●前回のおさらい●
奈緒さんの願いを叶える為、必死に好感度アップを目指す倉津君。
そして、女子としての座り方1つにも拘り、素直ちゃんの前で『トンビ座り』を披露するが……彼女からの評価は如何に!!
「あっ、眞子ちゃん、とんび座りするんですね」
「えっ?珍しいですか?」
ワザとですがね。
「あの……うん、最近じゃ、あんまり見ないかなぁ。僕もあまりしないし」
「そうなんですか……。あぁ、やっぱり、田舎者と、都会の人じゃ感覚が違うのかもしれませんね」
「あっ、あっ、あぁ、でも、凄く可愛いですよ。あっ、あの特に、眞子ちゃんみたいな可愛い子がやったら、可愛さ倍増ですよ」
「そんな事……。私なんて、素直ちゃんに比べたら、ただの田舎者ですよ」
思ってもいませんけどね。
いや、しかしなんだねぇ。
女の子同士の『褒め合い』って、結構、疲れるな。
ほぼ無限ループじゃん。
あぁだからか。
これが正しいのか、どうかまでは解んねぇけど。
『女の人』って『女友達』が煩わしいって言う意見が多いのはこのせいなのかもな。
今、妙に実感した。
正直言って、確かに、これはちょっと面倒臭いな。
……あぁ、イカンイカン、面倒臭がってないで、好感度UP・好感度UP。
『ガチャ』
……っと、俺が面倒臭さを感じ始めた時。
誰かが玄関のドアを開け、ドタドタ音を立てて廊下を渡ってくる。
まさか、これは……
「奈緒ぉ~~~、お腹空いたぁ~~~。なんか食べるもん頂戴ぃ~~~」
来た!!
ついに、呼んでもないのに、世界一傍迷惑な電波生物がやって来やがった!!
高性能衛星受信型電波女チヒロンだ!!
つぅか、この馬鹿、人の家に来て、第一声目が『腹減った』かよ!!
女らしさの欠片もねぇな。
……あぁけど。
女の子女の子してる素直に比べたら、千尋の馬鹿は、奈緒さん同様、比較的、男性寄りの思考の持ち主だから、素直よりかは会話がやり易いかもな。
ある意味、コイツの登場は『良い所へ来てくれたもんだ』って解釈するべきなのかもしれん。
「あっ、こんにちわ、樫田さん」
「おっ、素直じゃん♪おねぇさん、お腹空いちゃったから、なんか食べさせて……プリーズ、プリーズ」
「なにが『プリーズ、プリーズ』よ。いつまでも人に頼ってばかりしてないで、偶には、自分で料理ぐらい作りなさいっての」
「なぁんだ、奈緒居るんじゃん。お腹空いた。なんか作って」
「外にある、雪が解けた泥水でも飲めば」
泥水って……
酷ぇ……
「じゃあ、飲むから汲んで来て」
プッ!!飲むんかい!!
ってか、オマエがショウモナイ事を言うから、今、一瞬、笑いが噴出しそうになったわ!!
今の俺には、完全にない方向のキャラクターになる所だったじゃねぇかよ!!
ほんとコイツだけは、油断も隙も有ったもんじゃねぇな。
まぁけど、これだけ一変して空気を変えれるって事は、それだけ強力なカリスマ性を持ってる証拠なんだろうけどな。
それが残念な事に、お笑い芸人のカリスマ性ってのが、女としては悲しいよな。
ホント……いつまで経っても、残念な生き物だなオマエ。
「あのねぇ、千尋。初対面の人間も居るんだから、ちょっとは大人しくしろっての」
「えぇ~~~、良いじゃん、別に。……なんか食べさせてくれたら大人しくするからさ。奈緒、なんか作ってよぉ~~~」
「あっ、あの、樫田さん。僕が作って来たケーキなら有りますけど」
「マジで!!ねぇねぇ、それって素直が、いつも作って来てくれる奴?」
「あっ、はい、そうです。良かったら、どうぞ」
「助かったぁ~~~。素直は、奈緒のケチ臭い鬼ババァとは大違いだよ。良い子だねぇ~~……じゃあ、そう言う事で、いただきま~~す」
「鬼ババァって、アンタねぇ……」
なんだか訳がわかんねぇ内に、千尋の馬鹿は、バクバクとケーキを全部食べちまった。
酷ぇ……
***
「あぁ、満足した。素直、ありがとうね。……じゃあ、帰ろっかな」
「最悪……アンタ、ホント、なにしに来たのよ?」
「なにって。今日は、家に両親が居ないから、奈緒の所に、ご飯をご馳走になりに来ただけに決まってるじゃん。それ以外、なにが有るって言うのよ?」
「アンタ、ホント一回死んで、餓鬼地獄にでも落ちたら?」
「やぁ~よ。今さっきも餓死寸前だったんだから、それは遠慮しとく」
相変わらず、ふてぶてしい奴だな。
まぁつっても、これが千尋たる所以だから、しょうがねぇけどな。
だが、奈緒さんに『鬼ババァ』って言った暴言だけは訂正しろ。
こんな女神様みたいな人に、なんて失礼な事を言うんだオマエは!!
