最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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720 肩慣らし

公開日時: 2023年1月27日(金) 00:21
文字数:1,875

●前回のおさらい●


 ツアー最終日。

誰よりも早くライブハウスに入っていた眞子は、崇秀と共に、リハーサル間感覚で軽くライブを始める事に。


さてさて、眞子はこのツアーでの成長を見せる事が出来るのか?

 店のスタッフの方しか居ない貸し切り状態で、私と、崇秀はステージに上がった。


観客は、店のスタッフの方以外、誰も居ない、ひっそりとしたライブの始まりだ。



「眞子。んじゃあよ。イキナリ曲に入るのもなんだから。まず肩慣らしに『B♭(ビーフラット)』でジャム(即興)ってみっか」

「OKOK、なんでもござれですよ」


えぇっと『B♭』ってのは、コードの事ね。

ほんでそこから、3コードを使って、即興音楽を奏でようって話。


まぁ、ある程度の決まり事みたいなものは有るんだけど。

大体は適当に弾いて、その範囲で音楽を楽しもうって話だね。



「はいよ。んじゃま、一足先に、観客の居ないGUILDライブ始めるっとすっか。此処からは『Show must go on』だ。ステージの幕が上がったんだから、最後まで止まんなよな」

「アイアイサー!!そっちこそ、止まんなよ♪」

「委細承知。ノンストップで行くぜ!!」


知~~~らないっと。

もぉ誰が来ても、そう簡単には止まってあげないんだからね。


寧ろ、崇秀と私の間に誰か入って来れるものなら、入って来てみろってんだ!!


『共鳴音楽B♭レゾナンス+ブーストON』


全力全開!!


私の出来る限り最高の音が、崇秀の届きます様に……


イッケエェェェェ~~~~!!



-♪-♪--♪-♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪……

-♪-♪--♪-♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪……


うんうん……


良いね、良いね。

やっぱ、良いよねぇ♪

こんな事を言っちゃあ、ホランドさんには凄く失礼に当たるんだけど……


この崇秀のギターは、全てを包み込む様な音は、どこの誰よりも最高に良い音なんだよねぇ~~~!!


恐らく此処まで、私の音を理解してくれてる演奏者は、きっと世界中を探してもいない。


兎に角、適当に弾いてるだけなのに気持ちが良すぎるよぉ~~♪



「ほぉ。取り敢えずは、レゾナンスを、ある程度使いこなした上に、アメリカのツアーで『ブースト』まで身に付けたか。……なら、俺もサービスで面白いものを聴かせてやるよ『Charity(慈愛)』」


-♪-♪--♪-♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪……


えっ?


なにこれ?


どう言う事?

曲調が全く変わってないって言うのに、音の本質が完全に変わった?


ホント、なにこれ?


こんな事どうやってるの?

ハードな曲を奏でてる筈なのに『まるで聖母様に抱かれてる』様な感覚……本当に、なにこれ?



「んじゃま、出し惜しみ無しに次だ。『Modesty(上品)』……オマエの心の中にある、本当の上品さを目覚めさせてみろ」


-♪-♪--♪-♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪……


えっ?えっ?

また違った音の本質が、崇秀のギターから奏でられている。


今度はなに?


雑に弾いてる訳じゃないんだけど、今の自分の演奏が酷く大雑把な音の感じる。


これじゃあダメだ。

折角、崇秀と弾いてるのに、私の音は、なんてミットモナイ音なんだろ。


もっと丁寧に……それで居て激しく弾かないと居た堪れない気分になってきた。


こんな音じゃ、全然ダメだ。


もっと崇秀に合わせた音を作らなきゃ……


『この演奏自体の意味が無くなっちゃう』



なら……

私は出来る限り正確に、上品で、それでいて激しくベースをかき鳴らした。



-♪-♪--♪-♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪……


まだまだ、行ける筈!!



「ほぉ、女性らしくも、激しい良い音になってきたな。まさに『女性の激情』だな。なら、もぉ少しの間、このまま継続させてみっか」


-♪-♪--♪-♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪……

-♪-♪--♪-♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪♪♪-♪♪♪--♪--♪……


あっ……今度は特に変化を加える事無く、気持ち良く演奏させてくれてる。

それにしても、こんなに試行錯誤しながら楽しい音楽を奏でたのは、いつぐらいぶりだろう……


気持ち良過ぎて、肩慣らしなのに……意識が吹き飛んで倒れそうだよ。


……まいったなぁ。


全米45箇所ツアーをこなして。

少しは上手くベースを弾ける様になったつもりではいたけど、この調子じゃあ、まだまだ崇秀の足元にも及んでなかったみたいだね。


ホント……この男だけは。

あれだけ忙しい日々を送ってるって言うのに、まじでまいっちゃうよ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


軽い気持ちで始めた前哨戦だったのですが。

矢張り崇秀は、どんなに忙しくても常に進化を遂げている様ですね(笑)


侮れない男です(笑)


……っとは言え、この程度は、まだまだ序章。

この後、一体、どんな前哨戦ライブに成って行くのか?


それは次回の講釈。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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