●前回のおさらい●
奈緒さんとの更なる話し合いの末。
お互いの愛情が変わっていない事を確認出来た倉津君は、奈緒さんに断りを入れてからキスをしようとした。
だが、一度は納得した筈の奈緒さんが、何故か拒絶反応を!!
何が起こった!!(笑)
「あっ、あの?ヤッパ、こんな女みたいな形じゃ、そう言う気持ちにはなれないッスか?」
「違うの、違うのよ。そうじゃないのよクラ?」
「へっ?」
「私も、君にキスする気は満々だったんだけど。今は、そんな呑気な事をしてる場合じゃないのよ」
どう言う事?
「はぇ?どっ、どうしたんッスか急に?なにをそんなに慌ててるんッスか?」
「今、クラの話に夢中になってたから、スッカリ忘れてたんだけど。千尋がね……千尋が、もう直ぐ此処に来るのよ」
「なっ、なんですと!!寄りにも寄って千尋が来るんッスか!!」
「いや、私も、一応、ちゃんと断ったんだけどね。アイツ、人の話も聞かずに『じゃあ、勝手に奈緒の家で行って待ってるから』とか言って、そのまま電話を切っちゃったのよ。だから、先に千尋が家に来てないか不安になって、慌てて帰って来たのよ。因みに、電話を切る際に『今、家を出た』とか言ってたから、本当に、もう直ぐ来ると思う」
あのマイペース電波女だきゃ。
……自分の電波に感電して死ね!!
なんの恨みがあって、こんなややこしい日を狙ってピンポイントで来るんだよ。
真性の馬鹿じゃねぇのか、アイツは?
「流石に、それはヤバイっすね。どっ、どっ、どうしましょうか?おっ、俺、どっ、どうしたら良いッスかね?」
「えぇっと、えぇっと、そうだねぇ。取り敢えず『無口な子って設定の女の子』で行こ。下手な事を喋らなきゃ、余計なボロも出ないでしょ。ほらほら、例えば、あのマンガに出て来る『綾波ナンチャラ』みたいな感じの子で、どぉ?あんな感じで良いんじゃないかな。……出来るよねクラ?漫画とかアニメ好きなんでしょ」
「いやいやいやいや、奈緒さん。それ、ただのムチャブリ、ムチャブリ!!『好き』と『出来る』は、完全に別物ッスよ」
「じゃあ、素直、素直。あの独特の大人しい感じなら、君も良く知ってるから、なんとか出来るんじゃない?」
「あぁっと、じゃあ、取り敢えず、それで、なっ、なんとかやってみます」
『ガチャ』
「あの……向井さん居られますか?」
ブッ!!
「嘘……こんな時に限って素直まで来ちゃったよ……。あぁ、はい、いっ、居るよ」
「お邪魔しても良いですか?」
「ちょっと待って、素直。今、風呂に入ろうと思ってた所だから、真っ裸なのよ」
「真っ裸!!ごっ、ごめんなさい。変な時に来ちゃって。着替えが終わるまで、此処で待ってます」
ホントにもぉ、変な時に来るんじゃありませんよ、この子は!!
俺が、女ってもんを完全に理解出来るまで、奈緒さん家に来るのは控えなさいっての!!
……って言っても、まさか、俺がこんな状態に成ってるなんて、誰に解んねぇもんなぁ。
しかしまぁ、マジかよ。
「奈緒さん、どうしよう?素直本人が来ちゃったら、アイツの真似なんて出来無いッスよ。キャラ被りも良い所じゃないッスか」
「じゃ、じゃあさ。真上ちゃんで、どぉ?あの子なら100%此処に来る可能性がないから、そこだけは安心だよね」
「まっ、真上さんッスか。……おっ、俺なんかに出来るもんなんッスかね?」
「じゃあ、今の内に1度聞いてあげるから、素直に挨拶する感じでやってみ」
いやいや、突然、真上さんを演じろって言われても……
えぇっと、けど、真上さんと言えば。
上品で物腰が柔らかく、誰にでも優しくって人に気遣いも出来る子。
けど、それに反して、ストイックで頑固な部分がある……こんなの、完全に俺の真逆の性格じゃねぇか!!
