●前回のおさらい●
才能のある人材を第二音楽室まで見に来た不良さんと山中。
そこで、その人物を崇秀が呼ぶが。
その人物が出て来なかった事をネタにしてシャブ中扱いしてからかった上に、崇秀の母親の面倒まで見てやると言ってしまい崇秀の逆鱗に触れてしまう。
そこからは、崇秀も、不良さんがお気に入りの『向井さんを口説く』と言い出して喧嘩になってしまう。
そこで仲裁に山中が入る……のか?(笑)
話の流れから『オマエがシャブで捕まっても、俺が崇秀のおふくろさんの面倒を見てやる』っと言った言葉が火種になって。
崇秀の奴が『向井さんを引き合いにして、俺に復讐して来た』
だが、この場合、悪いのは、確実に崇秀をからかった俺の方である為に、何も言い出せずに居たら……山中が。
「もぉえぇ加減に晒せや、このアホ共。俺は、オマエ等の茶番に付き合うほど暇ちゃうねんぞ。俺はのぉ、此処に才能有る子が居る言うから、ワザワザ、時間裂いてまで見に来たんや。それを、こんなショウモない茶番見せられた上に『黙ってろ』やと。アホぬかすのも程々にせぇよ」
「山中?」
現状に困り果てていた俺は、山中の豹変に対応しきれず、問うように声を出した。
すると……
「なんじゃいボケ!!それにのぉ、オマエ、さっきから聞ぃとったら人間小さいんじゃ。金玉ついとるんか?」
「あぁ?」
イラッと来る感じのセリフだ。
人間誰しも『器が小さい』と言われて、気分が良い奴なんていない。
それを山中は、堂々と俺相手に言ってきた。
こんなセリフを吐かれる事など、普段は有り得ない話だったんだが。
崇秀の件で頭が精一杯な俺には、こんな威嚇の一言だけしか言い返せなかった。
「『あぁ?』やないやろ。そこまで好きな女がおって、他人に口説かれたないんやったら、グダグダ言うてやんと、さっさと自分もんにしてまえや。ほんだら何の心配もないやろが」
「・・・・・・」
ゆっくりとした口調で、そう窘められた。
「ほんで、もう一匹のマザコン。オマエもどうやねん?ちょっと言われたぐらいで大喧嘩。大概女々しいて、ミットモナイやっちゃのぉ」
「あぁ?オマエよぉ。誰にモノ言ってんの?マジで、ここで消滅してみっか?」
「何が消滅や……笑わせんなや。どこぞの漫画の見過ぎなんじゃ。オドレは厨二病患者か?」
「あぁ?」
「つぅか、関西もんには、そんな程度の幼稚臭い脅しじゃあ、なんの脅しにもならへんのじゃ。それにのぉ、テメェは、自分で俺等を此処に遊びに誘っといて、なんじゃ、その体たらくわ?オマエの親は、ツレが遊びに来たら喧嘩せぇ言うアホ親か?オマエを、ワザワザそんな風に育てたんか?器用なやちゃあなぁ、オマエの親」
「あぁ?てめぇ、今デッケェ地雷踏んだぞ……俺の事はよぉ、百歩譲ってなんて言っても構わねぇが。流石に、お袋の事は許されねぇだろ。悪ぃが、十億万度でも踏んで貰うぜ」
いきなり『ガキッ!!』っと言う音が、音楽室全てに木霊する。
これ以上の問答は無用と感じたのか、崇秀の奴、山中をそのままブン殴りやがった。
だが、怒りに任せて繰り出した崇秀のパンチを、山中は避けようともせず、モロに顔面で受け止める。
口から血が垂れ流しに成ってるが、それでも山中は言葉を止めようとはしなかった。
「ペッ!!なんやこれ?ヤッパ、オマエはへチョイのぉ?それに、なんも解ってへんアホや。なんともWで残念なやっちゃな」
「まだ喋りやがるか、この関西人。いつまでも減らず口叩いてんじゃねぇぞ!!」
「秀、オマエのぉ……いつになったら、それが自分の親を辱める行為やって気付くねん?オマエが、そうやってショウモない事すればするほど、陰で親が笑われんねんぞ。餓鬼やないねんから、もう一寸はモノを考えて行動せぇや。今のボケたオマエに、お袋さんを、どうこう語る資格は無いで」
「なっ、ん!!……クッ!!テメッ」
再び手を挙げそうになった崇秀の手が、山中の口上と共に止まる。
山中の放った『オマエにお袋さん語る権利は無いで』っと言うセリフは。
先程も言った通り、女手1つで育てて貰った恩がある崇秀にとっては、一番言われたくないセリフ。
ただ正論を突き付けられただけなのに、俺同様なにも言えないでいる様子だ。
俺と崇秀は俯いたまま、完全に、山中に言いくるめられて沈黙する。
「まっ……そや言うたかて、人間、誰しも失敗はある。こんな些細な事ぐらい気にすんなや」
突然、うって変わってそんなアッケラカンとした軽い喋りが、この場に流れ。
場の空気が一気に和む。
「「えっ……」」
「終わった事はもぉえぇやんけな。そんなショウモない事をいつまでも続けてやんとやな。そう言うのはサッサと終わりにして、もぅ一寸おもろい遊びをしようぜ。……俺、大きい子供の世話には、もぅ飽きたで。これ以上は、勘弁願いたいもんやわ」
「「ははっオマエって……」」
「なんや?」
「「何者だよ?」」
「んなもん、決まっとるやろ。……ただのお調子もんや」
口から出てる血を、制服の袖で拭いながら。
はにかみ笑顔を浮かべて、山中はそんな事を言って来る。
確かに奴の言う通り、間違いなくお調子者の類である事は違いない。
だが、何処か芯が一本通ってる、お調子者。
それだけに、色んな意味で性質が悪い。
しかし、コイツ等を見ていて思うんだが……
俺が、こんな真人間なのにも関わらず、なんで俺の周りには、こんな変な奴ばっかりしか集まって来ないんだ?
