●前回のおさらい●
運良く、沙那ちゃんと総帥のサイトへの登録を勝ち得た倉津君。
そして更に、その話を聞いていた山中君が、なにやら興味を示してきた様子なのだが……
「うん?なんでだ?」
「いや、話の途中やったから、腰を折るのは悪い思うて遠慮しとったんやけどな。……マコ、オマエ、さっきから、なんや音楽サイト作るとか言うとったけど。なんで今更、そんなケッタイなもん作ろう思てん?」
おぉ……何事かと思ったら。
今度は、山中のアホンダラァがサイトの話に興味を持ってくれたみたいだな。
なんじゃ、この俺には有難過ぎる展開は?
これってまさかのトリプル・ゲットの予感か?
いや……流石にないな。
世の中、そこまでは甘くないだろうしな。
まぁでも、スカウトのチャンスではある訳だから、話だけでも聞いて貰うか。
無名の引き抜きは、モジャに依頼されてる事もでもある訳だしな。
「あぁ、いや、ただ単に、崇秀の馬鹿に対抗する組織を、モジャと作ろうってだけの話なんだよ。だから、特別、なにかって訳じゃねぇよ」
「なんやて?オマエ、秘かに、またそんな無謀な計画立てとったんか?」
「いや、無謀もなにも、これ自体、昨日決まった所だからなぁ。まぁ、それ以前からモジャが準備を進めてたみたいだから、計画自体は前から有るみたいだけどな。……なんなら、オマエもコッチに来るか?」
さり気ないな俺。
さり気なく、引き抜き工作を敢行してるな。
でも、山中相手じゃ、そう簡単には上手く行かないだろうなぁ。
もぉ1押しも、2押しも攻め所を探さなきゃな。
「なんや、ややこしいな。……要するには、オマエのバックには、あの悪魔の腹心みたいなモジャモジャが控えとる言う事か?」
「まぁなぁ。つぅか、企画者の提案者自体がアイツだから。当事者自体も、自動的にモジャって噂もあるな」
「そうか。もし、それが事実やったら、アイツは秀を裏切る言う事か?」
「いや、まぁ、そうなんだけど。実際は、そんな殺伐としたもんじゃねぇんだわ」
「どういうこっちゃな?」
「まぁ、なんつっぅか。要は、GUILDの下請けを作って、そこから、アイツのサイトを上回る実力者を育てようって企画なんだよ。だから、GUILDとは協力関係を築きながら、合同製作をした上で、最後には、崇秀の喉笛に噛み付こうって寸法なんじゃねぇかな」
多分、アイツの考えそうなシナリオは、そんな感じだろう。
途中の経緯がどうあれ。
最終的な目標は、なにをどうやっても『崇秀討伐』には変わりない訳だからな。
「なるほどなぁ。今度こそ、本腰を入れて『秀の討伐』に乗り出そう言う話か」
「まぁ、単的に言えば、そう言うこったな。だから、沙那ちゃんや、総帥を誘ったって話でもあるな」
「ふ~~~ん」
「……っで、名目が『崇秀討伐』だから、序に、オマエも誘った訳だな」
上手く説明出来ましたかね?
大体の概要は、こんな感じなんッスけどね。
どないでっしゃろか?
「さよか。……あぁけど、今の返答に、答えを返すんやったら、正直微妙やな」
「だよなぁ。今の状況じゃ、即決で話には乗り難いわな」
「いや、まぁなぁ。そりゃあ、俺もフリーで居んねんやったら、今直ぐにでも喰い付きたい話ではあるんやけどもや。俺も【無名】に所属しとる手前、流石に勝手は出来へんからのう」
「だな」
「それにやな。オマエのサイトには、なんの保証もないやろ」
まぁ『保証』は重要だわな。
移籍するって事は、今の立場を捨てるって言ってるのと同様の事だからな。
実家に金を入れてるコイツにとっては、一番の重要事項かも知れないしな。
「まぁなぁ」
「幾らモジャ公が、オマエの背後に居る言うたかてやな。秀程の強烈な保障は、どこにもあらへん。それに秀には、今まで一杯借りが有る。せめて、それを返さなグツが悪いやろ」
まぁ、そうだわな。
今現在の【無名】が有るのは、崇秀の存在感なくしては、語れない話だもんな。
アイツの功績は大きいよな。
そして、その分、アイツに対しての借りもデカくなっちまってるもんな。
「そうだな。解らんでもない心境だわな」
「やろ。そやから悪いけど、今回の話、俺自身は辞退させて貰うわ」
「そっか……」
やっぱ現状で決め切らすのは無理だったかぁ。
嶋田さんや椿さんや康弘の意見を聞かずに決めれる話じゃないしな。
なので、此処でのスカウトはこれまでにすべきだろう。
何事とも引き際も肝心だからな。
けど、俺もモジャから依頼を受けてる訳だし、
なにより無名の存在は、計画の一部として進行されており。
このスカウトを簡単に諦める訳にも行かないから、一度、無名のみんなが集まった時にでも顔を出させて貰おう。
……ってな感じで。
今後の予定を立てながらも、一旦はこの話を終わらせようとしたら……
「そんな訳やから、奈緒ちゃんと、総帥と、沙那ちゃんで頑張ってみてくれや」
「うん?カズ、なに言ってんの?」
「はぁ?なにがやな?」
「……私、クラとは一緒にやらないよ」
「へっ?」
「私は仲居間さんサイドのGUILDに残る。クラのサイトに移籍するのは眞子だけだよ」
「へっ?はぁ?ちょちょちょ、ちょっと待ってくれや!!なんやねんそれ?なんでそないな事に成るんやな?意味解らんし」
いや、それはな。
俺が我儘を言って、奈緒さんに無理してもらってるだけの話なんだよ。
まぁ、事情が事情なだけに、そこが解らなければ、そういう反応にもなるわな。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
無名に在籍してる以上。
1人では決めきれないと判断した山中君は、一旦、断りを入れて来たのでトリプルゲットは成らずでしたが。
そこで話は終わるのかと思いきや。
此処で奈緒さんが倉津君サイドに移籍しない事を発表し、混乱を上手く山中君に与えてきましたね。
さてさて、この後スカウトの話は、どう言う展開を見せるのか?
相手が奈緒さんだけに、何をしでかすか解らないので、少々怖い所ではありますね(笑)
……って内容の話を、次回は書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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