最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

646 魔王が奏でる音狂・音獄の世界へ

公開日時: 2022年11月14日(月) 00:21
更新日時: 2023年1月18日(水) 19:16
文字数:2,149

●前回のおさらい●


 既に常軌を逸した音楽を奏でる狂った音楽の使徒とも言える崇秀。

そんな崇秀と、アンコールで勝負する事に成った3人は、色々と思案を巡らせてはいたのだが。


打開策が浮かばずとも、覚悟だけは決めて、ステージに上がろうとしたのだが……既にステージの上には。

 ……慌ててステージに裾まで行った時には、もぅ既に遅く。

崇秀はマイクを片手に、ギターにも手を掛けていた。



「さぁ、紳士淑女の諸君。今宵、最後のお楽しみの時間の開催だ。さぁ『神様へのお祈りは済ませたか?』覚悟が出来たなら、俺の帰り道の無い『音狂』『音獄』の世界へ、ようこそだ。……行ってみるかい?」

「「「「「イケェ~~~、仲居間さん!!速攻で音獄に落してくれ!!」」」」」

「委細承知……後悔は無しだ」


3人でステージインをしようとした瞬間、崇秀は、マイクを床に放り投げ。

悪魔の楽器と化した『Ibanez UV-7』が、狂気に満ち溢れた唸りあげる。


キュイ~~ン!!キャキャキャ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪……


……まるで、その旋律は……

地獄の中を表現する様な、狂気の悪魔が奏でる、狂気にのみ満ちた音色。


誰も彼もの脳波を狂わせ、一気に、音狂・音獄の世界に引きずり込む。


そして、その『異形なるSerious stress』は、世の中にあるストレスを、瞬時に、この場に集約し。

これも一気に、此処に居る全ての人間の体内に流れ込んだ様な錯覚に落し入れる。


『強烈極まりない不快感』


当然の事なんだけど。

この『強烈極まりない不快感』は、簡単に人体にも影響を及ぼし始め。

会場のアチラコチラで、この極悪な音に耐えられなかった者が、次々と頭を押さえて倒れて行く。


『地獄』なんて言葉が、生易しく感じるほどの狂気の世界……

崇秀の宣言通り『音狂』だけが支配する『音獄』の世界へ……


この狂気の音色には、拒んでも、誰も抵抗出来ず、無理矢理に受け入れさせられ。

会場内には倒れて行く者が続出している。


……この地上に現れた最低最悪の世界を、早期に収拾しようと、奈緒さんも、必至にステージインをしようとはしているんだけど。

余りの不快感に、その場で一切の身動きが取れなくなっている。


当然、私も、山中君も気分が悪く。

意識が混濁して、その場に何度も倒れそうになる。


……けど、崇秀は、そのままイントロを何度も弾くのではなく。

淡々と1人で『悪夢の様なSerious stress』の、一番を弾き終える。


それでも満足のいかない崇秀は、曲を止める様子は無く、更に2番を奏で始めた。



「さぁさぁ、お楽しみは、これからだぞ。お次は、今一瞬にして溜まったストレスの解消の時間だ。さぁ、眠ってる奴等はゾンビのように起き上がれ。今度はオマエ等のストレス解消法を、全て曝け出して貰うぜ!!『Table of the Mortal Sins 』……オマエ等『7つの大罪』じゃあ、どれがお好みだ?」


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪……


また『違った異形のSerious stress』が、流れ始めた瞬間。

その音に反応するが如く、倒れていた観客の方々が、なにかを欲する様に『ムクッ』っと起き上がってくる。


まさに、映画なんかで良く見る『ゾンビ』が起き上がるシーンを、再現している様な異様な光景。


そして、それを確認出来た時には、一瞬にして、キリスト教の教えにある『7つの大罪』が脳裏を過ぎる。



「さぁさぁさぁ、オマエ等が、心に持つ真の欲望はどれだ?『superbia(傲慢)』か?『invidia(嫉妬)』か?はたまた感情に任せた『ira(憤怒)』か?『acedia(怠惰)』か?『avaritia(強欲)』か?『gula(暴食)』か?それとも、そのどれでもない、肉体だけを求める『luxuria(色欲)』か?脳内で、このどれかを再現して幸福に浸れ。くはっはっははっは……」


あっ……


嫌……



「違う。……違う、違う。……私は、そんな事は考えていない。……そんな事……そんな事は望んでいない。……イヤアァアァァ~~~!!」


***


 ……気が付いた時には、私の下着はミットモナク愛液に塗れていた。


私の脳裏を支配したのは『luxuria(色欲)』

それにより『酷い罪悪感』と『得も言えぬ恍惚感』だけが、体の支配者と成っていた。


それと同時に、それを感じた事により、涙が止まらない程、悲しい気持ちになっていた。


私は……


私は……


違う……そんなんじゃない……



「ほぉ~~~、オマエ等。この期に及んで、まだステージの上に出て来ないつもりか?なら、お次は、これでどうだ?『狂奔・Dancing-Marionette』……操り人形の様に死ぬまで唄い続け、朽ち果てるまで演奏してみせろ」


あっ……


あぁ……


嫌……


意識が残ってるのに、体が勝手に……

拒絶している筈なのに、一切、脳が『拒絶』の信号を受け取ってくれない……


こんな無様な姿なのに、人前でベースなんて……


弾きたくないよぉ……


嫌だぁ……


助けて……


私も、奈緒さんも、山中君も、誰一人として、崇秀の奏でる『音の魔術』に抵抗出来ず。

誰にも見せたくない様なミットモナイ姿を晒しながら、ステージに向って歩を進め。


無理矢理ステージにINさせられる。


その後は……そのまま、崇秀の命じられるがまま、私と、山中君は、無限地獄の様な楽器演奏を続け。

奈緒さんは拒絶の涙を流しながらも、唄い続けた。


私達3人は……悪魔の様な笑いを見せながら、楽しそうに演奏する男に操られるがまま。

熱狂する観客を見守られ。


永遠に終わらぬアンコールを続けた……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


音によりストレスを溜め込ませ。

その捌け口として放った『Table of the Mortal Sins (7つの大罪)』と呼ばれる技。

それにより観客や眞子達は、7つの大罪の中で自身が一番強く持つ欲望。

『superbia(傲慢)』『invidia(嫉妬)』『ira(憤怒)』『acedia(怠惰)』『avaritia(強欲)』『gula(暴食)』『luxuria(色欲)』

……のいずれかを晒す羽目に成って、精神的なダメージを受ける事になりましたね。


そして、全てを支配する音『狂奔・Dancing-Marionette』により、人形の様に体を完全に操られ。

自身の意思とは関係なしに、崇秀の支配下の中、ライブをする事に(笑)


これこそが、今回のお話である『第一章・第三十話』の冒頭で眞子が完全グロッキーに成った原因ですね。


さてさて、そんな地獄の様な体験をし続ける眞子達なのですが。

それで観客の皆さん達が盛り上がってるとは言え、この状況で終わってしまったのでは、あまりにもよくない状況。


なら崇秀は、一体、このライブを、どの様に締めくくるのか?


その辺りを次回は書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート