●前回のおさらい●
ダイエットの成功を『倉津君のお陰だ』と言いたいが。
表現が素直に出来ない木根さんは『悪い魔法使いの呪いを解いて貰った』っと言ってくる。
倉津君は、そんな表現を面白いとは思うが、逆に本気でダイエットを頑張った木根さんをキッチリ褒めたいとも思い始めていた。
「ちぇ、なんだよ、それ?じゃあ、俺が持って来たダイエットってのは、結局、なにも関係なかったって事かよ。はぁ~~あっ、こんな事なら、真面目にするんじゃなかった。女子扱いした以外、なんも役に立てなくて悪かったな」
「えっ?そうじゃないもの。これは全部、倉津君のお陰だもの」
「だから、なんでそうなんだよ?魔法が解けただけで綺麗に為れるんなら、俺の話なんて、どこにもねぇじゃんよ。あぁ~あっ、木根にはダイエットなんて、最初から必要なかったんだな」
「・・・・・・」
言い様が無くなったみたいだな。
おっし!!なら、此処でトドメだ!!
「なぁ、木根」
「なになのかな?」
「いや、これは、俺の個人的な話なんだがな。ちょっと聞いてくれるか?」
「うっ、うんなの」
「実は、俺って奴はな。オマエの事を『悪い魔法が掛かってた』なんて、どうしても思いたくねぇみたいなんだよ」
「どうしてなの?悪い魔法使いじゃダメなのかな?」
「いや、悪かねぇよ。寧ろ、面白いとも捉えられる。けど俺な、スゲェ馬鹿だし、どうしようもない不良だけどよぉ。最低限ではあるんだが『人の役には立ちたい』とは思ってんだよ。そんでよぉ、俺が何かしてやった事が切欠になって、何かの影響をソイツに与えて、努力で生まれ変わったりしたら、スゲェ嬉しかったりするんだよな」
「・・・・・・」
「だから、さっき役に立てなくて悪かったな。……って、言ったんだよ」
親切を押し売りしてみた。
だからオマエは、俺に押し売られた親切を、大人しく騙されて買え!!
何故なら、俺が、これ以上には上手く言えないからだ。
空気を読めよ。
頼むから……読めよ。
「ごっ……ごめんなさいなの」
うっひょう!!
やった!!熱意と情に絆されて、親切のお買い上げだぜ!!
(↑悪徳商法の基本)
「なにがだよ?」
「ほっ、本当はね。悪い魔法使いなんて居ないの。私、倉津君に教えて貰ったダイエットの方法で、少しづつ痩せたの。……悪い魔法使いが居るなんて、うっ、嘘を付いて、ごめんなさいなの」
「……おいおい、マジかよ」
会話をするのに、溜めって大事だよな。
今の俺がそれ。
「でっ、でもなの!!倉津君のお陰って言うのだけは、本当なの。倉津君が、私を女の子扱いしてくれたからこそ頑張れたの。だっ、だっ、だっ、だから、出来たら怒らないで欲しいの。本当に、ごめんなさいなの」
「やっ……やった!!マジかよ木根!!」
「えっ?怒ってないのなの?」
「なんも怒ってねぇつぅの!!感動してたんだよ感動!!オマエがさぁ、俺なんかの言葉を信じて、ダイエット頑張ってくれて、綺麗になったんだろ!!それなら、マジやった甲斐があるってもんだぞ!!」
こんなんどうでしょ?
「くっ、倉津君から見ても……私、綺麗になれてるのかな?」
「あぁ、心配しなくても、十分オマエの努力は報われてるよ。由佳や伊藤、それに素直にだって引けをとらないぞ」
「ほっ、本当なのかな?」
「まぁ、俺の言葉が信用出来無いなら、ステージで客の反応でも見ろ。それが一番の答えだ」
「うん。でも……また、みんなにブスって言われたらどうしよう?自信が……」
この期に及んで、まだそんな事を言うって事はだな。
1度付いたブスってトラウマは、相当、頑固に、精神面にこびり付いて、一度や、二度擦った程度じゃ、完全には拭いきれねぇもんなんだな。
木根の言動は、そう思わざるを得ない言動だ。
けど、そんなもんよぉ。
鏡で自分の今の姿を見りゃ一発で、自分がどれだけのものかなんぞ、自覚出来そうなもんなんだがな。
木根って、ホント、ドン臭ぇのな。
「じゃあよぉ。オマエをブスって言った奴は、俺が全員ブン殴ってやるからよ。もっと気楽な気持ちでステージに上がってみろって。賞賛を受けれる可能性だって十分にあるんだからよ」
「信じて良いのかな?」
「さぁ」
「えっ?」
「いや、だってよぉ。これは、全部俺の主観でしかねぇし。けど、折角、オマエが此処までやったんだから、ステージに立たねぇってのはねぇよな。チャレンジしねぇと始んねぇのは、以前にも、ちゃんと説明した筈だぞ」
「そっ、そうなのかも」
「けど、これだけ言っておくぞ。歌謡コンテストで優勝するのは、間違いなく俺とカジとグチのバンドだ。オマエ等女子は全員、俺達の前座。客寄せパンダに過ぎねぇからな」
「酷いかも……けど、倉津君が『前座』って言ってくれたから、少し気が楽になったかも」
なんか、少しだけだが、気持ちが上向いてくれたみたいだな。
これって実はな。
俺の中じゃ、結構、重要な事だったりするんだよな。
『なんでか?』つぅとだな。
木根ってな。
さっきの嶋田さんが行なった最終チェックの時、あのユニットの中じゃ、素直に次いで2番目に良い動きをしてたんだよ。
……って事はだな。
コイツの出来次第で、クラス女子の『優勝』が左右されるって事も有り得る訳だ。
なら、木根のテンションを上げてやるのは、当然の事。
それにだな。
心の準備も出来てない様な連中に勝っても、なんも意味がないしな。
そんな理由だ。
「まぁ、口惜しかったら、俺等を押し退けて優勝してみろっての」
「あっ、あの、じゃあ、もし倉津君達に勝てたら、ご褒美とか欲しいかも」
「ご褒美?……そいつは、モノによるから、流石に、即答は出来ねぇが、なんが希望だよ?」
「私……コミケで、コスプレしてみたいの。そっ、それに、倉津君に付き合って欲しいかも」
・・・・・・
びっ、微妙……
いやまぁ確かに、おぃちゃんはね。
みんなには隠してはいるが、ある意味、重度の隠れ厨二病患者の上にオタクだよ。
けど、それはな。
『だ~れも知らない、知られちゃいけな~い』なんだぞ!!
この事は、国家レベルのトップシークレットだからな。
出来れば、みんなには内緒にして置きたいし、密かな楽しみとして、永遠に取って置きたいんだよ。
……けどだな。
木根の話す内容は、実に魅惑的な内容的なんだよな。
だってよぉ、この条件さえ飲めば、コミケに行くのを『全て木根のせい』に出来るから訳だからよぉ。
堂々と行く事が出来る。
これは俺にとっちゃあ、決して悪い話じゃない。
だからと言ってだな。
不良って立場が有る以上、此処で1つ返事で『OK』とも言い難いんだよな。
ある意味、最上級に困った要求でもあるんだよ。
……ってな訳で、取り敢えず、まずは誤魔化す方向で話を進めてみよう。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
いやはや、今回の倉津君は、中々上手く話しを持って行けたみたいですね(笑)
やりますな♪
だが、1つ上手く行ったからと言って、全て上手く行くとは限らないのは、この物語の常。
『歌謡コンクールで優勝したら、ご褒美でコミケに連れて行ってくれ』っと言われてしまいましたね(笑)
さぁ、どうするのか?は……次回の講釈なのですが。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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