●前回までのあらすじ●
倉津君が2つのバンドを行きかう事で、何故か、激しい口論に成る奈緒さんとステラさん……
倉津君は、この2人を止めれるのか!!
「あの、お2人さん……そろそろやめませんか?」
「「クラ(真琴)は黙ってて(下さい)」」
「あぁ、はい、そうっすね。ウッ……ウッス」
いや、あの、お2人さん……エキサイトされる気持ちは重々承知していますが。
この揉め事の張本人の俺を黙らせて、どうやって、この話を解決するつもりなんッスかね?
それこそ、話が前に進まない様な気がするんですが……如何なもんでしょうか?
それとも、あれッスかね。
これも、なにかの気のせいって奴ッスかね?
「あっ、あの……ちょ、ちょっと待って下さい」
うわっ!!素直の奴、この恐ろしい様な舌戦に、自分の身を投じるつもりか?
おいおい、素直辞めとけ。
お嬢さんのオマエじゃ、絶対、この2人の口には勝てないだろうし、それ以前に、他人を貶める罵詈雑言なんてものは、オマエには絶対に吐けないだろ。
それにな、今、下手に、この2人に触ったら、心に深い傷を負うだけじゃ済まないぞ。
『触らぬ神に祟り無し』って言葉も有るだろ。
だから辞めとけ。
俺は忠告したぞ。
心の中だけど……
「アナタは、確か、真琴の『ただのクラスメイト』の素直さんでしたね。なんですか?なにか御用ですか?御理解頂けてるとは思いますが、今、アナタがこの場で発言すると言う事は、この状況を理解しきってるって事ですよ。もし御理解されていないのなら、口出しは控えて下さい。それともアナタは、ただ口を挟みたいだけの、井戸端会議なんかによく居る、話題好きのオバサンなんですか?」
「あっ、あの、そうじゃなくて」
「そうじゃなくて?じゃあ、なんなんですか?アナタは、この場を借りて、一体、なにを言おうとされているのですか?ハッキリ言ったら、どうですか?それとも、ハッキリ言わないのが日本人の美徳なんですか?相手に伝わらない美徳なんて意味が無いですよ」
「ねぇ、ステラさんだっけ?君ねぇ。人が話をしようとしてる時に、上から話を被せたら喋れなくなる位わかるでしょ。それとも君は、そんな事も知らないの?もし知らなかったんだったら、今、学んだんだから、実行して見せてよ。頭が良いんでしょ君」
「そうですか。わかりました。不本意ですが、今は、アナタの意見を取り上げましょう。では、アナタの言い分通り、素直さんのお話をお聞きしますが、出来るだけ手短に御願いしますよ。それともぅ1つ、必要の無い話題は、出来る限りで結構なので、控えて頂けると有り難いです」
コイツ、なんつぅ~我儘な奴だ。
自分は散々ベラベラ喋るくせに、人の話は『手短に』って……ほんと、スゲェ精神をしてやがるなコイツ。
けど、これは、なにも悪い事ばかりでもない。
1つ違う見解で見た場合、ステラの長所と捕らえる事も出来る。
それが、なにかって言うとだな。
コイツのこの物怖じしないクソ度胸は、恐らく、ライブで役に立つのが明白なんだよな。
必死に口論している奈緒さんや、素直には悪いが、此処は少し……いや、かなり期待出来そうな雰囲気だな。
だったら、いっその事……実力の程はまだ解らないが、ステラと、ジミーを、四の五の言わず、今の俺達のバンドに組み込んだ方が得策なのかもしれないな。
崇秀の話だと楽器の演奏レベルは、俺達と遜色が無いとの事だし。
まぁそれ以前に、解決しなきゃいけない問題が山積みになるだろうがな。
「あっ、はい……わかりました。出来るだけ手短にお話します」
「そうですか。では、御願いします」
おっ!!おっ!!
なんか知らねぇけど、ステラの奴、意外にも素直の話は聞く様子だぞ。
けど……そうなると、なんで奈緒さんの時は一切聞く耳を持たず、イキナリ噛みついたんだ?って疑問が残るな。
謎なので、そこら辺を少し考察してみるか。
今までの状況で、奈緒さんと素直の違いって言えば……
・・・・・・
……あぁ、なんだ、そう言う事か。
答えは、意外なほど簡単なものだった。
結局、このステラって女は、自分の意見さえ通れば、後の事はどうでも良いんだな。
だから、自分に反論した奈緒さんには、研ぎ澄まされた牙を剥き、自分の思い通りにしてくれた素直の話には、無条件で耳を貸す。
冷静になって見れば、なんとも解り易い性格だな、オイ。
けど、こりゃあ、ステラを取り扱う上で最重要事項だな。
忘れない様に憶えとこ。
「あっ、はい……じゃあ」
素直の言葉を皮切りに、彼女が中心になって話が始まった。
しかも、凄い手短に……
「あのですね。僕が言いたい事は1つだけなんです。取り敢えずなんですけど、みんなで、真琴君のお話を聞いたら、どうでしょうか?」
「私は、最初から、そう言ってるんだけどなぁ……この子が、変に突っ掛かって来るから」
「そうですか?でしたら、私も同意見ですよ。アナタが、説明すると言った私の話を一切聞かないから、そうなっただけだと思われるんですが」
「まぁ、言われて見れば、そうなのかなぁ?」
ステラの奴、奈緒さんが、少し考慮した処を素早く付け込み、妙に納得させる。
上手いやり口だな、オイ。
奈緒さ~ん、ステラの奴に、完全に騙されてますよぉ~。
「あの……だったら、取り敢えずなんですけど、真琴君のお話を、落ち着いて聞きましょうよ。その方が、きっと建設的ですよ」
「まぁそうだね」
「仕方が有りませんね。そうさせて頂きましょうか」
おっ、凄いな素直。
なんだかんだ言って、上手く2人を丸め込みやがったぞ。
こいつは、まさかの救世主の出現だ。
でもな、今更ながらなんだが、この話って、翌々聞くと、最終的には俺に振られてるんだよな。
これってよぉ、どんな風に説明をすりゃ良いんだ?
確かに、この状況下でする話と言えば、新しいバンドの話しかないんだが……俺が下手な話し方をすれば、再び『奈緒さんVSステラ』が再燃する訳だろ。
俺には、そんな彼女達を納得させる話をする自信も無ければ、勿論、再燃した場合、その口喧嘩を止める自信も無い。
こう言う意味では、暴力を使えない女の人ってのは面倒臭いよな。
男だったら、ぶん殴ってでも、強引に言う事を聞かせりゃあ良いだけなんだけどな。
こりゃあ大変そうだ。
どうしたもんだコリャ?
まっ、そうは言ってもだ。
俺なんかが出来もしない事を色々思考した所で、出て来るもんなんざクソみたいな解決策しか出て来ない訳だから。
だったら此処は、変に脚色せず、在りのままを話のが一番ベストなんだろうな。
そんな訳で、俺は、先程の出来事を包み隠さず話し始めた。
勿論、先刻言った通り、面白おかしくなんて、器用な真似は出来無い。
最後までお付き合いくださり、誠にありがとうございましたぁ(*'ω'*)
結局、倉津君には止められんせんでしたが。
素直ちゃんのフォローにより口喧嘩は終わり、倉津君が、2バンドを行きかう説明をする羽目に成りましたね。
それが上手く出来るのかは……次回の講釈。
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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