●前回のおさらい●
結局、山中君に、奈緒さんの家まで着いて来られてしまった倉津君。
だが、山中君はアホなので。
奈緒さんの家のショップの様な部分が賃貸されてるとは知らずに、突っ込んで行き。
山中君を知っているお客さんにバレて、揉みくちゃにされるのであった(笑)
「あぁ……ホンマ、豪い目におうたわ。あんな事になってるんやったら、最初に教えろや」
「ぷっ」
「奈緒ちゃん、今なんで笑てん?慈悲の心が有るんやったら、ちょっとぐらい助けてくれてもえぇやんけな」
「嫌だよ。カズが自分で撒いた種でしょ。そんなもの自分で刈り取りなよ。それに巻き込まれるのはお断り。クラじゃなきゃ、私、基本的には誰も助けないよ」
「うっわ~~~、腹立つわぁ。相っ変わらず、真琴ちゃんは愛されとんなぁ」
ハイ、文字通り愛されてますが……なにか?
「うん?なになに?カズは、クラが羨ましいの?」
「そら、羨ましいわな。奈緒ちゃんは器量良しやし、飯も美味い。頭も良いし、リズム感は最高。ほんで何よりエロいやん。言う事なしやで」
「ねぇカズ……それ、褒めてる?」
「滅茶苦茶、褒めてんで、奈緒ちゃんは魅力満載な女性やん。俺も知らん様な色んなエロいプレイを、タップリ味あわせてくれそうやもんな。最高やで奈緒ちゃん」
「……う~~んとね。なんで。そこばっかり強調して言うのかな?君は?」
奈緒さんの手には、懐かしの『デスノート』
彼女は微笑みながら、それを丸め始めた。
「げっ!!」
山中の馬鹿が、なにか嫌な事を思い出したみたいだけど……時すでに遅し。
だから奈緒さん、思いっ切り、それで叩いて良いですよ。
容赦はいりませんから……この失礼極まりないアホをポコポコにしてやって下さい。
奈緒さんの本当の怖さを、トラウマ的に思い出す筈ですから。
「うっ、嘘、嘘やん。奈緒ちゃん、全然エロ無いって、もぉホンマ、女神様かってぐらい神々しくて凝視出来ひんレベルやわ。だからエロ無いから、全然エロ無いから」
「黙れ……」
「ヒィ!!それだけは辞めて、それ、マジで痛いねんて……」
「ダァ~~~~~メェ~~~~~~」
『ポコ……ポコポコポコポコポコポコポコポコ』
奈緒さんは無言で笑顔まま。
デスノートだけが可愛い音を立てて、山中の脳天めがけて、何度も何度も振り下ろされていく。
「痛い!!痛い!!痛い!!ホンマ痛い!!ホンマ痛い!!ホンマ痛いって!!……」
そうやって、虚しい悲鳴と共に、一体の死体が、頭から煙を上げて出来上がっていく。
馬鹿め!!
