●前回のおさらい●
秘かに、向こうの世界に崇秀を召喚しようとする倉津君。
一体、何を企んでるのか?
どうせ、ロクデモナイ事でしょうが(笑)
「あぁ、いや、あのよぉ。正直言うとな。俺が初めてライブした時があったじゃん。あの時によぉ。オマエが、俺をバンドに誘った事とかがあっただろ」
「んあ?オマエの初ライブの時だと?なんだ、豪く前の話だな。……去年の4月の話か?」
「そぉそぉ、あの時よぉ。俺は、オマエの誘いを断ったけどよぉ。もしあの時、オマエと組んでたら、どう成ってたのかな?って思ってよ。そこら辺を実験的に知りたかっただけだ」
「あぁ、なにを考えてるのかと思ったら、そう言う事な。確かに、ケースとしては似てるよな。向こうの世界じゃ、お互い知名度が低い状態みたいだしな」
そうなんだよな。
今のこの崇秀って言うのは、世間から見ても、もぉ雲の上の存在どころか。
大気圏まで突破して宇宙の存在する様な『外なる神』的な存在に成っちまってるからだな。
今の崇秀と組んでも、売れて当然で、なんにも面白くないんだよな。
そんな折、今回、折角、こう言う稀なケースに恵まれたんだから『一度ぐらいやり直してみたい』って、気持ちが微妙にあったりしたんだよな。
だから、この提案を思い付いた訳だ。
まぁ、そうは言っても。
これは、ただの自分勝手で我儘な、興味本位な話だから、話すかどうか悩んでたんだよなぁ。
「だろ」
「だな……まぁかと言ってだ。流石に、諸手を挙げて賛成出来る代物じゃねぇな。今の現在が、こうある以上『タラレバ』みたいなモノは世の中には存在しないし。自分勝手に、相手方の人生を狂わす訳にもいかない。だから、遊び感覚で、そう言う事はしちゃダメだな」
「ですね。……ですな」
軽く怒られたよ。
まぁでも、そりゃあそうだよな。
普通に考えても怒られるわな。
「まぁなんにせよ、その話は無しな方向だ」
「おぅ」
「……っで、次の話なんだが。多分、時空計算の話だと思うんだが……どうだ?」
「おぉ、まさに、その通りだ。ヒナの奴が、そこをスゲェ知りたがってたからな」
「だと思ったよ。なら、この数式を、頭の中に叩き込んから向こうに行け。相手方が見れば、それだけで大体は理解出来る筈だ」
解らん。
なんじゃこれ?
崇秀のアホンダラァは、涼しい顔でスラスラと計算式を書いていくんだが。
その式は、なにやらややこしい文字がズラズラズラズラと18行程並び立てられてるだけで、既に数字すらない。
だから俺には、サッパリ意味が解らん。
つぅか!!
式も意味も解らんのに、こんなもん、簡単に憶えれるかよ!!
もっと簡単なのにしろ!!
プリーズ!!
プリーズ!!
「ゲッ!!なんだよ、この訳の解らん式は?」
「まぁ、そう言うなって。これでも、かなりシンプルに纏めたもんだから、細かい点までは突き詰めた計算式には程遠い代物なんだからよ。けど、大凡は、この程度の式で、相手は想像がつくと思うぞ」
いや、ソッチの心配をしてる訳じゃねぇんだけど。
「いや、そうじゃなくてだな。憶えられねぇよ、こんなもん」
「あぁそぉ、そっちか。あまりにも簡潔だから不安に成ってるのかと思ったら、ソッチな訳な。だとしたら、そりゃあ困ったな。どうしたもんかな?……あぁ、やっぱそうなるとだ。数式じゃなく、言葉で理論を憶えるしかねぇか」
そっちの方が無理。
数式さえ憶えられないって言うのに。
その数式さえ理解出来ない頭で『理屈を理解しろ』って、どういう神経をしてたら、そんなアホな発言が出来るんだよ?
オマエ、実は馬鹿だろ。
「オイオイ、あんま無茶言うなよ」
「いやいや、そんな身構える様な話じゃねぇ」
「なんでだよ?」
「いや、だってよぉ。ただ単にだな。どの軸を使うにしても。最終的には、どの軸も球体からハミ出す事はない。なら、そこに存在する時空の計算式は、何所まで行っても、球体の式が基本に成る。……っとまぁ、コレだけ教えとけって話なんだからよ」
あぁ、そうなの?
そんな話を憶えるだけで良いの?
「解ったけどよぉ。因みに、それでアイツが理解出来なかったら、どうすんだ?」
「そりゃあオマエ。その場合は、どうやってでもオマエが、さっきの式を憶えるしかねぇわな」
「NOOOOoooooぉおおぉおぉ~~~~!!」
これは、キッチリと憶えて。
それだけで、ヒナには理解して貰わなきゃいけねぇな。
えぇっと、なんだっけか?
崇秀のアホンダラァは、なんて言ってたっけな?
・・・・・・
あぁそぅそぅ、球体だな球体。
解った。
球体って憶えて置けば、ヒナの奴は理解出来るんだったな。
(↑既に危なっかしい臭いがする俺)
「そんじゃまぁ、これで講義は終わりだ。なんか他に質問あるか?」
「質問と言うか。……1つだけ頼んで置きたいんだが」
「んあ?なんだよ?」
「泊まって良いか?質問の都度、此処に来るのが面倒臭ぇ」
「はいはい。どうぞご自由に。……その代わり、今から仕事するから、喋り掛けるなな。黙って寝ろな」
「おぅ」
そんじゃま、情報も仕入れた事だし、また向こうの世界に行って見ますかね!!
(↑ローストビッチ(ヤケクソ)な俺)
……っとまぁ、途轍もなく順応性の高い俺は。
なんか知らんが、既に、この状況にも慣れて来た風格を醸し出しながら、またしてもアッチの世界に旅立つのだった。
でも、ホントなにこれ?
なにやってんだ、俺は?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
世の中には、タラレバみたいなものは存在しないのですが。
もし仮に、そんなものが存在するとするならば。
それに縋ってみたくなるのも、人としての性ではないかと思います。
なので、倉津君の言動は、特に珍しいものではないのですが。
例え、その環境があったとしても、やっぱ、やっちゃダメなものはダメですよね(笑)
……っとまぁ。
そんな風に怒られながらも、情報収集に成功した倉津君なのですが。
果たして、崇秀が教えた時空計算のヒントを、ヒナちゃんに上手く伝える事が出来るのか?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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