●前回のおさらい●
何者かによって、トイレで水浸しにされると言う酷い苛めを受けた真上さん。
それに気付いた倉津君が病院に担ぎ込み、一命は取り止めたが。
その犯人に目星がついてる倉津君は、彼女達に対する制裁の仕方を考えていた。
そんな思考をしながら俺が廊下に出たら、由佳や伊藤、それに2-Bの連中が病室の前で集まっていた。
どうやら左右の目の色が違う女子が病院に運ばれたって情報が、上手く全員に伝わったらしいな。
「くっ、倉津君!!王家さんの容態は?大丈夫なの?ねぇ、大丈夫なの?」
そして由佳の奴が、豪い勢いで俺に問い詰めて来た。
「いや、今の処、ヤバイ状況は過ぎたが、絶対に安静なのは変わらねぇな。だから、ちっとは静かにしろ。此処、病院だぞ」
「ごっ、ごめん……でっ、でもさ、なんで王家さんが、こんな目に遭うの?それに誰が、こんな酷い事をやったの?冬場に人を水浸しにするなんて、こんなの普通の神経じゃないよ」
「おい、由佳。そうやって真上さんを心配するのは結構だけどな。オマエだって、散々、木根を虐めてた過去があんだぞ。人の事を言えた義理じゃねぇんだぞ」
「それは、そうだけど。……あたし、そこまで酷い事はしてないよ」
「アホかオマエは?虐めに酷いも糞もあるかよ。やられたもんのとっちゃあ、心であろうが、外傷であろうが、なにかしろの傷が残るのには何も変らねぇの。少しでも真上さんの事を想って可哀想だと思うんなら、今後、虐めなんてツマンネェ真似はすんなよ。続けりゃ、虐めがエスカレートするだけだし、こうなった後じゃ、後味悪いだけだぞ」
「あっ……うん、そうだよね」
木根への虐めの事を、序に怒ってやった。
まぁ今更こんな事をワザワザしなくても、木根と、由佳は、もぅそんな関係からは脱している。
既に、大丈夫そうな雰囲気なんだけどな。
寧ろ妙なコンビネーションすら出来てる様に思える。
「処で倉津君。本当にこんな事を誰がやったの?由佳ちんの言う通り、ちょっと常軌を逸してる、やり方よね」
「さぁな。真上さんが、なにも白状しない以上、真相は全て闇の中だ」
「目星も付かない状態なの?」
「さぁな。それもわかんねぇ。俺と真上さん付き合いは、学校の外での話だからな。そこまで喰い込んだ話はわかんねぇよ」
「『さぁな、さぁな』って、倉津君は口惜しくないの?王家さん、こんな酷い目に遭ってるんだよ」
「あのなぁ、伊藤。オマエも、由佳と同類のアホか?……って言うか、真上さんがこういう時、どう言うかぐらい、もぉオマエ等なら簡単に解んだろ」
「えっ?」
「今の段階でもな。真上さんは、相手の事を微塵も怨んじゃいねぇよ。それどころか、全てを隠して、自分のせいにしちまってるよ」
「そんなの……」
「こんな話じゃ納得出来ねぇだろうがな。本人が、そう思ってる以上、これは他人の俺達が感知すべき事じゃねぇ。後は、当事者同士の問題なんだよ」
ふぅ~~、なんか熱いよな、ウチのクラスの女子って……
これなら、もし青山さん達がダメでも、真上さんにはコイツ等が居るって実感出来るな。
なら、いっその事、真上さんが転校出来る様に手続きでもするかな……それも有効な一手だよな。
「まぁ、取り敢えず、そんな糞みたいな人間がする虐めの話なんか、どうでも良いんだよ。今の真上さんには、みんなが心配してくれて、此処に駆け付けてくれた事実の方が、よっぽど大事だからな。真上さんに、その話をすれば、きっと喜ぶ筈だからよ」
「喜んでくれるかな?本当に王家さん、喜んでくれるかな?」
「当然だろ。みんなが、こうやって仲間として迎えてくれたのが、真上さんにとっちゃあ一番の薬だからな。これからも仲良くしてやってくれよな」
「そうですよね。学校は違うけど、王家さんは、僕達の大切な仲間ですもんね」
「そういうこった。真上さんには嫌な過去なんかより、今の嬉しい現実の方がズッと大事だからな」
