最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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第二十九話 ライブ前の試練・結果編

158 不良さん、酸素が吸えない(笑)

公開日時: 2021年7月14日(水) 00:21
更新日時: 2022年11月28日(月) 15:45
文字数:3,189

第二十九話『ライブ前の試練・結果編』始まるよぉ~~~(*'ω'*)ノ


 029【ライブ当日の試練・結果編】


 昨晩……いや、もぉ寧ろ、この出来事自体は、今朝の出来事だったと言うべきなんだろうか?


なんと言ってもだな。

正確に寝むりに付いた時間なんか、全く記憶にないもんでな。

今現在の俺には、時間と言う概念がイマイチ欠落してる状態なんだよ。


まぁ、そんな感じに成ってしまったのは他でも無い。

奈緒さんに教えて貰った勉強法の一環である、テストの暗記と、ライブの練習を兼ねた演奏に没頭しすぎて。

時間が経つのも忘れる位、必死に楽器をかき鳴らし。

暗記物を憶えるまで、何度も暗記をする為の歌詞を唄い詰めたんだから、これはもぉしょうがない。


この、いつ終わる事もないエンドレスな時間を、体力の続く限り続けていたのが、時間の概念を消し去ってた理由だ。


だがな。

幾ら勉強の内容を憶える為に必死に成ってたとは言え、俺達も、ただの人間。

体力が無限に続く筈も無く。

気付けば俺は、奈緒さんに借りたベース(Fresher/Personal Bass)を腹の上に乗せたまま、床で大の字になり。

山中はドラムセットに突っ伏したまま、ピクリとも動かない状態に成っていた。


しかも、お互いのMDからは、まだ音源が流れたままの状態で、熟睡していた訳だ。


けどな、この状態、よく考えれば、こうなって当たり前の事だよな。

なんて言っても、此処2日間程、バンドの練習でオールが続いてたし。

その後に、この奈緒さん式の勉強法で、ライブの練習なんかをしながらオールなんかしたら、こうなるのは必定ってもんだろ。


流石にだな。

山中が、幾ら体力があるとは言っても、限界を超えちまったら、体の方が演奏を拒絶しちまったみたいだしな。


今じゃ、奴も起きる気配も無く爆睡している。

それ程までに、この三日間のハードなスケジュールで、俺達の疲労はピークに達していた。


もし、この後、追試なんて物が無かったら、何もかもを忘れて、今日1日眠り続けたい気分だ。


***


 だが、眠りながらも、そんな風に思ってる俺を、誰かが邪魔する様に声を掛けてきた。


誰か知らねぇけど、少しは空気読めよな……



「クラ……君は、いつまで、そうして寝てるつもりなのよ。もぉ朝なんだから、いい加減起きなよ」

「もぉ……うっせぇなぁ。……俺ぁ疲れきってんだ。もぅ少し寝かせろ。……死んじまう」


ホント、誰かは知らねぇが、今だけは起すなよな。


そうやって俺を無理に起しても、不機嫌の大噴火を起して、余計な被害を喰うだけだぞ。

ワザワザ親切で起してくれてるのに、アンタも、そんな目に遭いたくはねぇだろうに。


だから起すな。

それが、お互いの為ってもんだ。



「もぉ、なにが眠いよ。昨日、散々、学校でも、勉強もせずに居眠りばっかりしてたくせに、どの口が、そんな事を言うのよ?」

「あぁ、もぉ、うっせぇなぁ。そんなの関係ねぇだろ。眠いもんは眠いんだよ。オマエが、誰だかシラネェけど、次、起したら、ただじゃおかねぇぞ」


そう言う訳だから、起すなっての。


しまいにゃあ……ブッ殺すぞ!!


・・・・・・


……あれ?

いや、ちょっと待てよ。


でも、この声……



「ハァ~~~……全くもぉ、君は、しょうがない子だなぁ。この寝ぼ助だけは……起・き・て・ク~ラ、もぉ朝だよぉ」


耳元で、聞き覚えのある優しい声が、俺に囁く。

……っと同時に、柑橘系のさわやかな香りが、俺の鼻腔を擽った。



「……奈緒……さん?」


いや、間違いなく奈緒さんだ。

この、彼女特有の柑橘系の香りが、眼を瞑ったまんまの状態でも、彼女だと認識させる。


・・・・・・


……あぁそうか。

そう言えば昨日、奈緒さん家で、奈緒さんと素直の2人に、色々勉強を教えて貰ってたんだっけ……じゃあ、起きねぇとマズイな。


って、そんな場合じゃねぇよ。

奈緒さんを、朝一から怒らせたら大変だな!!


そう感じた瞬間、俺の顔に片手を宛がい、唇に、何か柔らかいモノが押し当たってくる。


こっ……これって。


ひょっとして……噂の『モーニングキッス』って奴か?


