最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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741 慣れない優雅さと退屈な日々

公開日時: 2023年2月17日(金) 00:21
文字数:3,635

 実は、まだアメリカに居る眞子。

その理由は、奈緒ネェのアメリカのツアーに同行する為ではあったのだが。


……っで、そこで何があったか?と言うと。

 ……さてさて。

此処まで奈緒ネェの優雅なライブツアーに付き合って、昨晩のライブも大きな盛り上がりを見せながら終わり。


ツアーも全日程が終了。

最終地、シアトルでのライブも終わってしまった。


ほんでね。

今日の今日まで、これと言った驚く様な『特別なハプニング』もなく。

アメリカでの知名度が元々高い奈緒ネェはライブは、立見席さえないぐらいの大好評で毎回毎回『オール・ソールドアウト』


何所に行っても客席が『満員御礼』で、ライブ自体も、日本で遣っていた時のよりも盛り上がり捲くり。

(横浜アリーナ除く)


もぉね。

申し分の無いライブを繰り返してきた。


……まぁ要するに、なにが言いたいかと言いますと。

私みたいに行く所、行く所で、ハプニングを起す様な事もなく。

あまりにも、なにもなく『順風満帆』すぎて、逆に私の様に奈緒ネェのツアーに付き添わせて貰ってるだけの立場の人間だと退屈なんですよね。


まぁ、そんな訳なんで……全てのライブが平穏無事に終了してしまい。

私自身も、後は、此処シアトルから飛行機に乗って日本に帰るだけなので。

此処からは、アメリカでの新生活を始める奈緒ネェとは、また少しの間、お別れになる訳ですよ。


……っと言う訳でございまして。

この奈緒ネェの14日間のライブでは『久しぶりに、一緒に楽しい時間を過ごさせて貰った』んですが。


本当に話す様な面白いネタが、なにもないんですよね。


それに……この後のお別れの話みたいな、湿っぽい話をしても仕方が無いので……

今回は、せめてホランドさんと行った、テキサスに在る『奇妙なギターショップ』のお話をしようと思います。

此処は本当に変な店だったので、奈緒ネェのツアー中、唯一インパクトが残ってるんですよね。


んじゃまぁ、こんなツマラナイ話で良かったら。


……どうぞ。


***


 ……微妙に腹が立つ。


一昨日、マイアミで休んだ所なのに、此処テキサスでも、またしても1日の休みが有る。


『私なんか50日間の内、ライブが45回もあったんで、休みがたった5日だったんですけど』

……なんて、そんな不当な扱いを受けた自分と、奈緒ネェの扱いの違いに少し僻んでみたりもするんだけど、奈緒ネェは元々日本でメジャーなアーティストとして活躍してたし、アメリカでも、GUILD関係から情報が漏れているので知名度が異常に高い。


故に、これは仕方がない事なので……直ぐに諦める。


……っで、ですね。

折角、奈緒ネェが休みなんだから。

此処テキサス州はダラスの街で、一緒に買い物にでも繰り出そうと思ったんだけどね……

今日一日が休みだという事を、奈緒ネェ自身が知っていたから、昨日のライブを全力投球でやり過ぎて、今日は流石に疲れて果てて、完全に寝ちゃってるんですよね。


俗に言う『熟睡』って奴です。


まぁ真琴ちゃんなら此処で、奈緒ネェを起してでも2人で休みを謳歌しようとするかも知れないけど、私は、そんな馬鹿な真似はしない。

第一、もぉ私は『奈緒ネェの妹』と言う、まさに血縁的立場なので、大切で仕方が無いお姉様の事を想えば、そんな我欲に塗れた馬鹿な事すら思い付きはしない。


それに今回は『オマケ』で付いて来てるだけ立場上、無理を言っていい筈も無く。

奈緒ネェの安眠を妨害する様な真似もしない。


……ってかね。

それ以前の問題として『す~す~』って寝息を立てて寝てる奈緒ネェは、超可愛い過ぎて起せませんよ。


ウチの姉は、本当に可愛いんですよね♪


まぁ……そんな訳なんで。

結局、やる事は、いつもと一緒で、勉強とベースの練習以外なにもする事が無く。

早朝から早々に今日のノルマをこなしてしまった私は、退屈を持て余し続けている。


だから、な~~~~んの目的もなく。

ただホテルのロビーに下りて、1人悲しく朝食などを摂っていた。



すると……



「眞子。おはよう」

「あっ、おはようございます、ホランドさん。ライブの翌朝なのに、お早いんですね」

「いや、早いと言うか。実は、その逆なんだよ」

「はい?逆……なんですか?」

「あぁ、昨日のライブでは余りにも気合が入ってしまったんでね。昨晩は寝付きが悪くなってしまって、この有様なんだよ」


あぁそう言う事か。

盛り上がったライブで、自分自身に入った火が抜けなくなっちゃったんですね。

比較的、冷静なホランドさんでも、寝付きが悪くなる程、熱くなる事があるんですね。


それにしても……羨ましい限りだ。



「あぁ~~~、良いですねぇ。私なんか退屈を持て余して、毎日が死にそうですよ」

「まぁまぁ、そうやって逸る気持ちは解るが。今はそう言わずに、ゆっくりと休暇を満喫しなさい。今の眞子には、休養が必要な時期なんだから」

「まぁ、そうなんですけどね。でも、なんか、こう言う、退屈で優雅な時間って言うのは、どうにも苦手みたいなんですよ。……あぁ勿論、勉強とかベースの練習は、ちゃんとしてるんですよ。でも、ヤッパリ、なにか物足りないと言いますか。なんと言いますか」


