●前回のおさらい●
ツアー最終日。
誰よりも早くライブハウスに入っていた眞子は、崇秀と共に、リハーサル間感覚で軽くライブを始める事に。
さてさて、眞子はこのツアーでの成長を見せる事が出来るのか?
店のスタッフの方しか居ない貸し切り状態で、私と、崇秀はステージに上がった。
観客は、店のスタッフの方以外、誰も居ない、ひっそりとしたライブの始まりだ。
「眞子。んじゃあよ。イキナリ曲に入るのもなんだから。まず肩慣らしに『B♭(ビーフラット)』でジャム(即興)ってみっか」
「OKOK、なんでもござれですよ」
えぇっと『B♭』ってのは、コードの事ね。
ほんでそこから、3コードを使って、即興音楽を奏でようって話。
まぁ、ある程度の決まり事みたいなものは有るんだけど。
大体は適当に弾いて、その範囲で音楽を楽しもうって話だね。
「はいよ。んじゃま、一足先に、観客の居ないGUILDライブ始めるっとすっか。此処からは『Show must go on』だ。ステージの幕が上がったんだから、最後まで止まんなよな」
「アイアイサー!!そっちこそ、止まんなよ♪」
「委細承知。ノンストップで行くぜ!!」
知~~~らないっと。
もぉ誰が来ても、そう簡単には止まってあげないんだからね。
寧ろ、崇秀と私の間に誰か入って来れるものなら、入って来てみろってんだ!!
『共鳴音楽B♭レゾナンス+ブーストON』
全力全開!!
私の出来る限り最高の音が、崇秀の届きます様に……
イッケエェェェェ~~~~!!
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うんうん……
良いね、良いね。
やっぱ、良いよねぇ♪
こんな事を言っちゃあ、ホランドさんには凄く失礼に当たるんだけど……
この崇秀のギターは、全てを包み込む様な音は、どこの誰よりも最高に良い音なんだよねぇ~~~!!
恐らく此処まで、私の音を理解してくれてる演奏者は、きっと世界中を探してもいない。
兎に角、適当に弾いてるだけなのに気持ちが良すぎるよぉ~~♪
「ほぉ。取り敢えずは、レゾナンスを、ある程度使いこなした上に、アメリカのツアーで『ブースト』まで身に付けたか。……なら、俺もサービスで面白いものを聴かせてやるよ『Charity(慈愛)』」
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えっ?
なにこれ?
どう言う事?
曲調が全く変わってないって言うのに、音の本質が完全に変わった?
ホント、なにこれ?
こんな事どうやってるの?
ハードな曲を奏でてる筈なのに『まるで聖母様に抱かれてる』様な感覚……本当に、なにこれ?
「んじゃま、出し惜しみ無しに次だ。『Modesty(上品)』……オマエの心の中にある、本当の上品さを目覚めさせてみろ」
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えっ?えっ?
また違った音の本質が、崇秀のギターから奏でられている。
今度はなに?
雑に弾いてる訳じゃないんだけど、今の自分の演奏が酷く大雑把な音の感じる。
これじゃあダメだ。
折角、崇秀と弾いてるのに、私の音は、なんてミットモナイ音なんだろ。
もっと丁寧に……それで居て激しく弾かないと居た堪れない気分になってきた。
こんな音じゃ、全然ダメだ。
もっと崇秀に合わせた音を作らなきゃ……
『この演奏自体の意味が無くなっちゃう』
なら……
私は出来る限り正確に、上品で、それでいて激しくベースをかき鳴らした。
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まだまだ、行ける筈!!
「ほぉ、女性らしくも、激しい良い音になってきたな。まさに『女性の激情』だな。なら、もぉ少しの間、このまま継続させてみっか」
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あっ……今度は特に変化を加える事無く、気持ち良く演奏させてくれてる。
それにしても、こんなに試行錯誤しながら楽しい音楽を奏でたのは、いつぐらいぶりだろう……
気持ち良過ぎて、肩慣らしなのに……意識が吹き飛んで倒れそうだよ。
……まいったなぁ。
全米45箇所ツアーをこなして。
少しは上手くベースを弾ける様になったつもりではいたけど、この調子じゃあ、まだまだ崇秀の足元にも及んでなかったみたいだね。
ホント……この男だけは。
あれだけ忙しい日々を送ってるって言うのに、まじでまいっちゃうよ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
軽い気持ちで始めた前哨戦だったのですが。
矢張り崇秀は、どんなに忙しくても常に進化を遂げている様ですね(笑)
侮れない男です(笑)
……っとは言え、この程度は、まだまだ序章。
この後、一体、どんな前哨戦ライブに成って行くのか?
それは次回の講釈。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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