最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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042 不良さん ライブハウスに行かないつもりが行く羽目に

公開日時: 2021年3月19日(金) 22:27
更新日時: 2022年11月7日(月) 22:15
文字数:3,353

●前回のおさらい●

奈緒さんと一緒に居たモスで、何故か不良に絡まれた不良さん。


だが、そのまま騒動を起こしたのでは店に迷惑が掛かりそうなので、外に連れ出した上に、人気のない路地裏に移動したら。

崇秀も何処かで不良に絡まれたらしく、そこに姿を現した。


そして、その後、不良を簡単に撃退し、奈緒さんの元の戻ろうとしたら。

また、その場には新たなる来客が訪れた。


その人物は……『山中』(笑)

 モスで絡まれたのだが。

奈緒さんに被害が行ったり、見せに迷惑を掛けちゃいけないと思った俺は、そのアホ共を連れて人気の少ない路地裏に。


だが、そこには!!

アホの崇秀も、不良に絡まれていて、先客として居やがった。


まぁ、こう成っては仕方がないと、2人で迷惑な不良共を掃除したんだが……そこに山中が、不良に絡まれてやってきやがった。


しかもコイツ、7人も馬鹿共を引き連れてきやがって、もぉ馬鹿じゃねぇの?


****


 あれから5分経過。

今は動かぬ死体と化した不良の山が13体程、地面に転がってる。

もぉコイツ等がゾンビにでも成らない限り、起き上がって来そうにない雰囲気。


まさに死屍累々だな。


にしても、山中の野郎……



「や~まなか~」

「なっ、なんやねん?なんやねん?なんで急に、ドカベンの岩鬼のモノマネやねん?」


なんとなくだ。

意味もなく、本能的にやってしまった事だから気にするな。



「あのなぁ山中。オマエ、こうやって喧嘩すんのは結構だけどよぉ。無駄に7人も雑魚を引き連れて来てんじゃねぇよ。馬鹿じゃねぇの」

「なんや?モノマネは恥ずかしなったから、もぅ終わりか?つぅ~か、そんな事を言うたかってやな。アイツ等が勝手にゾロゾロ集まって来よってんから、しゃあないやんけなぁ」

「まぁまぁ、良いんじゃねぇの、良いんじゃねぇの。こう言う事も有るって」

「なにが『こう言う事も有るって』だ。オマエ、最後の方なんもしてねぇじゃねぇか」

「おっ、気付いてやがったか。つぅか、いい加減ダリィんだもん」

「死ね……って、イケねぇ!!俺は、オマエ等みたいな暇人を、構ってる暇はねぇんだった!!じゃあな、アバヨ」


冷静に考えたら、こんな悠長にアホ共に構ってる暇はねぇ。

これ以上、奈緒さんをモスで1人で待たすなんて、もっての他だからな。


そんな風に慌てて、この場を去ろうとするする俺に向かって、馬鹿2匹はとんでもない事を言ってくる。



「女狂いが……死ね」

「ピンポイントで向井さんを狙いやがって、己は、シモヘイヘ並みのスナイパーか……死ね」

「うっ、うるせぇわ!!」


ちっくしょう!!

なんなんだ、この異常なまでの口惜しさは……

コイツ等に女の事で、とやかく言われると、此処まで腹が立つものなのか?


大体なぁ、オマエ等に、そんな事を言われる筋合いはねぇよ。

人の事より、テメェ等のその性欲をなんとかしやがれ……そして悔いて死ね。


このチ○コでしかモノを考えられない、淫獣共が!!



「あぁそうだ、そうだ、倉津。オマエ、良かったら、後でライブハウスに来いよ。今、明日のライブの準備やってからさぁ」

「アホか!!誰がそんな危険な場所に行くかよ!!」

「おぉ~~おぉ~~冷たいのぅ。思春期のセクシャル・モンスターは冷たいのぉ」


誰がセクシャル・モンスターだ!!

俺は、そこまで性欲に塗れた爛れた生活なんぞしてねぇわ!!


ってか、んな事を言われても、ぜってぇ~行かねぇかんな!!

誰が好き好んで、んな危険な所に行くかよ!!


馬鹿じゃねぇのか?


***


 ……行く羽目になった。


何故なんだろうか?

何故、こんな事になってしまったのだろうか?

嫌な予感と言うものは、何故に、得てして、こんなに当たってしまうものなのだろうか?


