●前回のおさらい●

　崇秀の挑発紛いの行為に熱くなってしまい、またロクデモナイ賭けをしてしまった倉津君。

今度は『アンコールでの女性陣の配置で、キッチリ責任を果たせるか？』っと言う物。

果たして倉津君は、広田君と一緒に、その責務を果たす事が出来るのか!!

(今回は、その多額の賠償金が賭けっています(笑))

「倉津、熱くなんな。今は、そんな事より、観客を待たす方が問題だ。……仲居間、今日は、オマエが指示するべきじゃないのか？」

「それは、オマエが負けを認めたって事で良いんだな。……それなら俺も納得する」

「言葉を発するには、まだ覚悟が足りなかったみたいだ」

「あっそ。じゃあ、それで良いや……けど、言葉を発したら責任が生じる事は忘れんなよ。そうじゃなきゃオマエは他人に騙されて、転落人生を歩む事になるぞ。大人の世界って奴は、汚いもののみで構成されてるもんだからな」

「有り難い。肝に銘じとく」

「んじゃあ、どう構成する？今回の責任は俺がとってやるから、オマエのやりたい放題でやっちまえよ」

「なら、センター向井さん……」

だよな。

「両サイド上条さん・有野。更に両サイド清水さん・樫田さん」

うん？樫田を、そんなにセンターに持って行ってどうすんだ？

アイツは、お笑い担当だぞ。

「後は髪型に合わせて『Fish-Queen』を分割したらどうだ？」

「悪くねぇが、１つ勘違いしてるな。……『Fish-Queen』はバラすより、メインステージでバックダンスをさせた方が、彼女達の魅力が伝わる筈だし、華もあるぞ」

「なるほど。なら、そこはソイツで……勉強になった」

「んじゃあ、そう言う配置でヨロシク広田君」

「それじゃあ、時間が無いので、それでヨロシク」

あれ？いつの間にか話が決まって、俺の話が放置されてね？

つぅか、広田の奴……後で憶えとけよ。

俺はなぁ、オマエの為を思ってだなぁ。

身銭を切ってでも、必死にフォローしてやろうと思ったのによぉ。

このゾンザイな扱いはねぇんじゃねぇか？

俺……アイツ、嫌いだ。

そんな恩知らずの冷血漢広田の脇を、崇秀が小突いて、なにか一言言ってやがるな。

そして、その言葉を聞いた広田は、何故か動揺している。

崇秀の奴、広田に何を言ったんだ？

あの冷血漢に弱みがあるなら、俺にも教えろ。

若しくは、広田自らがボロを出せ。

俺の恨みは恐ろしいぞ。

そんな魔太郎状態な俺を無視して、女子達は、みんな出て行った。

悲しくなったので、魔太郎終了。

そんな悲しい俺を更に放って置いて、武藤が崇秀に話し掛けていった。

なにやら機嫌が悪そうだ。

「オイ、仲居間。俺を、いつまで待たせやがんだ？メス共の出荷が終わって、もぉ用がねぇんなら帰るぞ」

「アホか……自分の仕事の結果ぐらい、自分で見てけ」

「見るまでもねぇよ。……アイツ等全員、受けた事もない喝采を浴びて、簡単に絶頂っちまうんじゃねぇか？」

「ほぉ～～～、そりゃあまた大した自信だな」

「自信じゃねぇよ。これは必然。寧ろ確信だ」

「そっかよ。……んじゃあ、好きにしろ。お疲れさん」

「おっ、じゃあな」

そう言って武藤は、扉に向っていく。

その途中、俺が眼に入ったのか、俺の眼の前で止まった。

なんだ？俺に哀れみでも感じてくれたのか？

「おい、デカブツ」

「なんだよ？」

「オマエ、今度までに、ちょっとはメイク道具の名前ぐらい覚えとけよ。俺の舎弟なんだからよ」

なにを言うかと思えば『メイク道具』を憶えろだと……オマエには、この荒んだ気持ちになった俺の姿が見えないのか？

こんな俺の姿をみたら、普通は、少しぐらい慰めるのが人情ってもんだろうに。

この２人目の冷血漢!!

「誰が覚えるか!!オマエの舎弟は、今をもって終了だ。今度は、もぉ騙されねぇからな!!」

「ぷっ!!そっか、そっか。それは、それで面白いな。んじゃま、また今度、喧嘩しようぜ。……但し、今度、オマエが負けたら、一生舎弟な」

「あぁ良いだろう……その代わり俺が勝ったら、オマエ、女の格好して１日生活な」

「んだ？俺に、オマエとデートでもしろっていうのか？」

「違ぇよ。その格好で、オマエを街で歩かせて、何人の人間が、オマエを男って気付くかテストすんだよ」

「なんだそりゃあ？んな事しても、誰も俺を女だなんて思わねぇよ」

「そいつはどうかな？」

いや、武藤よ……オマエさんは違和感無く、誰にでも女として扱われると思うぞ。

「まぁ良いや。……それは、俺に喧嘩で勝ったらの話だ。オマエにゃあ一生無理だ」

「ほざいてろ」

「オマエがな。……さぁてと、馬鹿をからかった事だし帰るか。じゃあな、デカブツ。またな」

「おぉまたな」

最後に武藤は、悪戯な笑顔を俺に向けて出て行った。

俺は、そんな武藤を見送りながら『そんな悪い奴でもねぇか』っとか思っていた。

『ドキドキ』

ん？なんだ、この胸の高鳴りは？

オイオイまさか……武藤の笑顔を見てドキドキしてんじゃないだろうな!!

いやいやいやいや……無い無い無い無い……俺、ホモじゃねぇし!!

そんな風に俺が１人動揺する中、今度は、龍斗のクソガキが崇秀と話し出す。

「それじゃあ俺も、そろそろ、お暇しますね」

「おぉ、お疲れさん。急に呼び出して悪かったな」

「あぁ全然、大丈夫です。って言うか、寧ろ、良い勉強させて貰いました」

「そっか、そりゃあ良かったな。……あぁそうだ龍斗」

「なんですか？」

「オマエ、まだ時間が有るんなら、ステージの反応だけは見とけよ。どっかの馬鹿みたいに投げっぱなしにするのは良くねぇからな。自分の仕事は、自分の眼で確認するもんだ」

「そうですね。俺は、武藤さん程の自信は無いですから、勿論、最後までステージを見て行きますよ」

「賢明だ。……あぁそれと、序に、雅やんと、今後の衣装の打ち合わせしておいてくれな」

「了解しました。……あぁそうだ、仲居間さん、借りてたＮＳＲのキー返しときますね」

「おぉ、そう言えば、そうだったな。……あぁ、つぅか。なんなら帰りの足に使っても良いぞ。オマエ、今日『足無し』だろ」

バイクの中免が必要な物を、中学生が、小学生にレンタルするって、どういう構図だよ？

つぅか……オマエ等、免許は？

俺と一緒の『特殊免許』(３８話参照)でも持ってるのか？

持ってたな、崇秀は……

「乗って帰って良いんですか？」

「おぉ、構わねぇよ。つぅか、俺、明日にはアメリカ帰るから、その間、オマエに預けとくわ」

「マジで？」

「おぉ、好きに使え。ぶっ壊れるぐらい乗り回しても良いぞ」

「よっしゃあ!!８０`ＳのＮＳＲ乗り廻し決定だ。……おっと、その前に、俺、ステージ見て来ますね」

「おぅ……じゃあ、お疲れさんな」

「お疲れ様です。あっ、倉津のおにぃちゃんもお疲れ様」

「おぅ、お疲れ」

武藤に引き続き、龍斗の餓鬼も出て行く。

そんな状況なので、最終的に此処に残ったのは、俺と、崇秀の２人だけになっちまったな。

けど、なんか女子が出て行っちまったら、なんか控え室がガラーンっとしちまったな。

それに色気が無いから、なんか野暮ったいな。

「オイ、崇秀。……ところで俺は、これからどうすりゃ良いんだ？」

「んあ？オマエは、此処で待機」

「うん？待機？俺は待機で良いのか？」

「あぁ、構わんぞ。今日のオマエの出番は終了してるからな」

はい？

なんでそうなるんだ？

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

崇秀との賭けは、広田君の機転で、何とか回避する事が出来ましたね♪

そして倉津君と崇秀を残したまま、他の出演者はステージへと出て行った。

ですが、最後の最後に、崇秀が口にした『今日のオマエの出番は終わった』っと言う不穏な言葉。

これは一体、何を意味する言葉なのでしょうか？

そして、そんな倉津君の運命は!!

さてさて、序章ラストである湘南ライブも、本格的に佳境を迎えてまいりました。

この後に起こる倉津君の状況が、少しでも気になった方は、また遊びに来て下さいねぇ～～～(*'ω'*)ノ