最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1550 諭す

公開日時: 2025年5月3日(土) 00:21
文字数:2,090

●前回のおさらい●


 リフォームを終えた家を、親父さんと沙那ちゃんと見に行く事に。

その際、沙那ちゃんが【昨日同様に、倉津君がジュースが必要かなぁ?】っとフッと思い『買って来ようか?』って尋ね。

倉津君からお金を貰おうとしたら、その姿を見た【無償で施しを受けるのは教育上良くない事】だと認識してる親父さんの逆鱗に触れてしまい。

沙那ちゃんが叩いてしまった……

「いや、ホント、お怒りになるお気持ちは察しますけどッスね。昨日の買い物で、今日も俺が必要だと思ったからこそ、そう言ってくれたのも事実だと思うんッスよ。沙那ちゃんは、決して、そんな事を言う子じゃないッスよ」


でも、解ってやって欲しいッス。

沙那ちゃんは、そう言う邪な事を考える様な子じゃないじゃないッスか。



「そうでしょうか?以前より沙那は、少し欲深い所が有りますから、それは一概には言えないんじゃないですか?」

「それは、絶対に違うッス。第一、子供の言う事を、親が信用してあげないでどうするんッスか?子供が泣きながら訴えてるんだから信じてやって下さいよ。それは、どんな躾なんかよりも、もっと大切な事ッスよ」

「あぁ……」

「……現に俺は、親に、そうやって1度も信用して貰えなかったッスからね。だからせめて、親父さんだけは、沙那ちゃんを信じてやって下さい」


少々卑怯な手段だとは思うんだが。

納得して貰えないなら納得して貰えないで、俺が実の親父に信じて貰えなかったトラウマを、此処で例に挙げるのがベストだと思った。


これは親として『子供には、俺みたいな不良に成って欲しくない』って部分を擽る言葉でもある筈だからな。


……って言うかな。

それ以前の問題として『親が子供の言葉を信じてあげなきゃ、誰が子供の言葉を信じる?』って話なんだよ。


事実、俺はッスね。

自分の責任じゃない事を、散々親父に俺の責任にされて、こんな風に成っちゃいましたからね。


だから親を名乗るなら、絶対に子供の言う事を信じてあげないとダメっすよ。



「あっ……倉津さん……」


よしよし、この様子だと。

取り敢えずではあるが、少しづつでも親父さんはクールダウンしてくれてるみたいだな。


だったら、この隙に泣いている沙那ちゃんの方を……



「うぇ、うぇ……おにぃちゃん、おにぃちゃん」

「大丈夫、大丈夫。親父さん、ちょっと勘違いしただけだからな。心配ないぞ」

「えぐっ、えぐっ……でも、お父さん、沙那の事ぶったよ、ぶったよ」

「そりゃあ、そうだろ。親父さんは、沙那ちゃんが間違った事をしてると思ったからこそ、ぶったんだからな。大切だと思ってなかったら、ぶったりしないだろ」

「うぅ……でも、でもね。お父さん、沙那の話、全然聞いてくれなかったよ」

「それはな。真剣に怒ってたからこそ、言い訳してる様に見えちゃったんだな。沙那ちゃんも、昨日『みんなに無視されてる』って言った時、みんなの話を聞かなかっただろ。それと同じだぞ」


沙那ちゃんを宥め様と思っての発言なんだが、上手く言えてるかなぁ?

子供って言うのは、基本的に自分本位にモノを考えちまう傾向があるからなぁ。


一概に宥めると言っても。

この辺は、中々一筋縄ではいかないんだよな。



「……そっか」


おっ……これは。



「だから、沙那ちゃんも、親父さんの事を嫌いとか言っちゃダメなんだぞ。……それとも、本当に嫌いなのか?」

「えっ?違う!!違うよ!!好きだよ!!お父さん大好きだよ!!沙那、世界で一番、お父さんが大好きだよ!!」

「沙那……」

「そっか。じゃあ、親父さんに、ごめんなさいしないと、ダメだよな」

「なんで?どうして?沙那、なにも悪くないんだよ」

「本当にそうか?お父さん嫌いって言ったのは、悪くない事なのか?」

「えぇっと……それは、悪い事かなぁ?」

「じゃあ、どうするんだっけ?おにぃちゃんと、ぶつかった時は、沙那ちゃん、ちゃんと直ぐに謝ったよな」

「えぇっと……」

「ほら、行って来い」

「あっ……」


俺は、沙那ちゃんの背中をポンッと軽く押してやった。


なんと言っても、此処からは2人の問題だからな。

俺も、相当理不尽な事が起こらない限り、これ以上は口を挟まないつもりだし、俺が出来るのも此処まで。


だから上手く行ってくれ!!



「あっ、あの、お父さん、ごめんなさい。でも、沙那、嘘は言ってないよ」

「そうか……嘘は言ってなかったのか。本心だったのか」

「うん。嘘は付いてない。沙那、お父さんに嘘なんか付かないよ」

「そうか。だったら、ごめんな、沙那。お父さん、勘違いして叩いちゃったな」

「うん。一杯痛かったよ。だから、もぉお父さんに嫌われたのかと思った」

「こんな良い娘を嫌うもんか。沙那、本当にごめんな」

「あぁ、うん。沙那も、ごめんなさい」


良かったぁ。


一時はどうなる事かと思ったけど。

なんとか事無きを得て、場の空気も和らいでくれたみたいだな。


……って言うか。

クールダウンした親父さんなら、元来の温厚な性格に戻れるだろうし。

そこに沙那ちゃんの素直な性格が重なったからこそ、これは実現出来ただけなのかも知れないけどな。


普通の家庭なら、此処の話をする以前の問題として。

『人の家の事に、第三者が首を突っ込まないで下さい』っとか言われて、終わっちゃってた可能性だってあった訳だからな。


だから寧ろ、俺なんかの話を、親父さんが良く聞いてくれたと思う。


けどな。

現実的に言っても、こうやって上手く話が纏まるケースなんかもあるんだから、どの家庭でもこうなる可能性はあるって事でもあると思う。


結局の所【人間、どれだけ素直に人の意見を聞き入れれるか?】って部分が大切なんだろうな。

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


倉津君、普段はポンコツなのに。

人の為に動くと成ると、本当に頭の回転が速くなりますよね♪


特に、自分が大切だと思った人間に対して動く時は、より良く頭の回転が良くなるみたいです。


まあ、これが普段から出来ていれば、もっと順風満帆な人生を歩めているのかもしれないのですが。

それが出来ないからこそ倉津君と言う生き物なので、その辺はご愛嬌と言う事で誤魔化しておきましょう(笑)


そうじゃなきゃ、波乱万丈な人生に成らないですしね(ボソッ)


さてさて、そんな風に仲介も上手く行ったみたいですので。

次回は、その仕上げをしていきたいと思いますので、良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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