●前回のおさらい●
倉津君が嘘を付き続ける理由に感づいた由佳ちゃん。
それが伊藤さんに伝わり、素直ちゃんに伝わり、最後には自身の彼女である奈緒さんにまで伝えられようとしていた。
これはまさしく、倉津君、最大のピンチなり!!
「あの、向井さん。真琴君……」
「うん?なにも言わなくてもわかってるよ。王家さんと一緒に居たんでしょ。そんなの初めから知ってたよ」
「えっ?」
「素直。クラの顔を、よく見てみなよ。事細かに、全部顔に書いてあるじゃない」
「えっ?でも……」
「くすっ、わからないかなぁ?この子はね、素直。上手く嘘付ける程、器用な生き物じゃないの」
「確かに真琴君は、嘘を上手につける人じゃないですけど。どうして、そこまで正確に解ったんですか?」
「クスクス、だって、馬鹿だもん」
……惨い。
言葉のオブラート希望……
「あぁそうか、クラッさん、ホントに馬鹿だもんな。この面子相手に、嘘が付き通せると思ってる時点で馬鹿だよな」
「まぁ、冷静に判断しても、あまり賢い行為とは言え無いな……確かに馬鹿だな」
「ちゃうちゃう、オマエ等なんもわかってへんなぁ。マコは、そんな高級なもんやないで。最下層で蠢いとる脳味噌が死滅しとる馬鹿便所蟲や」
「うん、そうだね。理由はどうあれ、人を騙そうとする時点で、人として馬鹿だね」
……惨い。
再度、言葉のオブラートか、助けてくれる人希望……
「浩ちゃん!!山中君!!後輩さんは馬鹿じゃないよ!!嘘を付くのが下手なだけなんだよ」
椿さ~~~ん!!
みんなが、俺の事を『馬鹿だ馬鹿だ』って、虐めるんッス!!
だから、俺の代わりに、もっと言うたって下さい!!
(↑結局、他人任せな俺)
「椿ちゃん。そう言う、平気で、直ぐにバレる様な嘘を付く類の人間をな。ホンマもんの馬鹿って言うんやで。それとやな。馬鹿には馬鹿って言うて、えぇねんで」
「山中君の言う通りだよ、椿。それにね『嘘を付く人間は、いずれ嘘で身を滅ぼす』倉津君は、この典型的なパターンの人間だから、自分が馬鹿だって事を、キッチリ教えてあげないとダメなんだよ。これ、大人の務めだからね」
「そうなの?じゃあ、後輩さん、スッゴイ馬鹿……」
心に響く、椿さんの『馬鹿』の2文字……そして、腹に抉り込む様な、嶋田さんの正論。
全部当たってるだけに、これは胃の方が痛くなるほど、かなり辛いぞ。
けど、此処までバレてしまった以上、もぅ謝るしか手が無いよな。
「あの……サボって、すんませんでした。……あの、けどッスね。此処だけは、絶対に誤解しないで欲しいんッスけど。これは、俺の単独犯であって、真上さんは、全く関係ないんッスよ」
「だろうね。どうせ君の事だから『王家さんに、以前からの恩義を返そう』とか勝手に思い込んで手伝いに行ってたんでしょ。それで帰って来たら、イキナリ、みんなに怒られたもんだから、彼女を巻き込まない為にも、出来もしない嘘を付いた。……全部見え見えじゃない」
「ちぃまちぇん」
全部正解……
奈緒さんには、ホント敵わないな……
「……って事なんで、本人も深く反省してるみたいだから、許して上げてくれないかな?」
うぅ……結局、自分自身では、なにも出来無いまま、奈緒さんに助けて貰ってしまった。
こんな話、幾ら奈緒さんでも、本心では、あまり気分の良いものではない筈なのにな。
なんで俺って、こんなに、なにも出来無いんだろうな。
情けねぇ……
「ねぇ、カイちゃん。私は、別に、それで良いんだけど。カイちゃんは、それで納得出来るの?」
「私?私は、納得も、糞もないよ。それ以前に、なんとも思って無いけどね。咲は、なんで急に、そんな事を思ったのよ?」
「えっ?だって……」
「うん?……あぁ、そう言う事ね。だったら、尚更気にしないよ」
「どうして?」
「決まってるじゃない。奈緒は変人だから、感情が欠落してるのよ」
「えっ?ちょっと千尋。なんでそう言う言い方する訳?そう言う言い方はないんじゃない?」
「えぇ~~~、だって、そうじゃない。変幻自在に自分の感情を操れるのが奈緒じゃない。そんな事ぐらいで驚いてちゃあ、奈緒とは付き合えないよ。それに、この子の人間性は、かなり深いよぉ咲」
「あっ、そうか。カイちゃんって、学校でも、ちょっと変り者だったもんね」
「そう言う事」
「ヒドッ……」
千尋の奴。
ひょっとして、奈緒さんをターゲットにして、俺をフォローしてくれてんのか?
こう言うのって有り難いんだが、イカンなホントに……
「って事で、奈緒」
「うん?なに?」
「奈緒が、以前、学校でやってた『冷たい人間バージョン』で、真琴の処遇を決めてよ」
「冷たい人間バージョンねぇ……別に良いけど。それだと容赦出来無いよ」
「それそれ!!『冷酷非情』な、それに期待してるのよ。それに多分、みんな、奈緒の『それ』が決めた処遇なら、100%納得出来るんじゃないかな」
「そぉ?じゃあ、そうしてみよっか」
「宜しくぅ~~~♪」
「ふぅ、どうなっても知らないからね」
千尋の言葉で、みんなの視線が、奈緒さんと俺に集中してるんだけどな。
これ……なにが起ころうとしてるんだ?
それに千尋の言った『冷酷非情な冷たいバージョン奈緒さん』って、なんだ?
それってひょっとして、奈緒さんに初めて出逢った頃に、奈緒さんが山中にやってた奴の事か?
もし、そうじゃないんなら『なにそれ?』って感じだな。
そう思いながらも奈緒さんを目線だけでチラッと見てみると……既に、俺に対する視線が氷の様に冷たく。
それはまるで、汚物でも見るかの様な眼で見ている。
いやいや!!ちょっと待て、ちょっと待て!!
なっ、なにこれ?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
奈緒さん、やっぱり気付いてたみたいですね。
まぁ、今までの経緯からしても、奈緒さんは理解力が高いので、彼女が気付いていないと思う方が、どうかしてますよね(笑)
ほんと理解力の高い彼女です。
……っと言っても、それが許せるものか、許せない物かは別問題。
特に今回は、千尋ちゃんのリクエストで『冷酷無残な昔の奈緒さんバージョン』で罰を決められる様なので、恐らく次回倉津君はご臨終にする事に成るでしょう。
さよなら、倉津君。
ですが、倉津君が生き残る可能性もありますので。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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