最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

553 第二の刺客・電波怪獣チヒロン見参!!

公開日時: 2022年8月13日(土) 00:21
更新日時: 2023年1月11日(水) 14:57
文字数:2,511

●前回のおさらい●


 奈緒さんの願いを叶える為、必死に好感度アップを目指す倉津君。

そして、女子としての座り方1つにも拘り、素直ちゃんの前で『トンビ座り』を披露するが……彼女からの評価は如何に!!

「あっ、眞子ちゃん、とんび座りするんですね」

「えっ?珍しいですか?」


ワザとですがね。



「あの……うん、最近じゃ、あんまり見ないかなぁ。僕もあまりしないし」

「そうなんですか……。あぁ、やっぱり、田舎者と、都会の人じゃ感覚が違うのかもしれませんね」

「あっ、あっ、あぁ、でも、凄く可愛いですよ。あっ、あの特に、眞子ちゃんみたいな可愛い子がやったら、可愛さ倍増ですよ」

「そんな事……。私なんて、素直ちゃんに比べたら、ただの田舎者ですよ」


思ってもいませんけどね。


いや、しかしなんだねぇ。

女の子同士の『褒め合い』って、結構、疲れるな。


ほぼ無限ループじゃん。


あぁだからか。

これが正しいのか、どうかまでは解んねぇけど。

『女の人』って『女友達』が煩わしいって言う意見が多いのはこのせいなのかもな。


今、妙に実感した。

正直言って、確かに、これはちょっと面倒臭いな。


……あぁ、イカンイカン、面倒臭がってないで、好感度UP・好感度UP。


『ガチャ』

……っと、俺が面倒臭さを感じ始めた時。

誰かが玄関のドアを開け、ドタドタ音を立てて廊下を渡ってくる。



まさか、これは……



「奈緒ぉ~~~、お腹空いたぁ~~~。なんか食べるもん頂戴ぃ~~~」


来た!!

ついに、呼んでもないのに、世界一傍迷惑な電波生物がやって来やがった!!


高性能衛星受信型電波女チヒロンだ!!


つぅか、この馬鹿、人の家に来て、第一声目が『腹減った』かよ!!

女らしさの欠片もねぇな。


……あぁけど。

女の子女の子してる素直に比べたら、千尋の馬鹿は、奈緒さん同様、比較的、男性寄りの思考の持ち主だから、素直よりかは会話がやり易いかもな。


ある意味、コイツの登場は『良い所へ来てくれたもんだ』って解釈するべきなのかもしれん。



「あっ、こんにちわ、樫田さん」

「おっ、素直じゃん♪おねぇさん、お腹空いちゃったから、なんか食べさせて……プリーズ、プリーズ」

「なにが『プリーズ、プリーズ』よ。いつまでも人に頼ってばかりしてないで、偶には、自分で料理ぐらい作りなさいっての」

「なぁんだ、奈緒居るんじゃん。お腹空いた。なんか作って」

「外にある、雪が解けた泥水でも飲めば」


泥水って……


酷ぇ……



「じゃあ、飲むから汲んで来て」


プッ!!飲むんかい!!


ってか、オマエがショウモナイ事を言うから、今、一瞬、笑いが噴出しそうになったわ!!


今の俺には、完全にない方向のキャラクターになる所だったじゃねぇかよ!!


