最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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377 んな訳ねぇじゃん💦

公開日時: 2022年2月18日(金) 00:21
更新日時: 2022年12月27日(火) 14:42
文字数:3,867

●前回のおさらい●


 比較的、揉め事も無く順風満帆に進む文化祭の準備。


そんな中、カジ君と一緒に音楽室での練習をしに行く途中。

外国人不法労働者の現状を知らされる事に成った倉津君だったが。

そんな事よりも、大問題な『田中奈緒美(奈緒さん)』の事情を聞いて来られて、困る倉津君であった(笑)

 ……ってか、そんな人物は存在しません。

それ故に、多分、恐らくは、一生探し続けても見つかりません。

それに今日の奈緒さんは、3DAYSライブが終わった所だから、疲れて家で寝てると思います。


故に校内では、どうやっても見つかりません。


つぅか、なんちゅう面倒臭い事を聞いて来るんだオマエは!!



「さぁな。俺もクラスまでは知らねぇな。まぁ、アイツとは昔からの付き合いだから、手伝ってくれてる様なもんだからな」

「ふ~~~ん。なんか隠して無いよな」

「なんで、隠す必要があるんだよ?そんな意味ねぇだろ」

「まぁなぁ。けど、あれだけグチと2人で探し回っても見つからねぇってのは、ちょっと不思議な話だよな。それに、1年のクラスの奴に聞いたら、全員が『そんな奴は知らない』って言うのは、どう言うこったろうな?」


オイオイ、チミ等は、なにを探し廻っ取るのかね?

奈緒さんの『魅了の魔眼』にやられて、惚れちまったのかい?


まぁまぁ、その気持ちは解らんでもないが、何所をどう探しても絶対見つからないぞ。


何度も言うが、田中奈緒美は架空の人物だからな。



「俺に、そんな事を聞かれても困るんだがな」

「ふ~~~ん。まだそうやって隠すんだな」

「いや、だから、なんも隠してねぇって」


この様子じゃあ、流石に薄々なんか感づいたか?


もしそうならば、この場では、果てしなく惚けるしか、俺には方法がないんだがな。



「あのさぁクラッさん」

「なんだよ?」

「昨日、実はさ。俺1人で、向井奈緒って子のツアーライブに行って来たんだよな」


げっ!!少しだけなら誤魔化せると思ったが、その発想はなかった!!


ってか、一番バレて欲しくなかった部分じゃねぇかよ。


こうなったら仕方が無い、まずは軽く話を逸らそう。

この場合、そこから話題を変換して行くしかないしな。



「あぁ、あの即完したライブか。良くチケットが手に入ったな」

「まぁまぁ、そこは別に良いんだよ。問題はそこじゃない」


ハイ、ダメでしたぁ。


全く逸れません。



「じゃあ、なんだよ?」


先に言っておくが、某はポーカーフェイスは苦手でござるぞ。

そうやって追求されると、今にも表情が崩れそうな勢いでござる。


けど、カジが、こんな事をワザワザ聞いて来るって事はだな。

ひょっとして奈緒さん、なにかモロにバレる様な真似したんじゃねぇだろうな?


まぁ、あの人に限って、そう言う隙は見せないと思うんだが、どうにもカジの様子がおかしい。


やな予感。



「いやな。これは、偶然だとは思うんだがな。その向井奈緒って子が、あの例のヴィンテージギターのM-80をライブで使用してたんだよ。……あれって、奈緒ちゃんじゃないのか?」


ぶっ!!奈緒さ~~~ん!!

なに不用意な真似をしてくれてるんッスか!!

