●前回のおさらい●
沙那ちゃんのお引越しの為に、前準備を頑張る倉津君。
それで、父親に賃貸の了承をとる事や、書類集めには成功したのだが。
最後に「賃貸に於ける保証人の問題」が浮き彫りに成って……
……なんて事を、眉間に皺を寄せて書類と睨めっこしながら考えていたら。
奈緒さんと、沙那ちゃんが、スッキリ、サッパリした顔をして風呂から帰って来てしまった。
故に此処で、思考する時間はTIME・UP!!
保証人については、一旦保留にしておくしかなかった。
あぁ……因みにだが。
風呂に行ってた2人の下着については、ちゃんとコンビニで買って、先に届けて置いたから安心してくれ。
その辺に抜かりはない。
「ただいまぁ、クラ」
「ただいま、おにぃちゃん」
「あぁ、2人共、お帰りッス。湯加減はどうでしたか?」
ウチは、結構、人の出入りが激しいヤクザ屋さんのお家だから。
風呂は、いつ、なん時でも入れる様に、常に沸いてる状態なんだよな。
だから、風呂には、直ぐに入れた筈なんだがな。
如何せん、風呂の温度がオッサン達向けに調節してあるだけに、普通の適温よりは、ちょっと熱めで設定してあるから、微妙に熱かったんじゃないかなぁって思い。
こう言う質問をした訳だな。
「うん。良いお湯だったよ。クラ、ありがとう」
「沙那は、ちょっと熱かった」
おぉ……良く見ると、沙那ちゃんの全身が真っ赤っかだな。
肌の色が白いだけに余計赤く感じるのかもしれないが……そんなに熱かったか?
まぁ、その赤くなってる姿が『如何にも風呂上がりです』って感じなので、沙那ちゃんの可愛さが、いつもより引き立ってるようには思えるがな。
「そっか、そっか、そんなに熱かったか。大人が入るには適温なんだがな。沙那ちゃんには、ちょっと熱かったみたいだな」
「うん。あのね。沙那、茹蛸に成るぐらい熱かったんだけど。奈緒お姉ちゃんが100数えるまで風呂から上がらせてくれなかった。意地悪」
「えっ?」
あぁ……これは、そう言う事だったんだな。
奈緒さんは部類の綺麗好きだから『沙那ちゃんも同じ様に綺麗にしてあげよう』と思って、必至に長風呂させたんだな。
だから、あの温度で沙那ちゃんが真っ赤になってしまった。
そんで、その奈緒さんの行為が、沙那ちゃん本人には、ただの嫌がらせにしか感じなかった。
要するに、普通の観点より、奈緒さんの美意識が高さが裏目に出たって話だな。
そこが解ったのなら、此処は一発、奈緒さんのフォローするのが、彼氏としての役目だよな。
「そうか。あぁでもな。沙那ちゃんも、奈緒さんみたいに綺麗に成りたいだろ?」
「別にイラナイよ。沙那、熱いの嫌いだもん」
あれ?
必死にフォローしようと思って発した言葉だったんだが、コチラは、思ってた以上に美意識が薄いんだな。
それとも、例え方が悪かったから、沙那ちゃんに通じなかったのかな?
「本当かぁ?」
「本当だよ。沙那、そんなのに、全然興味ないもん」
うん。
女の子なんだから、せめて、ちょっとはそう言う部分にも興味を持とうな。
別にルッキズムを重視してる訳ではないんだが。
オィちゃんは、沙那ちゃんが『ブス子にでも成ったら』非常に悲しいぞ。
「じゃあ、沙那ちゃんは、あれだな。手入れの行き届いたビンテージギターを弾くよりも。キッタないだけで、未調整なオンボロギターを弾く方が楽しいんだな」
沙那ちゃんの理解を得るには、弦楽器で例えるのが一番手っ取り早い。
それが、なによりも沙那ちゃんの基本に成ってる部分だからな。
これでどうでっしゃろか?
「えっ?オンボロ、嫌だ。……あっ!!あぁ、でも、沙那が綺麗に手入れしたら、良い音が出るかも知れないから、ドッチも一緒かな。ソッチも楽しいかも」
思った以上に……手強いな。
ビルダーなだけに『自らリペアをする』なんて発想も出て来るんだな。
この意見は想定外だった。
「そっか。じゃあ、そんな風にギターを綺麗に出来るんなら、沙那ちゃん自身も綺麗にしてなきゃダメだよな」
「なんで?ギターと、沙那は関係ないよ」
「そんな事ないぞ。……沙那ちゃんだって、汚い人にギターを預けたりしないだろ。綺麗な人に預けた方が、綺麗に成る様な気がしないか?」
「あぁ……そっか。それなら、なんとなく、そうかも」
これでもまだ、なんとなくか……
まぁけど、今の所は、それで良いか。
こう言う美意識系の話ってのは、急激に身に付けれるもんじゃないからな。
今後、時間を掛けてでも、ジックリ習慣付けて行けば良いさ。
なんとしても沙那ちゃんには、いつまでも可愛くあって欲しいからな。
「だろ。それにお兄ちゃんも、沙那ちゃんが綺麗な方が嬉しいしな」
「えっ?ホント?おにぃちゃんは、綺麗な沙那の方が良い?」
「おぅ。勿論だ。沙那ちゃんは元々可愛いからな。もっともっと綺麗に成ってくれた方が嬉しいぞ」
「そっか。……じゃあ、綺麗にしてる。おにぃちゃんに、もっと遊んで欲しいから」
おぉ……抱き付いてきましたな。
これはまた、いつもながら可愛いですな。
もうこれは無敵の可愛さと言っても良いぐらい可愛いですな。
「う~~~わっ。この男、こんな幼い子まで本気にさせたよ。えっぐ……」
なんか言いましたか?
……って言うか。
必至に奈緒さんのフォローしたんッスから、余計な文句は言わない様にしてくんなまし。
この件に関しましては、一切の反論も受け付けませんよ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
どうやら保証人に関しては、今の所、保留。
目星がついてない以上、此処は考えてても仕方がない事なので、妥当な判断だと思います。
……っで、その後、奈緒さんや沙那ちゃんと雑談していたみたいなのですが。
沙那ちゃんの美容関係に於ける興味は、ほぼほぼ0だと判明。
ですが、倉津君の『沙那ちゃんが綺麗な方が嬉しい』っと言う、たった一言で「これは完全に目覚めてしまった」みたいですね。
沙那ちゃんは、ホント倉津君の事が大好きなので(笑)
さてさて、そんな1場面がありながらも。
次回からは、橘家が入る予定である家のリフォーム調査に乗り出していきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~♪(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
果たして、どんな状態の家が飛び出してくるのやら……(笑)
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