俺の人間性から考えりゃ、おかしいだろ(笑)
―――悪くはねぇけどな。
「ははっ……いやはやいやはや、これは、まいったな。自分で言うのもなんだけど、俺を此処まで嗜める奴が同い年に居るなんてな。世間は広いもんだ。まいった、まいった。俺の負けだよ。降参だよ降参」
「おぉ、そう言えば、そうだよな。馬鹿秀とは長い付き合いだが、コイツが他人に、口で言い負かされたのは、初めて見たぞ」
「ハッハッハ~~~ッ!!それ程、関西人の口論レベルが高いちゅこっちゃな。口だけで言うたら、寧ろ、世界最強ちゃうか。まぁそれ以前に、関東もんなんかに言いくるめられる様じゃ、関西人の恥。他の大阪人に申し訳のうて、顔向けでけへんわ」
「なんのプライドなんだかな」
「アホぬかせ。これは大事なこっちゃで……っとまぁ、そんな事よりや、今重要なんは、そこちゃうやろ」
「だな」
「なぁ、秀。オマエの言うてたアリスって子は、マジでどこにおんねん?……オマエ等が喧嘩しとる間、目線だけは、ズッと、その子を探しとってんけど。全然見つかれへんかったで」
呆れた奴だな。
あの殺伐とした空気の中ででさえも女探しとはな。
コイツの性欲だけは、一体、どうなってやがんだ?
「この様子じゃ、ビビッて帰っちまったんじゃねぇか?」
「まぁ、そら、そうやろな。あの空気じゃそうなるわな……しかしまぁ残念やわぁ。俺だけのアリスちゃんに逢いたっかったわぁ」
「オマエ、それ、どんだけだよ?」
「マジで病気だな」
「ぶっ!!」
いや崇秀!!
俺の隣で何を口走るのかと思ったら、思わず噴出してしまう様な事を平然と言ってんじゃねぇぞ!!
どの口が、その珍妙な事をほざきやがるんだ?
人間、言って良い事と悪い事があんだぞ。
最低限度のモラルってもんが人間には必要なんだぞ。
だから崇秀、オマエだけは言うな。
女誑しのオマエだけは、決して、その『病気だな』って言葉を他人に言っちゃいけねぇ!!
大体、それ以前にオマエだって、人の事を言えた義理じゃねぇんだからな。
山中と、オマエの本質は、なんら変わらねぇ、ただの『女狂い』『同じ穴の狢』じゃねぇか!!
「誰か病気なんか?ソイツ、可哀想やな。はよ病院連れてったれや」
「オマエじゃあぁぁぁ~~~!!」
コッチもコッチで、そんなワザとらしいボケをかましやがって……
山中のあまりにもクダラナイぼけに対して、つい反射的に思わず鋭いツッコミを入れてしまったじゃねぇか。
けど、あれだな。
アホ関西人の、わざとらしいボケだと解っていても、ついついツッコミを入れてしまうとは……
これはある意味、恐ろしい誘導能力なのかもしれんな。
「アホなぁ~~~……、俺の事やっ・たん・か~~~い」
「はいはい。解った、解った。もぅ良いぞ」
「なんや、最後の最後で、その甘いツッコミは?……まぁえぇ、関東人やったら精々こんなもんやろ」
関西人至上主義の選民思想か?
なんかなぁ?
俺はアホを構うのに疲れ、そのまま放置して話を進める事にした。
ほんとアホ共の相手は疲れるわ(笑)
最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>
アッサリ喧嘩は収まりましたね(笑)
まぁ、所詮中学生の喧嘩なんて、こんなもんですよ。
そんな中、次回は、謎の人物『アリスちゃんの正体』についての話が始まります。
どんな子なんでしょうね?
それは次回の講釈。
ま~~~たねぇ~~~(*´▽`*)ノ
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