●前回のおさらい●
奈緒さんと一緒に居たモスで、何故か不良に絡まれた不良さん。
だが、そのまま騒動を起こしたのでは店に迷惑が掛かりそうなので、外に連れ出した上に、人気のない路地裏に移動したら。
崇秀も何処かで不良に絡まれたらしく、そこに姿を現した。
そして、その後、不良を簡単に撃退し、奈緒さんの元の戻ろうとしたら。
また、その場には新たなる来客が訪れた。
その人物は……『山中』(笑)
モスで絡まれたのだが。
奈緒さんに被害が行ったり、見せに迷惑を掛けちゃいけないと思った俺は、そのアホ共を連れて人気の少ない路地裏に。
だが、そこには!!
アホの崇秀も、不良に絡まれていて、先客として居やがった。
まぁ、こう成っては仕方がないと、2人で迷惑な不良共を掃除したんだが……そこに山中が、不良に絡まれてやってきやがった。
しかもコイツ、7人も馬鹿共を引き連れてきやがって、もぉ馬鹿じゃねぇの?
****
あれから5分経過。
今は動かぬ死体と化した不良の山が13体程、地面に転がってる。
もぉコイツ等がゾンビにでも成らない限り、起き上がって来そうにない雰囲気。
まさに死屍累々だな。
にしても、山中の野郎……
「や~まなか~」
「なっ、なんやねん?なんやねん?なんで急に、ドカベンの岩鬼のモノマネやねん?」
なんとなくだ。
意味もなく、本能的にやってしまった事だから気にするな。
「あのなぁ山中。オマエ、こうやって喧嘩すんのは結構だけどよぉ。無駄に7人も雑魚を引き連れて来てんじゃねぇよ。馬鹿じゃねぇの」
「なんや?モノマネは恥ずかしなったから、もぅ終わりか?つぅ~か、そんな事を言うたかってやな。アイツ等が勝手にゾロゾロ集まって来よってんから、しゃあないやんけなぁ」
「まぁまぁ、良いんじゃねぇの、良いんじゃねぇの。こう言う事も有るって」
「なにが『こう言う事も有るって』だ。オマエ、最後の方なんもしてねぇじゃねぇか」
「おっ、気付いてやがったか。つぅか、いい加減ダリィんだもん」
「死ね……って、イケねぇ!!俺は、オマエ等みたいな暇人を、構ってる暇はねぇんだった!!じゃあな、アバヨ」
冷静に考えたら、こんな悠長にアホ共に構ってる暇はねぇ。
これ以上、奈緒さんをモスで1人で待たすなんて、もっての他だからな。
そんな風に慌てて、この場を去ろうとするする俺に向かって、馬鹿2匹はとんでもない事を言ってくる。
「女狂いが……死ね」
「ピンポイントで向井さんを狙いやがって、己は、シモヘイヘ並みのスナイパーか……死ね」
「うっ、うるせぇわ!!」
ちっくしょう!!
なんなんだ、この異常なまでの口惜しさは……
コイツ等に女の事で、とやかく言われると、此処まで腹が立つものなのか?
大体なぁ、オマエ等に、そんな事を言われる筋合いはねぇよ。
人の事より、テメェ等のその性欲をなんとかしやがれ……そして悔いて死ね。
このチ○コでしかモノを考えられない、淫獣共が!!
「あぁそうだ、そうだ、倉津。オマエ、良かったら、後でライブハウスに来いよ。今、明日のライブの準備やってからさぁ」
「アホか!!誰がそんな危険な場所に行くかよ!!」
「おぉ~~おぉ~~冷たいのぅ。思春期のセクシャル・モンスターは冷たいのぉ」
誰がセクシャル・モンスターだ!!
俺は、そこまで性欲に塗れた爛れた生活なんぞしてねぇわ!!
ってか、んな事を言われても、ぜってぇ~行かねぇかんな!!
誰が好き好んで、んな危険な所に行くかよ!!
馬鹿じゃねぇのか?
***
……行く羽目になった。
何故なんだろうか?
何故、こんな事になってしまったのだろうか?
嫌な予感と言うものは、何故に、得てして、こんなに当たってしまうものなのだろうか?
