして奴は、未成年の分際でマルボロに火をつけて吸い始めやがった。
だから俺もセッタ(セブンスター)に火をつける。
天井に向かって、2本の紫煙が吐きあがる。
「良いかボケ?まずにして、話を聞いて貰えない様なガキは『なんの実績も糞も無い餓鬼の話』だ。だから俺は、そう成らない為にも、早くからネットを繋ぎ。ホームページ上で、そう言う音楽関係の知り合いを沢山作っていた。勿論その噂は、プロダクション・サイドも認知しているから、これだけで話を聞いて貰うだけの実績はバッチリだ。勿論、信用の無い最初の内は無料で相手側に奉仕してな。……まぁ、そこら辺からして、ただ単に話すら聞いて貰えない様な馬鹿餓鬼共とは違うんだよ」
アホだ、コイツは……
「けどよぉ。例えそうで在っても、餓鬼には違いないだろうに」
「馬鹿かオマエは?ネット上で年齢なんか解る訳ないだろ。だから直接会うまでは、ネット上でしか取引をしない。そうすりゃあ、逢うまでの時間は稼げる」
「コイツだけは、マジかよ……因みにオマエ、それ、何時からやってんだよ?」
「あぁ?いつからだと?んなもん小学校の頃からだけど……なんでだ?」
キチガイ。
コイツは、正真正銘、本物のキチガイだ。
なんで小学生の餓鬼に、そんな真似が出来んだよ?
いや、それ以前の問題として、なんでガキの分際でそんな事をしようとしたんだよ?
コイツだけは、まったくもって意味がわかんねぇ。
「……それで?」
「ん?それでも糞もねぇよ。俺はバンドとプロダクションにメールを送るだけ。後は、自費でバンドのメンバーに事務所に行って貰えば万事OK。たった、それだけで金が入って来るシステムが構築出来た訳だから、今度は今みたいにライブ会場を借りて、直接実演人身販売。これが、今までの経緯と、今ある実情の理由だな」
「ほぉ~……んでよぉ。まぁ仮定で、それが上手く行ったとしてもだな。真似する奴とかは居なかったのかよ?」
「あぁ、居たなぁ。真似しか出来無い能無し共が沢山居たなぁ」
「ソイツ等は、どうしたんだよ?」
金の有る奴なら、直ぐに美味しい話を真似する。
これは資本主義の基本だ。
なら、金のある奴は、この馬鹿よりも、より良い物を簡単に提供してしまう可能性がある。
そうなれば、資金的な面で、この馬鹿が奴等に勝てる見込みは無い。
これもまた資本主義の基本だ。
「どうもしねぇよ。そんな奴等、勝手に消えて行きやがったからな」
「はぁ?なんでそうなるんだよ?中には、金が有る奴とかも居ただろうに」
「アホ臭ぇ。そんなもん簡単じゃねぇかよ。多くのミュージシャンを抱え、安くでそのミュージシャンを紹介して、プロダクションと懇意にしている俺と。特に何も無い上に金儲けしようとして真似をしただけの豪華なホームページ。……どっちと組んだ方が得だ?んで序に言えば、俺のホームページは、かなり老舗だ。真似しただけの奴とは、ミュージシャンの登録数が段違いなんだよ」
「がっ」
「それにな。俺は、自ら地方のライブハウスにも出向いて、バンドとの直接交渉もやってんだ。……そこら辺からして、真似しか出来無いバカとは違うんだよ」
そっ、そう言えば、この馬鹿。
無駄によく風邪を引いて学校休んでやがったな。
まさか、そんな裏が有ったとは……
「まっ、まぁ、オマエのカラクリは、大体わかった。しかしまぁ、よくもそんな事を思い付いたもんだな」
「だから、最初に天才だって言っただろうが」
「あぁそっかよ。わかった、わかった。もぅ良い黙れ」
「なんだよそりゃあ?……ったく、人に聞いといて、いつもこれだよ」
『いつもこれになる』のは仕方が無いと、いい加減自覚しろボケ。
お前の行為は、人並み外れ過ぎてるんだよ。
どんな行動力してやがんだよ?
もぉマジで意味が解んねぇわ。
「あっ、そうだ、そうだ。じゃあ今度は、約束通り、俺からも質問して良いか?オマエに聞いて置きたい事が有っからよ」
「んだよ。なにが聞きてぇんだよ?」
なんか嫌な予感しかしねぇな。
大体にして、こんな馬鹿げた行動を平然とする様な奴が、俺に一体何の質問があるって言うんだろうな?
ホント嫌な予感しかしねぇ……
最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>
ブッ壊れてますね崇秀(笑)
まぁファンタジ―なんかでは『チート技能』を生かして、もっと凄い事をする人が沢山居るのですが。
現代社会で、こういう事を自分で考え。
己に厳しくして努力と研鑽を重ね、此処まで成り上がって来る『中学生』は早々には居ないと思います。
ぶっちゃけ言えば『イカレテ』ますね(笑)
……っで、なんで崇秀を、此処までの狂った思考にしているのかと申しますと。
①『こんな中学生は居ねぇよ!!』って言われたいからです(笑)
ファンタジーの世界観であれば、この様な事をしても、比較的、何方でも『キャラクターが若くても』受け入れられるのですが。
何故か現代物で書くと『こんな奴は居ねぇ』に成るんですよね。
こんな風に差別的に価値観の違いが面白いので、崇秀をこう言うキャラクターにしました(*'ω'*)ノ
(↑滅茶苦茶性格が悪い)
②『その勘違いを正す為』
①で説明した様に、ファンタジーと現代物では、読む人の価値観が比較的変わるものなのですが。
実際『世界を動かす人間』と言うのは、崇秀の様に早くから行動しているので、普通に考えると『これで当たり前』なんですよ。
いや寧ろ、これぐらい早くから動いていないと『時代の寵児』にはなれないと言う事を示して置きたかったんですね。
なので『こんな奴は居ねぇ』って思った時点で、実は少々『観点がズレてる』のではないかと思ったんですよね。
……っとまぁ、そんな私の狂った思考を植え付け様と(洗脳(笑))と思い。
こんな風に崇秀と言うキャラクターを作ってみましたぁ(*'ω'*)ノ
さてさて、そんなイカレタ崇秀が、なにやら倉津君に質問がある様ですが。
次回は、一体、どう言う展開になるんでしょうね?
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ(*'ω'*)ノ
読み終わったら、ポイントを付けましょう!