最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1496 ご縁

公開日時: 2025年3月10日(月) 00:21
文字数:2,012

●前回のおさらい●


 山中君に加え、本職である大将がリフォームを手伝ってくれたので、内装外装はある程度の目途がついた。

なら次に着手すべきは、お化け屋敷みたいな外観なのだが……

 ……さて、そんな事が有りながらも、山中が持って来てくれた発電機で部屋に電気を付け。

またしてもリフォーム業務を再開する訳なんじゃがな。


今現在俺は、山中と大将に内装工事を任せて、外である人物の到着を待っていた。


現在時間は18時を回った所。

学校が終わって、生徒が下校して結構な時間が経ってるから、そろそろ次の助っ人が現れる頃合いだからな。


オィちゃんは、ソイツの到着を外で待っとる訳じゃよ。


決してサボってる訳じゃねぇから、あしからず。



「オィ~~~ッス」


来た!!

予想通り、ジャストタイミングで来やがった。

仕事用のデカイ鋏が入った薄汚いズタ袋を持って登場しやがった。



「おぉ、浮田。漸くお出ましか?遅い出勤だな」

「『遅い出勤』じゃねぇつぅの。俺は、どっかの誰かさんと違って、ちゃんと学校に行ってたんだよ。それと、受験で忙しい時期に、急に、変な電話を寄こして来るなよな」


……っと、イキナリ、俺に文句を垂れる、この男。

同学年の『浮田』って言う、ロクデモナイ糞野郎なんだが。


コイツが、昨晩電話した助っ人第二弾で、所謂、植木屋の息子だ。


まぁ、見ての通り、文句の多い男なんだが。

コイツの実家が植木屋を営んでるから『安上がり』で、家の周りに鬱蒼とするぐらい生い茂って草や、壁に絡まった蔦みたいな物を除去して貰おうって算段で呼び付けた訳だな。


因みに、時給は850円で。


あぁ序に言えば。

崇秀が、前に住んでた家の近所にコイツの実家が有り、そこで植木屋を営んでいるんだがな。

一軒違いで、学区が違うから、中学校自体は、おな中ではないんだが。


崇秀が、コイツとよく遊んでたから、なんとなく知り合いになった……そんな奴だ。



「来て、早々文句ばっかり言うなよな。ちょっとしたアルバイトみたいなもんなんだから、小遣い稼ぎには丁度良いじゃねぇかよ」

「どこがぁ?どうせ『この鬱陶しい草を除去しろ』とか邪魔臭ぇ事を言うつもりのクセに、それを時給850円とか意味解んねぇし。厚かましいにも程があるつぅの」

「やかましいわ。今は仕事がしたくても、出来無い人間が沢山いる時代なんだぞ。だから、文句言わずに働けちゅうの」


大体だな。

どれだけ腕があろうとも、学生に正規のバイト料を払うなんて企業、早々にはないんだぞ。

普通なら、学生なんてものは、一般人より安く見積もられ、最低賃金で働かされるのが常識ってもんだ。


因みにだが、1999年の神奈川での最低賃金は696円だ。


それより多く支払おうとしてるんだから、850円で文句言うなよな。



「……ったく。これだからヤーさんは傲慢で困るな」

「誰がヤーさんだ!!」

「オマエ。あぁ、それと序に言って置くがな。仕事の無い人間は、技術がねぇから仕事がねぇだけだ。俺は技術が有るから、仕事はなくならねぇの。だから時給上げろ」


文句も多いが、ホント、それ以上に金にもウルサイやっちゃな。


あぁけど、今、気分を害して帰られたらウザイから、もうちょっとだけ時給をUPしてやるか。



「あぁっそ。じゃあ、奮発して855円な」

「ケチかオマエは!!5円ってなんだよ5円って!!全然奮発してねぇし!!せめて、もぉちょっと出せよヤーさん」

「鬱陶しいなオマエ。じゃあ875円でどうだよ?」

「ふざけんなよ。最低1200円だ。俺の技術は、そんなに安くない」


馬鹿なのかオマエは?

なんで自給が、イキナリ約4割増しに成ってるんだよ?


そんなもん、プロ野球選手並の給料アップじゃねぇかよ!!

そんなに金が欲しければ、その腕とやらを売り込んで読売ジャイアンツに入団しやがれ!!



「解ったよ。じゃあ950円で勘弁しろ」

「まだ渋りやがるか。あぁ、じゃあ1100円で妥協してやるから出せ」

「1000円」

「オマエ、ヤーさんのクセに、ほんとケチだな」

「アホか。俺はヤーさんだからケチなの。俺等は、人から搾取するのは大好きだが、人から搾取されるのは大嫌いな生き物なの」


人、それを理不尽と言う。


けど、ヤクザの世界では、それは、基本中の基本、デフォルトとも言う。

値切れる所まで、徹底的に値切るのもヤクザにとってはデフォルトみたいなものだからな。


社会の常識として、此処はキッチリ憶えて置く様に。


多分、一般人には、何の役にも立たん知識だが……


ってかね。

自腹だから、マジでこれで勘弁してくれ。



「……ったくもぉ」


ダメか……



「あぁ、もぉ解った、解った。これ以上ゴタゴタ言ってても時間の無駄だから1005円な。1005円で手を打て」

「また、5円UPかよ。……つぅかオマエ、5円好きな」

「ご縁が有ります様にってな」

「生き埋めに成って、死んでくれ」


俺は死なねぇし、この金額でオマエは牛馬の様に働け。

そして、余計な給料が発生し無い様に、出来るだけ短時間で全ての外観を綺麗にしてみせろ。


そこまで『技術が有る』って自慢するなら、この程度出来る筈だよな?


勿論、変に時間が掛かる様だったら『減給』すっからな。


5円引きだからな5円引き。



ご縁が無くなるぞ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


こうして初登場した浮田君なのですが。

文句も多いし、お金にもうるさい子みたいですね(笑)


まぁでも、そんな彼を倉、津君が敢えて呼び出したと言う事は、それ相応の技術を持ってるのかもしれませんね。


結局、時給も155円も上がってる訳ですし。


……ってな訳で次回は。

早速、その腕とやらを披露して頂こうと思いますが……


果たして、どれぐらいの時間で外観を整えてくれるのでしょうか?


その辺を書いていこうと思うので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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