最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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397 なんだこのオチ?……マジでダメ過ぎんだろ!!

公開日時: 2022年3月10日(木) 00:21
更新日時: 2022年12月28日(水) 15:49
文字数:3,700

●前回のおさらい●


 由佳ちゃんの危険な発言で、メイド服を着る事に成った真上さん。

当然、そこにいる全ての男性が注目するが……矢張り、全員男性は追い出される(笑)


勿論、それは友達である倉津君も例外ではなかった。

(由佳ちゃん曰く『友達だろうけど【女】友達じゃないから却下』だそうです(笑))


そして追い出された男連中は……

 ……5分後。

廊下から壁に張り付いてミットモナイ姿を晒してる俺達にとっては、とてつもなく長い時間だった。


けど、無様な姿を晒した成りの、それ、相応の戦果もあった。


聞き取った教室内の会話の内容じゃ、メイド服を着る事を、頑なに拒否していた真上さんだったのだが。

奇跡的にも由佳や舞歌、その他の女子達の長期に渡る説得により、渋々だが衣装を着る事を承諾したんだ。


だが、この重要な情報を得る為に、多くの同士が散って行ったのも忘れてはいけない。


勇者諸君は、この会話を耳にしただけで、真上さんのメイド姿を想像し、多く同胞達が『勃起』と言う、もっとも哀しい男の生理現象に見舞われ……戦線離脱を余儀なくされる。


故に、今この場に残っているのは……


俺。

例の揉めた職人のにぃちゃん。

そして、由佳に抵抗を試みた男子生徒の3人だけだ。


この時点で、俺等3人には、妙な連帯感が生まれ始めていた。


ってか、馬鹿ノリ?



「おい、アンタ。このままで良いのか?このままじゃ、全滅は時間の問題だぞ」

「良かねぇ、ちっとも良かねぇよ。真上さんのメイド姿を拝まない限り、散っていった仲間達に顔向け出来ねぇ。奴等の無念を晴らす事は出来ねぇよ」

「あぁその通りだ。此処で諦めたらゲームセットだが、諦めない限り、ゲームは続行だ」


この職人のニィチャン、ノリが良いな。


なんだか会話だけを聞いてたら『覗きの分際』で、ドラマティックな話になってきたな。



「けど、倉津君。敵の防衛網は強固。隙が無いぞ」


おや、コイツもノリが良いのな。


ヤッパアホな男が集まって、人数で、こう言う馬鹿すんのはオモシレェな。



「心配するな。俺には、これを打破するだけの、綿密に立てた妙案がある」

「なんだそれは?」

「ある隙が出来た瞬間に一点突破をするんだ。それしか真上さんのメイド姿は拝めねぇ」

「けど、それは、あまりにも危険過ぎるんじゃないか?下手すれば、残りの中学生活が変態扱いだぞ」

「んな事を気にしてられるかよ。真上さんのメイド姿なんて、一生に一度お目に掛かれるか、どうかの代物だぞ。それなのに女子達のレッテルにビビッてちゃあ、なにも得れはしねぇよ」

「そう言う事だな。俺は乗ったぜ。オマエは、どうするんだ?」

「おっ、俺は……すっ、すまない。その変態と言うレッテルを貼られて、残りの1年間を、この学校で生活を送るのは辛過ぎる。すまないが、俺は此処までだ……」


ギブアップらしい。



「そうか……残念だ」

「2人共、俺の分まで、シッカリ眼に焼き付けて来てくれ」

「あぁ」


そして男子生徒は、前屈みのまま、この場を立ち去る。


なんだ、結局『勃起』してやがったのか……ショボイ奴め。



「っで、どうすんだ?その計画とやらは、どうすりゃ良いんだ?」

「なぁにぃ、簡単な事だ。真上さんの着替えさえ終わってしまえば、中に入ろうが、なんの問題もねぇ。タイミングさえ間違わなきゃ、きっとそれだけで、真上さんのメイド姿を見る事は可能の筈だ」

「そうか!!確かにそうだな!!その手があったか!!」

「だろ」


そんな訳で、2人で壁に耳を付けたまま、本当に戦いがスタートする。


では、此処で、このミッションで重要な事を2つ程上げておこう。


①女子達の会話。

●これが、このミッションの最大の情報源になるんだが。

女子と言う生き物は、新しい女子や、綺麗な女子に対して、少し意地悪になる傾向がある。

これを加味した上で、彼女達の会話の内容を分析して、突入のタイミングを計る。


まずは、これが最重要事項だ。


②衣服の擦れる音。

●これも重要な情報源だ。

これを聞き分けて、真上さんの『脱いだ』『着た』を判断する。


なので当然、見誤ると地獄が待っている。


この2点が上手く重なった、その瞬間こそが、俺のさっき言ったタイミングだ。

まぁ本来は、ゆっくり時間を掛けて、確実な時を待てば良いんだがな。

今回に限っては、そうは行かない。


真上さんが『メイド服を着るのを嫌がってる』以上、多くの時間は望めないからだ。


メイド服を着た一瞬に、女子がそれを確認したら、直ぐに真上さんが脱いでしまう可能性が高いからな。


下手に、そこに乱入したら、天国だが、正に地獄だ。


兎に角、今回はタイミングが命だ。


俺は、このミッションをコンプリートすべく、耳にだけ集中力を高める。



すると、少しして、こんな伊藤の声が聞こえてきた。



『きっ、綺麗……』


一聞すると、如何にも、衣装を着た時の歓声に思うかも知れないが……これは違うな。


推測するに、このセリフは、真上さんの肌の肌理を見て、伊藤が感動した声だ。


現に……



『そっ、そんな事ないですよ』


……って言う、真上さんの声が聞こえてきた。


間違いない。

さっきの『綺麗』って言葉は、俺を罠に嵌めようとする性質の悪い神様が作ったデコイだ。


まぁ、真上さんのお陰で、上手く回避する事が出来たがな。


そして、続いて次の声が聞こえて来る。



『王家さん、胸おっきい!!触らして、触らして』

『えっ?いや、あっ、あの、あの……』


うわ~~~~い!!

