●前回までのあらすじ●
曲の演出の為に、キャラクターを変えて、メンバー紹介で悪さばっかりする奈緒さん。
そのお仕置きとして、嶋田さんにステージ上で「スカート捲り」をされるが。
彼氏である倉津君は、これが演出だと気付き、コソッと笑っていたのだが……
それで事態は終わらなかった(笑)
「テッ、テメェ、死神!!俺の奈緒ちゃんに、なんて破廉恥な真似してくれやがんだ!!ブッ殺す!!絶対にブッ殺してやる!!」
奈緒さんファンの鮫島は、何故か、この演出に収まりが付かないらしい。
血相を変えて、今にもステージに上がって来て、嶋田さんを殴りそうな勢いだ。
あぁこれは、流石にヤベェ展開だな。
しかしまぁ、こんなネタみたいな事を、真に受ける奴って、ホントに居るんだな……アホ臭い。
良いか鮫島。
オマエが、そんなに怒らなくてもだな。
俺と奈緒さんは、そんなちっぽけな事ぐらいで、揺らぐ様なショボイ関係じゃねぇんだよ。
それにオマエ、今『俺の奈緒ちゃん』って言ったけどな。
奈緒さんは、俺だけのものであって、決してオマエのものではない。
それ故に、未来永劫、奈緒さんがオマエの物になる事はない。
この真実がわかったらのなら、大人しくさっさと観客側に引っ込め!!
俺はシルバーセイント(ゴールド程は早くない)を髣髴する素早い動きで、一瞬にして嶋田さんの前に立ち……
「はい、お疲れさん。ド~~~ン!!」
「グワッ!!」
……っと、ステージに駆け上がろうとした鮫島を、その直前で突き落とす。
勿論、俺の動きを見ていた観客は、盛り上がりながらも、鮫島を上手く拾ってくれた。
これは一安心だ。
だから、そんな様子を確認した後。
俺も調子に乗って『決め台詞』なんて言ってみる。
このセリフで、観客にドン引きされなきゃ良いがな。
「オイオイ、そこのにぃちゃんよぉ。ライブではしゃぐのは大いに結構だがな。あんまり、おいたしちゃダメだぜ。ライブを見るのにも、最低限のマナーってもんは必要だぞ」
「「「きゃあぁあ~~~!!兄貴君カッコイイ!!」」」
「うぉ!!マジ、かっこいいぜ、兄貴!!その圧倒的な強さ、しびれるぅ!!憧れるぅぅ!!」
「流石、我等が魔虎兄貴だぜ!!客を突き落としておいて、平然とした顔で説教までするなんて格好良過ぎだろ!!まじシビィ!!」
「「「「「カッコ良いぞ、兄貴ぃ~~~!!」」」」」
うわっ!!なんだこれ?
今の俺の、変に格好をつけただけの言動が、予想に反して好評だ!!
しかも、豪く盛り上がってやんの。
……意外と、やってみるもんだな(笑)
けど、その分、鮫島には悪い事したなぁ。
奈緒さんを想ってやった行為の筈が、今じゃ完全に悪役じゃねぇか。
マジで悪ぃな。
「テメェも、そこの破廉恥野郎の嶋田とグルか?なら、テメェも一緒にブッ殺してやんよ」
「「「「「きゃああぁぁぁぁ~~~!!」」」」」
あっ……鮫島のアホ、ポケットからナイフ取り出しやがった。
おいおい、オマエ、それ、やられキャラの定番パターンだぞ。
しかし、まいったなぁ。
幾ら俺でも、そんな光もんまで出されちまったら、客だからって、もぉ容赦出来ねぇぞ。
光物を出したって事は、それなりに覚悟は出来てんだろうな?
つっても……多分、鮫島も大恥を掻いたから、この場の収まりつかねぇだろうなぁ。
まっ、いっか。
しゃあねぇから取り敢えず……殴ろ。
「死ねや!!このカッコ付け野郎!!」
「……断る」
『ガコッ!!』
『サクッ』
「ぐはぁあっぁぁ~~~」
「「「「「きゃああぁぁ~~~!!」」」」」
「あぁ~~あっ、マコのアホ、ホンマにやってまいよった」
鮫島は、見事なやられキャラぷりをアピールする様に、弧を描いて、再び客席に吹き飛んで行く。
まっ、奈緒さんを想ってやった行為なんだろうが、ナイフまで出すのはヤリスギ。
それに、ライブを中断させたのは不味かったな。
なので、その辺は自業自得だと思い、少しは懲りて、そこで大人しくしてろ。
……にしても、さっきの『サクッ』て音なんだ?
その答えは、素直の口から直ぐに齎される。
「まっ、真琴君、あっ、足に……足に、ナイフが刺さってますよ……」
顔面を蒼白にしながら素直が、そんな事を言ってきた。
俺は、彼女の指摘通り、自分の足を見てみる。
「ん?あぁホントだな。さっきのアクシデントで、鮫島のナイフが足に突き刺さっちまってるみたいだな」
「ちょ、クッ、クラ、だっ、大丈夫?ちっ、血が、いっぱい出てるよ」
「あぁ、出てますね。けどまぁ、この程度の怪我だったら心配するには及びませんよ。大丈夫なんじゃないッスかね」
オヤオヤ、素直だけに留まらず、奈緒さんまで……なにを2人して、そんなに血相を変えてるんッスか?
そりゃまぁ、確かに、ナイフが刺さって吃驚するのはわかりますが。
心配しなくても、これは、そんな大層な話じゃないッスよ。
いやまぁ、そりゃあ『痛くないか?』って聞かれりゃ、そりゃあ『痛い』ッスよ。
けど、こんな先っぽの小さいチンケなナイフ刺さったぐらいじゃ、泣き叫ぶ程の痛みじゃないのも事実ッスね。
こんなもん、以前、崇秀と2人で、隣の中学校に襲撃かけた時。
喧嘩相手に頭を鉄パイプで殴られて、頭蓋骨陥没した事を思えば、どうって事ないッスよ。
俺等は、それでもまだ喧嘩を辞めずに、相手を殴ってたんッスから……
まぁけど、一般的に見れば、こんな程度の傷でも重症には見えるもんなんだろうな。
なんか、こう言う所は、妙に世間とのズレを感じざるを得ないな(笑)
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
トラブルの結果、足にナイフが刺さっちゃいましたね。
まぁ本人が言う通り、こんな小さなナイフじゃ、どうって事ないんですけどね。
ですが、傍から見たら、そうじゃない。
この出来事が、次回、どう影響するのか?
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
読み終わったら、ポイントを付けましょう!