そう成らない様に、細心の注意を払ったつもりだったんだが……結果は、見ての通りだ。


実は、あの後。

馬鹿共に冷やかされながらもモスに戻って、奈緒さんと、普通に他愛もない話をしていたんだがな。


俺が、ふとした切欠で、またイラナイ事を言ってしまったんだよな。

黙ってさえいれば、あの2人の事は隠し通せたんだが……


勿論、その原因になったのは、ライブに誘う話の途中だ。



「しかしまぁ、空気の読めない奴って言うのにも、困ったもんッスよね」

「うん、そうだね。でも、あの人達って、なんでワザワザ、クラに絡んできたんだろね?」

「さぁ……まぁ敢えて言うなら。タダでさえ少ない脳味噌が塩漬けにでもなって、頭が、おかしくなっちまったんじゃないッスか?」

「プッ……そんな事があるんだ」

「まぁ、不良とかに良くある症状ッスね」

「クスッ、そうなんだ。じゃあ、クラは大丈夫なの?」

「勿論っすよ。俺は、全然大丈夫ッスよ」

「へぇ~~~、でも、どうして?」

「だって俺、脳味噌なんて高級なもの、最初から入ってませんからね。頭の中に有る物と言えば、塩水ぐらいじゃないッスかね」

「なにそれ?クラって、頭の中に塩水しか入ってないんだ。クスクス……」

「ちょ!!奈緒さん笑い過ぎッス」

「ごめん、ごめん」


っとまぁ、俺が帰って来た瞬間は。

こんな風に、どこにでも(?)ある様な極一般的な会話をしていた訳だ。


んで、雰囲気も軽いし。

今こそが、当初の目的の話をするチャンスが再び巡って来たって思った俺は、その場で話を切り出す。



「あの、奈緒さん。それはそうと、明日って暇ッスか?」

「うん、暇だよ。……なに?どうかしたの?」

「実はライブが……」


デートの約束なんかした事のない俺は、此処で急に照れが入る。



「ライブ?ライブかぁ……はぁ~~~」


えっ?えっ?なんか話を振る前なのに、奈緒さんが溜息交じりに急に凹んだな。


なんだなんだ?

ライブでなんかあったんか?



「どっ、どうしたんッスか?」

「んっ?あぁっと実はね。明日、横浜で、仲居間さん主催のライブが有るんだけど。頼んだ相手の手違いで、そのチケットが手に入らなかったのを思い出しちゃってね」


あぁ……それはまたなんとも、神な展開ッスね。

いや、寧ろ、俺を祝福してくれる神様は居られたみたいだな。


その手違いしてくれた間抜けな人……ありがとう。

アンタは、今の所、俺の中で最高神だ。



「そうなんッスか。けど、手違いじゃしょうがないッスね」

「まぁ、そうなんだけどね。……それがね。聞いてよクラ。その手違いって言ってもね。枚数の手違いなのよ。それで『自分は絶対行きたいから』とか言って、自分だけはライブに行く気なのよ。信じられる?」


それって……



「あの、奈緒さん。……ひょっとしてなんッスけど。その頼んだ相手って、樫田の馬鹿に頼んだんじゃないッスよね?」

「そうなのよ。ホント、千尋の奴、腹が立つ」


プンプンなんて効果音が出そうな感じで、お怒りの様だ。


けどまぁ。

こう言っちゃあ、なんなんだが、樫田に任せたのなら、奈緒さんも悪いと言えば悪いよな。

大体、アイツにものを頼むなら、そうなる事を前提にして頼まなきゃ、今の奈緒さんみたいになるのは必然。

故に、話を聞いた瞬間から、正直アイツじゃないかな?っとは思ったんだよな。


ったく、あのタコだけは……


まぁ、そんなロクでもないオマエなんだが、今の俺にとっては、最高の女神でもあるんだがな。

但し、奈緒さんを不快な思いをさせたから、お礼は無しだ。


これもまた常識。



「あぁじゃあ、俺が馬鹿秀に聞いてみましょうか?アイツ主催なら、何とかなるかもしれないし」

「えっ?……ほんと?」

「はぁ……まぁ、確信じゃないッスけど。この間の奈緒さん達とのコンパの時、アイツ、急用で帰ったじゃないですか」

「あっ、うん、帰ったね」

「多分、それ、奈緒さんに借りが出来たと思ってる筈ですから」

「へっ?そう……なんだ。でも、私、仲居間さんにはバンドも紹介して貰ったし、アンケートとかもお願いしたよ。……どっちかと言えば、私が仲居間さんに借りがある様な気がするんだけど」

「あぁ、その点に関しては心配しなくても大丈夫ッス。アイツ、そう言うの気にしませんから」

「そうなの?けど……厚かましくない?」

「じゃあ、今からアイツに直接聞きますか?今、アイツ、横浜にいますし」


↑原因はこれだ。


結論から言えば、俺が調子に乗ったのが悪いのは明白だから、その辺は重々承知だ。


でも、俺の気持ちも察してくれ。

別に、奈緒さんの前で良い格好したい訳じゃないんだがな。

好きな子が喜ぶんだったら、つい男なら、そう言う事を自然と言っちまうシーンってあるだろ。


それが『この瞬間だった』ってだけの話なんだからよ。

(↑結論……自爆)



「ほんと……ねぇ、クラほんと?」


しかも、こんなに喜んでくれたら、男だったら後には引けないだろうに。

そう言う悲しい生き物なんだって、男って。


まぁ此処からはダメ元だが、一応、行かない方向での最後の手段は講じる予定だがな。


……どうせ、なんの効果もなく、虚しく終わるんだろうけどな。


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>


崇秀達のライブの準備には行かないつもりだった不良さんなのに、結局行く羽目になりましたね。

この子、ホントアホですね(笑)


まぁでも、彼の言う様に【男心】って物を察してやってください。

ひょっとしたら皆さんも、こういう経験をされてるかもしれませんしね(笑)


さて、そんな状況の中。

なんとかこの状況を打破しようとする不良さんの言葉に、奈緒さんが意外な反応を示します。


一体、次回は、どんな事が起こるんでしょうね?

それはまた、次回の講釈と言う事で(笑)


また遊びに来てくださいねぇ(*'ω'*)ノ

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