最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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841 医者らしき人物の正体

公開日時: 2023年5月27日(土) 00:21
文字数:2,014

●前回のおさらい●


 元がXX眞子であったとしても、今、体の占有権を持つのは眞子。

だが、完全なる単一個体に成る為には『倉津真琴の意思を完全に消去した方が良い』と言われて困り果てる。


なので、此処でまた、別の話を振られるのだが……

「あの、お話をする前に、1つだけお聞きしたい事があるんですが……宜しいですかね?」

「なんですか?」

「アナタは……アナタは、一体、何者なんですか?誰なんですか?」

「僕ですか?……さて、誰なんでしょうかね?それは、貴女が知り得る必要のない情報ですので、此処ではお答えしかねますね」


濁された。

いや寧ろ、この言い方をするって事は、何か話せない理由でもあるのかな?


……っとは言え。

此処はなにか1つでも情報を引き出したい所。


なので取り敢えずは、ちょっとした駆け引きをしてみますか。



「あの、それじゃあ、なにも信用出来かねますけど」

「なら、信用しなければ良いじゃないですか?」

「えっ?」

「僕は、貴女に対して、1度たりとも『信用しろ』なんて言葉を言った憶えはありませんよ。……但し、今まで僕が話した会話は『嘘偽り』の無い話ですが。此処も疑う様なら、なにも信用しなくても結構ですよ」


此処の来て、そう言う話ですか。


でも、こんなに突き放さた言い方をされてるのに、どこかで縋りたくなってる自分も居る。

この身元も解らない謎の人物に頼ろうとしている時点で……私は、既に、頭がおかしくなってるのではないだろうか?



「あぁ、いえ、あの『まったく信用していない』って言ってる訳じゃなくってですね。なんと言いますか。こう言うのも『なにかの縁なのではないかなぁ』っと思いまして、何か1つだけでも、アナタの事を教えて頂ければと……」

「『縁』って……この状況下にあっても、そんな事を本気で言ってるんですか?正気の沙汰とは思えませんが」

「あぁ、いえ、これがまた本気で言ってるから困りものなんですけどね」

「なるほど。これは聞きしに勝る変わった方ですね」

「あぁ、それはよく言われます」

「……良いでしょう。そこまで言って下さるなら、では僕も1つだけお教えしましょう。……僕は、仲居間崇秀さんの所縁(ゆかり)のものです」

「崇秀……ですか?」


……ヤッパリそうだ。


こんな私の精神に直接話し掛けてくる様な奇妙な真似を出来る人間ってだけで、崇秀関連の人間じゃないかとは、心のどこかで最初から思ってたんだけどね。


まさか、本当にそうだとは思わなかったよ。


・・・・・・


えっ?


いや、でも、ちょっと待って。

これは、明らかに、ちょっと……変だよ。


この人が、本当に崇秀の知り合いだって言うなら『真琴ちゃんの存在を消せ』なんて言葉は間違っても言い出さない筈。


いや、知り合いならばこそ、100%言い出せる筈が無い。


これは明らかに、おかしいね。



「あの、それって、嘘ですよね?……アナタは、崇秀の知り合いじゃないですよね」

「どうして、そう思われたのですか?」

「崇秀の知り合いなら『真琴ちゃんを消去』するなんて話は絶対にしない筈ですよ。だからアナタは……今、嘘を言っている」

「それは違いますね。僕はれっきとした、仲居間崇秀さんの所縁の者ですよ。それと、そう言う意見が出ると言う事は、貴女は、仲居間崇秀さんと言う人物を大きく勘違いされている可能性もありますね」

「それは、どういう事ですか?『アナタの方が、私より崇秀と付き合いが長く、崇秀をより理解してる』っとでも言いたいのですか?」

「いいえ。そう言った些細な事ではありません。貴女は『彼の本質を解っていない』と言っているだけです」


崇秀の本質?


強欲なだけの化物?



でも……優しい。



「えぇっと……」

「まぁ、丁度良い機会です。彼の本質に纏わる話を少ししましょうか」

「あぁ……はい、なんですか?」

「……っと、その前に、向井眞子さん。貴女は今、心から幸せですか?」


話が始まるのかと思ったら、此処に来てまた変な事を聞いてきたなぁ。


これはちょっと趣旨が見えない質問だ。



「えぇっと、それは、どういう質問ですか?どう捉えての幸せなんですか?」

「今の貴女が感じるままに、仰って頂いて結構ですよ」

「あぁっと……じゃあ、幸せですかね。正直言えば、倉津真琴であった時よりズッと幸せですよ」


この話自体、本当は微妙な話なんだけどね。


だって、真琴ちゃんのままなら、奈緒ネェを愛し続ける事が出来た訳でしょ。

これは真琴ちゃんにとっては本懐の筈だから、その時点でも十分に幸せだったと思える。


でも逆に私は、真琴ちゃんのままなら、この世に認識されない存在のまま、終わっていたかも知れない。


勿論、これは、さっき、今、眼の前にいる人が話してくれた事が本当ならばの話なんだけど。

私は、真琴ちゃんから体を奪う事によって、私の本懐である『崇秀と結ばれる』っと言う可能性が少なからず出て来た。


なら、この場合ドッチが幸せかって聞かれたら、当然、今の方が幸せに決まってる……って話。



「そうですか。なら、このお話をしても大丈夫でしょう」

「なっ、なんですか?……その、ちょっと勿体ぶった様な話って?」

「貴女を、その女性の体に『ワザと』変えたのは、他ならぬ仲居間崇秀さんって話なんですがね。そんなお話でも貴女は聞きたいですか?」


えっ?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


医者らしき人物の正体は『崇秀所縁の者』っと言われましたが。

今までの崇秀の傾向からして、それは、どうにも眞子は納得出来ていないようですね。


まぁでも、此処ではそう成っても然りですよね。

崇秀自身、今までも一度たりとも眞子が不利になる様な真似をした事がないのですから(笑)


ただ、そうは言っても、故意的に真琴を眞子に変えたと言われたら驚くのも当然。


では何故、この医者らしき人物は、こんな奇妙な発言をして来たのでしょうか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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