最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

256 不良さん、誰かに膝枕をして貰う

公開日時: 2021年10月20日(水) 00:21
更新日時: 2022年12月13日(火) 13:11
文字数:3,378

●前回のおさらい●


 素直ちゃんムニュ事件を解決する為に。

倉津君の顎を狙いすましたかの様に、綺麗に打ち抜くステラさん。


そうやって意識を刈り取られる倉津君だが。

最後の抵抗で、素直ちゃんの手ブラを拝みながら意識を失うのであった(笑)

 ……意識が回復してきたのは、前回同様、柔らかいものの上に寝転がった状態だった。


此処は以前のパターンと同じなら、奈緒さんの膝枕といった所だろうが……今回は恐らく違う。

さっきの出来事の後だから、事の発端を作った奈緒さんは俺と顔を合わせずらいだろうし、素直も恥ずかしさのあまり、恐らく此処には居ない。


なので、順当なラインで考えれば。

まぁ……椿さん辺りが俺を心配してくれて、此処に残ってくれていると考えるのが正しい判断だろう。


それを確かめるべく、意識が復活した俺は、ゆっくりと目を開け始めた。



すると、意外な事に……



「漸く、目が覚めましたか、ポンコツ?」


……っと、意外にも、最初に眼に飛び込んできたのはステラの顔だった。



「ステっ、ステラ?……なっ、なんで、オマエが此処に残ってるんだよ?」

「ハァ、わかりませんか、ポンコツ?」

「あぁ、まだオマエに頭を綺麗に揺すられて、まだ頭がボォ~っとしてやがるからよ。悪いがイマイチ状況が把握出来ねぇな」

「そうですか。では、深く考える必要は有りません。これはただの成り行きですよ」

「そっ、そうか」


ホントにステラの奴、どういうつもりなんだよ?


コイツが、俺の為に膝枕までしてくれるなんて……一体、どういうこった?



「それはそうと真琴」

「なんだよ?」

「先程の一撃は、頭にダメージを残していませんか?」

「いや、完全に残ってるな……あれだけ綺麗に入ったら、体の方も、早々には動いてくれねぇよ」

「そうですか。ならば緊急事態だったとは言え、それは申し訳ありません」


あぁ……そう言う事な。

ステラの奴、俺を殴った事に責任を感じて、此処に残ってくれたんだな。


そんなもんぐらい、俺はなんとも思ってねぇのに。


コイツも大概、責任感の強い奴だよな。



「あぁ、別に気にしなくて良いぞ。こんなのは日常茶飯事だしな。……それよりオマエ、俺なんか腿に乗っけてて、足が疲れてねぇか?」

「ご心配には及びませんよ。先程の出来事から、それ程、時間が経過してる訳では有りませんからね。……この程度、気に止めなくても結構ですよ」

「そうなんか?なんか悪いな。……あぁけど、もしあれだったら、別に、俺をバスのシートに置いても良いぞ」

「そうですか?……あぁですが、私の腿の方が、バスのシートよりかは幾分クッション性が高いと思われますから、このままでも良いですよ。……それともシートの方が良いですか?」

「いや、どうせなら、ステラの太腿の方が100倍良いな。オマエの膝枕なんて、これを逃したら一生味わえなさそうだしな」

「そうですか。なら、無用な心配をせず、早く回復して下さいな。その方が、私の疲労も少なくて済みますからね」


そう言ってステラは、俺の頭に乗っている冷やしたタオルを一旦取り。

慣れた手つきで、その場にある洗面器で1度濡らし、再度、冷えたタオルを俺の頭の上に置く。


しかもステラは、俺を寝転ばしている下半身をほぼ動かないままで、そんな行動をした。


ふむ……こうやって見ると、ステラってホント良い女だよな。

口は悪いが、意外な程に優しいし、誰よりも人一倍気を使う奴だしな。


まさかとは思うけど……此処までしてくれるって事は、マジで、俺なんかに惚れてたりするのか?



「なぁステラ。……オマエってさぁ、ひょっとして、マジで俺の事が好きだったりする?」


なんて聞いてみた。


まぁ、この後ボロカス言われるのを覚悟しなけりゃならねぇけど、確かめて置くのも悪かねぇだろう。



「好きですよ。病院で初めて逢った時から、そうハッキリと申し上げたと思いますが……どうして、今更、そんな事を聞くんですか?」

「へっ?」

「私が、アナタを好きではいけませんか?」

「いや、ほら、だってよ。俺には、奈緒さんって彼女が居るしよ。オマエなら、それこそ、男なんざ選り取り見取りなんじゃねぇの?」

「そうですね。アナタの言われる通り、選り取り見取りですが……それがなにか?」

「いや、だったらよぉ、なんで俺なんかに拘る必要がある?選り取り見取りの野郎から選んだ方が良くね?」

「そうですね。確かに、私の好みの男性が、その中に居れば、その選択肢も有り得るかも知れませんね。ですが、そんな人物が居ない以上、自分が好きな相手にアタックするのは当たり前なのではないですか?……私の見解ですが、人を好きになるっと言う感情は、その相手の為にだけ有るものですから、他の方が、私になにを言われても、そこに意味なんてないモノだと捉えていますが。……如何ですか?」

