最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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640 不安と、現実に起こった恐怖

公開日時: 2022年11月8日(火) 00:21
更新日時: 2023年9月12日(火) 12:14
文字数:2,057

●前回のおさらい●


 崇秀の思惑があるにも拘らず、好調な滑り出しを見せる前半6曲。

だが、とうとう、このライブで最大の問題点である『一曲目の新曲発表の時』が訪れた。


そして、そんな明暗を分ける新曲発表の前に、奈緒さんがMCに入る。

 私は、そんな奈緒さんを見ながら、凄く嫌な予感がしていた。

これは、いつものどうでも良い様な『クダラナイ嫌な予感』とは明らかに違う、不吉な予感。


でも、勿論、これは奈緒さんのMCに対する不安などではない。

『虫の知らせ』や『第六感』的な物で、なにかを感じているだけなので、何かが起こる確証なんて、どこにもないんだけど。

『100%に近い確率で、なにか悪い事が起こる様な気がしてならない』


何故か……新曲を弾く事に対して、大きな危険すら感じる。



「「「「「わあぁぁぁぁあぁぁ~~~~~!!」」」」」


そんな風に私が、自己的な危険感知をしているのとは裏腹に。

観客の皆さんは、ただ奈緒さんの話を聞き、不安を抱える事もなくライブを楽しんでいてくれている様だ。


じゃあこれは……ただ単なる、私の『考えすぎ』?

上手く行き過ぎてて、変に警戒をし『思い過ごしをしている』だけなんだろうか?


考えれば考える程、解らなくなって行く。



「はい、ありがとうぉ~~~!!5曲目まで一気に飛ばして来ちゃいましたけど。次は、お持ちかねの新曲1発目『Sold the world』を行ってみたいと思います。……拍手♪」


『パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ…………!!』

「「「「「待ってました奈緒様ぁ!!」」」」」


再び、盛大な拍手が起こり。

期待に満ちた特大の歓声も、同時にアチラコチラで上がる。


その歓声に煽られる様に奈緒さんは、観客の皆さんとの会話を続けている。


だから、なにもかも問題はない。

寧ろ、凄く順調だ。


……でも、私は、そんな奈緒さんや、観客の皆さんを見ていても、先程感じた『不安』が拭いきれず。

気を紛らわす為に、少しベースを弄くって調整していた。


そうしていると、崇秀がなにを考えたのか。

その奈緒さんが話している隙を見て、笑いながら、こちらに向かって歩いてくる。


それで、私のSting -rayちゃんに、いつの間にか取り付けられていた『ミニ・スィッチ』をONにして、それだけで立ち去って行く。


この一連の行動を、非常に不信に思ったんだけど。

勝手にOFFにして、なにか問題があっては怖いので、取り敢えずはONのままキ-プして置くんだけど……


なんだろう?この得も言えぬ不安感は?

この『ミニスィッチ』からは、凶悪な悪意を感じる。


同時に……『凄くやっちゃイケナイ事に、手を貸してる様な気がする』



……そう思って居たら、奈緒さんの中間MCが終わり。


山中君が、例のドラムスティックを2回合わせて『チャチャ』って、いつもの開始の合図をする前に、1度全員の表情を確認している。


私も、それに倣って、メンバー全員の表情を確認する事にした。


何故なら、この曲『Sold the world』は、兎に角、演奏の完成度の低い。

山中君にとっても、多大な不安を抱える不安要素。

故に、今までの様な余裕は無く、かなり凄く表情が厳しい。


それに奈緒さんも、さっきまでは、観客の皆さんとは明るく話してたけど。

マイクを持ち直した奈緒さんの表情は、山中君同様に険しい顔をしている。


此処まで奈緒さんが追い詰められてるのは、非常に珍しい。


……でも、約1名、崇秀だけは、そんな事はお構い無しに。

どこ吹く風でケロッとしながら、なにやら自分の愛機であるUV-7のミニスィッチを数個入れてる様だ。


なにが起こるか、全く予測不可能なまま、曲が始まった……



「ククッ……行くぜ眞子『共鳴音楽・レゾナンス』。オマエが、みんなを先導する役だ。しっかりやりな」


-♪--♪♪♪-♪-♪---♪--♪--♪-♪-♪--♪♪♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪--……


この曲『Sold the world』は、冒頭から、各楽器が一斉に音を出す始まり方をする。


でも……


自分の意思で出せたのは、最初の『たった1音』だけ……


その後は……まるで、地獄の様な体験をする事になる。


……何故なら、私は自分の意思でベースを弾いてる訳じゃない。


崇秀のギターに惹かれる様にして……自分の意思に反し、ただ正確にフレットを押さえ、ベースの音を出し続けてるだけに過ぎない。


しかも、その技術は恐ろしいような物で。

今までに1度も使った事の無い様な技術も、ふんだんに織り交ぜられている。


だから、自分自身で、なにをやってるのかすら解らない。


更に、言わせて貰えばね。

脳内で残っている崇秀のアレンジした曲のMD音源に従って、ただ只管に、楽器をかき鳴らしている様な感覚にも同時に陥る。


それはまるで……崇秀の持つ独特の音楽的な感覚を、自分の身を持って『体感』している様な感じだ。


人に強制されてベースを弾く感覚は……勿論、今までにないぐらい『気持ちの悪い』もの。


幾ら、上手く弾けてても、そこには、爽快感等なにも存在せず。

あるのは『強烈な不快感』と、体を乗っ取られた様な『嫌悪感』のみ。


私は、たった1曲の曲を弾くだけで……『酷い偏頭痛』と共に、気持ち的には、その場で嘔吐したい気分になっていた。


こんなの嫌だぁ……


こんなの演奏じゃないよ……


気持ち悪いよぉ……



助けて……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


はい、いよいよ崇秀が、自身のイカレタ本領を発揮してきましたね(笑)


完全に自身の音と、相手の音を共鳴させ。

その共鳴させた音から、更に相手を自分の感性に引き込んでしまうと言うトンデモナク相手に負担の掛かる『地獄の様な技』


それが今回、崇秀の使った技『共鳴音楽・レゾナンス』っと言う技に成ります。


まぁ言うてね。

この技を繰り出した崇秀本人には、別に悪意がある訳はなく。

『新曲の問題』や『今回のライブを、自分にプロデュースしてくれ』って言われたからやってるだけの事であって、嫌がらせでやってる訳ではないんですけどね。


実際、ライブを成功させる為なら『なんでもやる!!』って言ったのは奈緒さん、山中君、眞子の方なのですしね(笑)


さてさて、そんな風に始まった地獄の崇秀劇場なのですが。

この後も、この地獄の様なペースのまま、最後までライブは進められていくのか?


次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


【追記】

因みになのですが、この崇秀の使った技法と言うのは。

出来るだけキッチリとした理屈の元で使ってる技術と成りますので『ご都合主義』ではありませんので、あしからず(笑)

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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