最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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599 新年の開幕!!OPド~~~ン!!

公開日時: 2022年9月28日(水) 00:21
更新日時: 2023年1月14日(土) 16:46
文字数:3,458

●前回のおさらい●


 片倉さんから79Sting -rayの入手経緯を話していたら。

とある切欠で、倉津君の女性化の話になり。

奈緒さんが倉津君の気にしている禁句を発したので、反省する羽目に。


それにより『男言葉』が解禁されるのだが……

「『奈緒おねぇ様』って……さっき男言葉が解禁されたんじゃなかったのクラ?ぷぷぷっ」


そう言う事ね。

だから奈緒さんは、そばを噴き出してしまったのな。


……って、最悪じゃねぇか!!



「えっ?あぁああぁぁぁ~~~!!う~~わっ、最悪だよ。……5日近くも、奈緒さんの事を『おねぇ様』って言ってたから、完全に口癖に成っちゃってるよ」

「ププッ……って、そんな事よりクラ。なんで、ライブ1つで、そんな高い物くれたのよ?」

「あぁ、それなんッスけどね。……こんな格好で演奏させられたんですよ。そんで、その報酬がこれって感じッスね」


恥ずかしい所に、話の転換期が訪れたので、この話には乗させて貰おう。


まぁ、ライブの内容が内容なだけに、更に恥ずかしい思いをする可能性はあるんだが。

今の俺にとっては、コスプレしてライブした事よりも、今の『おネェ様』と言った事の方が恥ずかしいので。

俺は、なにも考えずに、奈緒さんにコスプレ写真を見せて誤魔化す事にした。


だが、奈緒さんは笑わずに、それを見ている。



「うん、いいね、凄く似合ってるじゃない」

「えっ?でも、奈緒さん。これ『半ケツ』『ハミ乳』ですよ」

「だね。……っで、着てみた感想は?」

「いや、あの、最初は流石に、滅茶苦茶恥ずかしかったんですが。なんか直ぐに、会場のみんなが、その姿を受け入れてくれたんで、後は、これと言った感想はないっスかね」

「そっか、そっか。それは良い傾向だよ。女の子は、ヤッパ、見られなきゃね」

「なんか、微妙に受け入れ難い話ですね」

「まぁ、そうなんだろうけどね。……あぁ、そうだクラ。これは冗談じゃなしに聞くけど。その時って『濡れた』?」

「えぇっと、それって、マジ質問ッスかね?」

「あぁ、うん。これに限っては、マジ質問。出来れば、恥ずかしがらずに、正直に答えてほしいかな」


なんか恥ずかしいから、あんま言いたくないんだけどなぁ。


けど、奈緒さんが真剣に質問してるなら、ちゃんと答えるべきだよな。



「あっ、はい。正直言えば『濡れ』ましたね。なんて言うか、無意識の内に、勃起する様な感覚に似てましたね」

「うん。それ、多分、正解だよ」

「そうなんッスか?」

「あぁ、うん。まぁ私は、男に成った事が無いから、正確にとは言えないんだけどね。……女って、意外と無意識の内に濡れちゃうから、その辺の体の構造は、ちゃんと理解しといた方が良いとは思うからね」

「なるほどねぇ。俺は、てっきり、自分だけが、こんなんだと思ってましたよ。だから、なにも言えなかったんッスよね」


なんか、濡れるって事はさぁ。

日がな一日、エロイ事バッカリ考えてるみたいじゃん。


そう言うのって『エロ女』みたいで嫌じゃね?


だから、この辺については奈緒さんには相談し難かったんだよな。


けどヤッパ、奈緒さんの気遣いは凄いな。

どこかでそれを感じて、こういう質問を持ち掛けてくれたんだろうしな。



「だと思ったよ。だって君、いっつも風呂場で、こそこそ自分のパンツを洗ってたもんね」

「知ってたんッスか?」

「そりゃあね。……あぁ、でも、風呂場で洗うんなら、洗うで、その時は、下着に石鹸の匂いが付く様に洗った方が良いよ。なんか、そう言うの女子としても可愛いでしょ」

「あぁ、そうッスね。確かに、女子としても可愛いイメージっすよね」

「でしょ」


ふぅ~~~……


しかしまぁ、なんだな。

こう言う話を自然に納得してる時点で、俺の女性化がドンドン進んでる様な気がするな。

なんか、元の自分を見失って来てる様にも思えるしな。


まぁこんな形だから、今は、そう言う女の生活をするしかねぇんだけど。

フッと、こう言う感覚を思い出しちまいますと、ちょっと気持ち的には不安にはなっちまもんだな。



「ねぇ、クラ。そう言えば。さっきの話って、それで終わりなの?」

「あぁ、はい、そうっすね。話自体は、それで終わりなんですが、一応は、その衣装も貰っちゃったんですよ」

「あぁ、そうなんだ。持って帰って来たんだ」

「そうッスね。なんか、自分が着た物を、他人に持ってられるのも気持ち悪いですしね」

「あぁまぁ、そうだよね」

「ってか、良かったら、奈緒さんも一度着てみますか?……ってか、奈緒さんも着てみて下さいよ」

「えぇ~~~ヤダ」

「なんでッスか?折角ですから、着てみて下さいよ」

「ヤダよ。寧ろ、もぅ一回、君が、私の前で着てみなよ」


また、これを着ろと仰るのですか?


しかも、半ケツ・ハミ乳の姿を、自分の彼女の前で晒せと?


嫌だぁ~~~!!



