●前回のおさらい●
眞子の事を矢鱈と気に入ったご店主さん。
そして縁あって、眞子の持ち込んだベースが、以前に来店したしつこい客に『ノーカスタムの商品を30万で売った物』だと判明し、カスタム料は不要だと言い出す始末。
当然、借りを作るのが嫌いな眞子は、これを拒否するのだが。
『ならば40万払ってみる?』っと問われて……その反応は?(笑)
「4、4、4、4、4……40万ですか!!学生の私には、そんな大金、とても無理ですよ」
「だったら、四の五の言わず、人の好意を受けちゃえば良いんじゃない?」
「あのぉ~……金額を聞いたら、余計に受け難くなったんですけど……」
「こう言うのって、そう言うお金の問題じゃないって。それに、使い手が求めてるから、オイラは自身の技術を与えてるだけだからね」
「でもでも、全然、ご店主さんのメリットが無いじゃないですか。……それに私、ただの下手糞ですよ」
「上手い下手なんて物は、オイラが決める事でしょ。鞍馬ちゃんが決める事じゃないねぇ」
「はぁ、まぁ、そうなんですけど。なんとも納得が出来無い感じですね」
●質問です●
『初めて逢った人に【君に40万あげるよ】って言われました』
……アナタは平然と受け取れますか?
良心があるなら……無理だよね。
……って事で無理。
「いや、眞子。此処は納得出来なくても、先生にやって貰うべきだ。なんなら私が、その金額を立て替えても構わないよ」
「えっ?えっ?……ホランドさん?」
どったの?
「ほぉ、ギター小僧も。、漸く、楽器本来の意味が解って来た様だな」
「いや、先生。先生のおっしゃる通り。楽器は弾いてこそ価値があるものだと、漸く認識する事が出来しました。『此処一番のライブ』だけで、良い楽器を使うと言うのは、観客に対して『馬鹿にしてのもの同然』。それに、使い込んで故障箇所が出たならリペアすれば済む話。……私は『楽器に価値を付け様とした愚か者』でした。根底から楽器のあり方を間違っていました。申し訳ありません」
そっか、そっか。
私は、いつもなにも考えずに、バシバシ『79 Sting -rayちゃん』を使ってたけど、そう言う捉え方もあるよね。
それに、さっきからホランドさんが妙に神妙な顔してたから、また怒ってるのかと思ってたら。
実はそうじゃなくて、そう言う楽器のあるべき姿を考慮して噛み締めてた訳ですね。
ホント、真面目な人だなぁ。
「誰が先生だ!!」
「アナタ様です。楽器を弾く身でありながら私は、そんな事すらも解っていない愚か者でしたが、先程の先生の有り難い言葉で目が覚めました。私は、これから所有するギターを全てメインギターだと思い使っていこうと思います。……ですから、何卒、先生と呼ばせて下さい」
うわ~~~、師弟関係が成立しそうな感じだ。
でもでも、このままじゃあホランドさんの一方通行。
このホランドさんの態度に、ご店主さん、どういう反応を返すんだろうね。
「ふん……漸く、本当に解ってきたみたいだな」
「ありがとうございます。これも先生のご指導の賜物です」
「チッ……つぅか、小僧。オマエのギターを、もう一回貸せ」
「何故ですか先生?」
「あぁ?気が変わったから、小僧のギターも、特別、調整してやるつってんだ。ピーチク言ってねぇで、さっさと貸せ」
「いえ、私はまだ、先生に調整して頂くには値しない若輩者です。ですので、これから精進した後に、再度、先生に依頼させて頂きたいと思います」
「やかましいわ!!良いかギター小僧?小僧自身に価値がねぇんなら、そのギターをガシガシに弾き捲くって、何度もオイラの元に『リペア』しに来い。……オマエの腕は、ネットで見た感じじゃあ、そんなに悪くないからな」
あっ……なんか格好良いね、こう言うの。
ご店主さん、あれだけ文句を言ってた割に、ちゃんとホランドさんの演奏も知ってたし。
ホランドさんが楽器の在り方をキッチリ理解して心を入れ替えたからこそ、その意を感じ、自身の手で調整をしてあげようとしている。
これって、まさに不器用な師弟の絆って感じじゃない?