余計な事を言うからだ。
アホが……
ただ……山中の馬鹿は、きっと叩かれながらも『美味しいシュチュエーション』だとか、思ってんだろうな。
危険を顧みず、体を張った力芸を披露する若手芸人みたいだ。
この笑いへの飽くなき執着心、此処だけは、少し尊敬に値する。
されど真似は出来無いな。
まずにして、したくねぇし……
「さて、クラ。邪魔者も居なくなったし、ご飯食べよっか」
「そうッスね。それが良いッス」
放置こそが、一番美味しいシュチュエーションだろ山中。
だから有り難く放置されてろ。
「……俺にも食わせろ」
「黙れ……って、さっき言ったよね」
『ポコ』
『ガクッ!!』
奈緒さんの最後の一撃で、今度こそ山中はピクリとも動かなくなった。
そんな一撃を加えた彼女だが。
トドメを刺して置きながら、素知らぬ顔でご飯を食べ始める。
どうやら山中の事は、まるで、害虫を殺した程度にしか思ってないらしい。
無様山中。
「ねぇ、クラ、美味しい?」
「はい。相変わらず、どれを喰っても美味いッスね。それに今日は、俺の大好物の刺身じゃないッスか。感動ッスね……って、まさか、これって、自分で捌いたんッスか?」
「ふふ~ん。そうだよ」
「奈緒さんの手料理って、段々手が込んできてるッスね」
「そうかなぁ?これぐらいなら誰でも出来るよ。あぁ、でもほら、クラん家ってヤクザ屋さんじゃない。ヤクザって言えば、イメージ的に和食とか、割烹でしょ。だから、これぐらい作れた方がポイント高いかなって思ってさ。今日は、お刺身にしてみたのね」
「マジっすか?もぉ俺って、ホント幸せ者ッスね」
「なんで?」
此処に関しても自覚が無いんだ。
なら、尚更、この人って凄いよな。
高々イメージとは言え、自然に相手の家の事まで考えるなんて事、今時の女の子はしねぇぞ。
大体の場合は『肉じゃが』とかの自分の作れる料理だけを押し売りして来るのが定石だもんな。
やっぱ、スゲェは奈緒さん。
尊敬ッスよ尊敬。
「『なんで?』って……ほら、なんか、ウチの家なんぞ糞ヤクザの最低な家庭じゃないッスか。それを、そんな風に思って貰えるなんて、夢にも思わなかったッス。だから、なんかスゲェ嬉しいつぅか、既に感激の域ッスよ」
「ふ~ん、そうなんだ。まぁ、でも、嫁ぎ先だからね。それぐらいの事は考えて当たり前だよ」
「・・・・・・」
そう言う嬉しい事を平然とした顔で言うだろ、この人は。
それに『嫁ぎ先』って事はだな。
以前に渡した『結婚証明書』が、今だに有効って事だよな。
って事は、あれって『当たり企画』だったんだな。
ヤフ~~~~!!
「なに照れてんのよ?」
「いや、その、なんちゅ~か『奈緒さんには、早くお嫁に来て欲しいな』とか思ちゃって……なんと言いますか。はい、そんな感じッス」
「クスッ、変なの。今更なに言ってんのよ。私はね。もぉとっくにクラの物なんだよ。なんでもして欲しい事は、全~部、正直に言ちゃえば良いんだよ。遠慮せずにさ……ねっ♪」
「……ッスね」
これは照れる。
面と向かって、此処までハッキリ言われたら、流石に照れるぞ。
『ピクッ』
ん?なんだ?今、なんか動いたぞ?
「やっとれん!!やっとれんわ!!人が折角ボケまでかまして、長い事『死んだ振り』までしとったって言うのに。それを完全に無視して、2人の仲を見せつけるって、一体、どう言う了見やねん!!……だから、関東人は冷とうて嫌いやねん!!」
害虫は、どうやら生きていた様だ。
そして、その害虫は、俺達のラブラブな態度に嫉妬して苦情を垂れる始めやがる。
……ってかな、害虫男の山中よ。
素直に告白も出来ない様な無様なオマエ為に。
素直と付き合ったら、こんな愛情溢れる行為を、彼女に見せて貰えるって事を教えてやったんだから文句言うな!!
寧ろ感謝して欲しいもんだ。
「あぁ、カズ?気が付いてたんだ?」
「やかましいわ!!飯や飯や、はよ飯よそってくれ」
「オマエ、それ、どこの『ドあほうハルダンジ』だよ」
「おっ……それは中々、大阪の事をよぉ知っとる、高等な良ぇツッコミやな。ナイス・ツッコミやでマコ」
「はぁ、そうッスか」
ってな訳でだ。
山中ツッコミ大臣に合格点を貰ったので、全員で食事を再開する。
しかし、この馬鹿の気絶がボケだったとわな。
流石に俺でも、そこには気付かんかったわ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
山中君、一度は、奈緒さんの手によって駆除されましたが。
2人の仲を見せ付けられる事により、完全復活を果たしましたね(笑)
……って事で、今回は、完全にネタ回でしたぁ♪
ですが次回は、少々真面目なお話になりますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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