「あぁまぁ、確かにそうだわな」

「ですよね」

「けどよぉ。なんでオマエに、そんなに好いて貰えるのか、俺にゃあ、よくわかんねぇな」

「それは、意味を求めていると言う事ですか?」

「まぁ、平たく言ゃあ、そういうこったな」


女のこう言う感覚だけは、ホント、よくわかんねぇんだよな。

だってよぉ、ステラは放って置いてもモテる女なんだから、別に俺なんかに拘る必要なんか、どこにも見当たらねぇんだよな。


そりゃあよぉ、奈緒さん同様、俺がステラを受け入れたって言うのが1つの要因だって事ぐらいは解ってんだぞ。


だからと言ってだな。

それだけの為に、ワザワザ俺なんか相手にしなくても良いんじゃねぇの?


『俺レベルの男』=『友達で良いか』とか、普通はそう思うもんだと思うんだけどなぁ。



「そうですねぇ。敢えて、解り易く言うなら『懐の広さ』……ですかね」

「懐の広さだと?……いやいや、待て待て、だったら、俺なんかより、崇秀の方が、数十倍デカイ様な気がするんだが」

「そうですね。確かに、仲居間さんの懐は、ポンコツのアナタなんかより数十倍大きいですね」

「だったらよぉ。その理屈おかしくねぇか?」

「そうですか?別に、おかしくはないと思いますが」

「いや、おかしいだろ。だってよぉ、単純に懐のデカイ奴が好きなら、崇秀の方が向いてるって事なるじゃんかよ」

「あぁ……少し違いますね。あの人の懐の大きさは、個人に向いてるものではなく、全員に向いてるもの。噛み砕いて言えば、あの人の視点は、全て仕事に向いているって言っても過言じゃないんですよ。それを証拠に、仲居間さんは、人を人として見ない傾向も見受けられます。あの人にとっての他人とは、所詮、商品でしかないんですよ」


いや……流石に、これは酷い言われ様だな。

確かに奴は、そういう面を持ち合わせてる部分が多々見受けられるが、本心から、そんな事を思う様な酷い奴じゃない。

現に今回の事にしたって、俺に難癖文句は付けるにしても、無償で、この企画を立ててくれている。


だからステラは、崇秀に対して酷い誤解をしている。



「おいおいステラ。今更、俺が、こんな事を言うのも変だけどな。アイツは、そんな奴じゃねぇぞ」

「そうかも知れませんね。ですが、仲居間さんは、そうじゃないとも言える一面もお持ちじゃないですか?」

「まぁな。アイツの心理状態ってのは一般人には解り難いし、付き合いが長くないと解らねぇ所だらけだからな。まぁそういう風に捉えられても、別段おかしくはないな」

「では、真琴は、違うとおっしゃりたいのですか?」

「そう言うこった。……実際アイツは、他人の事バッカリしてる様な奴だし。幾ら自己利益が、そこに含まれてるからと言っても、普通は、そこまでしねぇだろ」

「まぁそうですね。間違ってはいませんね」


少し納得したみたいだな。



「それにな。……アイツの人生は、一見すると、一切の無駄が無い様に見えるが。その実、結構、無駄だらけなんだよな。……っでだ。アイツのスゲェ処は、その無駄な部分を、あの手、この手で上手く排除して、全て自分の身にしちまう。そんなんだからアイツは、果てしなく効率良く見えるだけなんだよ。だからアイツは、決してそんな奴じゃない。此処だけは断言出来る」

「友人に対して、真琴は熱いんですね」

「いや、友人と言うよりは、あの異様な生物に関してはだけは『タダの腐れ縁』だ。けど、付き合いが長い以上、俺が少しぐらい理解してやらねぇと、救いが無いからな」


まぁ格好を付けて、そんな事を言ってる訳なんだが……実際は、俺なんかが、あんな化物染みた奴の思考を100%理解するなんて奇跡は、ほぼ不可能。


下手すりゃ、一生掛けても20%理解出来れば御の字じゃねぇか。



「ぷっ……本当に熱いんですね」


うん?なんでオマエは、そこで笑うんだ?


……ってオイ!!


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


倉津君と、ステラさんって、意外と仲が良いんですよね♪

そして、時折ステラさんが見せる楽しそうな表情にドギマギする倉津君。


……大丈夫ですかね?(笑)


さてさて、そんな中。

2人の会話は、まだ少し続いて行くのですが、次回は、どんなお話をするんでしょうね?


気に成りましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート