●前回のおさらい●
倉津君への思いを断ち切らせる為に『山中君が陰で素直ちゃんを支えてくれてた事』を激白した眞子。
それを聞かされた素直ちゃんは……
「あの、眞子ちゃん。僕は、どうしたら良いのかなぁ?頭がこんがらがっちゃって思考が纏まらないよ」
「うん。あまりにも突然の話だったから、そうなっちゃうだろうね。でも、そこは自分で一生懸命考えて。誰と一緒に居るのが、素直ちゃんにとって一番幸せなのかって事を考察すべきなんじゃないかな?私は、その役割は、真琴ちゃんじゃないと思うよ」
「・・・・・・」
「それにね。人の幸せを崩してまで、自分が幸せに成ろうとしちゃイケナイ。世間じゃ、恋愛を奪い合いだと思ってる人が多く居るみたいだけど。本来は、それ自体が不毛な事。そんな事をしたら、いずれは必ず自分に、その業は返って来る。……結論は、自分を不幸にしかしないんじゃないかな?」
実体験で、そう思う。
勿論、この私の実体験自体は、全然違う意味での話に成るんだけど。
私には、そう言うフラフラした、いい加減な気持ちで奈緒ネェに接してしまい、沢山、奈緒ネェに迷惑を掛けた経験がある。
そして、それにより奈緒ネェを沢山泣かせてしまった。
私にとって、あれ程、辛くて情けないものはなかった。
その情けない道を、今、素直ちゃんが同じ様に進もうとしている。
だから私は、傷口が広がる前に、今の内に止めたい。
今苦しんでる素直ちゃんには、私みたいな馬鹿にはなって欲しくない。
冷静な対処をしてくれる事を望む。
「解らないよ、眞子ちゃん。僕は、なにが、どうなったら幸せなんだろう?自分でも解らなく成って来たよ」
「そっか。……じゃあ、真琴ちゃん。悪いんだけど、山中君を此処に呼んで来てくれないかな?此処からは、当事者同士で話すのが一番だと思うんだけど」
「山中を呼びに行くのはいいけど……眞子、アイツの意志を無視した、そんな勝手な真似をして大丈夫なのか?」
「良いから行って」
大丈夫かどうかなんて、正直言ってしまえば私にも解らない。
けど、今の素直ちゃんの状態が悪い事だけは明白。
いや寧ろ、このままの中途半端な状態で放置したんじゃあ、今後なにを仕出かすか解らない。
それだけに、奈緒ネェや、真琴ちゃんにも関わる問題に発展しかねない。
なら、告白の機会を伺っていた山中君には悪いけど。
此処でケリを付けるべき事は【どんな方法を使ってでも】ケリを付けて置くべきだと思う。
それほど私は、もう奈緒ネェには迷惑が降り掛かって欲しくない。
非常に無責任で、自分勝手な言い分かもしれないけど……行って。
そう言う反省をしながらも、部屋から真琴ちゃんを送り出そうとしたんだけど……
「あぁ……待って真琴君。行かないで!!」
「真琴ちゃん、待たなくて良いよ。早く山中君を呼んで来て」
「眞子ちゃん……」
厳しい言葉に成っちゃってゴメンね。
本当に勝手な言い分なのかも知れないんだけど。
もぉこんな無意味な恋愛のイザコザは……終わりしようよ、素直ちゃん。
***
―――サイド真琴。
酷く強引なやり方だったが、眞子の言ってる事は十中八九正しいと思えた。
これは俺の不甲斐無さや、優柔不断さが招いた最悪の結果なのかも知れないが、眞子は、それを物ともせず、上手く立ち回って俺をフォローしてくれた。
また俺は、体を得て1年も経たない眞子に甘えてしまった。
非常に……情けない。
……そう思いながらも、山中を大広間から呼び出し。
廊下で、今まであった経緯を話し始め様と思ったが、謝罪の言葉が先に出る。
「山中、スマン。また俺……素直を悲しませちまった」
「ハァ……またかいな。まぁそやかて、オマエ等と廊下ですれ違った時点から、そないな事やないかとは思てたけど。ヤッパリそやったか。まぁけど、成ってもたもんは、しゃあないこっちゃ。起こり得て、起こったちゅうこっちゃからな」
山中は怒っていなかった。
それ処か、俺にさっき逢った時点から、なにかを察知していたらしく、やけに冷静な態度だ。
「スマン。今回は、本当に、なにも気付いてやれなかったんだ。マジで情けねぇよ」
「さよか。まぁ、そないなオマエの泣き言は、どうでもえぇわ。さっさと事情を説明せぇ。それを聞いて、俺に対処出来るもんか、どうかを、まずは判断せなアカンからな。……オマエが、ホンマに謝罪せなアカンのか、どうかは、その後や」
「……そうだな」
俺は、今まで部屋であった出来事の全てを、山中に語り始めた。
結局、俺は、いつも、なにも出来無い木偶の坊でしかない様だ。
***
「……って言う事なんだよ。本当にスマンな」
「そうか。まぁそやけど、これはマコが謝る様な話やないな。聞くからに、アリスの我儘と、俺のゆとり計画が招いた結果に等しい問題やからな。オマエは、なんも気にせんでえぇで」
「けどよぉ」
「まぁ、そやけどなぁ。これまた、いきなりクライマックスな感じやな。眞子ちゃん、マジでやってくれたわぁ」
確かに、そうだな。
眞子のやった行為は、告白も、糞もなくなる様な無茶苦茶な行為。
色々計画を練っていた山中にとっちゃあ、迷惑この上ない行為なのかも知れん。
けど、もしそうであっても、眞子を絶対に責めねぇでやって欲しいんだよ。
それこそ、俺の優柔不断が招いた結果だし。
この件に関しては、アイツに責任なんてなにもねぇからな。
「なんか、ホント悪い事したな。俺が、もう少しだけでもシッカリと素直を見てやってりゃあ。此処まで状況は悪化しなかったのによ」
「もう構へん、構へん。どうせ遅かれ早かれ、いずれは、こうなる運命やったんや。これも1つの、えぇ機会やったんかも知れんへんしな。オマエが、そないに気にするこっちゃない」
「・・・・・・」
「まぁ、その濁った目ん玉を見開いて見さらせ。山中和寛。一世一代告白ちゅうもんを見せたるわ」
「……山中」
ホント、こんな事に成っちまって……すまんな。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>
眞子……やらかしましたね。
この眞子の行為自体、本当に山中君にとっては非常に傍迷惑な話でしょうしね。
……っとは言え、眞子自身、何も考えずに、こう言う自分勝手な行動を起こした訳ではなく。
実は、こう言うシュチュエーションに持っていた理由と言うものがちゃんとあったりします。
では、それがなにかと言いますと……
これは非常に卑怯な話なのですが。
失恋後の人間と言うのは『誰かに傍に居て欲しい』『慰めて欲しい』『寄り添ってて欲しい』と言う気持ちがやや強くなり。
それを錯覚させれば【相手が落ちやすい状態に成る】可能性が非常に高い。
それ故に眞子は、この絶好の機会に「山中君の話」を放り込んできた訳なんですよ。
特に倉津君と素直ちゃんの関係の場合。
素直ちゃんは『どこかで、この片思いは上手くいかない』っと思って、半分以上諦めてる節も見受けられますしね。
さてさて、そんな中。
次回は、そんな話を聞き、覚悟を決めた『山中君の一世一代の告白』を書いて行きたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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