●前回のおさらい●
倉津君と崇秀の2人が同等だと言う事を、無茶苦茶な理論で納得させられた倉津君。
……っで、その後。
でまぁ、この後も、ちょっとの間、酒を飲みながら。
こんな風に、お互いでクダラネェ軽口を叩いてたんだけどな。
俺は突然GUILDの件で、ある重要な疑問が浮かんだ。
だから、この場を借りて、それを早速聞く事にした。
酒を飲んで、崇秀のアホンダラァの口も軽く成ってるかもしれないからな。
「なぁ、崇秀よぉ」
「んあ?」
「オマエさぁ。さっきの話を聞いて思ってたんだがな」
「おぅ」
「なんか豪く早急に、みんなのレベルアップを狙ってるみたいな雰囲気が漂ってたんだけどよぉ。なんか有ったんか?それとも、なんか目論見でもあるのか?」
「はぁ……なにを言い出すのかと思えば、このトンチキだけは」
「なにがだよ?なんか慌ててる風だから、理由を聞いてるだけだろうに」
「あのなぁ。オマエから見ても、そう見えるんなら答えは簡単だろ。本業が忙しくなるから、趣味で始めた音楽に取り組む時間が少なくなるからに決まってるだろうに」
……はい?
ハッ!!ハ~~~~~イ!!
オイオイオイオイ、コッチこそ、なにを言い出すのかと思えば。
この馬鹿、今、音楽を『趣味だ』ってハッキリぬかしやがったよな。
あれで趣味って……なんちゅう恐ろしい事を口にしやがるんだよ?
「ちょっと待て、ちょっと待て!!オマエ……今、なんつったよ?」
「いや、なにって。俺の本業はあくまで『カット業』だからな。趣味で始めた事を、そろそろ一段落つけ様と思ったってだけの話だろ。だからだな。それを有言実行する為にも。当初の目的を果たして、現役を退こうと思ってるだけだが」
「オマエ……ホント馬鹿じゃねぇの?頭大丈夫か?」
「なんでぇ?GUILDを作った当初の目的が『みんなを撃退して、笑いながら引退する』なんだから、なんもおかしくねぇじゃん」
「いやいやいやいや、おかしいって。明らかに、こんなもんおかしいって。なんで、こんなに成功してるものを、敢えて、破棄する必要が有るんだよ」
「あぁ、そこな。そこはアレだ。ケジメと、メリハリの問題なんじゃね?俺が将来やるべき事が決まってる以上、ダラダラと趣味を続けてても意味がねぇしな」
断言って……しかも、コイツがダラダラなんかしてた光景なんて、一回も見た事もねぇし。
「いや、ホント待てよ。オマエの音楽は、今、世界中に浸透してるんだぞ」
「だから?」
「いや、だからじゃなくてだ。このまま続けて、もっともっと音楽業界を盛り上げていけよ」
「ふむ。……オマエ、それで、本当に良いと思ってる訳?そんなツマラネェ世の中に成って欲しいのか?」
「いやいやいやいや、寧ろ、それのなにが悪いんだよ?オマエの音楽はタイムリーだし。聞いてる者を十分な程に楽しませてる。なにもツマラナクなんかねぇじゃねぇかよ」
「この先10年も、20年も、それが続いてもか?俺の曲だけが、街の中に流れる様な時代に成っても、オマエは、それを受け入れるって言うのか?俺は、そんな自己満足を満たす為だけの時代を生む為に、GUILDを作った憶えはないぞ」
「なっ!!」
自己満足だけじゃなくて、GUILDを作った本当の理由だと?
じゃあ、なにが目的だって言うんだ?
『笑って引退する事』に、そんなに大きな意味があるのか?
「あのなぁ倉津。今さっきも言った処なんだがな。人は争えば争う程、お互いが切磋琢磨して、お互いの才能を限界まで引き出していく生き物なんだよ。……此処までは憶えてるか?」
「いや、まぁ、そりゃあ憶えてるけどよぉ」
「だったら、その争いの場を作る為にGUILDを立ち上げたって言うのに、俺だけが1人勝ちし続けて、なんの意味が有るって言うんだ?」
「へっ?」
「そこで敵意を煽る事は出来ても、心のどこかで『アイツには勝てない』なんて敗北主義的なものが芽生えちまうだけなんじゃねぇのか?」
「いやまぁ、そうかも知れないけどよぉ。そうじゃない奴だって、中には居るじゃねぇか?」
奈緒さんとか、眞子とか……
嶋田さんとか、康弘とか、山中とか……
その中でも特に負けん気の強いステラとか……
その他も諸々に……
「じゃあ、それってよぉ、全体の何%だよ。0,5%にも満たないんじゃねぇの?」
「そりゃあ……そうだけどよぉ」
「まぁ、それが全ての答えだ。心が折れない不屈の闘志を持ってる人間なんて、そんなそんな居やしねぇよ。だったら、世の中を騒がせるだけ騒がして、俺の後釜を狙うチャンスを作ってやった方が、少しは世間の景気もアップするだろうに。……なんと言っても、音楽業界は気軽に入って来れる上に、政治に次いで、動く金がデカイ業界だからな」
景気のアップ?
コイツ……そんな馬鹿げた事まで考えてやがったのか?
「……そんで俺は『永遠に勝てない雲の上の存在』として、世の中に君臨し続ければ良い。それだけでも、音楽をやる奴の最終目標には成るからな。それこそが、GUILDを作った意味。本当の意味での『才能を垂れ流して、人を育てる』って事なんじゃねぇの?」
狂ってやがるな。
コイツだけは、正真正銘、本当に狂ってやがる。
掲げた目標もさる事ながら、コイツの中には、自己利益なんてモノは、全く存在しないのか?
これって、無欲無心であるが故に、人が周りに集まってきて、コイツを成功に導いたって事なのか?
なんだそりゃ?
スケールがデカ過ぎて、意味が解らんぞ。
聖人君主の類かオマエは?
「ハァ……オマエさぁ。ゴルゴダの丘で『貼り付けの刑』にあった記憶とかねぇか?伝説の武器であるロンギヌスの槍で、横腹を数十回突き刺された記憶とかねぇか?」
「そんな記憶は一切ねぇな。……つぅか、ロンギヌスは、それを突き刺した兵士の名前だ。槍の名前じゃねぇよ。あれは後付けだ」
「そっ、そうなんか」
知らんかった。
「まぁつってもな。……ゴルゴダの丘は置いて置くとしても。GUILD内に、宗教的な要素が無かったとは言えないけどな」
ただでさえおかしな事を言ってるのに。
このアホ、また更に、宗教とかややこしい事を言い出しやがったよ。
けど、こうやって崇秀がベラベラと自分の本心を語る機会なんてもんは珍しいから、今の内に色々聞いて置くのも悪かねぇか。
どうやら本気で、酒を飲んで口が軽くなってやがるみたいだしな。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
崇秀は正真正銘のアホでしたね(笑)
ですが、こういうトンデモナイアホが存在するからこそ、世の中面白くなるのも事実。
それこそ不景気な時こそ、保身や自己利益に捕らわれない考えを持った方が、実は逆に儲かったり、景気が良くなったりする訳ですしね♪
なので、崇秀のやってる事自体は、決して間違った事ではないと思います。
まぁ、此処に辿り着くまでには、かなりの綱渡りな部分はあったとは思いますが……
さてさて、そんな崇秀の経営理念に圧倒される倉津君なのですが。
まだこの上『GUILDには宗教的な要素があった』っとか言うややこしい事を言い始めたみたいな様子。
今度は、一体、何を言い出すのか?
次回は、その辺の詳しい事情を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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