●前回のおさらい●
理子さんの策謀で、奈緒さんが倉津君の代りにドリンクを配りに行った後。
ブースの中で2人で話をしていると……『理子さんが、あまり自分自身の事が好きじゃないんだぁ』っと感じる倉津君。
なので倉津君は、理子さんの良さを語ってみようと秘策を講じてみる。
上手く行くのかな?(笑)
「なるほど」
「納得した?」
「いや、全然納得してないッスよ。今でも理子さんには、奈緒さんを嫌わないで欲しいッス」
「うん?じゃあ、なんで今『なるほど』って言ったの?」
「いや、なるほど『勿体無い』なっと思って」
「勿体無い?……なにが?」
「だって、理子さんも可愛いのに、そんなマイナスな考えしてたら勿体無いじゃないですか。そんな風に自分を殺して、どうするんッスか?」
これが俺の言う打開策だ。
まぁ正確に言うと、崇秀が、素直に行なった打開策だな。
どうよ?
これって、この状況を打破出来る、有効な手段だと思わねぇか?
俺は馬鹿のスポンジマンだから、なんでも吸収するんだぞ!!
「なるほどねぇ。そう言う理屈か」
「ダメ……ッスか?」
「うん、全然ダメ。話にもなんない」
あれ?
「そう言う理屈が通るのは中学生まで……高校にもなったら、自分の限界ぐらい、目を逸らしても、結構、見えてくるもんなんだよね」
「いや、そんな事ないッスよ。理子さんは、少し頭が硬いッス」
「まぁね。それはよく言われる。……でも、そうは言ってもねぇ。中々限界を超えるのは難しいのよ」
「いやいや、理子さんなら大丈夫ッス」
「クスッ……ねぇ、兄貴君、それ、何の根拠があるの?」
「無いッス。根拠なんて、なんも無いッスよ。……けど、理子さんはやるッス。俺は信じてるッス。これだけは断言出来るッス」
「へっ、変なの……根拠が無きゃ意味が無いじゃん」
「意味なんていらないッスよ。必死になにかをやってりゃ、必ず、なにかは見えて来る筈ッス。足を止めなきゃ、問題ないッスよ」
「あっ、熱いんだね」
熱いって言うか……逆に言えば、なんで、そんなネガティブ思考なのか、よくわからん。
別に理子さんはブスに生まれた訳じゃないし、それに頭も良さそう。
だから寧ろ、なにが不満なのかさえ俺には理解出来ん。
ってかね、理子さん。
俺なんか見て下さいよ。
ヤクザの息子で、アホで、カスで、ボンクラで、葉緑体ッスよ。
そんな俺でも生きてるんだから、恵まれた容姿と知性を持った理子さんが、なんで、そんなアホみたいなネガティブ思考になるのか、よくわかんないッスよ。
そんなもんになる理由なんて、なにも無いと思うんだけどなぁ。
まっ、コリャ、人それぞれって奴なのか?
とは言えだ。
このまま、理子さんのネガティブ思考を継続させるのもなんだし、もう少しの間、熱く語ってみっかな。
「熱いッスよ。俺は馬鹿だから、無駄に熱いッスよ」
「なんで?前から思ってたんだけど、なんで、そんなに熱くなれるの?世の中に面白い事なんて、そんなそんな無いよ」
「いや、あの、じゃあ、こう言うのどうッスか?」
「どういうの?」
「あの、これは崇秀の受け売りで申し訳ないッスけど。『面白くなかったら、自分で面白くすりゃ良いんじゃねぇのか』って、アイツが口癖みたいに言ってるんッスよ。まぁキチガイ染みた発想だとは、俺も思うんッスけどね。そう言うのに感化されんのも悪くないんじゃないッスかね」
「あぁそっか、そうだね。……確かに、それだと理屈には適ってるね。それに仲居間さんは、それを体現しているか……うん。確かに、それも悪くないのかもね」
「いやまぁ、序に言って置きますけど。あのキチガイの馬鹿秀の言う事ですから、宛にはならないッスし、危険な思考ッスよ。けど、まぁ下を向いてるよりかは、幾分マシかなとは思いますけどね」
崇秀の高評価は腹が立つので『キチガイ』を強調してやる。
って言うか、アイツは、誰から見ても『真のキチガイ』の筈だ。
「ねぇ、兄貴君……年下の君に、こんな事を聞くのも変なんだけど。君から見て、私って、どんな感じ?やっぱ冷めてる感じを受ける?」
「いや、全然、そんな感じには受けてないッスけど。……つぅか、冷静には見えますけどね」
「そっか。……兄貴君には、私の事が、そう言う風に見えるんだ」
「つぅか。理子さんて、実は、吃驚するぐらい奈緒さんにソックリですよ」
「えっ?私と、奈緒が似てる?どこが?」
また無自覚か……
この人も、無自覚症候群の人間か……
面倒臭いんだよな……こう言う人。
「いや、顔は綺麗だし、頭脳も明晰、流行にも敏感だし、それに対する情報収集も欠かさない。その上ダンスまで上手いんッスよ。……それ、世間じゃ文武両道って言うんッスよ」
「ちょっと待って、ちょっと待って、兄貴君。私、そんなに頭良くないし、顔も何所にでもある様な顔付きだよ」
「えぇっと、アホなんですか?」
「へっ?」
「いや、アホなんッスね、理子さんって」
「えっ?えっ?私ってアホなの?」
「はい。アホッスね。完全なアホッス」
よし!!此処で次は、ステラの理屈をかましてやる!!