あれ程、地元のライブでは『M-80を使わないで下さい』って言ってたのに……


もぉ、あの人だけは……



「ふ~ん。そっ、そうなんだ。けっ、けど、あれじゃね?M-80が珍しいって言ってもよ。ぜっ、全然、流通して無い訳じゃないんだろ。だったら、オマエの言う通り、偶々なんじゃねぇの?」

「あっそ、まだ惚けるんだな」

「とっ、惚けちゃいねぇよ。……だっ、大体なぁ。向井奈緒って言やぁ。今、神奈川で一番ホットなアーティストだぞ。そんな人が、こんな糞学校にワザワザ遊びに来ると思うか?普通に考えても思わねぇだろ」

「まぁ、それは正論だな。けどよぉクラッさん。あのM-80、明らかに田中奈緒美が持って行ったギターだぞ」

「……なっ、なんで、そう思ったんだ?」

「そりゃあ、ピックガードは付いてないし。ロッコーマンが輸入してた時のもんなんか、殆ど、日本には現存してないからな」

「やっ、やけに詳しいんだな。カジって、そんなにギターに詳しかったか?」

「いいや、グチがそう言ってただけだ」


あの楽器薀蓄野郎だきゃあぁ~~~。

そんなツマンネェ講釈を垂れてる暇が有るんだったら、下手糞なんだから、もっと練習しろつぅの!!


なんで、そう言う所だけ目敏いかなチミは?



「いやいやいや、仮に現存数が少ないとしてもよぉ。無い訳じゃねぇだろ。それにピックガードなんざ、使ってりゃ割れる事だってあるしよ。だから、それも偶然だよ偶然」

「ほぉ、まだ隠すか?」

「いや、なんも隠してねぇし」

「あぁっそ。じゃあ、こう言う証拠は、どうだ?」

「なっ、なんだよ?」


証拠が、まだ有るんッスか?

もぉいい加減、庇い切れないレベルになってきたぞ。


俺の脳漿には、塩水に葉緑体が一個入ってるだけなんだから、少しは容赦しろ。

じゃないと、しまいにゃあ、脳内の物が全て蒸発して、俺の普段からボケてる思考が、より一層に呆ける事に成るぞ。


それになにより『詮索屋』は嫌われるぞ。

(↑誤魔化すのは無理かな?っとか、思い始めてる証拠)



「田中奈緒美と、向井奈緒のギター演奏が、全く同じだったんだが。これも気のせいか?」


がぁ~~~!!そこですか!!


確かに、奈緒さんのベース及びギターの弾き方は、少し変ってる。

なんてったって彼女は、変態ギターリストの『仲居間一門』だからな。


あのクソッタレ師匠が、変な弾き方を奈緒さんに教えたもんだから、弟子の奈緒さんにも、演奏に特徴が付いちまってる。


矢張り、これは、ちょっと言い逃れがし難い話だぞ。



「偶々だ」

「オイオイ、たった、それだけのセリフで誤魔化す気かよ?正気の沙汰じゃないぞ」

「ダメか?」

「ダメか?って……認めちゃったよ、この人」

「いやいやいやいや、認めてねぇし。んな訳ねぇし」


認めねぇよ。


認めちまったら、色々ややこしくなるから、絶対に認めねぇよ。


ダメでも、最後まで抵抗しちゃうよ。



「あぁそぅ。じゃあ、決定的な証拠を出すしかねぇな」

「なっ、なんだよ?決定的な証拠とかねぇし」


無理ですよ。

これ以上の証拠を挙げられたら、もぉ100%無理ですよ。


頭が、パーティ用のクラッカーみたいにはじけ飛んで……『脳味噌パァ~~~~ン』になって、涎垂らしながら、機能が停止しちまうぞ。



「つぅかな、クラッさん。もぉ隠さなくって良いって」

「なんも隠してねぇし」

「あのなぁクラッさん。クラッさん、元々、向井奈緒と一緒のバンドでやってたじゃん。それが一番の証拠だよ」


ノォォォォオオオォオォォ~~~~!!


そこか?そこなのか?

それって、俺と、奈緒さんの根底じゃねぇかよ!!


しかも、なんでコイツが知ってんだYO?