結構、男臭い好きな感じですね。
「……ねぇ、鞍馬ちゃん。鞍馬ちゃんも、そう思うよねぇ」
「えっ?あぁ、はい……そうですね」
此処さえなければ……良い感じだったのに(;´д`)トホホ
けど、なんでそうなの?
なんでそんなに、性別だけでコロコロと態度を変えるの?
どんな女好きですか?
「まぁそう言う訳だから、オイラが責任をもって2本とも面倒を見てやる。……あっ、鞍馬ちゃんのは、元から見る気があったからね。全然心配要らないよ」
「いや……あの……」
「先生、ありがとうございます。このご恩は、ステージで返させて頂きます」
「ほぉ、わかってるじゃねぇか。……あっ、鞍馬ちゃんは、いつも通りで良いんだよ。元気いっぱい弾けば良いんだよ」
「あっ、はい。……そうですか……そうですね」
此処まで言われたら、明らかに、断れそうにない雰囲気だね……これ。
それにしても40万かぁ。
本当にどうしたもんかなぁ?
まぁ、その価値は十分な程にあるからこそ、崇秀も、このお店を推薦してくれてるんだろうけど。
どうやっても、無い袖は振れないしなぁ。
「んじゃま、久しぶりに気合入れてやってみっか」
「いや、ちょっと待って下さい!!あの~~~、まだお金の話が……」
「だから、そんな細かい事は気にしない、気にしない。……って言っても、鞍馬ちゃんは納得しないから、今日一日、オイラは工房に篭るから、その間、店番して置いてくれればOK。……それと偶に、工房に顔出してくれれば、もう1つOK。駄々を捏ねずにさぁ。これで譲歩してくれよ」
「いや、譲歩と言いますか……」
「眞子。此処は、先生のやりたい様にやらせてあげてはくれないか?私からも、お願いしよう。……頼む眞子、この通りだ」
「おぅ、ギター小僧、解ってるじゃねぇか。今オマエ、良い事を言ったな」
えっ?
何を言い出すのかと思えば、この人、ご店主さん側に寝返ったよ!!
ア~~タは、三国志に出てくる『裏切り魔王の呂布』か!!
ゲームしてる時に、散々なまでに裏切られて、泣かされ続けたんだから……そういうのはヤメテよね。
「あの~……もぉ困ったなぁ」
「なにを困る必要がある?人の好意は無にせず、ちゃんと受けなさい」
「いや、あのですね。私、人に借りを作るのが嫌なんですよ」
「『借り』と『好意』は別物だ」
「いや、ホランドさん。……それ、本当に、自分に都合が良いだけの話ですよ」
「うっ!!」
「まぁまぁ、良いじゃないか、鞍馬ちゃん。オイラの唯一の心残りを助けると思って、此処は1つ調整と専用カスタムをさせてくれないか?……前金の件もあるからさ。本当に心苦しいんだよね」
うぐっ!!
もぉ次から次へと……
「あぁ、もぉ……じゃあ、折角なんで、お願いします。ですけど、お金は、ちゃんと取って下さいね。私、今は無いですけど。必ず、お返ししますので」
もぉ~~~、生まれた初めての借金だよ……
ヤダなぁ……
「わかった、わかった。じゃあ日本円で2万ね」
はい?
なんで、40万のカスタム料金が、そんな金額に……?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
眞子……とうとう折れましたね(笑)
まぁ、此処まで言われたのであれば。
その人の好意を無にする訳にもいかないでしょうから、渋々依頼を出したまでは良かったが……今度はその料金が2万円だと言われる始末。
ただね、これ、眞子が女性だから、こんな風にご店主さんが言ってるのではなく。
まだ若いのに頑張ってる眞子の姿を知っており。
その上で、中学生と言う身でありながらも、好意に甘える事なく。
安易に借りを作ろうとせず、どうやってでもカスタムの正規の金額を支払おうとしている態度があったからこそ、ご店主さんはこう言う提案をしてきた訳ですね。
まぁ口が悪く、女性贔屓な面はあるのですが、ちゃんとジムさん(ご店主さん)は大人なのですよ♪
……っとは言え、2万円はヤリスギでと思いますので。
次回は、その2万円に成った内訳を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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