ホント、そういうこった。
けど、あれだよな。
今回のクラスの件は、俺にしては驚くほど上手く纏まったもんだな。
それだけに、この反動で、とんでもないドンデン返しが無きゃ良いがな。
(↑上手く行くと不安になる俺)
「まぁ、そんな訳だからよ。俺は、真上さんの意識が戻るまで、取り敢えずは此処に待機してるからよ。なんか有ったら連絡くれ」
「あれ?王家さんのご両親はなの?」
「あぁっとな。真上さんの両親ってのが、ちょっと前に交通事故に遭って、今現在、入院中なんだよ。それに親戚の電番もわかんねぇ状態だから、後で俺の知り合い(武藤)の心当たりに電話してみっけど、この後どうするかは、それ次第だな」
「でも、王家さんの意識が戻らなかったら、どうするのかな?」
「あぁ、その辺については心配すんな。今は、そこまで衰弱してる訳じゃないから、多分、明日の朝にゃ意識が戻るだろうって話だ。此処の医者が、そう言ってたから間違いねぇだろ」
いや、ホントにな。
真上さんって、此処の医者が驚くほど回復力が高いんだよ。
この回復力には、俺も『自己再生機能』でも付いてるのかと思っちまったよ。
「ほっ、良かったなの」
「……って事だからよ。一応で悪いんだが、みんなも安心して家に帰っても大丈夫だ。家族が心配すっから、そろそろ解散しろ」
時間が時間だ。
俺みたいな糞不良でもない限り、クラスの女子が、こんな遅い時間までウロウロしてるのは、あまり好ましくない現象だ。
それに此処に居る全員が、後々芸能界に入って行く訳だから、変な噂もご法度。
故に、取り敢えずでしかないが、みんなを一安心させた所で、全員に帰宅を促す。
「あっ、はい。じゃあ、明日のお昼にでも、改めて、みんなでお見舞いに伺いますね」
「そうしてくれ。……あぁっと、序で悪いんだが、素直。奈緒さんにも宜しく言っといてくれねぇかな?どうも、今日は帰れそうにないってな」
「あっ、はい。わかりました。……じゃあ皆さん、此処は真琴君に任せて、今日の処は、一旦、帰らせて貰いましょうか」
「そうだね。倉津君が居たら、これ以上ややこしい事にはならないだろうし。……王家さんの事、心配は心配だけど、取り敢えず、帰ろっか」
「うん、そうだね。大人数で此処に居ても迷惑掛かるだけだし。じゃあ、私もお言葉に甘えて、倉津君に任せるよ」
「じゃあ、琴美も、みんなと一緒に帰るの。バイバイなの倉津君。また明日なの~~」
「あぁ、また明日なぁ」
( ´Д`)=3 フゥ。
引き上げて行くみんなの姿を見ていると、真上さんにも新しいホットラインが構築されて行ってるのが良く解る。
その証拠に、アイツ等全員がエレベータに乗るまで、ズッと心配そうにコッチを見て居やがるからな。
口では『俺に任せる』なんて言ってても、本心じゃ、此処に自分が残りたくて仕方なかったんだろうな。
ホント、良い感じだ。
さて、そんじゃあ、みんなも帰った事だし、そろそろ俺も本番と行ってみますかね。
なぁ……そこでコソコソ隠れてる青山さん達よぉ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
倉津君が行った『偽装搬送』には、青山さん達をこの病院に呼び寄せる事と。
もう一点、2Bのクラスメイトを集めて『真上さんには新ホットラインがあるんだぞ』って見せ付ける為のものでもあったんですね。
中々の策士ですね(笑)
さてさて、そんな中。
倉津君の計略に見事に嵌り、この病院に気付かれない様に訪れていた青山さん達との対決が始まります。
それがどうなるかは、次回の講釈なのですが。
少しでも興味が湧きましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
読み終わったら、ポイントを付けましょう!