俺が、理子さんに自覚を持たせてやる。
(↑結局パクリ)
「いや、だってそうでしょう。自分で頭良くないって言ってるし、自分の顔の造りも良く見てやってないんじゃ、頗るアホでしょ。……あの、そんな贅沢バッカリ言ってたら、その内、誰かに刺されますよ」
「えっ?でもさぁ、自分って、あんまり好きじゃなくない?」
「まぁそりゃあ、そんな風に欠点ばっかりだと思ってたら、嫌にもなるでしょうけど。……俺の場合は、俺だったからこそ、理子さん達とか、みんなに知り合えたと思ってるんッスよ。だから、そんなに自分の事は嫌いじゃないッスけどね」
「そっか、そうだよね」
おっ、納得した。
じゃあ、トドメを刺してやるぜ!!
「それに、あれッスよ。理子さんって、自分が思ってる以上に可愛いし、人並み以上に判断力も鋭いんですよ」
「私が?」
「そうッスよ。なんせ、あのキチガイの崇秀が認めてるじゃないですか。アイツが人を認めるなんて珍しい事ですからね」
「仲居間さんが、私を認めた?」
「そうッスよ。その証拠に、理子さんが1人良い判断をした、あのバスの中での一件……あの時、アイツの中で一番評価が高かったのは、奈緒さんでも、ステラでもなく、他ならぬ理子さんッスよ」
「じゃあ、あの仲居間さんが、私を高評価したって言うの?」
「おや、自覚がないんッスね。そう言うのダメっすよ」
「自覚って、言われてもねぇ」
「じゃあ、俺も崇秀同様、理子さんが凄い人だって認めるッス。……それとも俺なんかじゃあ、やっぱ、ダメッスかね?」
「えっ?えっ?そんな事ないよ。兄貴君が認めてくれるのは嬉しいよ」
「じゃあ、あれッスよ。理子さんは、俺が良い女認定をしたから、良い女って自信持って下さいよ。……じゃないと、俺が全否定されたと思って、滅茶苦茶凹みますよ」
「ぷっ……なにそれ?じゃあ、私が否定したら、兄貴君が凹んじゃうんだ」
「そうッス。俺がバリバリに凹んで、二度と人を信じなくなるッス」
「そっかぁ、それじゃあ、しょうがないなぁ。……じゃあ、良い女で良いよ」
「そうッスよね」
うほぉおぉぉぉおぉぉ~~~!!
なんか知らんが、奇跡的にも上手くイッタァ~~~!!
仲居間式と、ステラ式の併用で、思ってた以上に事が上手く運んだぞぉ~~~!!
いやいや……やっぱアイツ等って、何気にスゲェんだな!!
天才だよ天才。
(キチガイだよキチガイ【副音声】)
なので俺も、ちょっとは、こう言う事も勉強しよ。
だってよ。
これを上手く使いこなせれば、人を元気付けられるんだから、これは、生きる上で、スゲェ有用な技能だ!!
感心、感心。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
大体の人って言うのは『自分の事が好き』なのに『自身の欠点の多さから自分の事が嫌い』だと思っている。
これは一見すると、辻褄が合っていない矛盾した話しの様に聞こえるかもしれませんが……冷静に考えれば、極当たり前の事。
自分の良さなんて、自分の口で語るものじゃありませんからね(笑)
なので理子さんも、その法則に嵌てるだけであって、特に特殊なケースでも、なんでもないんですよね。
さてさて、そんな中。
崇秀や、ステラさんの真似をして、ある程度は理子さんを納得させた倉津君なのですが……
漫画人生な倉津君が、そんなに、全てが上手く行く筈もないので、次回位にはドンデン返しがあるかもしれませんね(笑)
その辺が、どうなるか?は次回の講釈。
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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