●前回のおさらい●
カラオケスペースで、嶋田さん達に今後の説明をされた倉津君。
そんな話をしていたら、突然、扉が開いた。
『カチャ』
「すみません。突然の来訪、お邪魔とは思いますが、少しの間、匿って頂けませんか?」
そんな風に扉がゆっくり開いて、突然、ステラが部屋に入って来たんだが……なんかステラの部屋の入って来かたって『匿ってくれ』って雰囲気じゃないよな。
普通、こう言う時って『ガチャ!!』って勢い良く扉を開けて、もっと慌てて入って来るもんなんじゃないのか?
「なんやステラ、どないしてん?」
「あぁ実はですね。向こうで、奈緒が張り切り過ぎて、少し収拾が付かない状態になってるんですよ。ですから、少し時間を置こうかと思いまして」
「奈緒ちゃんがか?……また、豪い珍しい事があったもんやな」
「よっ、お疲れさん。調子はどうだ?……って、ステラ?オマエ、こんな所でなにやってんだ?俺同様サボりか?」
今度は、両手に差し入れを持って、サボりに来た崇秀が入って来た。
「いえ、少し奈緒にペースを乱されたもので、休憩がてらコチラの様子を窺いに来ました」
「あっそ……じゃあ、休憩中、非常に申し訳ないんだが、向井さんと、アリスを此処に呼んで来てくれねぇか?サボり序に、俺も最終チェックすっからよ」
「相変わらず、人使いの荒い方ですね。……まぁ、良いですけどね」
崇秀により、逃亡場所を無くしたステラは、奴の言葉に従いトボトボと出て行く。
けど、奈緒さん……張り切るって言ってたけど、ステラがあの様子だと、みんなが奈緒さんのペースに付いて行けないんだな。
ホント、変な所でトコトン不器用だな、あの人は。
「さて、コッチの出来の方は、どうだ?上手く行ってるか?」
「まぁ、可もなく不可もなく……ボチボチと言ったところだね」
「なるほど……嶋田さんの、その口振りだと。倉津の馬鹿がなんか疑問を持って、質問攻めにしてたってところッスね」
「まっ、大凡そんな感じだね」
「OKOK。それで問題なし、問題なし。此処までは俺の予想の範疇だ。解らない事は嶋田さんに聞けって言ったのは、元々俺だしな。馬鹿津が必死になって、嶋田さんに質問するのは、なにもおかしな事じゃない」
……オマエなぁ。
そうやってエスパーなのは、結構だがな。
それは些か、ちょっとやり過ぎの域なんじゃねぇのか?
確かになぁ、俺は馬鹿だから、人より疑問が多いよ。
んで、疑問に思った事は、出来るだけ早く解決しないと気になって先に進めねぇよ。
まぁ、それを知ってるからこそ、オマエが、この時間を取ってくれてんのも、よく解ってる。
けどよぉ……時間ピッタリって、どういう事だよ!!
俺、どんな『サトラレ』だよ!!
別に良いけどよぉ……此処まで来たら、せつねぇつぅの。
***
こんな感じで俺は、結局の所、練習する時間すら与えて貰えず、崇秀の最終チェックが始まる訳だ。
んで、この後、奈緒さん・素直を皮切りに、入れ替わり立ち代り女の子達が、この部屋に入って来て、曲の『音程』や『感情の入れ方』等を、崇秀が入念にチェックが行い、各曲、視聴用のCDを1枚1枚製作。
彼女達が出て行った後に、崇秀が更にチェックする。
こんな風に、ドンドンと時間が過ぎて行く訳だ。
ハァ~~~、疲れる。
……なんて思ってる暇もなく、次のミッションが、俺に与えられる。
何かって言えばだな。
『6枚分のCDジャケットの製作』だ。
何所で、そんな事を知ったのかは知らないが……突然、なんの脈絡も無しに崇秀の奴、俺のイラストでCDジャケットを作れって、言い出しやがったんだよ。
勿論『そんな簡単に書けるかぁ!!』って反抗したら『オマエ、10分で絵が描けるって、誰かに言わなかったか?』って言い返された。
―――この件に関しての犯人は、どうやら奈緒さんらしい。
あの横浜のMACで言った事を、崇秀に丸々言われたんだから、ほぼ間違いない。
仕方が無く、イラストをヘコヘコと懸命に描いてみるが……『手抜きだな』とか『これでオマエのイメージ通りなのか?』とか言われて、散々扱き下ろされた上に、下絵の段階で、数回の渡って『没』にされる。
泣く泣く俺はイラストを描き続けた。
これだけで、既に約4時間が費やされ。
今現在の時間は、既にPM11:00過ぎになっている。
けど、そんな事がありながらも、モノクロでのペン入れを終了。
その後、一応の完成品を、わざわざ崇秀の居るべき場所に持って行ってやったら。
奴は何所かに行って居らず、そこに居たモサモサ頭のヤル気の無さそうなにぃちゃんに渡す羽目に成った。
けど、その完成品を、そのにぃちゃん渡した瞬間……
『はいよ、お疲れさん。飯ならアッチに置いてあるから勝手に喰えってさ……チッ、ってか、まだあんのかよ』
……っと、ありがたくもない舌打ちを頂く。
一瞬、このなんとも言えない横柄な態度に、ぶん殴ってやろうかと思ったんだが……この様子から言って、コイツも俺と同類、崇秀の馬鹿に無理な注文をされてる人間だと悟り、殴るのは辞めにしてやる。
んで、お互いの不幸に合掌。
んな訳で、ソイツのモサモサ頭を拝んだ後。
此処で、やっと飯に有りつけたんだが……当然、こんな時間には、みんな食事が終わっていて、此処には誰も居ない。
1人の寂しく、モソモソと、おかしな音を立てながら食事する事になった。
しかも、その食事って言うのが酷いもんで……糞冷えたハンバーガーと、溶けたシェイクだぞ!!
『モソモソ』って、さっきの音は、パンのモソモソした感じを表現した音だった訳だな。
でもな、一言だけ言わして貰ったらだな。
あんなに頑張ったって言うのに、この食事は有り得ねぇだろ!!
そんな風に心の中で不平不満を垂れながらも、冷えたハンバーガーと、溶けたシェイクを完食。
腹が満たされた満腹感と、昼間の遊びで、少し疲れが溜まっていたせいか、此処で少しウトウトし始める。
だが、矢張り、世の中は、そんなに甘くはない。
その瞬間には、突然、崇秀が部屋に入って来て……
『おっ!!手空きの野郎が居やがった。倉津、東京まで物を取りに行くぞ』
……っと、矢鱈と元気な声で、またしてもロクデモナイ事を言い出す。
―――俺には、既に反論の元気はない。
俺は奴の指示に従って、東京方面まで車を走らせる羽目になる。
この時点で、俺と奈緒さんの4日目は終了。
今日の最後の方では、彼女である奈緒さんの顔すら見た記憶すら無い。
なにこれ?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
やる事満載な倉津君。
次から次へと、崇秀に用事を言いつけられていますね。
まぁでも、これは仕方がない事。
元を正せば、崇秀に物を頼んだのは倉津君なのですから、こうなってしまうのは然りですからね。
所謂、自爆と言う物です(笑)
さて、そんな中、次回は、崇秀と一緒に何か物を取りに行く様ですが……どこに行くんでしょうね?
それは次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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