最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
殴り書き書店

263 不良さん、崇秀のある言葉が気に成る

公開日時: 2021年10月27日(水) 00:21
更新日時: 2022年12月14日(水) 13:45
文字数:1,766

●前回のおさらい●


 崇秀の言葉遊びに、ついつい乗せられた倉津君は。

ある事を切欠に、何も悪くない奈緒さんから謝られてしまった。


だから……

「あぁ、謝らないで奈緒さん。俺、そう言う悪戯する奈緒さんも好きッスから……有りッスよ有り。奈緒さんの落ち込んだ顔を見たい訳じゃないッスからね」

「クラ……」

「それに元を正せば、俺が『勃起した』なんてロクデモナイ事を、奈緒さんに言ったのが間違いの始まりだったんッスよ。なので奈緒さんは、なにも悪くないッスよ」

「また、そうやって、私を許してくれるんだ」

「勿論ッスよ。俺は、アナタが、アナタでさえあれば。どんな奈緒さんでも受け入れますよ」

「そっか。……なんか、そう言われると安心するね」

「そッスか?俺にとっちゃあ、極当たり前の事なんッスよ。……但し、奈緒さん限定なのは、いつも通りッスけどね」

「そっか、そっか。じゃあクラは、私だったら、なんでも受け入れてくれるんだね。……勿論、私の我儘も、全部受け止めてくれるよね」

「へっ?……あっ、あの、いや、時と場合によると言うか、なんて言うか」

「なんでかなぁ?それ……言い逃れにしか聞こえないよ」


なんで、そんな逆転劇の様な方向に話が……


……まっ、良いっか。

奈緒さんも機嫌良く話してるみたいだし、なんにしても楽しそうだ。


この後、そんな無茶な注文もして来ないだろしな。



「わかったッスよ。男に二言はねぇッスよ」

「ふ~~ん……じゃあ、早速だけど。少し、此処で店番をお願いして良い?朝からズッと接客してたから、疲れちゃった」

「へっ?……あぁ、そう言う事ッスか。交代が居なかったから、休憩も出来なかったと」

「そっ」


そう言って奈緒さんは、机の下で寝っ転がった。

そんで直ぐ様『くぅくぅ』と寝息を立て始める。


あぁ……この様子から見て、午前中、かなり大変だったんだろうな。

まぁ常識で考えりゃ、1人で1000人も客を捌いてりゃ、そうもなるか……


少し寝かせて置いてやろう。


この後、俺は接客をしながら、奈緒さんの目覚めを待った。


***


 そう言えば。

さっき、奈緒さんが言ってた『GUILD』って、一体、何なんだろうな?


俺は、客が引けたので、少し時間を持て余し、不意にそんな事を思い出した。


謎の言葉『GUILD』に付け加えて、それに伴った『販促品』

どう考えても、おかしなモノとしか思えない。


何故なら……奈緒さんが、さっき『崇秀のバックアップしてるバンド』と言った割には、ライブ・パンフレットの何所を探しても、その名称が記載されていない。

寧ろ、それを臭わすモノすら存在しない。


まぁこれ自体、崇秀の馬鹿が、なにやら良からぬ事を考えているのは明白なんだが……それが、一体、何なのかが、一向に見えて来ないんだよな。


安易に考えれば……崇秀が売り出そうとしている『隠し玉のバンド』だから、観客を驚かせる為に、敢えてバンド名を記載していないってのが有力な意見ではあるんだが……それだと、どうにもおかしい。


奈緒さんとのバンドの関連性が稀薄になるからな。


今回のアイツの企画は『奈緒さんと、みんなの心を繋ぐ』ってコンセプトの上に成り立ってる以上、それが『隠し玉のバンド』では、彼女とバンドを繋ぐものは見えない。


もし……なにか、この2つに共通点が有るとすれば、奈緒さんが行く海外でのバンドって事ぐらいなんよな。


まぁ……例えそうで在っても、決して、おかしくはない話なんだが……どうにも、それじゃあ、しっくりこないのも事実だ。


だってよぉ。

奈緒さん用の海外でのバンドなんだったら、なにも、日本でライブをする必要性が無いからなぁ。

もし宣伝を兼ねて、こんな大掛かりなライブをするなら、その行き先である海外で、まずはライブをやるべきだと思う。


こうすれば、バンドにとって、何よりも大事な『知名度が上がる』からだ。

だからって訳じゃないが、日本でライブをやる意味が、あまりにも薄い様な感じがする。


それにだ。

一番の問題点は、当の本人である奈緒さん自身が『GUILD』について、バンドと言う事以外、何も知らない事なんだよな。


幾ら奈緒さんが、なんでも出来る凄い人だからと言っても、イキナリ、即興で何かをするのは難しい筈。

故に、奈緒さんに知らされていないのは、些か、おかしい。

しかも、こんな初歩的なミスを、アイツがするとも思えないしな。


じゃあなんだ?


ホントに『GUILD』ってなんなんだろうか?



この後も、必死に思案してみたが……結局、俺は、答えを出すには至らなかった。


そんな折……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


奈緒さんとの一件は遺恨もなく、意外なほどにアッサリ解決。

その後、倉津君は、崇秀の宣伝している『GUILD』について考えてみるが……イマイチ良い答えが見つからない。


まぁ此処に関しては、倉津君の勘違いな部分が大きいのですが。

彼は、この崇秀の企画自体が、元々『奈緒さんの為だけに立てた計画ではない』って事を、完全に見誤ってるんですね。


そんなんじゃ、答えが出る筈はないです(笑)


さてさて、そんなお悩み中の倉津君に元に、誰かが訪れて来たようですが……一体、誰が訪れて来たのでしょう?


その答えは、次回の講釈。

また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート