最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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284 不良さん、崇秀による鮫島の演出の仕方に驚く

公開日時: 2021年11月17日(水) 00:21
更新日時: 2022年12月17日(土) 16:02
文字数:1,669

●前回のおさらい●


 ステージに崇秀が上がり。

その上、8000人からなる観客のリクエストで即興で作った曲を奏でるっと言いだす。


それを聞いた倉津君は、あまりの馬鹿げた発想に驚いていたら。

同じ様に考えていた、奈緒さん親衛隊(自称)の鮫島さんが声を上げた。


すると崇秀は、鮫島さんのイメージソングを即興で作ったらしく、曲を奏でようとし始めた。

「オーライ、オーライ、おまっとさん。……んじゃま、気を取り直して『Blinded by me』行ってみっか!!」

「「「「「おぉぉぉおおぉおぉ~~~」」」」

「……結局、やるのかよ!!」


♪♪--♪♪♪-♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--……


観客の歓声と、鮫島の虚しい言葉と共に、ギターの音色が鳴り響きだす。

そしてそのギターが奏でる音は、いつもの様に脳髄を刺激し、直接、映像を送り込んでくる。


今回の映像内容は、こんな感じだ。



1人のオーディエンスが、1人の歌手に恋をする物語。


そのオーディエンスって言うのは、勿論、鮫島の事で、相手の歌手ってのは奈緒さんの事だ。


……っで曲は、そのオーディエンスが、あるライブで1人の歌手に一目惚れする所から始まる。


彼女の容姿や、歌声は、ライブを見る回数を重ねる事に、男の心に深く食い込んでいく。


当然……恋しくて堪らないオーディエンスは、彼女のライブに行く為に必死でアルバイトをし。

それで、少しでもお金が貯まったらライブに出向き。

それら全てを、彼女の為だけにつぎ込んでいく。


時には、自分の生活すら脅かす程に、つぎ込んでいく程の愚かしさで……


そんな風にしながらも、いつしか時は流れ、その男の部屋には……

『ライブのチケットの切れ端』

『彼女の写真』

『販促品』

……等の彼女のグッズで溢れ返っていた。


それを見て、一瞬『俺、何やってるんだろう?』と、我に返った。


が……男は、それでも辞め様とはしなかった。

自分は、彼女の為に生きてるのだと思い込んでいたからだ。


だが……いつまでも、そんな生活が続けられる筈は無かった。

精神は、なんとか持ち堪えれても、体が日に日に衰弱しているのに気付いたからだ。


再度、男は悩んだ。


①辞めるべきか?

②続けるべきか?


しかし……男は、自分が悩んでいる振りをしている事に気付いた。

結局、悩もうが、何をしようが、男の答えは最初から決まっていた。


②の『続投』


最終的にも、矢張り、男には、それしかなかった。


だが……ここで断っておくが、別に男は、彼女と付き合いたい訳じゃない。

男にとっては、自分の体なんかより、彼女を見守り、笑顔を見る事の方が大事だった。


理由は、ただそれだけ。


再び、決意を固めた男は走り出す。


彼女の笑顔を見る為だけに……


……っと、まぁ、今現在、曲の途中なんだが、そんな感じの映像が脳裏に過ぎった。

(↑崇秀のギターマジックに、最近慣れてきた俺)



まぁ聞いていて、全般的に良い曲なんだが……

この曲名である『Blinded by me』の意味する処は『私に眼を塞がれ』=『盲目』って事だろ。


これじゃあなんか、奈緒さんが、一方的に貢がせてる悪女ッぽく聞こえないか?


それに俺は、鮫島と言う男を多少なりとも知ってるから、なんとも言えないんだよな。

アイツは、そんな紳士的な男じゃない様な気がしてならないんだが……美化され過ぎてねぇか?



そう思って、客席を見回してみると……どうやら、そう考えてるのは俺だけらしい。


他の観客は……いや、正確に言うと女性は、無心で崇秀の曲を聞き入り。

微々たるもんだが、鮫島の好感度が上がってるみたいだ。


まぁ確かに……女性って、こう言う美談的な曲が好きだよな。

普通に聞けば、少し『ストーカー』チックなものを感じる筈なんだが、崇秀の音からは、そんな疑いさえも女性に持たせない。


実際は、奈緒さんに対する俺の言った様な『嫌悪感』が伝わる曲じゃないんだよな。

なんせ、曲のヒロインは、歌を唄う事に必死になってる事が、安に伝わってくるからな。


まさに2人の関係が上手く噛み合ってる曲だ。



ホント、そう言う所を、良く考えて作曲してるな、アイツは……

これで即興だって言うんだから、本気でアイツが曲を作ったら、どんな事になるのか気になり始めていた。



そんな中、5分程の曲は終わる。



……っと思ったのも束の間。

奴が、最後の一音を弾き終わると……



「いつも応援してくれて、ありがとう、鮫ちゃん……」


……って、奈緒さんの声が、スピーカーを通して、客席に響き渡った。


なっ……なんだ?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


相変わらず、崇秀は無茶苦茶な事を平然とやってきましたね。

しかも、かなり鮫島さんを美化した上で、その曲でキッチリと観客を魅了してしまっている様です(笑)


まさに稀代の化け物です。


そして、そんな曲の対象と成った鮫島さんに対して、奈緒さんからの感謝の言葉。

これは一体、何が起きているのでしょう?


この顛末に、少しでも興味が湧きましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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