「ヤですよ」

「なんでよぉ。私も生で見たい見たい見たい!!着替えろ着替えろ!!クラは、私のものだから、私の言う事は、絶対に聞かなきゃダメなの。……だから着て」

「だったら、奈緒さんだって着て下さいよ。奈緒さんは、俺のもんなんッスから」

「ヤダ。私のオッパイは、君みたいに大きくないの。だから着れないの」

「そんな事ないッス。ダメなら。おっぱいポロリして下さい」

「酷ッ!!よくもまぁ、そんな酷い事を平気な顔して言えるね。……ショックだよ。私の事をペチャパイだとか思って見下してたんだ。もぉ良いよ。クラなんか嫌い。……アッチ行け」


あぁ……しまったぁ。


そうだった。

最近はフランクに、女感覚で奈緒さんに接してたから忘れてたけど……奈緒さん、胸をスゲェ気にしてるんだった。


これはマジでやっちまったよ。



「奈緒さん、ゴメン、ゴメン。ほんとゴメン」

「ヤダ、怒ってる。滅茶苦茶怒ってる」

「あの、奈緒さん。じゃあほら、なんか、俺にして欲しい事ないですか?機嫌を直してくれるなら、何でもしますよ」

「じゃあ、さっきの衣装着て……そんで、お正月は振袖着て、初詣連れて行って」


えぇ……なんか条件が増えてる。



「……あぁ、もぉ、この我儘娘は……」

「あぁっそ。そんな事を言っちゃうんだ。じゃあ私、君とは一生喋らないからね。君は、精々仲居間さんと仲良くして、付き合ちゃえば良いんだよ。……幼馴染同士お幸せに。さようなら」


最悪だよ……この人。

自分の思い通りに成らなかったからと言って、よくもまぁそんな酷い事が言えたもんだな。


けどな、此処が引き際なんだよな。

これ以上抵抗した所で『奈緒さんの嫌な注文が増える』だけで、なんのメリットもない。


そして奈緒さんは、言い出したら、絶対に辞めない。


潮時ッスね。



「……あぁ、もぉ解りましたよ。折角『男言葉』が解禁になったって言うのに……」

「後、それを着てる間は、ちゃんと女の子して……じゃなきゃヤダ」

「あぁ、もぉそこも解りましたよ。着せ替え人形にでも、なんにでも成りますよ。……その代わり、機嫌は直して下さいよ」

「うん、良いよ♪」

「ぐっ!!……奈緒さん、俺に言う事を聞かす為に、今、絶対に嘘付いてたでしょ」

「うん。良く解ったね。クラ、正解だよ正解」

「最悪だよ、この人」


そんでまた、折角、普段着に着替えたってのに『不知火さん』の衣装にワザワザ着替えて、奈緒さんの前に立たされて、舐める様にジロジロと細部まで見られてるんだよな。


なに、この羞恥プレイ?


俺に『安らぎの時間』は無いのか?

……なんて思ってたら。

TVから『ご~~んご~~~ん』って、丁度108つの煩悩の数だけ鳴らされた。


しかもですよ。

結局、そのまま除夜の鐘が終了して、俺はコスプレのまま年始を迎えさせられたんだよな。


ホント、最悪だよ。


……ほんで奈緒さん。

除夜の鐘が鳴り終わった瞬間『おっぱいドーン』とか訳の解らない事を言って、俺のオッパイを放り出すんだよな。


そんでその後。



「んじゃあ、眞子のオッパイで『姫始め』しよっか?君、この衣装を着てる間は、女の子なんだから『男言葉』使っちゃダメだよ」

「えぇ~~~!!あっ、あの、奈緒おねぇ様。お願いですから、正月早々、そういうのは辞めましょうよ。コタツに入りながら、普通に楽しいトークとかをしましょうよ。……ねっ、ねっ……もぉそれで良いですよね。……ねっ、ねっ」


なんて抵抗を試みたら……


奈緒さんは、満面の笑みを浮かべて……



「ヤダ。オッパイ揉まれて、新年早々また泣け」

「もぉ嫌ですよ。正月早々おっぱい揉まれて泣くなんて、最悪じゃないですか。……だから、ホント辞めましょうね。……ねっ、辞めて。眞子からのお・ね・が・い」

「ヤダ」

「『ヤダ』は、私ですよ!!もぉ本当にイヤアアアァァァアァァ~~~!!」


ヤッパリな……所詮、こう言うオチだよ。


年始早々、こんなんで大丈夫なのかよ……俺?



これが……不安しか残らない1998年の幕開けだった。





「好きなくせに……」


もぉ誰でも良いから……


この人、地中深くに封印して……



お願い……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

これにて第一章・第二十六話・コミケとライブは終了と成りますです(笑)


なんだかんだ言いながらでも。

なんとか倉津君も日常と非日常の狭間でもがきながらも、日常生活が送れている様なのですが。

かなり精神的には女性化が進んでいる様子ですね。


まぁ、実際の話だけをすれば、現状では、この状況自体は悪くないのですがね。

男女と言う性別を使い分けながら生き続ける事を考慮するのであれば、これはかなり厳しい状況。


普通に考えても、こんな状況のまま一生生きていくなんて精神が持ちませんからね。


さてさて、そんな中。

次回から始まる第二十七話【心身の助け人】では、そんな倉津君に、更なる追い打ちが掛けられる事に成ります。


この次なる試練……倉津君は乗り越えられるのか!?


……ってな感じで。

その辺が少しでも気になりましたら、是非、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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