最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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594 片倉さんの素朴な疑問

公開日時: 2022年9月23日(金) 00:21
更新日時: 2023年1月14日(土) 16:03
文字数:2,792

●前回のおさらい●


 コスプレダンパでの生演奏を、倉津君に頼もうと思っていた片倉さんだったが。

その本人が眞子の姿に成ってしまっている以上、この依頼はどうやっても受けようがない。


そんな困っている片倉さんを見捨てる事が出来ず、倉津君は真子として、この依頼を敢行する事にしたのだが……

 ……なぁなぁ渋谷って、微妙に遠くね。


あの後、ブース撤去を完全にスタッフに任せた量カジの車に乗って、ダンパ会場のある渋谷に移動を開始したんだけどな。

この日は大晦日だって言うのに、その道のりでは微妙に渋滞。

なんでか知らないんだけど、到着まで1時間近くも掛かりやんの。


ほんで量カジの奴も、流石に俺の時間関係の事情を知ってるから『申し訳ない』と感じていたのか、車内でズッと平謝りしてんだよな。


……ってかコイツ、この様子じゃ、俺の年齢知らないみたいだな。

眞子の事を、一体、幾つだと思ってやがんだろうな?


つぅか、聞いて来ても、眞子は女の子だから教えないけどな。


***


 ……ってな訳で。

何故かコミケに行っただけの筈なのに……


やってまいりました!!ライブハウス『渋谷・Drunken Unicorn』!!


此処は、結構、渋谷では有名な地下にあるライブハウスなんだがな。

店舗自体が、あまり大きく無いので、結構、アバウトな感じで予約が取れたりするので。

こうやって、ちょっとしたイベントや新人バンドなんかも利用する機会が多く、気軽に誰でも貸し切れるライブハウスとしても有名だな。


まぁ、そうは言っても、前述通り、少々店がこじんまりしてるので。

大体、集客数は80~120も入ったら良い所の小規模なライブハウスって感じだから、中堅からメジャーに掛けてのバンドが使う事は少ないだろうけどな。


そんな感じの地下ライブハウスに入る為に、階段を降りて入店する。


勿論、今日の借主が一緒に居るからフリーパス。


***


 ……さてさて。

そんな風に会場の中に入って、まず思った事は、ライブハウスにしては、店内が、やけ綺麗だ。

一切、壁の落書きも無ければ、無駄にバンド・ステッカーなんかも張ってない様子。


まぁ、告知ボードみたいなもんに多少のチラシは張ってある様だけど、そんなに気にする程の数でもない。


そんな比較的、綺麗なライブハウスの店内を見回しているんだが……何故か、今日一緒にやると言われている筈のバンドのメンバーの姿が1人も見あたらない。


これって……どういう事?なんて一瞬思ったんだが。


ひょっとして片倉の野郎。

俺にHな事しようと思って、あんな茶番まで演じてやがったんじゃねぇだろうな!!


もしそうなら、眞子は、マジでアンタを殺しちゃうよ……


最近、たっぷりストレス溜まってるから、その暴力性を抑える気がないからね。



「うわっ!!最悪だ!!アイツ等、まだ来てやがらねぇのかよ。……時間がないのに、ごめんね、倉津さん」


はい?……それって所謂1つの遅刻してるって事か?


オイオイ!!量カジが事前に連絡を入れてる筈なのに、もしそうなんだったら、それは、それで殺しちゃうよ。


この期に及んで遅刻するとか……マジで全員死ねば良いのに。


心底、撲殺されて、全員死ねば良いのに。


来たら、速攻でライブハウス事、燃やして灰にしたろか!!



「ははっ……しょうがないですよね」

「ほんと、ごめんな。わざわざ時間作って貰ってるのに……」

「あぁ、構いませんよ」


なんかな。

馬鹿共が遅刻してきてるせいで、非常に暗い雰囲気になってるんだよな。


量カジの奴も深く反省してるのか、俯いて、なんも喋らなくなっちまったよ。


暇だ。


・・・・・・


・・・・・・


う~~~~~ん、暇だ。

だから、なんか笑える様な面白い事を喋れ、量カジ。


但し、つまんなかったら、全力で一発殴るからな。



「あの」

「あっ、はい。なんですか?」

「あの……いや、あの、倉津さんってさぁ、彼氏とか居るの?」

「はい?」


なんだよ、それ?