一応、この展開も予想はしていたが、これは最悪の展開だ。


これは、以前バスの中で同じ様な体験して知った事なんだが……

『女子って生き物は、何故かは知らないが、自分以外の女子の体を、矢鱈と触りたがる』

何故、同じ物を持つ者に、そんなに興味が有るのかは不明だが、兎に角、この謎の行為は良く起こる。


そして、この黄金のダメパターンに嵌った場合、女子の数が多ければ多い程、時間が掛かる。

それに、教室内がバタバタするから音が拾い難くなるんだよな。


これはもう、長期戦及び、雑音との戦いだな。


集中力を切らしたら、その時点で終了だ。



『バタバタ、バタバタ』

『キャキャ……』


……ダメだ。

衣服の擦れる音どころか、バタバタしてる上に、全員が喋っているから、女子の言葉が正確に拾えない。


ただ偶に、真上さんの困りきった声だけが小さく聞こえて来る程度だ。


だが、これは、これで妙にエロいぞ。



「……すまん」

「あっ、あんちゃん、どっ、どうしたんだよ?」

「下半身への血の流れが、俺の言う事を聞いてくれねぇ。止まってくれねぇんだよ。あんな小声で、妙にエロイ声を聞かされたら……俺は堪んねぇんだよ」

「アンタ、まさか声フェチだったのか?」

「あぁ、そうだ。……あんな楽しそうな女子の声を聞かされたら、頭の中の妄想が暴走して止まらねぇよ」

「そうか……此処まで来て、それは残念だったな」

「あぁ」

「なら、俺からアンタに言える事は1つだけだ……良い夢見ろよ」

「スマン。そうさせて貰う」


この職人の兄ちゃんが、声フェチだったとは盲点だったな。


しかし、良く此処まで耐えたものだ。

声フェチにとったら、このシュチュエーションは、ある意味天国で、ある意味地獄。


きっと心の中で、凄い葛藤が有ったと思われる。


だが、彼の選んだ選択肢は、最良のモノと言えよう。


まぁ、ある意味『真上さんのメイド姿を見る』と言う最終的な目標は失ったものの、それ以外の部分で『得るもの』も有った筈だ。


同志よ。

頑張って、そのネタを上手く使うんだぞ。


サラバだ。



……っと、その瞬間!!


俺が待ちに待った言葉が聞こえてきた。



『あぁ……可愛い!!凄く可愛い!!』


キタァアアァァァァァ~~~!!


これだよ、これ!!


着替え終わった女子に、一番最初に賞賛に使う言葉!!


『可愛い』


しかも、着替の時間としても、申し分がない位、丁度良い頃合だ。


これは間違いねぇ!!



俺は、確信めいたものを自分の中で持ち、教室に突入する事を決めた。


よっしゃあ~~~~!!イケエェェ~~~!!


『ガラッ』



「真上さん、着替え終わった?」

「えっ?」


あっ……あれ?

なんで、真上さん下着姿のままなんッスかねぇ?


おっ、おかしいなぁ……

このタイミングだったら、外す筈は無いんだが……



「くっ、倉津……君」

「えっ?えぇっと、王家さん、まだ着替え中……なんだけど」

「えっ?だってよ。今、確かに可愛いって……」

「えぇっと、それ『下着が可愛い』って、話なんだけど」

「下着?……」


真上さんは、自分の置かれた状況に反応し、目線を自分の体に向ける。



あぁ、これは終わったな俺……


完全にタイミングを見誤っちまったよ……



「えっ?えっ?えっ?あっ、あの……きゃあぁああぁぁぁあぁぁぁ~~~!!」

「げっ!!」

「コラァァ~~~!!」


『ゴスッ』



「ぐはぁあぁあぁぁぁ~~~~」


俺は、由佳の投げ付けて来た鞄が、モロにブチ当たって、廊下に転げ出る。


うそ~~~ん!!なんでやねん!!

完璧なタイミングだと思ったが、これじゃあ、違う意味で、完璧なタイミングじゃねぇかよぉ!!


ただの『覗き』のコントにしかならねぇよ!!



流石に、これ……ダメ過ぎんだろ。



俺は、この後、投げつけられた鞄に仰け反り、廊下で後頭部を強打。

気付いた時には、誰かの手によって保健室に運ばれていた。


オイオイオイオイ、マジで……こんなオチ、ダメ過ぎんぞ!!



毎度毎度の事だが、なんでこうなるんだよ!!


マジでやってらんねぇわ!!


馬鹿じゃねぇのか?



……あぁけどな。

こうやって俺だけ真上さんの下着姿が見れたのは、不幸中の幸いだったな。


いや寧ろ、ラッキーだったな……


そこだけは、ありがたや、ありがたや。

(↑真性のダメ人間)


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

これにて第一章・第九話『これ……ダメ過ぎんだろ』はお仕舞に成るのですが。


自分で言うのもなんですが……酷いオチですね(笑)


途中まではシリアスな展開を踏まえて、人間心理を描いていたのですが。

読んで下さってる読者さんも、そんな重い話ばっかりじゃ息が詰まると思い……愉快なオモチャ(倉津君)を投入させて頂きました♪


少しは息を抜いて貰えたでしょうか?


さてさて、そんな事もありながら。

次回からは第十話『追う夢・叶う夢』をお送りしたいと思います。


誰に、どんな夢があるのか?そして、どんな夢が叶うのか?


その辺を書いて行きたいと思いますので。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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