そう成らない様に、細心の注意を払ったつもりだったんだが……結果は、見ての通りだ。
実は、あの後。
馬鹿共に冷やかされながらもモスに戻って、奈緒さんと、普通に他愛もない話をしていたんだがな。
俺が、ふとした切欠で、またイラナイ事を言ってしまったんだよな。
黙ってさえいれば、あの2人の事は隠し通せたんだが……
勿論、その原因になったのは、ライブに誘う話の途中だ。
「しかしまぁ、空気の読めない奴って言うのにも、困ったもんッスよね」
「うん、そうだね。でも、あの人達って、なんでワザワザ、クラに絡んできたんだろね?」
「さぁ……まぁ敢えて言うなら。タダでさえ少ない脳味噌が塩漬けにでもなって、頭が、おかしくなっちまったんじゃないッスか?」
「プッ……そんな事があるんだ」
「まぁ、不良とかに良くある症状ッスね」
「クスッ、そうなんだ。じゃあ、クラは大丈夫なの?」
「勿論っすよ。俺は、全然大丈夫ッスよ」
「へぇ~~~、でも、どうして?」
「だって俺、脳味噌なんて高級なもの、最初から入ってませんからね。頭の中に有る物と言えば、塩水ぐらいじゃないッスかね」
「なにそれ?クラって、頭の中に塩水しか入ってないんだ。クスクス……」
「ちょ!!奈緒さん笑い過ぎッス」
「ごめん、ごめん」
っとまぁ、俺が帰って来た瞬間は。
こんな風に、どこにでも(?)ある様な極一般的な会話をしていた訳だ。
んで、雰囲気も軽いし。
今こそが、当初の目的の話をするチャンスが再び巡って来たって思った俺は、その場で話を切り出す。
「あの、奈緒さん。それはそうと、明日って暇ッスか?」
「うん、暇だよ。……なに?どうかしたの?」
「実はライブが……」
デートの約束なんかした事のない俺は、此処で急に照れが入る。
「ライブ?ライブかぁ……はぁ~~~」
えっ?えっ?なんか話を振る前なのに、奈緒さんが溜息交じりに急に凹んだな。
なんだなんだ?
ライブでなんかあったんか?
「どっ、どうしたんッスか?」
「んっ?あぁっと実はね。明日、横浜で、仲居間さん主催のライブが有るんだけど。頼んだ相手の手違いで、そのチケットが手に入らなかったのを思い出しちゃってね」
あぁ……それはまたなんとも、神な展開ッスね。
いや、寧ろ、俺を祝福してくれる神様は居られたみたいだな。
その手違いしてくれた間抜けな人……ありがとう。
アンタは、今の所、俺の中で最高神だ。
「そうなんッスか。けど、手違いじゃしょうがないッスね」
「まぁ、そうなんだけどね。……それがね。聞いてよクラ。その手違いって言ってもね。枚数の手違いなのよ。それで『自分は絶対行きたいから』とか言って、自分だけはライブに行く気なのよ。信じられる?」
それって……
「あの、奈緒さん。……ひょっとしてなんッスけど。その頼んだ相手って、樫田の馬鹿に頼んだんじゃないッスよね?」
「そうなのよ。ホント、千尋の奴、腹が立つ」
プンプンなんて効果音が出そうな感じで、お怒りの様だ。
けどまぁ。
こう言っちゃあ、なんなんだが、樫田に任せたのなら、奈緒さんも悪いと言えば悪いよな。
大体、アイツにものを頼むなら、そうなる事を前提にして頼まなきゃ、今の奈緒さんみたいになるのは必然。
故に、話を聞いた瞬間から、正直アイツじゃないかな?っとは思ったんだよな。
ったく、あのタコだけは……
まぁ、そんなロクでもないオマエなんだが、今の俺にとっては、最高の女神でもあるんだがな。
但し、奈緒さんを不快な思いをさせたから、お礼は無しだ。
これもまた常識。
「あぁじゃあ、俺が馬鹿秀に聞いてみましょうか?アイツ主催なら、何とかなるかもしれないし」
「えっ?……ほんと?」
「はぁ……まぁ、確信じゃないッスけど。この間の奈緒さん達とのコンパの時、アイツ、急用で帰ったじゃないですか」
「あっ、うん、帰ったね」
「多分、それ、奈緒さんに借りが出来たと思ってる筈ですから」
「へっ?そう……なんだ。でも、私、仲居間さんにはバンドも紹介して貰ったし、アンケートとかもお願いしたよ。……どっちかと言えば、私が仲居間さんに借りがある様な気がするんだけど」
「あぁ、その点に関しては心配しなくても大丈夫ッス。アイツ、そう言うの気にしませんから」
「そうなの?けど……厚かましくない?」
「じゃあ、今からアイツに直接聞きますか?今、アイツ、横浜にいますし」
↑原因はこれだ。
結論から言えば、俺が調子に乗ったのが悪いのは明白だから、その辺は重々承知だ。
でも、俺の気持ちも察してくれ。
別に、奈緒さんの前で良い格好したい訳じゃないんだがな。
好きな子が喜ぶんだったら、つい男なら、そう言う事を自然と言っちまうシーンってあるだろ。
それが『この瞬間だった』ってだけの話なんだからよ。
(↑結論……自爆)
「ほんと……ねぇ、クラほんと?」
しかも、こんなに喜んでくれたら、男だったら後には引けないだろうに。
そう言う悲しい生き物なんだって、男って。
まぁ此処からはダメ元だが、一応、行かない方向での最後の手段は講じる予定だがな。
……どうせ、なんの効果もなく、虚しく終わるんだろうけどな。
最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>
崇秀達のライブの準備には行かないつもりだった不良さんなのに、結局行く羽目になりましたね。
この子、ホントアホですね(笑)
まぁでも、彼の言う様に【男心】って物を察してやってください。
ひょっとしたら皆さんも、こういう経験をされてるかもしれませんしね(笑)
さて、そんな状況の中。
なんとかこの状況を打破しようとする不良さんの言葉に、奈緒さんが意外な反応を示します。
一体、次回は、どんな事が起こるんでしょうね?
それはまた、次回の講釈と言う事で(笑)
また遊びに来てくださいねぇ(*'ω'*)ノ
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