(↑心でラップを刻んで壊れる俺)



「いや、なんで、そんな事を知ってるんだ?」

「ネットだよネット」

「『ネット』だと?」

「あぁ、昨日な。向井奈緒のライブに感動したから、家に帰ってから、直ぐに『向井奈緒・過去ライブ』で検索したんだよ。そしたら、クラッさんがナイフをブッ刺された映像がいの一番に出てきたんだよ。だったら、これ以上の証拠なんて無いだろ」


……あれか。


しかし、4ヶ月も前の素人バンドのライブ映像が、未だに流れてるんだな。


まぁ、この辺はだな。

奈緒さんや素直、それに嶋田さん・山中の影響が大きいんだろうけどな。


なんてたって、あの後、直ぐに全員が芸能界入りだもんな。


そりゃあ話題にもなって、映像にも残ってるか……


バンドの中で、俺一人だけ取り残されて、哀しいです。

(↑真上さんの真似)



「ハァ~~~~……もう、そこまで知られたんじゃ、どうにもならんな」

「うん?」

「その通りだよ。ただ、絶対に、この話は誰にもすんなよ。オフレコなオフレコ」

「やっぱり、そうか!!初めて演奏を聞いた時から、おかしいとは思ってたんだよ。道理で上手い筈だ」

「いや、ホント、黙っててくれな。これ以上騒ぎになるのは、マジ、勘弁だからな」

「OKOK。俺もスッキリしたから、これ以上は詮索しない。……しかし、マジで向井奈緒だったとはな。驚いたよ。聞いてみるもんだな」

「うん?なんだよ、その反応?今までの奴って、単にヤマを張ってただけか?」

「あぁ、まぁ、絶対的な確証は無かったな。けど、それに近い証拠なら、もぅ1つ有ったけどな」

「因みに、なんだよそれ?」


最後の隠し玉って奴だな。


しかし、これ以上なにが有るって言うんだ?

まさか奈緒さん、また俺の知らない所で、なんかやらかしたのか?


全く、あの人だけは……



「いや、クラッさんさぁ。この間の真上ちゃんの件の時、山中に『奈緒さん』って言ってたじゃん。あれでピンっと来たんだよ。っで調べたら、こう言う結果になったんだよ」

「・・・・・・」


……すんません。


どうやら、根本的な部分からして奈緒さんのせいじゃなく。

この件がバレた要因は、基本的に『僕の側』に問題があったんッスね。


疑って、さ~せんした。



「っで、今日は、奈緒ちゃん来ないのか?」

「多分、家でへばってるんじゃないか。昨日までの3DAYSライブで、性も根も尽き果ててる筈だからな」

「あぁ、確かにそうだな。あれだけ全力でライブやってりゃ、疲れ果てもするわな」

「だろ」


その時『トントン』っと、俺の肩を叩く奴がいた。


・・・・・・


まっ、まさか、このパターンから言って、奈緒さんじゃねぇだろうな?


・・・・・・


いやいやいやいや、そんな筈は無い。

カジの言う事や、俺の推測が正しければ。

奈緒さんはライブで疲れて寝てるか、若しくは、あの人の事だ、平然とした顔をして学校に行ってるかのドッチかだ。


故に、この『トントン』の犯人は、グチ辺りが順当なラインだろう。



俺は、そう確信した上で振り向いた。


すると『プスッ』っと、誰かの人差し指が俺の頬に突き刺さる。



オイオイオイオイ、まっ、まさか、この展開は……


これ以上、多方向に問題を拡大させんじゃねぇよ……もぉ辞めてくれよぉ(´;ω;`)ブワッ


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


前回のお話で、何気に言ってしまった倉津君の『奈緒さん発言』こそが、カジ君に疑念を持たせ。

「田中奈緒美の正体を調べる」事の発端に成っていた様でしたね(笑)


倉津君は、相変わらずのアホですね。


ですが、この程度の事で『多方向に拡大する嵐』に成らない事は明白♪

まだまだ倉津君の受難は続きます(笑)


でも、それは次回の講釈。

なので、良かったらまた遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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