「ねぇ、素直」
「あっ、はい、なんですか?」
「悪いけど。この豚、不燃ゴミと一緒に捨てて来て」
うわっ!!千尋の事を『豚』とか言っちゃったよ奈緒さん。
そりゃあ、あんまりだよ。
確かに千尋は、どうしようもない馬鹿だけど、一応、女の子なんッスよ。
豚って言ってやるのは、流石に酷過ぎるでしょうに……
第一コイツ、そんなに太ってないッスよ。
「ブゥ……奈緒ちゃん、捨てないで欲しいだブゥ。奈緒ちゃんのご飯が食べたいブゥ」
はい?
「えっ?」
「もぉ……コイツだけは、ホント、懲りないんだから」
「じゃあ、諦めて、なんか作ってくれんの?」
「はいはい、もぉ作ってあげるわよ。眞子、夕飯の買い物行こ」
うぉ!!ここでまさかの俺がドラフト第一指名ッスか?
買い物に行くなんて、これまた急に、ハードルの高い事を言い出しましたね。
……あぁ、でも、まぁ良いか。
どうせ、早かれ遅かれ、この形で、いずれは外には出る事になるだろうし。
それに今なら奈緒さんが一緒に行ってくれるんだから、安心感倍増な上に、ちょっとしたデート気分さえも味わえる。
序に言っちまえば、この形に対しての世間の反応ってのも見れるだろうしな。
そう考えりゃあ、奈緒さんと一緒に買い物に行くのも悪かねぇやな。
なぁ~~んて言いながらも、流石に、ちょっとドキドキしてますがね。
「あっ、はい。じゃあ、お供させて戴きます」
「うん?……奈緒、ちょい待ち」
へっ?
なんか知らんが、アホの千尋に、奈緒さんが引き止められたぞ?
この期に及んでなんだ?
・・・・・・
あぁ……そう言う事か。
千尋の奴、ご飯を作って貰う上に、買い物まで行って貰ったら、流石に悪いと思ったんだな。
なんだなんだ、千尋の奴も、結構、気を使うんだな。
もし、そうなら見直したぞ。
……って、それで本当に合ってるんだろうな?
千尋の雰囲気から言って、なんか、そうじゃない感が漂ってる様な気がするのは俺だけか?
嫌な予感。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
とうとうやって参りました、電波怪獣チヒロン!!
ですが千尋ちゃん自身は、男女問わず、比較的普通に接する子なので。
倉津君にとっては、かなりやり易いタイプの子の筈なのですが。
矢張り、同姓しか居ないと思うと、いつも以上に本能が丸出しに成ってますね(笑)
自分で書いてて、イキナリ一声目が『奈緒、お腹空いた』は、流石にどうかとは思いましたけどね。
さてさて、そんな中。
素直ちゃんの持って来たケーキを1人で食べてしまうと言う暴挙の後。
まだ、お腹が満たされないのかして、奈緒さんの手料理を要求してきた千尋ちゃんなのですが。
その買い物に行く前に、何故か、奈緒さんを引き留めた。
これは一体、何を意味するのでしょう?(笑)
それは次回の講釈。
続きが少しでも気になりましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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