要するに、頑張ってる人から言えば『贅沢な愚痴』をズラズラと言ってる訳ですよ。


まぁ普通の人なら、こんな高級なホテルで『休養を取れ』なんて言われれば、喜んで休暇を取るんだろうけど。

なにも考えずに居られる贅沢を満喫出来る程、私は、まだ年はとってないのよね。


だから、なんて言いますか……この間までの地獄とのギャップが有り過ぎて、こう言う環境には中々馴染めなかったりするんですよね。


そんな心持ちなので、皆さんがライブで必至に演奏をしてる姿を見せ付けられるのって、これはこれで、結構、苦痛なものなんですよ。


いやはや、いやはや……ニントモカントモ。



「……そんなに眞子は退屈なのか?」

「すみません。……なんか、凄く贅沢な事を言っちゃってますね」

「まぁ、それは、人それぞれの捉え方が有るから一向に構わないんだが。……あまり、若い者が退屈を持て余すのは良くないな」

「そうですよねぇ。解ってるんですけどねぇ。……どうにも……」


本当にすみません。


疲れてる所に、愚痴ばっかり聞いて貰っちゃって……



「では、眞子。それ程までに退屈していると言うなら。私から1つ提案があるんだが」

「なんですか?なんですか?」


あぁ……やっちゃった。

自分が、なにもする事がなくて暇だからって、ミットモナイぐらい思いっ切り喰い付いちゃった。


ホランドさんはライブで疲れてると言うのに、なにやってんだかな……私。


……っで、その提案ってなんなんですか?



「いや、そんなに喜ばれても困るんだが。良かったら、気晴らしに、私とドライブでもしに行かないか?勿論、強要はしないがね」

「あぁ!!行きます!!行きます!!私で良かったら、どこへなりとでもお供しますよ」


あぁダメだ……こう言う所は我欲に従順だから、退屈には勝てない。

『退屈で仕方が無い』と言う心持ちだから、普段にも増して、元々少ない抑制力が異常に低下している。


でも、女の子なんだから、少しはこう言う部分も気を付けなきゃね。



……嘘。

もぉ無理です。


……ってか、遊んで下さい!!



「そっ、そうか。……っとは言ってもだ。私も、この辺の地理に詳しい訳じゃないから、どこに行くっと言う目的がある訳ではないんだがね。それでも良いか?」

「あぁ、はい。勿論、それでOKですよ。知らない街をウロウロするって言うのは、結構、楽しいものですからね」

「いや、眞子。……ドライブだから、車なんだが」

「あぁ、そっか」


……ですね。



「因みにだが、眞子。この辺りで、どこか行きたい所はあるか?」

「あぁ~~~、無いですね。……って言いますか。ホランドさんより、私の方が、アメリカの地理に疎いですから、この辺りに、なにがあるのかすらも解りません」

「そうか。……そう言えば眞子とは、いつも英語で話をしているから、日本人だと言う認識が薄いな。スッカリ忘れていたよ」

「あぁ、言われてみれば、そうですよね。コッチに来てからは、奈緒ネェと、崇秀以外とは殆ど英語でしか会話しませんもんね。なんか外人さんみたいですね」

「いやいや、これは流暢に話せていると思って貰えば良い。眞子も、仲居間さんも、殆どネィティブに近い発音だからね。……まぁ、それはそれとして。お互いが、なにも解らない土地で、どこに行ったものだろうな」


困りましたねぇ。


あっ……そう言えば。

今の『崇秀』って話で思い出したんですけど。

空港での別れ間際に、崇秀が、私のポケットに入れたメモに書かれてた、あの『崇秀お薦めの楽器屋さん』って何所だっけなぁ?


確か、記憶が正しければ『テキサスのダラスの何所か』って書いてあった様な気がしないでもないんですよね。


それに……私の大切な愛機である『79 Sting -rayちゃん』を、必ず、その店で『調整』して貰えって書いてあったよね。


そっか、そっか。

もし、これが私の記憶通り、そのお店がダラスにあるんだったら、店に行くだけでも良い暇潰しにはなりますよね。



私は、再度確認をする為に、ポケットから、財布に移し変えたメモを取り出してみた。


あっ……やっぱりダラスだった。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


奈緒さんのツアーは、どうやら大きな盛り上がりを見せながらも。

何処かの誰かさんみたいにハプニングに塗れる事無く『平穏無事』に終えたみたいですね(笑)


まぁ、言うて、これが普通なんですけどね。


……っとは言え、逆に眞子のライブがハプニングに塗れていただけに、なにも起こらない事に対して眞子自身が退屈に感じ。

ホランドさんと一緒に、崇秀お薦めの楽器屋に行くみたいなんですが……紹介してるのが崇秀なだけに大丈夫なんですかね?


まぁ当然、大丈夫じゃないからこそ、眞子にインパクトを残した話になる訳なのですが。

一体、どんなお店が待ち構えているのか?

その前に、ホランドさんは、その店に興味を示してくれるのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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