出来るかぁ!!
「えぇっと、えっと……すみません。なんも言葉が出ません」
「ほら、もぉ、そんな情けない事を言ってないで、ちゃんと真上ちゃんの雰囲気を思い出して。ほらほら、頑張ってクラ。今は、恥ずかしがってる場合でもないよ」
あぁまぁ、そうだわな。
でもなぁ。
まぁ今は、なんとか、自分のこの姿には納得出来ない也にも、納得出来てる部分があるんだが。
『女子の真似をする』って言うのには、奈緒さんの言う通り、まだかなりの抵抗感があるんだよなぁ。
そんな風に、自身の今の姿に少しは納得出来ても。
奈緒さんの言う通り『恥ずかしさが先行してる』し『元の男の俺が、女の真似をしてる想像が脳裏を過って、どうしても気持ち悪い』とか言う気持ちがこびりついてて、真上さんの物真似しようにも出来ない状態なんだよな。
まぁでも、そうも言ってらんねぇか。
取り敢えずは、今の自分の女の姿を思い出しながら、それに真上さんの雰囲気を重ねて、今は頑張ってみるしかねぇよな。
今の見た目と、真上さんの性格は、かなり相性は良さそうだしな。
あぁもぉ、やってやるぜ!!
「あぁはい。そうっスよね。……えぇっと、あの、じゃあ、こんな感じで『あっ、はじめまして、倉津眞子です』」
でも、幾ら相性が良かろうが、頑張ってみようが、矢張り、出来ると出来ないは別問題。
俺なりに、必死に真上さんの物真似をしてはみたものの。
その完成度は『ただの棒読み』でしかなかった、っと言う無様この上ない結末。
……うぅ、矢張りハードルが高い。
なのに奈緒さんは……
「うんうん、良いじゃないそれ。すっごく真上ちゃんっポカったよ。OKOK。それなら大丈夫大丈夫。完璧だよクラ完璧」
……って言ってくるんだよな。
超いい加減だよ、この人。
真上さんの真似も糞もねぇ、ただの棒読みの挨拶しただけなのに……それを完璧って。
けどまぁ、今は、そんな奈緒さんの言葉を信じて、真上さんの物真似を続けるしかねぇわな。
元々、奈緒さんの言ってた事は尤もだし、俺の真似が完璧であろうとなかろうと、千尋はやって来るだろうし、現に素直がもぉ玄関先に居る。
こうなったらもぉ、自分が真上さんだと言う深い暗示を掛けてでも、この場を乗り切るしかねぇわな。
勿論、そんな器用な真似をやり切る自信はねぇけど……
なので……
―――もぉ誰でも良いから、助けちくり!!
……っと、そんな風に困り果てて、俺の脳裏にそんな言葉がよぎった瞬間。
突然降って湧いた様に、直接頭の中に、誰かが囁いてきた。
なんだ?
『真琴ちゃん……この場は私に代わって……私が上手く切り抜けてあげるから……』
へっ?
はっ、はい?
誰?誰だよオマエは?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
倉津君、苦戦してますね(笑)
まぁでも、これも倉津君みたいな生き方をしてきた人間にすれば、かなり難しい事。
なんとか、今の自分の姿には納得出来ても、此処から更に『女子の真似をする』って言うのはハードルが高いと思います。
ですが、やらなければTHE-ENDなのも事実。
みんなに正体がバレてしまっては、ある意味、もっと悲惨な未来が待ってますからね。
なので、此処は頑張るしかないのです!!
……あぁでも、それはそれとして、倉津君は気付いてるのかなぁ?
真上さんの物真似が出来る、出来ないは別としても。
今の姿(浜辺美波さん似)に、真上さんの性格を足したら、メッチャヤバい事に成る事を……(笑)
まぁ良いか。
さてさて、そんな中。
困り果ててる倉津君の脳裏に、なにやら怪しい声が!!
一体、この声の正体とは、なんなのか?
そして、この声の主は、倉津君にとっての救世主と成るのか?
それは勿論、次回の講釈。
少しでも、この声の正体が気に成りましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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