ほんとコイツだけは、油断も隙も有ったもんじゃねぇな。


まぁけど、これだけ一変して空気を変えれるって事は、それだけ強力なカリスマ性を持ってる証拠なんだろうけどな。

それが残念な事に、お笑い芸人のカリスマ性ってのが、女としては悲しいよな。


ホント……いつまで経っても、残念な生き物だなオマエ。



「あのねぇ、千尋。初対面の人間も居るんだから、ちょっとは大人しくしろっての」

「えぇ~~~、良いじゃん、別に。……なんか食べさせてくれたら大人しくするからさ。奈緒、なんか作ってよぉ~~~」

「あっ、あの、樫田さん。僕が作って来たケーキなら有りますけど」

「マジで!!ねぇねぇ、それって素直が、いつも作って来てくれる奴?」

「あっ、はい、そうです。良かったら、どうぞ」

「助かったぁ~~~。素直は、奈緒のケチ臭い鬼ババァとは大違いだよ。良い子だねぇ~~……じゃあ、そう言う事で、いただきま~~す」

「鬼ババァって、アンタねぇ……」


なんだか訳がわかんねぇ内に、千尋の馬鹿は、バクバクとケーキを全部食べちまった。


酷ぇ……


***


「あぁ、満足した。素直、ありがとうね。……じゃあ、帰ろっかな」

「最悪……アンタ、ホント、なにしに来たのよ?」

「なにって。今日は、家に両親が居ないから、奈緒の所に、ご飯をご馳走になりに来ただけに決まってるじゃん。それ以外、なにが有るって言うのよ?」

「アンタ、ホント一回死んで、餓鬼地獄にでも落ちたら?」

「やぁ~よ。今さっきも餓死寸前だったんだから、それは遠慮しとく」


相変わらず、ふてぶてしい奴だな。

まぁつっても、これが千尋たる所以だから、しょうがねぇけどな。


だが、奈緒さんに『鬼ババァ』って言った暴言だけは訂正しろ。

こんな女神様みたいな人に、なんて失礼な事を言うんだオマエは!!



「ねぇ、素直」

「あっ、はい、なんですか?」

「悪いけど。この豚、不燃ゴミと一緒に捨てて来て」


うわっ!!千尋の事を『豚』とか言っちゃったよ奈緒さん。


そりゃあ、あんまりだよ。


確かに千尋は、どうしようもない馬鹿だけど、一応、女の子なんッスよ。

豚って言ってやるのは、流石に酷過ぎるでしょうに……


第一コイツ、そんなに太ってないッスよ。



「ブゥ……奈緒ちゃん、捨てないで欲しいだブゥ。奈緒ちゃんのご飯が食べたいブゥ」


はい?



「えっ?」

「もぉ……コイツだけは、ホント、懲りないんだから」

「じゃあ、諦めて、なんか作ってくれんの?」

「はいはい、もぉ作ってあげるわよ。眞子、夕飯の買い物行こ」


うぉ!!ここでまさかの俺がドラフト第一指名ッスか?

買い物に行くなんて、これまた急に、ハードルの高い事を言い出しましたね。


……あぁ、でも、まぁ良いか。

どうせ、早かれ遅かれ、この形で、いずれは外には出る事になるだろうし。

それに今なら奈緒さんが一緒に行ってくれるんだから、安心感倍増な上に、ちょっとしたデート気分さえも味わえる。

序に言っちまえば、この形に対しての世間の反応ってのも見れるだろうしな。


そう考えりゃあ、奈緒さんと一緒に買い物に行くのも悪かねぇやな。


なぁ~~んて言いながらも、流石に、ちょっとドキドキしてますがね。



「あっ、はい。じゃあ、お供させて戴きます」

「うん?……奈緒、ちょい待ち」


へっ?

なんか知らんが、アホの千尋に、奈緒さんが引き止められたぞ?


この期に及んでなんだ?


・・・・・・


あぁ……そう言う事か。

千尋の奴、ご飯を作って貰う上に、買い物まで行って貰ったら、流石に悪いと思ったんだな。


なんだなんだ、千尋の奴も、結構、気を使うんだな。


もし、そうなら見直したぞ。



……って、それで本当に合ってるんだろうな?

千尋の雰囲気から言って、なんか、そうじゃない感が漂ってる様な気がするのは俺だけか?


嫌な予感。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


とうとうやって参りました、電波怪獣チヒロン!!


ですが千尋ちゃん自身は、男女問わず、比較的普通に接する子なので。

倉津君にとっては、かなりやり易いタイプの子の筈なのですが。

矢張り、同姓しか居ないと思うと、いつも以上に本能が丸出しに成ってますね(笑)


自分で書いてて、イキナリ一声目が『奈緒、お腹空いた』は、流石にどうかとは思いましたけどね。


さてさて、そんな中。

素直ちゃんの持って来たケーキを1人で食べてしまうと言う暴挙の後。

まだ、お腹が満たされないのかして、奈緒さんの手料理を要求してきた千尋ちゃんなのですが。


その買い物に行く前に、何故か、奈緒さんを引き留めた。


これは一体、何を意味するのでしょう?(笑)


それは次回の講釈。

続きが少しでも気になりましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート