●前回のおさらい●
崇秀がGUILDを作った真の目的は『不景気からの脱却』だと聞かされ、驚きを隠せない倉津君。
なので崇秀に『オマエ、ゴルゴダの丘で死刑になった記憶とかないか?』とか尋ねてみたら。
それ自体は否定されたのだが『GUILDに宗教的な観点がなかった訳ではない』と言われ……
「どういう事だ?」
「そうだなぁ。例えば、このシステムの浸透性の速さなんてのは、時代を先取りした結果ではあるんだがな。旧態依然のやり方とは違うからこそ、民衆は喰い付いたんじゃねぇか?って話だ。これってな、規模は違うとは言え、モーゼが十戒で大海を割ったパフォーマンスに良く似てないか?」
「はぁ?どこがぁ?」
「要は、この浸透性は奇跡的なんだよ」
「奇跡的だと?」
うん?
「そぉそぉ。今までだとな。バンドや、ミュージシャンの公表の場なんてモノは、ライブハウスか、それに見合ったコンクールとかに参加するしかなかった訳だろ」
「まぁ、そうだわな」
「それを『インターネットって害悪』に載せる事によって、一気に一般化を計った。これこそが、今までに無かった奇跡。色んな国や地域から自己表現が出来。今まで『スカウトを待ってるだけの状態』に比べれば、比較的気軽になった。……これって、民衆にとっては、極自然な変化に見えて、案外、奇跡的な事象なんじゃねぇのか?」
……って事はなにか?
ある程度の実力が有れば。
お気楽に芸能人に成れる環境が整っていたからこそ、GUILDは繁栄した。
そんで、芸能界を目指す者にとって、それは『熱狂する』に値するものだったから、宗教的なやり方って言いたい訳か。
「じゃあ、そう言う熱狂が有ればこそ、宗教的だって言いたいのか?」
「まぁ、それも然りだな。……でもな。ただのランキング・システムだけを構築した処で、そこまでの浸透率は無かっただろうな。俺の持つ全財産をブチ撒け続けながらも、アップデートし続けたからこそ、このシステムは、世の中に有用に成って行ったって話だな」
「それってキリストがパンを作り出して、貧困に喘ぐ民衆に与えたのと似てるって事か?」
「そう言うこった。現状で、芽が出ない奴にとっては、まさにキリストの与えたパン。そのチャンスを掴まない方が、どうかしてるってもんだろ。勿論、有名な奴への忖度なんかも有ったとは思うが。それでも、全員にチャンスは与えてやった筈だからな。そうやって上手くチャンスを掴んだ奴を見れば、自ずと他の人間は勘違いを起こして『俺にも、ひょっとしてタラレバが有るんじゃないか?』って思い、試しに自分もGUILDに登録したくなる。そう言うメリットが掛かる心理的な部分こそが、一番宗教的だったって話だな」
結論から言えば『全てを投げ出す勇気』があったからこそ、成し得た事。
それを見た人間が『信者』の様に、崇秀に群がった。
究極的に利潤のみを追求した、人為的に作られたカリスマ性。
確かに、宗教的では有るな。
けど俺、サイトの立ち上げを、そこまで深くは考えてなかったな。
演奏の上手い奴や、有名な奴さえ居れば、どうにか芸能界を渡って行けると軽々しく思っていた節があったんだが、そんな単純な話でもないんだな。
それだけに勧誘や引き抜きだけでは『万事上手くは行かない』と言う事実だけを突きつけられた気分だ。
大分前(序章・第14話)に崇秀が『真似しか出来無い奴なんぞ、恐れるに足らない存在』だって言うのは、こう言う意味だったんだな。
俺も、所詮は、その1人でしかなかったとって言う事か。
「ハァ……しかしまぁ、オマエって、つくづく頭良いよな」
「そうでもないぞ。こんなもん、本を読んで、それを実践すれば良いだけの事だ。特に難しい事じゃねぇ。……ただ、知ってるか、知らないか。若しくは、知ってて、それを実行に移すか、移さないかだけの差だ。大して頭が良い訳じゃねぇよ」
「そんなもんか?」
「まぁ、所詮はそんなもんだ。失敗さえ恐れなければ、誰にだって出来る。……あぁ因みにだがな。眞子が、オマエサイドに付いてるのは幸運だったな」
「なんでだよ?」
「あのなぁ。アイツは頭も良いし、行動力もあるだろ。それに俺の事をよく理解してる。だから、なにか不安があるなら、今後は、アイツにも相談すれば良い。オマエにとっては、一葉を手に入れたのと同等の価値になる筈だからよ」
それって、サイトのブレーンに成る人間が2人も居るって事?
……って事はなにか。
「じゃあ、俺は、なんなんだよ?結局、俺の立ち位置は、また、お飾りのままか?」
「いや、そうじゃねぇよ。そう考えるのは愚者の考えだ」
「なんでぇ?今のままじゃあ、俺だけ、なんも出来無い子じゃん」
いやまぁ、そりゃあ、なんも出来ないとは言ったものの。
最低限、楽器の演奏は出来る訳だから、本当に何も出来ない訳じゃねぇんだけどな。
モジャや、眞子が、そこまで出来るんだったら……俺、サイトに関わる仕事では、特にする事無くね?
「そうかぁ?まぁ、それならそれで、オマエは『自分のすべき事だけをすれば良い立ち位置に立たせて貰ってる』と思えば良いんじゃねぇか?」
「いや、仮にそうだとしてもだな。それじゃあ、結局は、何の役割にも入ってないんじゃねぇの?」
「違うな。そこもそうじゃなくて、それは『フリーな立場で色んな経験を積んだり、フォロー出来る立ち位置にいる』って解釈すべきだな」
「うん?」
「わかんねぇか?要はな。さっきも言ったが『役割がねぇならねぇで、自身の役割を、自分で探して、自分で作れ』って話だよ。作業分担ってのは、そう言った処から自分が出来る事を探し出して行動に移すもんだからな。そんでフリーな立場なら、それも比較的やりやすくなるんじゃねぇのか?その為に、一葉も、オマエをフリーにしてる筈だしな」
そっかぁ。
俺は、お飾りなんかじゃなく。
それなりに、モジャから何かを期待されてるから、フリーな立場で動けるようにしてくれてるんだな。
まぁ確かに俺は、どうやら、一般人の考えとは違う様なおかしな行動をするケースがあるらしいから。
そう言った面を前面に押し出して、サイトに貢献すればいい立ち位置にいるって事か。
なるほどな。
ただ……仮にそうだとしてもだな。
どうしても、1つだけ気になる点があるんだが……
「そうは言うけどよぉ。オマエは、それらを全部、ほぼ1人でやってきたじゃん」
「それはスペックの差だ。諦めろ」
「がぁ……オマエ、その言いよう、あまりにも最悪だな」
こんな質問した俺が悪いのかもしれないがな。
此処でスペックの話はするなよな。
落ち込んだ気持ちが、余計に凹んで、底無し沼にでも嵌った様な気分になっちまうわ。
はぁ……もぉ余計な事を聞くんじゃなかったよ。
(;´д`)トホホ
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
今回のお話は、少々ややこしい話でしたので、簡潔にお話ししますとね。
まずGUILDが発展した理由って言うのは。
今で言う『所属事務所と契約してるYouTuber』みたいな感じでミュージシャンの登録者を増やし。
そこから運営資金を抜いただけの利益から、色んなイベントを立ち上げ。
どこにも負けない様なサポートを実現させたからこそ、多くの人間が喰い付いた、って話なんですね。
要は『人は、誰かに何かをして貰えるのが好きな生き物』っと言う部分を、上手く突いて崇秀はGUILDを発展させた訳ですね。
……っでまぁ、そんな風に『人に安心感や希望を与える』って部分から宗教的だって話に繋がる訳です。
宗教とは、本来『人に安らぎや、精神的な安定を齎す為にあるもの』であり『多くの人間が協力し合って作り上げていくもの』ですからね♪
それだけに自身の利益や権力、それに保身を考え。
信者に勧誘をノルマ化し、それを修行と言い切り。
信者に不安や、精神的な苦痛を与える様な宗派は、既に宗教とは言えませんがね(笑)
さてさて、そんなやや小難しい話をしてきた中。
それらの行動を、ほぼ1人でやってきた崇秀に対してぶつけた質問で、見事なクロスカウンターを食らった倉津君なのですが。
この後、それに対する崇秀のフォローはないのでしょうか?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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