●前回のおさらい●
前日から色々あり過ぎてお疲れ気味の倉津君。
カジグチ君達との練習を終えた後、そのまま音楽室で寝てしまったのだが……
目を覚ますと、何故か、背中で寄り添うように素直ちゃんが寝ていた!!
……10分後。
小さく丸まっていた素直は、寒くなったのかして『ぶるっ』っと1度体を震わせてからムクッと起き上がった。
そして、自分の置かれている現状が把握出来ないまま、不安そうな顔で周りをキョロキョロと見回している。
「うっ、う~ん……此処どこ?……学校?……」
何かを見て、此処が学校だと言う事だけは、なんとか判断出来た様だが、この様子から見て、まだ完全に寝惚けてるようだ。
そんな素直は、更にキョロキョロと周りを見渡しながら、髪を手櫛で梳いている。
この辺は、実に、女の子らしい仕草だな。
自分の置かれてる現状が解らなくても、身嗜みを整え様とするなんてよ。
流石、女子だな。
そうして髪を梳きながらキョロキョロしていてると、何気に俺と眼が合う。
「よっ、おはようさん」
っと、わざとらしく右手を上げて、素直に俺を認識させる。
まぁ、なんで、こんな状態に成ってるのかは、俺にもよくは解らんが。
取り敢えず素直の奴は、そうやって俺を認識した瞬間に慌てるぞ、慌てるぞ。
女子は、寝顔を見られる事を、異常に恥ずかしがる生き物だからな。
「えへへ、おはよう、真琴君。……今日も窓から入って来て、起こしに来てくれたんだね。ありがとう」
「へっ?」
あっ、あれ?
なんか俺が予想していた方向とは、全く違う方向に話が行っちまってるみたいだな。
それにしても素直は、一体、なんの話をしてるんだ?
俺は生まれてこの方、オマエを起こしに、家に行った記憶なんて全く無いぞ。
ってかよぉ、まだ夢心地なのは良いけど、オマエの中の俺って一体なにキャラなんだよ?
少女マンガか、なんかのカッコイイキャラが、窓から起こしに来るならまだしも。
俺なんかが窓から毎朝起こしに来たら、ただの性質の悪い借金取りか、空き巣じゃねぇかよ!!
『毎度おはようございます有野さ~ん。早く借金返して下さ~い。期限過ぎてますよ~』ってな感じのよ。
それ……想像上でもダメだろ。
「どうかしたの、真琴君?……」
「いや、あの、素直。俺だぞ俺、解ってるか?認識出来てるか?」
「うん……勿論」
アカンは、この子。
やけに反応が鈍いし、現状が全く把握出来ていない。
確かに、この仕草自体は凄く可愛らしく、目に見張るものがあるんだが……どうやら素直は、奈緒さん同様、寝起き『ぽぉ~~~』っとする癖が有るらしい。
ヤバイヤバイ、このままじゃ、素直がなんかやらかしそうだ。
その証拠に、起き上がった素直は、段々コッチに向って近付いて来ている。
これはもぉ、早く、なんとかしなきゃな。
なんとか……
・・・・・・
……ってオイ!!
素直が慌てる予定だったのに、なんで俺が慌ててんだよ!!
『ちゅっ』
「へっ?」
えっ?
オイ……いま、おまえ、なにした?
……って!!
いぃいいぃいぃいぃ~~~!!
オイオイオイオイ、イキナリ、やっちゃったよ素直の奴。
これまで素直とは色々なハプニングは有ったが、キスだけは1度たりともしてなかったのによぉ。
素直の奴、寝惚けたまま……不意打ちで、俺にキスしやがったよ!!
しかも、素直の唇、柔らかくて『プニプニ』してやがんの。
(↑そこだけはキッチリ確認する俺)
「あっ、あれ?……えっ……えっ?……えっ!!えぇええぇえぇぇ~~~~!!嘘!?……僕……どうして?なっ、なに?どうして、真琴君が僕に家に居るの?」
あっ、素直の唇にリアルな感覚が伝わって、漸く、ハッキリと頭が覚めたらしいな。
しかし、とんでもない事態になっちまったな。
マジで、どう収拾すんだよ、これ?
・・・・・・
いやいや、イカンイカン。
男である俺が、素直と一緒に激しく動揺しててどうすんだよ。
此処は1つ、TVに出ている大人の様に冷静な対処すべきだな。
……けど、某が、ポーカフェイスが苦手なのは先刻承知でござろう。
早い話、ヘタレでござる。
故に、期待せずに見守って欲しいでござるよ。
では、取り敢えず、そんな感じで……
3・2・1……キュー!!
「オイオイ、やけに大胆だな素直。オマエって、そんな大胆な事をするキャラだっけ?」
「あっ、あの、違うの、違うの、違うんですよ。ぼっ、僕、今、ちょっと寝惚けてて、その……真琴君の事も夢だと思っちゃって、その……」
「ほぉ。って事は、あれか?素直は、夢の中じゃ、そんなに大胆なんだな」
「あっ……えぇっと、そっ、そんな事ないですよ。今日は偶々……そぅそぅ、偶々なんです偶々」
「そっか。じゃあ、仕方ないじゃねぇの?偶々そうなったんだからよ」
「そうですよね、そうですよね。偶々だから仕方ないですよね」
「まぁな」
おっ?世界に誇る大根役者である俺が、なんか知らんが、上手く事を運べたぞ。
これは、まさに奇跡体験だな、奇跡体験!!アンビリバボォ~~~だぜぇ~~~!!
まぁ、一応事故とは言え、奈緒さんに、この事はキッチリ報告はするが。
取り敢えず、現状だけは、なんとか事なきを得れそうな雰囲気ではあるな。
けど、そんな心境の俺とは裏腹に、素直の奴、なぁ~~~んか納得いかない顔してるぞ。
なんだ、その表情は?
いやこれは、なんか、やな予感が……
オイオイ、折角、上手く纏まってるんだから、この期に及んで此処で変な事を言い出すなよ。
素直、マジで頼むぜ、オイ!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
色々ありながらも、ある程度は順風満帆に運んできた、此処まででしたが。
此処に来て、とうとう大きめのハプニングが起こってしまいましたね(笑)
事故とは言え、素直ちゃんとキスをしてしまうと言うハプニングを!!
まぁ勿論、これ自体は、倉津君に非はないのですが。
素直ちゃん相手に、これをやってしまった以上、ただで済む筈もなく。
また、若干ややこしい方向に話は進んで行きます(笑)
さぁ、対応しきれるか!!
それは次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
オイ、殴公、マジでいい加減にしろよ(;゚Д゚) ('ω'*)いやです
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