俺は、目を瞑りながらも、急激に、奈緒さんを意識する事に成った。



そして、その後……俺の鼻腔から、さわやかな香りが消えた。


自然に、心拍数は上がり……


息が出来無いくらいに、心臓は高鳴っていく……


・・・・・・


あっ、あれ?

息が出来無いって言うより、どちらかと言うと息が苦しいぞ?


……って言うか、こりゃあ息が出来てねぇ。



「ううぅうぅ~~~ん、ううぅぅううぅ~~ん」


俺は、必死に手足をバタつかせて抵抗を試みる。

……が、完全に鼻を摘ままれた上に、口で口を塞がれ、俺の呼吸器からは、全く酸素が入ってこない。


しっ……死ぬ!!死ぬ!!

早朝一番から、軽く死ぬ!!

いや、軽く死ぬどころか、100%マジで死ぬ!!

このままじゃ、息が詰まって、窒息死は免れない。


だっ、誰か助けてくれ……


……死~~~~ぬ~~~~~!!



「プハァ~~~」


開放された口と鼻からは、一気に朝の新鮮な空気と、奈緒さんの柑橘系の香りが侵入して来た。


今の俺は、窒息から免れた為、自然に涙目になり。

クラクラした頭を押さえながら、周りを見渡すぐらいしか出来無い。


すると、あるものが目に付く。

俺の真横で、クスクス笑っている奈緒さんだ。


もぉこの人だけは……朝から、なんちゅう、非常識な事をするんだ。


……マジで、死ぬかと思ったッスよ!!



「はい、おはようクラ。漸く、お目覚め?」

「いやいや、奈緒さん。今のは目ぇ覚ますどころか、永遠に寝ちまうところでしたよ……朝っぱらから、殺す気ですか」

「なに言ってんのよ。君が何回起しても、全然、起きないから悪いんでしょ」


何回起しても起きなかった?


俺は、奈緒さんの言った言葉から、今の現状を把握しようと試みる。


・・・・・・


……あぁ、なるほどな。

以前学校でもあった、山中が俺を起した時みたいに、10分ぐらい色々な方法で起しても、俺が文句を言うバッカリで、一向に起きる様子が無かったんだな。


それで奈緒さんは、最終手段を発動したって訳か。

だったら、朝から奈緒さんに申し訳ない事したな。


そんな風に俺は、自分の寝起きの悪さを、少し反省した。



「あの、奈緒さん……そんなに、何回も起しても起きなかったんッスか?」

「うぅん。2回起しただけだけど」

「・・・・・・」


たった2回って……どんだけ気が短かいんッスか!!

普通だったら、もう何回か位は起してくれても、罰は当たらないと思うんッスけど。


まぁ、そうは言ってもだな。

今回に限っては、反省を継続だ。

俺が寝起きが悪いのと、中々起きないのは、何所まで行っても事実だしな。


少し寝惚けた頭のままで俺は、奈緒さんの顔をジッと見ながら、反省を継続する事にした。



「なに見てるのよ?君、ひょっとして怒ってるの?」

「いや、全然、怒ってないッスよ。寧ろ、奈緒さんのモーニング・キッスで起きれたんで、天国にも昇る気分ッス。文句の言い様がない朝ッスね」

「君って奴は、ホントにもぉ……そぉ言うところだけは、妙に敏感なんだね。流石、エロ虫だよ」


誰がエロ虫ッスか!!


朝から、勢い良く毒を吐くなぁ。


にしても、奈緒さんが言う『~虫』って言うの、久しぶりに聞いたな。

此処最近、全然言わなくなってたもんな。


なんか、妙に新鮮だな。



「まぁ、事実そうッスから、別にエロ虫でも良いッスけど……」

「ねぇクラ、君、大丈夫?今日、なんか妙に悟ってない?」

「いやいや、全然、悟ってなんか無いッスよ。寧ろ、逆っすよ逆。奈緒さんのチュ~で、この腐れ頭が、いつもの倍以上に寝惚けてんじゃないッスかね」

「『チュ~』って……」


あっ、なんか知らんが照れたぞ。

『キッス』って言うと欧米風で感じが良いけど、奈緒さんにとっては『チュ~』じゃエロイ感じなのか?


小さい事だが、意外とニュアンスが違うもんなんだな。


それにしても奈緒さんって、変な所で反応するんだな。


おもしれ。

なら、ちょっと、からかってみるかな。


またしても俺は、出来もしない馬鹿な事を考え始めていた。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


昨晩は、本当によく頑張ったみたいですね。

そして、その翌朝には奈緒さんの強烈なモーニングキッス。


死にかけてましたね(笑)


さてさて、そんな中、また出来もしない「からかい」をしようと企む倉津君なのですが……上手く行くのか?


それはまた次回の講釈。


また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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