何を急に話し出したのかと思ったら、そんな糞ツマンネェ話題を振って来るなよな!!


こんな話じゃ、ちぃっとも面白くねぇし!!

寧ろ、今の女体化してる姿じゃ、一番聞かれて不快な話なんじゃあぁ~~~この糞ボケだきゃあ!!



「いや……あの、彼氏居るのかなぁって……」

「居ませんよ。勿論、作る気も、更々ありませんけど」

「えっ?なんで?そんなに可愛いんだったら、選り取り見取りなんじゃ」

「ごめんなさい。そう言うの、良く解らないんですよ」

「えぇ?解んないって言ったって、告白とかされないの?」

「告白ですか。……お友達で良いんじゃないですか?」

「ぐわっ!!」


その『なんとも言えない様な絶望した顔が見れた』から、この話題でも、思ってたよりも退屈しなかったぞ、量カジよ。


なので、ちょっとだけ褒めて遣わす。


けど……最初に不快な思いをさせたから、褒美は無しじゃ!!



「えっ?えっ?私、なにか、おかしな事を言いましたか?」

「あぁ、いや、大丈夫、大丈夫」


頭を押さえながら、話をする量カジ。



「そうですか。……あの、私の事なんかより、片倉さんの方こそ、彼女を作られないんですか?」

「まっ、まぁね。あぁでも、作らないと言うか、作れないんだよね」

「どうしてですか?」

「あぁ、いや、恥ずかしながら、この年に成っても、女性に対して幻想と、理想を追い駆けちゃってるから、中々そう言う子には出逢えないんだよね」

「そうなんですか?だったら、好きな子とかも居ないんですか?」

「居るよ。……でも、その子とは出逢ったバッカリで、多分、その子はなにも気付いてないみたいなんだよね」


ひょっとして、これって、遠回しに俺って言ってる?


それとも、これってまた『自意識過剰』?


じゃあ、その辺が解らないから、まずは確認してみよう!!



「そうなんですか?……でも、なら尚更頑張って下さいね。私、片倉さんの恋愛を、滅茶苦茶、応援しちゃいますから。お2人で幸せになれると良いですね」

「『!!』あっ、はい。……そうですよね。頑張ります」

「はい、一杯頑張って下さいね。私で良ければ、いつでも相談に乗りますよ」


この『異性が相談に乗る』って言葉の意味は『貴方は恋愛対象として見ていません』って意味なんよ。

そしてそれは同時に、この言葉を発する事によって『相手の恋愛感情を知る事が出来る』って意味も含まれる訳だな。


それ故に、確認を取る為には、非常に有効な言葉でもある。


さてさて、量カジは、俺のこの言葉に、どう反応するんだろうな?



「あっ……ありがとね。わ~~~~い(完全に棒読み)」

「くすっ……なんですかそれ?面白い♪」


う~~~ん、実に困り切った良い表情で、返事を返してしてくれたもんだ。

この片倉の反応から見ても解る様に、コイツは間違いなく眞子に興味を持ってる。


じゃなきゃ、こんな反応をする訳がねぇからな。


そして、そこから割り出される解答は、ヤッパ、俺って相当可愛いんじゃん!!


……って事は、なにか?

あのコミケでネットのオッサンと密談の時も、2人して、矢鱈とコチラをチラチラ見てやがったのは、あっしを使ってエロイ事でも考えてやがったのか?

おかしな妄想と下半身を膨らませながら、それを同人誌にでもしようとしてやがったんじゃないの?


もしそれが事実なら、最低だな、オマエ等って奴は……

(↑勝手にそうだと決め付ける俺)


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


また懲りずに調子に乗ってやがりますね(笑)

まぁ、元々がお調子者な性格ですし。

人からあまりチヤホヤされた事が無い人生だったからこそ、こんな態度に成ってしまっているのでしょうけどね。


普段注目される事が少ない人間ほど、こう言う状態に陥りやすいですしね(笑)


なので、この辺だけは、ちょっとだけ許してやってくださいです<(_ _)>


さてさて、そんな風に片倉さんを撃沈させた後。

漸く、バンドのメンバーが、このライブハウスにやって来るのですが……


果たして、そのメンバーの実力とは!!


そんな彼等の実力を、少しでも気にして頂けました、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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