●前回のおさらい●
眞子の女子らしい行動が、気に入ってしまった片倉さん。
そんな眞子と、もう少し話がしたいと思い始め。
片倉さんは、ある行動に出る。
そんな風に今回のお話は、真子が初めて体験するナンパ体験記である!!(笑)
「いや、あの、ほら、此処の本が完売したからさ。倉津さんって『この後、どうするのかな?』って思ってさぁ……」
クスクス笑顔の効果が有ったのかして、量カジの奴、早速、俺に対してのナンパを敢行してきたがったな。
けどまぁ、オマエさんが、そうなる気持ちは解らなくもないんだけどな。
眞子程の美少女的な容姿を持ってる人間に、遭遇する事自体が稀だし。
それを、こんな風に愛想よく笑顔を振り撒かれたんじゃ、そうもなるわな。
俺自身も、眞子クラスの美少女に、そんな愛想よくされたら、そうなっちまう可能性が高いからな。
しかしまぁ、なんじゃのぉ。
そうやってオマエさんが、真子に対して、そう言う気持ちになるのは解らなくもないが。
そのオマエさんのナンパの仕方が、ケツが青い処か、まだまだ肛門の中まで青い様なじゃのぉ量産型カジよ。
此処は普通、もう少しゆっくりと話し込んで女子を楽しませ。
ジワリジワリと親交や親密度を深めてから、そう言う『誘いの言葉』を切り出すのが、ナンパの基本中の基本ってもんじゃぞ。
今のやり方じゃあ、速効性を重視しただけの、街角で行なわれてる『チョロそうな女を見付けた時にする、安過ぎるナンパ・レベル』
本気で眞子をナンパしたいと思うなら、もうちっと精進せい!!ってもんだ。
……って、だ・か・ら・俺!!
さっきから、なにをさも当たり前の様に女子目線で物事を語っとんじゃ!!
「あぁっと、この後の予定ですか?」
「そうそう、この後の予定、この後の予定」
「あっ、はい。でしたら、この後も、ネットさんが戻られるまで、此処で、お店番してますよ」
「えぇっと、そうじゃなくてさ。そのネットさんとやらが帰って来た後は、どうすんの?なにか用事ある?」
「あぁ、はぁ、その後と言われましてもですね。もぉ真琴ちゃんに頼まれていた用事も済んでいますので、後は、お世話になってる友人のお家に帰ろうと思ってますけど。……それが、なにか?」
「いや、あの、だったらさぁ。その間に、ちょっとだけで良いから俺に時間を貰えないかなっと思ってね」
ほぉほぉ、そう来ますか?
量カジサイドが、そう来るなら。
此処は一つ、俺の方も、眞子自身が相手が『ナンパしてきてる』っと気付いてる感じを演出する感じで行ってみるかの。
なのでまずは、相手が一番対処に困る『困った顔』したれ。
しかも、少し身を引きながらな。
「あっ、あの、申し訳ないんですが、そう言うのは、ちょっと辞めて頂いても良いですか……」
「えっ?あっ、あぁ、あぁっと、違うよ、違うよ。誤解しないでね。これはナンパとかじゃないんだよ、ナンパじゃないからね」
「違うんですか?じゃあ、どの様なご用件で?」
「いや、あの、実はさ。ちょっと倉津さん個人的に聞きたい話が有るんだよね」
「私に……ですか?」
「あっ、うん」
「えぇっと、その話は、此処でしちゃダメなんでしょうか?」
さぁ頑張れ!!
まだナンパ続けると言うなら、此処からが正念場。
本当の意味での、男の腕の見せ所だぞ!!
特に此処まで解り易い演出してやってるんだから、ナンパをするならするで最後まで頑張ってみれ。
「あぁっとねぇ。此処じゃあ、ちょっと……」
「どうしてですか?」
「あの、本当の事を言うと、今、倉津さんと話してて凄く楽しかったからさ。ちょっと話しながらも、頼みたい事があるんだけど……流石に、そう言うんじゃダメかな?」
ほぉほぉ、量カジの奴。
定番ではあるが、最も解り易いパターンである『正直に話す』事を選択してきやがったな。
けど、そっちがそう来るなら、此処で難易度を一段階上げてやる。
「はぁ、お気持ちは嬉しいのですが。先程も言いました様に、そういうのは、ちょっと……」
「だよね、だよね。ナンパじゃないんだから、初対面の人間に、こんな事を言われても困るよね」
ほぉ、今度は『困る』封じですか?
これは、中々強かな手段に出たもんだな。
……って言うのもな。
大人の女性なら、こう言う事を言われてもハッキリと断れるんだがな。
眞子ぐらいの年齢の女子だと、相手の勢いに負けてしまう事もあるし。
第一、これを先に男に言われたら、一般的な女子ってのは、その『困る』って言葉が言い返し難くなるんだよな。
まぁ、それに年代の若い女子ってのは、一般女性より承認欲求が高く。
男性にナンパされた事自体が嬉しくて『まぁ、折角、此処まで話をしたんだし、この後、ちょっと話を聞くぐらいなら良いかなぁ』なんて心理に陥り易く、断り辛くなるもんなんだよ。
なので、この駆け引きの仕方……ちょっとはやるじゃありませんか、量カジさんよぉ!!
