●前回までのあらすじ●
崇秀のライブ評価を渡す為に、入院中の倉津君を訪れたステラさんと、ジミーさん。
さて、その評価を渡された倉津君は……
「……っで、アイツは、これを見て、なんて言ってやがったんだよ?」
「『イマイチな反応だな』って、おしゃってましたね。勿論、私も同意見です……ハッキリ言ってしまえば、アナタ方は、言葉通り、イマイチなバンドです」
「あぁ?ちょっと待て、なにがイマイチだつぅ~んだよ?ライブ自体は、俄然盛り上がってたじゃねぇか」
「あの程度でですか?……クスッ、それはまた、お笑い種ですね。300人程度の人間も喜ばせられないのに、それで満足なんですか?話にもならないレベルですね」
「オイオイ、あんまふざけるなよ、ねぇちゃん!!300人だろうがなんだろうが、盛り上がった事には違いねぇ!!因縁吹っ掛ける相手間違うと、仕舞いにゅあ怪我すんぞ」
「はぁ……矢張りアナタは、救い様のない低脳ですね」
「んだとコラ!!」
「全然、計算が出来てらっしゃらない。良いですか?300人のアンケートで評価が6.7。数値に置き換えると300×0.67=201人……99名の方が満足していません。そんなライブが成功と言えますか?私なら恥ずかしくて、とても、そんな言葉は出せませんね」
何を言うかと思えば、そんな単純な基準で、モノを図ってやがったのか。
呆れる馬鹿だな、オマエ。
「なんだ?オマエは、数値が、全てだって言いたいのか?」
「それ以外で、何を基準にすると言うのですか?その評価は、良くも悪くも、素人とプロが出したもの。これ以上、解り易い証拠は無いと思いますが……如何ですか?」
「馬鹿じゃねぇの?あのライブで、オマエは、一体、なにを見てたんだ?低脳にも程があるな」
「なっ!!」
初めて動揺を見せた。
まぁこれは『数値を最大の基準』と考える奴に多いんだが。
そう言う奴は、他の事を見ずに、ナンデモカンデモ数値だけに頼ってしまう傾向がある。
これ自体は、まぁ決して悪くはないんだがな。
逆を言えば、頭が固く、柔軟性に欠けている場合も多く存在する。
こう言う奴は、得てして『数値』と『現場に居る客の心境』の違いを上手く理解出来無い。
例えそれが、現場に居たとしても『数値』に眼が行き『心境』を排除してしまう。
これだと意味が無い事には気付かずに……
恐らくコイツは、そう言う類の人間なのだろう。
「あのなぁ、ステラとやら。じゃあ、逆にオマエに聞きたいんだがな。あのライブは、オマエが言う程、盛り上がらなかったライブだったか?オマエの言う99人の人間は静まり返って、ライブの途中で帰って行ったか?」
「確かに、その意見には一理有りますね。ですが評価点は、そう語っているじゃないですか。アナタは、そこを、どう説明されるおつもりですか?」
「なんだ?そんな簡単な事もわからねぇのか?良いかステラ?評価点6・7って言うのはな。改善して欲しい点を話してるだけであって、決して、盛り上がりだけの話をしてる訳じゃねぇんだ。要するにだ。観客はみんな、自分の好みを言ってるに過ぎないと思うが……どうだ?」
「それはアナタが、自分を庇護しているだけじゃないんですか?」
「オマエって、ホントに馬鹿なんだな。そんなどうでも良いバンドの為に、わざわざ時間を割いてまで、そこに居た全員の客がアンケートを書くか?この時勢、世の中、そんな暇人ばっかりじゃないと思うぜ」
結果的には、そう言う話なんだよな。
67%の人間が、今の俺達に満足して、33%の人間が、なにかしろの改善を求めている。
って事はだな、そこを改善すりゃ、%はドンドン上がっていく訳だ。
逆に言ってしまえば『改善が無い』とか『全て満足』なんて言葉しか出ない時点で、そのバンドは恐らく、観客に興味を失わせてる訳だ。
若しくは、音楽なんか聴いてなく。
どこかのアイドルグループみたいに『盲信』しているかの、どちらかしかない。
普通なら、どんなに好きなバンドでも『こうして欲しい』『あぁして欲しい』って言う、観客の欲求は尽きない筈だからな。
それに面倒臭かったり、興味が無かったらアンケートは書かない。
これも恐らく、間違っていない筈だ。
事実、俺は、相当、興味が無かったらアンケートを書かないからな。
まぁ少し自分を庇護している部分は有るが、多分、こう言うことだと思う。
……にしても、今日の俺は妙に冴えてるな。
「なるほど……アナタの最後の砦は、そこだったって話ですね」
「なんだと?」
「勘違いが過ぎますよ。そのアンケートは、そこに居た全員が、絶対に書く様に、仲居間さんから、既に通達されていたからこそ起こった現象です。なので、アナタの言う話は、その程度の話なんですよ」
「そうか。……じゃあ、それで良いんじゃねぇか」
「えっ?アナタは、それで良いとおっしゃるのですか?」
「あぁ、構わねぇよ。オマエや、崇秀が、そう捉えてる以上、反論する余地はねぇ。オマエ等が、俺等に『イマイチ』だって評価を下すんなら、それは、それで良いんじゃねぇか。……けどな、ステラ。オマエは、崇秀って人間の事を、なにもわかっちゃいねぇな」
「私が、仲居間さんの事をわかってない?……アナタは、何故そう思うんですか?」
「あのなぁステラ。アイツって人間はな。結局の所、自分が蚊帳の外にされんのが一番嫌いな人間なんだよ。だから、難癖つけて蚊帳の中に入りたがる。……俺がハッキリ言える事が有るとすりゃあ。アイツは、そんな数値なんて、なに1つ見てねぇって事だな」
「おっ、なんだよ、オマエ、よく解ってんな」
「出たよ。……そろそろ来る頃だと思ったよ」
まぁ崇秀が現れても、なんも、おかしくないタイミングだな。
……ってかな、この馬鹿、多分、廊下で『出待ち』してやがったな。
ほんと、オマエだけはロクデモネェな。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
ステラさんと口論に成ってはいますが。
なんだかんだ言いながらでも、ステラさんに、ちゃんと対応してるみたいですね(笑)
この辺の順応性の高さはピカ一です♪
さてさて、そこに崇秀が登場して、また一波乱ありそうな予感。
なにが起きるかは次回の講釈。
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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