最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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088 不良さん 謎の男達に絡まれる

公開日時: 2021年5月5日(水) 00:21
更新日時: 2022年11月16日(水) 14:26
文字数:3,543

●前回のおさらい●


 みんなからの嬉しくもない生暖かい声援を受け。

奈緒さんのベースを練習スタジオに取りに行こうとする倉津君。


そこに謎の2人組が話しかけて来た。


さて、この2人組は誰なのでしょうね?

「なッ……?」

「さっきのベースの兄貴ッスよね!!さっきは、マジ、カッコ良かったッスよ。俺、マジ感動もんだったッスよ」

「へっ?」


突然話し掛けられて、なんのこっちゃサッパリわからないんだが。

さっきって事は、今しがた終わった第一部のライブの事を言ってやがるのか?


ひょっとしてコイツ等って、あの時の俺の演奏の話をしてるのか?


もしそうならよぉ。

……まぁ褒めてくれてるのは有り難いんだが。

その前に、まずにして『誰だよ、オマエ等?』って感じだな。


それにコイツ等、俺の事『兄貴』とかって言ってる様だが、100%俺の方が年下だぞ。



「マジ、やばいッス。マジ、やばかったッスよ」


だから、誰なんだよ、オマエ等は?


このロン毛の男には強引に握手とかされてるけど……ホント、誰なんだよ?

見た事もねぇ奴等に、イキナリ握手とかされてもなぁ。


もぉ訳わかんねぇよ。



「おっ、人気者だねぇ」


そこに、取り巻きの女を数人引き連れて現れたのは崇秀。


こいつだけは、一体、何所まで『誑し』になったら気が済むんだ?


見てるだけでも羨ましいじゃねぇか!!


それに比べて俺は、むさ苦しい男に群がられてる。

なんなんだよ、この差は……


それによぉ。

女引き連れてるオマエに『人気者』とか言われたくねぇよ。


馬鹿にしてんのか、オマエは?


……っとまぁ、それは置いといてだ。

取り敢えずは、この状況がどう言う事なのか?を崇秀のアホンダラァに説明させよう。


兎に角、なんで、このモヒカンとロン毛が、俺に話し掛けて来るのか、意味が解らんからな。



「ちょ!!崇秀、良い所に来た。なんだこれ?」

「はぁ……オマエねぇ。なんだこれは?ないだろ。自分のファンに対して、それはあまりにも失礼だぞ。オマエの、あのクソ下手糞なベースを気に入ってくれてるって言うのによぉ」


ファン?

ファンとな?


……誰の?



「あぁ、仲居間さんじゃないッスか。あの、ちょっと教えて欲しいんッスけど。この兄貴は、なんて名前なんッスか?」

「あぁ、コイツ……コイツに、名前なんて高級なものはねぇ、ただの馬鹿」

「ちょ……オマ」

「って事は、馬鹿兄貴ッスか?」

「あぁ、それ、良いな。じゃあ、そんな感じで」

「テメッ……」

「んじゃま、俺はチケット販売があるんでな。オマエと違って遊んでる暇はねぇ。……んじゃあな、馬鹿兄貴さんよぉ」

「テメッ!!ちょっと待てつぅ~の」


引き留め様として、素早く手を出すが。

奴は俺の手を、それ以上に素早くすり抜けて、そのままチケットを売り始める。


くそぉ~~!!あの野郎だけは、何所までも無駄な才能を持ちやがって……



「ところで馬鹿兄貴。馬鹿兄貴は、何所のバンドに所属してるんッスか?今日のバンドのメンバーの顔ぶれから見ても、あのバンドは即興ッスよね」

「流石モヒだぜ。良い事を聞くなぁ。因みに、馬鹿兄貴は、誰とやってんッスか?馬鹿兄貴の事、俺、初めて見たッスよ」

「ひょっとして、馬鹿兄貴は地方からッスか?」

「違うだろ。馬鹿兄貴は、地方なんてダセェとこから来てねぇよ。どちらかと言えば、魔界、若しくは地獄からの使者なんじゃねぇか?」

「マジか!!」

「あぁ、俺の予想だと、馬鹿兄貴は、絶対にそうだぞ」

「ヤベェな。馬鹿兄貴」


勝手な想像してくれるのは、結構なんだがな。

そう何度も馬鹿馬鹿言うな!!


確かに俺は、近年稀に見る様な馬鹿だから、馬鹿と言われるのは、いつもの事……慣れてはいる。


だがなぁ。

そんな連続して見ず知らずの奴に、馬鹿って言われるのは、流石の俺だってムカツク。


けどよぉ。

さっき馬鹿秀が、コイツ等は、俺の『ファン』とか言ってたよな。


まぁ、冗談半分に聴いたとしても、そこは悪い気はしないしなぁ。



「あのよぉ」

「「なんッスか、馬鹿兄貴」」

「いや、あのよぉ。オマエ等さぁ。人の事そんなに気安く、馬鹿馬鹿言うもんじゃねぇぞ」

「「あぁ、すんませんッス、馬鹿兄貴」」


だから、言うなつってのによぉ。


コイツ等、ウチのカラオケの店員レベルのアホなのか?

それとも、国見のオッサンの甥っ子ぐらいレベルの高い馬鹿なのか?