「あっ、はい、困りますね」
でも、カウンター発動!!
例え『困る』っと言う言葉が、眞子の年代が言い返しにくい言葉だとしても、それはどこまで行っても一般論。
眞子レベルの容姿ともなると、普段からナンパされてる事ぐらい相手も理解出来るだろうから、この程度の技なら、簡単に打ち消す事が出来るんだよなぁ。
まぁそれになによりな。
今現在、相手方も、眞子の事を『天然だと認識してる』であろうから。
そんな男性の意思を無視して『困る』を、そのまま返しても、何の違和感もない筈。
って事で、量カジよ。
頑張った所を悪いんだが、盛大にクロスカウンターを喰らうが良いぞ!!
「あっ……だよね」
「あっ、はい。そうですね」
「あっ、あの、じゃあさぁ。そのネットさんって人が帰って来たら、俺のブースに来てくれないかな?」
オマエさん……必至だな。
「えぇっと、それは、どうしてですか?」
「いや、あの、実はさ、ちょっとブースの人手が足りなくってさぁ。出来れば、倉津さんにも手伝って貰えたら嬉しいかなぁって。あぁ勿論バイト代は出すよ!!」
「えっ?」
「あぁいや、なんて言うか。無理を言って手伝って貰うんだからさ。大分、大目にバイト代を出させて貰おうと思ってるんだけど、どうかな?それでもダメかな?」
バイト代ねぇ……まぁ、俺自身、別に金が欲しい訳じゃないから。
そんな風にバイト代が多かろうが少なかろうが、そんな事はどうでも良いんだがな。
なんかさぁ、此処まで必死になられたら、ちょっとだけ量カジに意地悪をするのも可哀想になって来たな。
……ってか。
このオッさんのブースでの売り上げは、俺には一切関係ないとは言え。
一応、量カジの奴も俺との約束を守って、一早くオッサンのブースにも来てくれたし、本を全部買ってくれた恩もある事だしなぁ。
だったら、ブースを手伝うぐらいなら了承しても良いか。
「あっ、なんだぁ。そう言う事だったんですか。それならそうと、早く言って下さいよ」
「へっ?」
「ネットさんの手前、此処じゃあ、私にお手伝い依頼するのが言い難かったから『此処じゃない方が良い』ってお話だったんですね」
「えっ?あの……」
「ですが、お手伝いをするぐらいなら全然良いですよ。寧ろ、私なんかで良かったら、喜んで、片倉さんのお手伝いをさせて頂きますよ」
「えっ?嘘」
「えっ?嘘じゃないですけど……それにバイト代なんて必要ありませんよ」
「えっ?なんで?」
「困っている人を見掛けたら、助けてあげるのが人の道ですからね。お金の問題じゃないんですよ」
「倉津さん……」
……眞子は設定上、凄く義理堅く、天然な子ですからな。
だから、こう言う綺麗事ですらスパっと言えちゃうんだよな。
その上で眞子には、天然で『真上さんブースト』っと言うバフが掛かる仕組みに成ってるらしいから。
こう言えば、量カジの中で【お金で釣ろうとした自分に対しての罪悪感が蓄積される】だろうし、それに伴って、眞子の株がストップ高で上昇していく筈。
そして、こう言う物こそが『お金で買えない価値のある物』
此処で、安易に喜んでバイト代なんぞと言う端金を得るよりも、量カジの好感度を得た方が数倍有効ってもんだからな。
なんと言っても片倉は『有名サークルの作家』だから、今後良い伝手にもなるだろうしな。
まぁ、そうは言っても、実際の話だけで言えば、そんな物も、どうでも良いんだよ。
俺が、こう言う事をする最大の理由は……奈緒さんが願ってくれている『眞子は、誰んでも好かれる女の子であって欲しい』っと言う部分を叶えてあげたいだけだからな(笑)
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
倉津君、真子として糞性格の悪い事をしていた訳なんですが。
結局、本来の自分の性格が出て来てしまい。
情に絆されたと言うか、義理堅いと言うか。
眞子に成ってても、人との縁を大事にしたいと言う気持ちが全面に出てしまい。
最後の手段として放った片倉さんの依頼を受ける羽目に成ってしまいましたね(笑)
まぁ、これも倉津君らしいと言えば、倉津君らしいんですけどね。
さてさて、そんな中。
片倉さんの所を手伝いに行くにしても、このネットさんのブースを放置したままにする訳にも行かず。
今だ、ランチから帰らぬネットさんを待たなければイケナイ訳でのですが……
何故、彼は、こんなにも帰って来るのが遅くなってしまっているのか?
次回はその辺を書いて行きたいと思いますので。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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