●前回のおさらい●
崇秀との会話の中で『眞子(倉津君)の価値』について語られる。
そこで眞子は、今の自分と、過去の自分とでは、どちらの方が崇秀にとって価値があるのかを知りたくなって……
「あのさぁ」
「んあ?」
「あのさぁ、真琴ちゃんと、私じゃあ、ドッチが賢いと思う?」
「眞子」
「迷わず断言?」
「まぁ、つってもな。今は、まだ、そんなに差がある訳じゃねぇぞ。今現在じゃあ、そこは僅差でしかない。だがな。馬鹿津と違って、眞子は、最近、人としての最低限度のマナーって奴を覚え始めている。それに、これを良い事だと認識しているから、これからドンドン、人としての伸び代が増えて行くだろうな。これは人生に置いて、最終的にはデカイ差になって行くから、明らかに眞子の方が賢いと思うぞ」
「えぇっと……褒めくれてるの?」
「貶してる様に聞こえるのか?」
「いや、そう言う訳じゃ……」
あぁ、やっぱりさぁ。
崇秀に褒められるのって、相変わらず、慣れないなぁ。
……けどそれって、元を正せば、褒められる事が少なかった倉津真琴って人格が、非常にだらしなかっただけの話なんだよね。
褒められずに、怒られてばっかりいたから、慣れないんだろうなぁ。
ふむふむ、でもでも、崇秀に褒められる様な生活を続ければ、それさえも『自然に慣れてくる』って事かも知れないよね。
なるほどねぇ。
「ハァ~~~、まぁ、このまま話してても、どうにも拉致が開かねぇみたいだから……悪いが、ちょっとの間だけ、比較をする為に、オマエと、倉津真琴の話をするぞ。オマエは、そのままで良いから、話だけ聞けな」
「あっ、うん」
私相手じゃ、キッチリとした説明するをするのにも限界が出たんだろうなぁ。
だってさぁ、まだ崇秀と言えども、私との思い出が少ないから、過去話から上手く構成し難い。
だから、全体的に具体例が出し難いんだろうなぁ。
「良いか眞子?まず倉津真琴って男はな。ヤクザって事以外は、世間体をなにも気にせず。そして、なにも考えず。向井さん以外の事は、チャランポランに生きてきた様な奴なんだよ。……そこは解るか?」
「あぁ、はい。……そうですね。まさに、その通りだと思います」
ウグッ!!痛い痛い。
……そんな胸を抉る様な、リアルな話は辞めてあげて。
「……でも眞子は、12月26日って特別な日を境に、本当に規則正しく生きる様になって来ている。これはな。自分が女である事を自覚し、女の身でしか起こり得ない大変な経験を色々としてきたからこそ『自分を変えないといけない』と言う意識が芽生え始めてる証拠なんだよ。……だからこそ、自然にオマエの方が評価が高くなるって話だ」
あっ……そんな風に見て貰えてたなんて、なんか、これも照れ臭いもんだね。
それにあれだね。
本当に比較する為だけにしか、真琴ちゃんの名前を使わなかったね。
しかも解り易く、具体例として挙げてくれてるし。
でもさぁ、よく此処まで、完璧に『真琴』を『眞子』を、別人として扱えたもんだね。
本当に、ありがたいよぉ。
「あぁ……」
「けどな。決してそれは、自分だけで出来たものだと勘違いだけはすんなよ。此処に関しては、向井さんが、秋田から出て来たばかりの田舎者のオマエを大切に扱ってくれ。どうあるべきかを、ちゃんと導いてくれたからこそ成立した話なんだからな。そんでオマエも、向井さんに下手に反抗せず。それ等を全て素直に受け入れたからこそ、こう言う関係と、今現在のオマエが構成された。……俺は、今のオマエが在るのは、向井さんありきだと推測してる訳なんだがな」
あぁ……ヤッパリ、此処で崇秀は、奈緒さんを褒めてきたかぁ。
あの、実は、こう言う時の崇秀ってね。
どれだけ自身に功績があったとしても、絶対に自分を前に出さないんだよね。
例え自分が、どれだけ私の世話をしていたとしても、必ず、自分じゃない、私に協力してくれてる第三者を褒めて、全てがその人の功績の様に物を言う。
こんな真似、中々出来たモノじゃない。
……本当に、崇秀は器が大きい。
だからなのかなぁ。
崇秀の今まで話してくれた言葉には、色々心当たりが有る様な気がする。
例えばなんだけど。
今朝も、偶々『早く起きて』
早朝から『風呂に入り』
幼馴染とは言え『可愛い』って言わしたいと思えたし。
無駄に怒られるのも嫌だから、必至に服を選んだ上に、ちゃんと『身支度』を整えて『遅刻』もせずに待ち合わせ場所に行った。
そんな当たり前の事をしただけなのに……崇秀の言う通り、自分の中で、なにかが1つ変わった様な気がした。
それに、それが本当に気持ちが良い行為だと感じられたからこそ、今後も『生活態度を改善』し『綺麗』でいようと思えた。
けど……もしこれが、倉津真琴のままだったら。
きっと遅刻して待ち合わせ場所に向かうだけで、なにも得るものが無く、多分、それだけで終わっちゃってたもんなぁ。
なんか複雑な気持ちでは有るんだけど……
今までの最低な生活態度が、こうやって少しづつでも改善されてるんだったら、女の子に成って良かったのかなぁ?
それとも、私が生き易くする為だけの……フォローだったのかなぁ?
解んないや。
「あのさぁ。そうやって褒めて貰えるのは嬉しいんだけど。そう言う風に、真琴ちゃんの事を言うって事は、真琴ちゃんって、崇秀の中で、どんな存在なの?」
やっぱり、ただのダメ人間?
寧ろ、崇秀の人生に於いて、足手纏いなだけの存在だとしか思ってないとか?
どう考えても、そう言う評価にしかならないだろうけど。
折角こう言う良い機会に恵まれてるんだから、その辺の正直な意見を聞いてみたい。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
今の眞子にあって、過去の倉津君に余りなかったもの。
それは間違いなく『高い向上心』『美意識』『一般的なモラル』『自立心』の4点。
勿論、そうは言っても。
倉津君自身の向上心が、特に低かった訳でもないですし、一般的な常識が無かった訳ではないのですが。
それはどこまで行っても『常識の範疇の中』での物であって、この双方が特別高かった訳ではないんですよね。
ですが、突然、女性に成り、その姿のままでは実家に頼る事が出来なくなってしまった事から事態は一転。
これにより、頼るべき人間が奈緒さん以外居なくなった時点で『嫌われて追い出される恐怖』から、彼女の要望に従う様に成り。
その上で、それが気持ち良い事だと感じれる様になったからこそ、今の眞子と言う人間が構成されてきた物だと思います♪
結局の所、環境の変化により失う物があったからこそ、自分を変えられた、って感じだとも思います。
そして、それを崇秀が褒めた。
今回は、そんなお話でしたぁ(笑)
さてさて、そんな中。
今度は眞子ではなく、過去の自分である倉津君を、崇秀がどう捉えていたのかが気になり出した眞子。
一体、崇秀は、倉津君を、どんな風に捉えていたのでしょうね?
次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。
良かったら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾
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