最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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181 不良さん、サクッ!!

公開日時: 2021年8月6日(金) 00:21
更新日時: 2022年12月2日(金) 17:50
文字数:2,067

●前回までのあらすじ●


 曲の演出の為に、キャラクターを変えて、メンバー紹介で悪さばっかりする奈緒さん。


そのお仕置きとして、嶋田さんにステージ上で「スカート捲り」をされるが。

彼氏である倉津君は、これが演出だと気付き、コソッと笑っていたのだが……


それで事態は終わらなかった(笑)

「テッ、テメェ、死神!!俺の奈緒ちゃんに、なんて破廉恥な真似してくれやがんだ!!ブッ殺す!!絶対にブッ殺してやる!!」


奈緒さんファンの鮫島は、何故か、この演出に収まりが付かないらしい。

血相を変えて、今にもステージに上がって来て、嶋田さんを殴りそうな勢いだ。


あぁこれは、流石にヤベェ展開だな。


しかしまぁ、こんなネタみたいな事を、真に受ける奴って、ホントに居るんだな……アホ臭い。


良いか鮫島。

オマエが、そんなに怒らなくてもだな。

俺と奈緒さんは、そんなちっぽけな事ぐらいで、揺らぐ様なショボイ関係じゃねぇんだよ。


それにオマエ、今『俺の奈緒ちゃん』って言ったけどな。

奈緒さんは、俺だけのものであって、決してオマエのものではない。


それ故に、未来永劫、奈緒さんがオマエの物になる事はない。

この真実がわかったらのなら、大人しくさっさと観客側に引っ込め!!


俺はシルバーセイント(ゴールド程は早くない)を髣髴する素早い動きで、一瞬にして嶋田さんの前に立ち……



「はい、お疲れさん。ド~~~ン!!」

「グワッ!!」


……っと、ステージに駆け上がろうとした鮫島を、その直前で突き落とす。

勿論、俺の動きを見ていた観客は、盛り上がりながらも、鮫島を上手く拾ってくれた。


これは一安心だ。


だから、そんな様子を確認した後。

俺も調子に乗って『決め台詞』なんて言ってみる。


このセリフで、観客にドン引きされなきゃ良いがな。



「オイオイ、そこのにぃちゃんよぉ。ライブではしゃぐのは大いに結構だがな。あんまり、おいたしちゃダメだぜ。ライブを見るのにも、最低限のマナーってもんは必要だぞ」

「「「きゃあぁあ~~~!!兄貴君カッコイイ!!」」」

「うぉ!!マジ、かっこいいぜ、兄貴!!その圧倒的な強さ、しびれるぅ!!憧れるぅぅ!!」

「流石、我等が魔虎兄貴だぜ!!客を突き落としておいて、平然とした顔で説教までするなんて格好良過ぎだろ!!まじシビィ!!」

「「「「「カッコ良いぞ、兄貴ぃ~~~!!」」」」」


うわっ!!なんだこれ?

今の俺の、変に格好をつけただけの言動が、予想に反して好評だ!!


しかも、豪く盛り上がってやんの。


……意外と、やってみるもんだな(笑)


けど、その分、鮫島には悪い事したなぁ。

奈緒さんを想ってやった行為の筈が、今じゃ完全に悪役じゃねぇか。


マジで悪ぃな。



「テメェも、そこの破廉恥野郎の嶋田とグルか?なら、テメェも一緒にブッ殺してやんよ」

「「「「「きゃああぁぁぁぁ~~~!!」」」」」


あっ……鮫島のアホ、ポケットからナイフ取り出しやがった。


おいおい、オマエ、それ、やられキャラの定番パターンだぞ。


しかし、まいったなぁ。

幾ら俺でも、そんな光もんまで出されちまったら、客だからって、もぉ容赦出来ねぇぞ。


光物を出したって事は、それなりに覚悟は出来てんだろうな?


つっても……多分、鮫島も大恥を掻いたから、この場の収まりつかねぇだろうなぁ。


まっ、いっか。

しゃあねぇから取り敢えず……殴ろ。



「死ねや!!このカッコ付け野郎!!」

「……断る」


『ガコッ!!』

『サクッ』



「ぐはぁあっぁぁ~~~」

「「「「「きゃああぁぁ~~~!!」」」」」

「あぁ~~あっ、マコのアホ、ホンマにやってまいよった」


鮫島は、見事なやられキャラぷりをアピールする様に、弧を描いて、再び客席に吹き飛んで行く。


まっ、奈緒さんを想ってやった行為なんだろうが、ナイフまで出すのはヤリスギ。

それに、ライブを中断させたのは不味かったな。


なので、その辺は自業自得だと思い、少しは懲りて、そこで大人しくしてろ。


……にしても、さっきの『サクッ』て音なんだ?


その答えは、素直の口から直ぐに齎される。



「まっ、真琴君、あっ、足に……足に、ナイフが刺さってますよ……」


顔面を蒼白にしながら素直が、そんな事を言ってきた。


俺は、彼女の指摘通り、自分の足を見てみる。



「ん?あぁホントだな。さっきのアクシデントで、鮫島のナイフが足に突き刺さっちまってるみたいだな」

「ちょ、クッ、クラ、だっ、大丈夫?ちっ、血が、いっぱい出てるよ」

「あぁ、出てますね。けどまぁ、この程度の怪我だったら心配するには及びませんよ。大丈夫なんじゃないッスかね」


オヤオヤ、素直だけに留まらず、奈緒さんまで……なにを2人して、そんなに血相を変えてるんッスか?


そりゃまぁ、確かに、ナイフが刺さって吃驚するのはわかりますが。

心配しなくても、これは、そんな大層な話じゃないッスよ。


いやまぁ、そりゃあ『痛くないか?』って聞かれりゃ、そりゃあ『痛い』ッスよ。

けど、こんな先っぽの小さいチンケなナイフ刺さったぐらいじゃ、泣き叫ぶ程の痛みじゃないのも事実ッスね。


こんなもん、以前、崇秀と2人で、隣の中学校に襲撃かけた時。

喧嘩相手に頭を鉄パイプで殴られて、頭蓋骨陥没した事を思えば、どうって事ないッスよ。


俺等は、それでもまだ喧嘩を辞めずに、相手を殴ってたんッスから……


まぁけど、一般的に見れば、こんな程度の傷でも重症には見えるもんなんだろうな。


なんか、こう言う所は、妙に世間とのズレを感じざるを得ないな(笑)


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


トラブルの結果、足にナイフが刺さっちゃいましたね。

まぁ本人が言う通り、こんな小さなナイフじゃ、どうって事ないんですけどね。


ですが、傍から見たら、そうじゃない。


この出来事が、次回、どう影響するのか?


また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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