全然、話を理解してねぇじゃねぇか。



「まぁ良いや。一応言っとくが、俺、倉津真琴な」

「じゃあ、マコ兄貴ッスね」

「違うだろ。クラ兄貴だろ」

「いやいや、そこは譲れねぇぞ、ロン。俺の推奨はマコ兄貴だ」

「いや、クラ兄貴だろ。……そっちの方が、地獄の使者っぽくねぇか?」

「あぁ……けどよぉ、漢字で書いたら、俺の方は『魔虎兄貴』だぞオマエ。悪魔の虎だぞ」

「あぁなるほど、なるほど。じゃあ、そっちで良いか。凶暴なベンガルタイガーっぽいしな。イメージにピッタリだ」


何の話をしてるのかは知らんが、もぉオマエ等の好きに呼んでくれ。


つっかよぉ。

さっきから聞いてりゃ。

なんで俺のイメージが、そんな魔界や地獄イメージで、凶暴なイメージしかねぇんだよ。


失礼な奴等だな。


あぁ後、それとなぁ。

そこまで厨二病臭い発言をするなら『兄貴』の『貴』は『貴』じゃなくて『鬼』だろ。


こうすりゃあ『魔虎兄鬼』になってだな。

その悪魔の虎の兄貴分の鬼みたいで、かなり強そうじゃねぇか?

(↑果てしない厨二病患者な俺)



「あのよぉ」

「「なんッスか、魔虎兄貴」」


あぁ結局の所、悪魔の虎で決まったのな。



「1つ聞きたいんだがよぉ」

「「なんッスか?」」

「俺のベースの、なにが、そんなに良かったんだよ?」

「そりゃあ、なんと言っても、あの演奏中に浮かべる不敵な笑みッスよ。あのメンバーの中にいて、ニヤニヤ笑いながら演奏出来るのは、魔虎兄貴しか居ないッス。あの他を嘲笑うかの様な表情……マジ、やばいッス」

「俺もッス!!俺もそうッスよ」


あぁ……それ、オマエ等の勘違いだ。


俺はな。

基本的に、ライブ中に余裕なんてねぇもん。


それに実際は、あのニヤニヤしてたのだって、奈緒さんの歌が上手いのに感動してデレデレしてただけだし……


まぁ、そんな風に良い様にとってくれたんなら、それはそれで良いがな。

別にワザワザ説明する様な話でもねぇしな。


けど……1つだけ言わして貰ったら、気に入って貰えたのは演奏じゃないのな。


そこに関してはガッカリだな。


……なんて、少々落胆していたら。



「はい、完売。……グダグダ抜かすな。もぅねぇもんはねぇよ。チケット買えなかった奴は、大人しく『ブラック・リスト』か『Anarchy』か『Un-Virgin』に行け。早くいかねぇと、今度は、店の方が満員になるぞ」


俺が、少しこの2人と話してる間に、早くもチケットは完売か。


けど、あの馬鹿。

チケットを諦めきれない連中に囲まれて、身動き取れねぇでやんの。


ざまぁ。



「だから、もぅねぇつってんだろ。……どきやがれぇ~い。俺は、まだ用事があんだよ」


そう言って強引に人を押し退けて、軽やかに回避。


あっと言う間に、どこかに行っちまいやがった。


しかしまぁ、なんちゅう傲慢かつ我儘な奴だ。

もぅ少しファンってもんを大事に扱った方がいいぞ、オマエ。



「ヤベ!!やっちまったよ!!おい、ロン、チケット売り切れちまったぞ」

「あぁ、ちくしょう!!しくじったなぁ。……あぁ、けどよぉモヒ。その間、ズッと魔虎兄貴を話せたんだから、俺達の方が得じゃねぇか?」

「おぉだよな、だよな。マジそっちの方がラッキーだよな」


俺なんかと話して、そんなに嬉しいのか?


こうも喜ばれると、俺もなんか知らねぇが、妙に嬉しいもんだな。


悪くねぇ。



「んじゃま、急いで『ブラック・リスト』にでも行くか。あそこのマスターなら俺達でも顔も利くし、店も裏路地だから、場所を知らねぇ奴もいんだろ」

「だなだな。……んじゃ魔虎兄貴、ライブ頑張ってな。モニター越しに成っちまったけど、滅茶苦茶応援してるぞ」

「あぁ俺も!!俺も!!」


走って、その『ブラックリスト』って店に行くんだろうな。


けどアイツ等の行動からして、生で演奏を聞きたかったんだろうな……


なんか悪い事したな。


だったら、ちょっと強引ではあるのだが、どうにかしてライブハウスの中に入れてやれねぇもんかな。


そう思った俺は、この場を走り去ろうとした2人を引き止める。



「なぁ、オマエ等さぁ。良かったらなんだけど。ちょっと、中を手伝ってくれねぇか?」

「「えっ?まじッスか?」」

「いやまぁ、現時点じゃ、俺の一存では決めれねぇから100%とは言えねぇが。二部が開演したら、ドサクサに紛れて、なんとか中に入れてやるよ」

「「えっ?えっ?まじッスか?あざぁ~ッス、あざぁ~ッス」」

「まぁ取り敢えず、俺、一回、中に戻んなきゃイケねぇから、また後でな」

「「う~~ッス!!やったぜ!!」」


それだけ言い残して。

格好をつけて、背中を見せながら、手を上げて立ち去る。


こう言うの漫画のシーンで良くあるよな。


けど、まさか、自分が、そう言うシーンを演出する事になろうとはな……夢にも思わなかった(笑)


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>


話し掛けてきた2人組は、なんと!!

倉津君のファンに成ってくれた人達だったみたいですね。


少々柄は悪い感じには見えますが、初のライブでファンが付くなんて大したものです(笑)


さて、そんな感じで初のファンを獲得した倉津君なのですが。

次回は、ライブハウスに戻る前の街通路で、意外な事に出くわします。


それが何かは、次回の講釈(笑)


また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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